補習科
補習科(ほしゅうか)とは、日本で浪人生を対象として普通科の高等学校に設置された学科のことである。鳥取県のように専攻科が浪人生向け教育を担っているところもあった[1]。明治時代に中学校令として設置された「補習科」が起源であるとされており[1][注釈 1]、その補習科を中学校令が失効した後もそのまま継続させたものである。現在、公立高校に補習科を設置させてもよいという法律の根拠はない。
地方の予備校が少ない地域の普通科高校で設置させることが多く、予備校に比べるとかなり安い授業料で授業を受けることができる。その高校の卒業生しか入科できない場合が多いが、周辺校の卒業生の入科を認めている学校もある。また、その高校の卒業生であっても前年度の卒業生しか入科を認めていない高校が多いが、香川県立高松西高等学校のように複数年度にわたり入科・在籍を認めている高校も存在する。希望者は誰でも入科できるというわけではなく、入科試験を行っている学校が多い。現役時より校則が厳しいことが多い(例えば、数回遅刻で退学など)。授業を行う等の生徒の指導をするのは、その高校の教員である場合が多い。
東京都においては1968年(1967年度)に都の指導により都立高校の補習科は廃止された。予備校の進出、自治体の財政上の問題、入科希望者の減少などを理由に多くの高校で補習科は廃止され、現在補習科が存置されている高校のある県は少ない。島根県、岡山県、香川県、宮崎県のみである[1]。
2019年現在、島根県内の補習科5校は、年に1回、運動と交流の場として、ソフトボール大会を開催している。
補習科のある学校
編集専攻科廃止後に、NPO法人が補習科に類する学校を設置した例
編集- 倉吉鴨水館 - 鳥取県立倉吉東高等学校の専攻科廃止に伴い、高校既卒の大学志望者の勉学の場としてNPO法人が同校の敷地内に設置した教育施設。認可を受けて2017年に各種学校となった。県立高校併設型予備校。
- 勝田ヶ丘志学館 - 鳥取県立米子東高等学校の敷地内の同窓会館を校舎として2019年4月に開学。同校OB・PTAが設立したNPO法人が、高校既卒者の大学進学に向けた総合的な学力の向上と未来を拓く人財育成を目標として設置した。同校の元教員を中心に教育が行われている。2013年に専攻科が廃止されて以降、同校卒の浪人者数に変化がないにもかかわらず、家庭の経済状況によって自宅浪人者と県外予備校浪人者の二極分化が進んだことが志学館の設置のきっかけとなった。[1][2]
補習科が独立した例
編集- 城北中学校・高等学校・城北予備校 - 旧制東京府立第四中学校の補習科が私立学校として分離・独立し、戦後中高一貫校と予備校に発展した(現在予備校は廃止)。
- 福高研修学園 - 福岡県立福岡高等学校の補習科が学校法人として独立し、福岡高等学校の敷地内に予備校として存在していた(2016年閉校)。福岡県内で最後まで残った県立高校併設型予備校であった。
補習科に類する課程の例
編集福島県立磐城高等学校同窓会が同窓会館に設置した予備校。