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ヌン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヌン
Nun
原初の神
水の神ヌン
Naunet and Nun
ヒエログリフ表記
W24 W24 W24
N1
N35AA40
Nu
W24 W24 W24
N1
N35AX1
H8
B1
Naunet
信仰の中心地

ヘリオポリス

ヘルモポリス
配偶神 なし

なし

(オグドアドに数えられる場合、ヌンの女性名ナウネトを伴侶とする)
兄弟 なし
子供 アトゥム
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ヌン(Nun)は、エジプト神話における原初のオグドアドの一柱。

概要

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「原初の水」と呼ばれ、あらゆる存在の起源とされる。また、ヌンの名はアトゥムの立つ大地「原初の丘」も指す。ヘリオポリス創世神話において、ヌンの中から意志の力によって創造神アトゥムが誕生したと語られる。後にアトゥムとラーが習合したことにより、ラーはヌンの中から意志の力によって生まれたという神話も存在する。ヘルモポリス創世神話においても、ヌンの名は登場し、こちらでは八位一体の神々オグドアドの一員として語られている。

この名前は、コプト語の Ⲛⲟⲩⲛ「abyss; deep」とも比較されている[1]

ステファヌ・ロッシーニリュト・シュマン・アンテルム『図説エジプトの神々事典』によれば、この男神は、他のオグドアドの神々がそうであるように「カエルの頭」で表現されることもあった。同著によれば、「陪神(パレードル)」と呼ばれる配偶者はナウネトの他「原始の水」を表す語「ネト」との語呂合わせから、「ネイト」も充てられたという[2]。彼はメンフィスで「プタハ=ヌン」となり、テーベではアモンと習合した。

この名前は、コプト語の Ⲛⲟⲩⲛ「abyss; deep」とも比較されている[3]

名前は表音文字 nw

W24

を3つ重ねたものに決定詞「空」

N1

および「水」

N35A

を加えることで表される。 表音文字 nn

M22M22

もまた用いられる。[4]

信仰

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太陽の神ラーの舟を支えるヌン

古代エジプトにおいて、来世と関わりを持たないとされた死産した赤ん坊や罪人の魂はヌンのもとに送られ、死者の魂が還る場所と信じられていた。 『図説エジプトの神々事典』によれば、一応創世神は信仰を持たない者の、それでもパメノトの月(7番目の月)の18,19日に彼を讃える祭祀が行われていた[5]

出典

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  1. ^ Budge (1904), p. 284.
  2. ^ 『エジプトの神々事典』131頁
  3. ^ Budge (1904), p. 284.
  4. ^ Budge, An Egyptian hieroglyphic dictionary (1920), p. 349f, 354.
  5. ^ 『エジプトの神々事典』131頁

関連文献

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関連項目

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ヘリオポリス創世神話
  • アトゥム - ヌンから生まれた創造神。ヘルモポリスではヌンは「アトゥムの父」とされた
  • ラー - アトゥムと習合した太陽神。水から「ヌトの股」を経て上る太陽を司る神は、古代エジプト人の魂観におけるヌンのバーとされた。
ヘルモポリス創世神話