白山総合車両所
白山総合車両所(はくさんそうごうしゃりょうしょ)は、石川県白山市宮保町にある西日本旅客鉄道(JR西日本)の車両基地および車両工場である。
白山総合車両所 | |
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基本情報 | |
国 | 日本 |
所在地 | 石川県白山市宮保町2791番地[1][2] |
座標 | 北緯36度30分34.75秒 東経136度32分17.03秒 / 北緯36.5096528度 東経136.5380639度座標: 北緯36度30分34.75秒 東経136度32分17.03秒 / 北緯36.5096528度 東経136.5380639度 |
鉄道事業者 | 西日本旅客鉄道 |
帰属組織 | 金沢支社 |
所属略号 | 金ハク |
開設 | 2014年4月1日 |
車両基地概要 | |
敷地面積 | 279,964 m2 |
配置両数 | |
電車 | 144両 |
合計 | 144両 |
備考 |
敷地面積は有価証券報告書の値[3] 鉄道建設・運輸施設整備支援機構より賃借中 |
概要
編集地平を走るIRいしかわ鉄道線(松任駅 - 加賀笠間駅間)に並行する形で北陸新幹線の本線が高架で建設され、その2線の東側に平行展開する形で、回送線・車両基地などが建設された。車両基地関係が21ha、保守基地関係が5haである。北陸新幹線が東京駅 - 金沢駅間の営業運転にとどまっていた間は金沢駅 - 車両基地間の約10キロメートルは回送線として機能し、金沢駅以西への延伸開業後にはこの区間も営業線に組み込まれた。本車両基地は整備新幹線である北陸新幹線の施設として建設されたため、JR西日本が鉄道建設・運輸施設整備支援機構から賃借している[3]。
土台部分の施工は鹿島建設を代表とする共同企業体である[6]。
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白山総合車両所の留置線建屋(2014年3月17日)
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白山総合車両所遠景(2014年3月17日)
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隣接する、本線架線への変電設備(2014年3月9日)
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構内試運転中のW7系W1編成(2014年5月2日)
名称
編集松任市と周辺町村の合併による白山市誕生以前は、仮称として「松任車両基地」、あるいは金沢市に近いことから「金沢車両基地」と呼称されていた。整備新幹線の平成16年政府与党申し合わせでも「金沢車両基地」という語が用いられていた。
沿革
編集設備・組織
編集北側に着発収容線(有効長396m、9線)と転削庫(1線)を備える[16]。着発収容線は、降雪対策として屋根が設置されている[17]。
南側には検修設備・工場設備を設け、検修庫(有効長387mの交番検査線2線<1・2番線>、仕業検査線1線<3番線>、融雪線1線<4番線>、全検整備線1線<5番線>と有効長320mの台車振替線1線<6番線>)[18]、台車検修場、台車部品検修場、車体解艤装場、部品検修場、車体検修場、車体塗装場を備える[16]。交番検査は1・2番線、仕業検査は1 - 3番線を用いて行われ、仕業検査に関してはW7系だけでなくE7系も当車両所で行う[19]。4番線の融雪線には温水噴射機、高圧洗浄機といった融雪設備を備え、床下の雪塊を取り除くことができる[18][20]。5番線では全般検査・台車検査時の編成分割・連結作業(12両編成→6両+6両)が行われる。6番線には、車両を連結したまま最大8両まで持ち上げることのできるジャッキを備える[21]。1 - 3番線の検修庫出口付近には薬液噴射装置、着発収容線の手前には車両洗浄装置が設けられ、車両洗浄に用いられている[19]。
組織としては、総務科、車両科、品質管理センター、車両検修センター、運用検修センターのほかに関連会社であるJR西日本金沢メンテックとJR西日本新幹線テクノスがあり[17]、仕業検査は運用検修センター[18]、交番検査は品質管理センターと車両検修センター[19]、台車・全般検査は品質管理センターと車両検修センターに加えて新幹線テクノスが対応する[21][22][23]。車内外洗浄業務は金沢メンテックが行う[19]。なお、台車・全般検査を終えた編成は金沢駅 - 富山駅間で試運転を行ったうえで営業に復帰する[21][23]。
配置車両
編集配置車両の車体に記される略号は「金ハク」で、金沢支社の略号である「金」と、白山の電報略号である「ハク」から構成される。
2022年4月1日時点の配置車両は以下のとおり[24]。
- W7系電車(264両)
- 12両編成22本(W1・W3 - W6・W8 - W24編成)が配置されている。
- 北陸新幹線「かがやき」「はくたか」「あさま」「つるぎ」、上越新幹線「たにがわ」[25]で運用される。JR東日本長野新幹線車両センター配置のE7系電車と一体的に運用されている。
- 北陸新幹線金沢駅開業当初は10本が配置されていたが、2015年9月に1本増備された。
- 令和元年東日本台風において長野新幹線車両センターが水没した際、同所に停泊していた当所所属の2本24両(W2・W7編成)が被災し、廃車となった[26]。
- 2021年10月から2022年3月にかけて、3本が増備された。
- 2023年3月からは敦賀延伸の為、10本が増備された。
一般公開
編集2015年から年1回実施している同所の一般公開[27]のほかに、2016年から一般団体向けに白山総合車両所の見学ツアーを実施している[28]。同年4月から白山市内の団体を対象に試験的に導入し[28]、8月から全国からの団体を受け入れている[29]。毎週火曜日と金曜日の午前と午後の1回見学ツアーを実施している[2][28]。なお、2020年以降新型コロナウイルスの感染防止に伴い、一般公開・見学ツアーのいずれも取り止めている。
白山市は観光資源の活用として車両所公開の拡大をJR西日本に要望しているものの[4]、JR西日本は現状の週2日が限界だとの方針を示している[30]。また、2017年に自由民主党が新幹線総合車両所を新たな観光資源として、白山総合車両所を第1号として恒常的に公開する検討を開始した[27]。
白山市は2023年度末(令和5年度末、予定)、白山総合車両所隣接地の白山市宮保町に見学施設「ビジターセンター(仮称)」を開業する方針を示している[31]。自民党整備新幹線等鉄道調査会のプロジェクトチームは、2021年9月10日に「ビジターセンター(仮称)」の整備概要をまとめた[14]。それによると、約1.3ヘクタールの敷地に延べ床面積約2900平方メートルで4階建て、流線形をイメージし、北陸新幹線と同じ青色と銅色のラインを施すという[14]。北陸新幹線敦賀駅延伸開業と同じ2024年春の開業を目指し、事業費は31億円である[14]。
2024年3月13日、白山市立高速鉄道ビジターセンター(施設愛称:トレインパーク白山)が開業した[15]。
白山駅設置構想
編集敦賀支所
編集2024年春の北陸新幹線敦賀延伸に向け、白山総合車両所敦賀支所が2023年8月に開設された[32]。主に列車の検査(仕業検査)が行われている[33]。所在地は福井県敦賀市観音町で、敷地面積は約37,000 m2である。新幹線の整備建設においては「敦賀車両基地」と呼称される[34][35]。
設備
編集以下の設備が設けられる。また、敷地内には保守基地も併設される[36]。
- 着発収容線 - 7本
- 融雪線 - 1本
- 仕業検査線 - 2本
- 引上線 - 1本
- 臨修線 - 1本
脚注
編集- ^ 『9月22日(木曜日・祝日)、白山総合車両所(白山市)の一般公開について』(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2016年8月3日 。2019年7月27日閲覧。
- ^ a b “北陸新幹線を支える整備士たち”. 石川さん情報Live リフレッシュ (2018年7月26日). 2019年7月27日閲覧。
- ^ a b 西日本旅客鉄道『第36期有価証券報告書』50頁 (PDF)
- ^ a b “北陸新幹線車両所、見学大人気も…JR西は慎重姿勢 公開回数増、安全面に課題”. 産経WEST (2018年1月18日). 2019年7月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月20日閲覧。
- ^ “JR西日本、北陸新幹線の車両基地を一般公開…9月27日”. Response.. (2015年9月19日) 2019年7月27日閲覧。
- ^ 実績紹介:北陸新幹線 白山総合車両所 - 鹿島
- ^ 『白山市合併10周年記念誌』白山市、2015年2月1日、26頁。
- ^ 『白山市合併10周年記念誌』白山市、2015年2月1日、51頁。
- ^ “新幹線、街をゆく W7系、白山車両所へ トレーラーで未明に3両”. 北國新聞 (2014年4月12日). 2014年11月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年2月23日閲覧。
- ^ “W7系、E7系が同時走行 北陸新幹線、試験大詰め”. 北國新聞 (2014年10月25日). 2014年10月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年2月23日閲覧。
- ^ a b “石川)北陸新幹線W7系が県内へ搬入完了”. 朝日新聞デジタル (2014年11月16日). 2019年7月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月25日閲覧。
- ^ “北陸新幹線、W7系の搬入完了/全120両そろう”. 四国新聞. (2014年11月15日). オリジナルの2014年11月19日時点におけるアーカイブ。 2020年9月25日閲覧。
- ^ 「石川・白山市、新幹線の車両所横に観光施設 鉄道PR」日本経済新聞ニュースサイト(2021年11月5日)2021年11月18日閲覧
- ^ a b c d 「流線形の見学施設に 白山総合車両所 ビジターセンター 24年春開業へ概要決定」『北國新聞』朝刊2021年9月11日付1面(同日閲覧)
- ^ a b “2024年3月13日(水)に白山市立高速鉄道ビジターセンターがオープン!”. 西日本旅客鉄道 (2024年2月22日). 2024年3月17日閲覧。
- ^ a b 『鉄道ジャーナル』通巻587号、81頁
- ^ a b 『鉄道ジャーナル』通巻587号、82頁
- ^ a b c 『鉄道ジャーナル』通巻587号、83頁
- ^ a b c d 『鉄道ジャーナル』通巻587号、84頁
- ^ 高圧洗浄機は、糸魚川駅上り線にも設置されている。
- ^ a b c 『鉄道ジャーナル』通巻587号、85頁
- ^ 『鉄道ジャーナル』通巻587号、86頁
- ^ a b 『鉄道ジャーナル』通巻587号、87頁
- ^ ジェー・アール・アール編『JR電車編成表』2022夏(交通新聞社、2022年、ISBN 9784330028224)p.132
- ^ たにがわでの運用は東京発高崎行き最終の477号と高崎発東京行き始発の470号の1往復のみ。
- ^ “浸水した北陸新幹線の10編成、JR東が廃車を発表”. 日本経済新聞. (2019年11月6日) 2021年2月23日閲覧。
- ^ a b “新幹線車両所の観光化推進 自民検討、第1号は白山総合車両所”. SankeiBiz. (2017年8月17日) 2019年7月27日閲覧。
- ^ a b c “北陸新幹線見学ツアー連日満席 白山総合車両所”. 中日新聞 (2016年9月7日). 2019年7月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月25日閲覧。
- ^ “JR西日本、W7系新幹線の車体昇降見学ができる白山総合車両所一般公開を9月22日実施”. トラベルWatch. (2016年8月3日) 2019年7月27日閲覧。
- ^ “JR西社長、白山車両所の見学拡充に前向き”. 日本経済新聞. (2018年4月18日) 2019年7月27日閲覧。
- ^ “白山車両所の見学施設 4市町の地酒PRへ 将来的に車両展示も”. 中日新聞Web. (2020年9月10日) 2021年2月23日閲覧。
- ^ "北陸新幹線敦賀開業および並行在来線経営移管に伴う組織改正について" (PDF) (Press release). 西日本旅客鉄道. 29 May 2023. 2023年5月29日時点のオリジナル (PDF)よりアーカイブ。2023年8月26日閲覧。
- ^ “【3月操業開始】新幹線車両基地の最先端!白山総合車両所 敦賀支所をご紹介”. 西日本旅客鉄道 (2024年4月30日). 2024年10月19日閲覧。
- ^ “北陸新幹線 金沢・敦賀間 地域に愛される駅をめざして” (PDF). 鉄道建設・運輸施設整備支援機構 (2019年4月). 2022年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月26日閲覧。
- ^ 国土交通省鉄道局; 鉄道・運輸機構 (2024年10月17日). “北陸新幹線(敦賀・新大阪間)に関するご説明資料”. 北陸新幹線事業推進調査に関する連絡会議 第8回 会議資料. p. 19. 2024年10月19日閲覧。
- ^ “北陸新幹線軌道工事 金沢・敦賀間” (PDF). 鉄道建設・運輸施設整備支援機構. 2022年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月26日閲覧。
参考文献
編集関連項目
編集外部リンク
編集- イベント情報(車両所見学情報など) - 西日本旅客鉄道
- ほっと石川旅ねっと JR西日本白山総合車両所 - 石川県観光連盟
- 新幹線車両所等の活用による観光プラン - 白山市
- トレインパーク白山