特許 (行政法)
行政行為の分類としての「特許」(形成的行為)
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行政法上の特許(とっきょ)とは、本来ならば個人が自由に保有していない特別の能力や権利を国が私人に対して与える行政行為である[1]。設権行為ともいう[2]。
概説
編集行政法学上、形成的行為の一つとされる(形成的行為には他に認可と代理がある)[1]。個々人が本来有している自由に干渉するものではないため、行政裁量が広く認められる[1]。
法律の文言上では下記具体例のとおり特許と表記されていないことが多く、「許可」「免許」「認可」など、様々な用語で表記される[1][2]。なお、特許法における特許権の付与行為である「特許」は、行政法学上は確認(準法律行為的行政行為)に分類され、この意味での特許にはあたらない[1]。
特に公益事業である道路運送・地方鉄道事業の「免許」、電気事業の「許可」などのことを指して「公企業の特許」といい、これにより企業経営権の設定を受けて経営する企業のことは特許企業という[2][3]。ただし、近年では特許によらなければ認められなかった事業(電気事業、ガス事業、鉄道事業の許可)についても、規制緩和の流れから新規参入も認められる傾向にあり、国家から独占的に与えられる特権という側面は希薄化している(許可と特許の相対化現象[4])。
行政法上の特許の例
編集脚注
編集- ^ a b c d e 神山智美 (2018年4月6日). “「ビジネスに関わる行政法的事案」第1回:「特許」「許可」「認可」とは”. 一般社団法人GBL研究所. 2022年4月17日閲覧。
- ^ a b c 「特許」『ブリタニカ国際大百科事典』 。コトバンクより2022年4月17日閲覧。
- ^ 「特許企業」『日本大百科全書』 。コトバンクより2022年4月17日閲覧。
- ^ 比山節男「実質的法治主義行政法との対話(2)行政法規の構造とその実現過程その1 : 阿部泰隆著『行政法解釈学I・II』(有斐閣、2008年、2009年)を読む」『産大法学』第45巻第2号、京都産業大学法学会、2011年11月、460-399頁、CRID 1050282812394428416、hdl:10965/802、ISSN 0286-3782、NAID 120005382054。