鈴鹿郡

日本の三重県(伊勢国)にあった郡

鈴鹿郡(すずかぐん)は、三重県伊勢国)にあった

三重県鈴鹿郡の範囲

郡域

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1879年明治12年)に行政区画として発足した当時の郡域は、下記の区域にあたる。

  • 亀山市の大部分(楠平尾町・関町萩原・関町福徳を除く)
  • 四日市市の一部(南小松町・鹿間町・和無田町・水沢野田町)
  • 鈴鹿市の一部(概ね下大久保町、石薬師町、上野町、甲斐町、岡田町、岡田、算所、阿古曽町、大池、住吉、住吉町、国府町、平野町、八野町より北西[1]
  • 伊賀市の一部(一ツ家)

平成22年度国勢調査の結果によると、当該区域の面積は303.59k㎡、人口は109,305人である。[2]

歴史

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古代には現在の鈴鹿市広瀬町長者屋敷に伊勢国の国府が、亀山市白木町に国分寺が置かれた。

近世以降の沿革

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  • 旧高旧領取調帳」に記載されている明治初年時点での支配は以下の通り。幕府領は信楽代官所が管轄。○は村内に寺社除地[3]が存在。(1町85村)
知行 村数 村名
幕府領 幕府領 4村 石薬師村[4]、上野村(うえのむら)、庄野村[4]、坂下村[4]
藩領 伊勢亀山藩 2町
67村
亀山城下[5][6]、野村、野尻村、落針村、住山村、羽若村、亀田村、椿世村、菅内村、阿野田村、八野村、国府村、中富田村、西富田村、和泉村、小田村、海善寺村、田村、長明寺村、算所村、弓削村、岡田村、平田村、津賀村、広瀬村、深溝村、岸田村、和無田村、鹿間村、下大久保村、南小松村、原村、川崎村、徳原組、岩森村、太田村、辺法寺村、平尾村、原尾村、安楽村、池山村、坂本村、北畑村、南畑村、上野村(かみのむら)、小岐須村、小社村、山本村、大久保村、水沢野田村、長沢村、伊船村、伊船野田村、新所村[6]、○木崎村[6][7]、○小野村、鷲山村、白木村、小川村、大岡寺村、山下村、木下村、市瀬村、沓掛村、川合村、和田村、井尻村、長沢野田村、関中町[8]
伊勢久居藩 5村 安知本村[9]、田茂村、三寺村、中ノ庄村、下ノ庄村[10]
伊勢津藩 3村 加太村、久我村、古厩村
伊勢神戸藩 1村 汲川原村
亀山藩・神戸藩 2村 甲斐村、高宮村
幕府領・藩領 幕府領・亀山藩・神戸藩 1村 上田村
その他 伊勢神宮領・亀山藩 1村 平野村[11]
  • 慶応4年
  • 明治2年8月2日1869年9月7日) - 大津県の管轄地域が度会県の管轄となる。
  • 明治4年
  • 明治5年3月17日(1872年4月24日) - 安濃津県が改称して三重県となる。
  • 明治初年(1町83村)
    • 伊船野田村が伊船村に、長沢野田村が長沢村にそれぞれ合併。
    • 甲斐村が河曲郡甲斐無里を合併。
  • 明治8年(1875年)(1町73村)
    • 野尻村・落針村が合併して布気村となる。
    • 弓削村・岡田村が合併して弓削岡田村となる。
    • 岩森村・太田村が合併して太森村となる。
    • 平尾村・原尾村が合併して両尾村となる。
    • 安楽村・池山村・坂本村が合併して安坂山村となる。
    • 北畑村・南畑村・上野村(かみのむら)が合併して三畑村となる。
    • 大久保村・水沢野田村が合併して大野村となる。
    • 徳原組が川崎村に合併。
  • 明治12年(1879年2月5日 - 郡区町村編制法の三重県での施行により、行政区画としての鈴鹿郡が発足。郡役所が亀山城下に設置。

町村制以降の沿革

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1.亀山町 2.槇尾村 3.関町 4.神辺村 5.坂下村 6.加太村 7.昼生村 8.国府村 9.井田川村 10.庄野村 11.高津瀬村 12.牧田村 13.石薬師村 14.久間田村 15.深伊沢村 16.椿村 17.庄内村 18.川崎村 19.野登村 20.白川村(紫:四日市市 桃:鈴鹿市 赤:亀山市)
  • 明治22年(1889年4月1日 - 町村制の施行により、以下の町村が発足。(2町18村)
    • 亀山町 ← 亀山城下[13]、井尻村[一部]、和田村[一部]、野村、椿世村、亀田村、羽若村、住山村(現・亀山市)
    • 槇尾村 ← 阿野田村、菅内村、田茂村、安知本村(現・亀山市)
    • 関町 ← 木崎村、関中町、新所村、古厩村、久我村(現・亀山市)
    • 神辺村 ← 布気村、大岡寺村、山下村、小野村、木下村(現・亀山市)
    • 坂下村 ← 市瀬村、沓掛村、坂下村(現・亀山市)
    • 加太村(単独村制。現・亀山市)
    • 昼生村 ← 中ノ庄村、下ノ庄村、三寺村(現・亀山市)
    • 国府村 ← 国府村、平野村、八野村(現・鈴鹿市)
    • 井田川村 ← 和田村[大部分]、井尻村[大部分]、海善寺村、川合村(現・亀山市)、小田村、西富田村、中富田村、和泉村(現・鈴鹿市)
    • 庄野村 ← 庄野村、汲川原村(現・鈴鹿市)
    • 高津瀬村 ← 高宮村、津賀村、広瀬村(現・鈴鹿市)
    • 牧田村 ← 弓削岡田村、甲斐村、平田村、算所村(現・鈴鹿市)
    • 石薬師村 ← 石薬師村、上野村(うえのむら)、上田村(現・鈴鹿市)
    • 久間田村 ← 下大久保村、岸田村(現・鈴鹿市)、鹿間村、南小松村、和無田村(現・四日市市)
    • 深伊沢村 ← 伊船村、長沢村、深溝村(現・鈴鹿市)
    • 椿村 ← 山本村、小社村、小岐須村(現・鈴鹿市)、大野村(現・四日市市、鈴鹿市)
    • 庄内村 ← 原村、三畑村(現・鈴鹿市)
    • 川崎村 ← 田村、長明寺村、川崎村、太森村(現・亀山市)
    • 野登村 ← 両尾村、安坂山村、辺法寺村(現・亀山市)
    • 白川村 ← 小川村、白木村、鷲山村(現・亀山市)
  • 明治30年(1897年9月1日 - 郡制を施行。
  • 明治41年(1908年)4月1日 - 亀山町・槇尾村が合併し、改めて亀山町が発足。(2町17村)
  • 大正12年(1923年)4月1日 - 郡会が廃止。郡役所は存続。
  • 大正15年(1926年7月1日 - 郡役所が廃止。以降は地域区分名称となる。
  • 昭和17年(1942年12月1日 - 国府村・庄野村・高津瀬村・牧田村・石薬師村が河芸郡白子町神戸町稲生村飯野村河曲村一ノ宮村箕田村玉垣村若松村と合併して鈴鹿市が発足し、郡より離脱。(2町12村)
  • 昭和29年(1954年10月1日 - 亀山町・昼生村・井田川村・川崎村・野登村が合併して亀山市が発足し、郡より離脱。(1町8村)
  • 昭和30年(1955年
    • 2月1日 - 神辺村・白川村が分割し、神辺村の一部(小野の一部[14])・白川村の一部(鷲山および白木の一部[15])が関町に、神辺村の残部(布気・太岡寺・山下・木下および小野の残部)・白川村の残部(小川および白木の残部)が亀山市にそれぞれ編入。(1町6村)
    • 4月17日 - 関町・坂下村・加太村が合併し、改めて関町が発足。(1町4村)
  • 昭和31年(1956年
  • 昭和32年(1957年
    • 4月15日 - 三鈴村が分割し、一部(南小松・鹿間・和無田・野田)が四日市市に、残部(下大久保・岸田・山本・小社・小岐須・大久保)が鈴鹿市にそれぞれ編入。(1町1村)
    • 6月15日 - 鈴峰村が鈴鹿市の一部(小社町・小岐須町)を編入。鈴峰村の一部(深溝・三畑町・追分)が鈴鹿市に編入。
  • 昭和33年(1958年)4月1日 - 関町が安芸郡芸濃町の一部(萩原・福徳)を編入。
  • 昭和42年(1967年)4月1日 - 鈴峰村が鈴鹿市に編入。(1町)
  • 平成17年(2005年1月11日 - 関町が亀山市と新設合併し、改めて亀山市が発足。同日鈴鹿郡消滅。

変遷表

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自治体の変遷
明治22年以前 明治22年4月1日 明治22年 - 昭和19年 昭和20年 - 昭和64年 平成1年 - 現在 現在
亀山町 明治41年4月1日
亀山町
昭和29年10月1日
亀山市
平成17年1月11日
亀山市
亀山市
槇尾村
昼生村 昼生村
井田川村 井田川村
川崎村 川崎村
野登村 野登村
神辺村 神辺村 昭和30年2月1日
関町・亀山市に分割編入
白川村 白川村
関町 関町 昭和30年4月17日
関町
坂下村 坂下村
加太村 加太村
国府村 昭和17年12月1日
鈴鹿市の一部
鈴鹿市
牧田村
高津瀬村
庄野村
石薬師村
深伊沢村 深伊沢村 昭和31年9月30日
鈴峰村
昭和42年4月1日
鈴鹿市に編入
庄内村 庄内村
椿村 椿村 昭和31年9月30日
三鈴村
昭和32年4月15日
鈴鹿市に編入

久間田村 久間田村

昭和32年4月15日
四日市市に編入
四日市市

行政

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歴代郡長
氏名 就任年月日 退任年月日 備考
1 野村拙郎 明治12年(1879年5月5日
2 田辺訥夫 明治15年(1882年)2月16日
3 酒井礼一 明治19年(1886年)9月17日
4 浦田長民 明治20年(1887年)7月15日
5 酒井礼一 明治22年(1889年)3月12日
6 町田今亮 明治22年(1889年)5月13日
7 酒井礼一 明治22年(1889年)12月18日
8 松岡利弼 明治23年(1890年)9月27日
9 伊藤主一 明治24年(1891年)11月13日
10 中山光大 明治26年(1893年)2月25日
11 橋本三郎 明治28年(1895年)5月19日
12 西塚宗吾 明治32年(1899年)4月27日
13 野村盛賢 明治35年(1902年)11月10日
14 北野孝一 明治37年(1904年)12月28日
15 西大次郎 明治42年(1909年)4月30日
16 甘粕春吉 明治45年(1912年)6月22日
17 須田松太郎 大正2年(1913年)6月24日
18 小森安太郎 大正4年(1915年)4月21日
19 平賀正文 大正7年(1918年)5月21日
20 庄野繁治 大正8年(1919年)8月21日
21 田渕義雄 大正12年(1923年)3月31日
22 神田陸介 大正13年(1924年)12月17日 大正15年(1926年)6月30日 郡役所廃止により、廃官

脚注

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  1. ^ 近鉄鈴鹿線平田町駅周辺の住居表示実施地区については不詳。本項では現在の鈴鹿市の地域区分によった。
  2. ^ 三重県亀山市 - 人口総数及び世帯総数 | 人口統計ラボ - 国勢調査GIS 平成22年版”. toukei-labo.com. 2019年8月4日閲覧。
  3. ^ 領主から年貢免除の特権を与えられた土地。
  4. ^ a b c 伝馬除地が所在し、後に度会県が管轄。
  5. ^ 東町・西町が記載。
  6. ^ a b c 伝馬除地が所在し、後に亀山県が管轄。
  7. ^ 宮橋家除地が所在。
  8. ^ 無高のため「旧高旧領取調帳」には記載なし。
  9. ^ 安知本村・安知本村無里に分かれて記載。
  10. ^ 下荘村・下荘村無里に分かれて記載。
  11. ^ 伊勢神宮領は後に亀山県が管轄。
  12. ^ 4月25日(1868年6月15日)とする資料もあるが、ここでは「角川日本地名大辞典」の記述によった。
  13. ^ この時点では亀山江ヶ室、亀山東丸、亀山旧館、亀山西丸、亀山市ヶ坂、亀山中屋敷、亀山若山、亀山東台、亀山北山、亀山渋倉、亀山南崎、亀山南野村、亀山北野村、亀山西京口、亀山東京口、亀山東町、亀山西町が存在。
  14. ^ 字末藤・上門田・下門田・南会下・北会下・西野・長田・山神谷・栂木・東丸・西丸・走り下。
  15. ^ 字一色・吉尾・石場・山田。

参考文献

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  • 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 24 三重県、角川書店、1983年6月1日。ISBN 4040012402 
  • 旧高旧領取調帳データベース

関連項目

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