桑原 羊次郎(くわばら ようじろう、慶応4年4月18日1868年5月10日) - 昭和30年(1955年7月21日)は、明治後期から昭和前期にかけての美術工芸研究家、社会事業家、政治家(衆議院議員)。号は双蛙(そうあ)。

くわばら ようじろう

桑原 羊次郎
生誕 (1868-05-10) 1868年5月10日
出雲国島根郡末次本町
死没 (1955-07-21) 1955年7月21日(87歳没)
島根県松江市の自宅
墓地 島根県松江市寺町常栄寺
別名 桑原 双蛙
出身校 英吉利法律学校(現・中央大学)、ミシガン大学
職業 美術工芸研究家、社会事業家、政治家
配偶者 春子(死別)、常子
受賞 松江市文化功労者島根県文化功労者松江市名誉市民[1]
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肉筆浮世絵コレクター、装剣金工研究家として知られる。1910年日英博覧会では日本美術部門委員を務めた。

経歴

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慶応4年4月18日(1868年5月10日)、代々松江藩両替商を務めた「桑屋太助」本家の6代目・愛三郎の次男(第4子)として生まれた。明治9年(1876年)より内村友輔(鱸香)の私塾「相長舎」に通う。明治14年(1881年)5月、本町小学校上等科を卒業し、同年9月に松江中学校へ入学した。在籍当時の松江中学校長は渡辺譲で、初等中学科での同級生には桂田猪熊・林玉之助・小倉寛一郎・成相伴之丞・森田龍次郎がいた。

明治18年(1885年)7月に中学を卒業した後、上京して神田錦町に新設された英吉利法律学校に入学する。在籍当時の校長は創立者の一人である増島六一郎で、講師には菊池武夫岡村輝彦奥田義人土方寧平沼騏一郎馬場愿治らがいた。また、後に外務大臣となる小村寿太郎が「英国法律」を講義していた。明治22年(1889年)9月、英語法学科の第1期生として特別認可部を卒業した。

明治22年(1889年)、桑原本家7代目を継いでいた兄・猪太郎が27歳で病死したため、急遽松江に帰郷して本家8代目の家督を相続することになった。翌明治23年(1890年)、佐々木佐吉郎・諏訪部彦次郎らとともに私立松江法律学校を殿町に創立し、支持を仰いだ岡崎運兵衛が名誉校長に、羊次郎が校主兼講師となったが、明治24年(1891年)、羊次郎が渡米の意志を持って再び上京すると、同校はこの留守中に廃校となった。

明治24年(1891年)、上京した羊次郎は菊池武夫、小村寿太郎宅を訪問し、アメリカ留学について助言を得た。同年10月、横浜港から出発して渡米し、ミシガン大学では同校卒業生並の待遇で大学院に入学、明治25年(1892年)6月「マスター・オブ・ロース」(Master of Laws:法学修士)の学位を得た。

再び松江に帰郷し、明治27年(1894年)8月、松江商業会議所の特別会員に当選した。明治28年(1895年)10月、織原万次郎・山本誠兵衛・清原宗太郎とともに松江電灯株式会社発電所を殿町に設立。明治29年(1896年)1月には松江銀行監査役に当選、明治31年(1898年)1月同行取締役に就任した。

大正6年(1917年)4月に、第13回衆議院議員総選挙で島根県松江市から選出された岡崎運兵衛が、大正8年(1919年)12月に死去したことに伴い、大正9年(1920年)1月に行われた補欠選挙で当選して[2]衆議院議員となり、憲政会に所属して1期在任した[3][4]

以降、小泉八雲記念館[5]、私立松江図書館(現島根県立図書館[6]中央大学島根学員会[7]の創設に携わる。

昭和30年(1955年)逝去。旧蔵書や自著からなる「桑原文庫」が島根大学附属図書館にある[8]

著作

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  • 『装剣金工談』品川仁三郎、1904年
  • 『彫金家年表』日本美術社、1909年
  • A Description of "Ukiyo-Ye" Paintings and Prints, 1910年
  • 不昧公印譜』秦慶之助、1917年
  • 『北斎改名考』教文館、1922年
  • 『浮世絵師人名辞書』 教文館、1923年
  • 『古今装剣金工一覧』福島出雲堂、1927年
  • 『不昧公遺墨集』1928年
  • 『浮世絵師人名辞書(増補)』芸艸堂、1930年
  • 『装剣金工談(増補)』津久井書店、1930年
  • 『出雲陶窯』島根県教育会、1933年
  • 『島根県画人伝』島根県美術協会、1935年
  • 『蛙のたはこと』私家版、1937年
  • 『勤王儒者内村鱸香先生』鱸香先生顕彰会、1939年
  • 『不眛公御印影』私家版、1939年
  • 『日本装剣金工史』荻原星文館、1941年
  • 『日本装剣金工の研究』大日本教化図書、1944年
  • 『松江に於ける八雲の私的生活』島根新聞社、1950年

脚注

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  1. ^ 暮らしのガイド:名誉市民”. 松江市. 2022年7月23日閲覧。
  2. ^ 『官報』第2240号、1920年1月24日。
  3. ^ 20世紀日本人名事典
  4. ^ 衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年、236頁。
  5. ^ 当館について - 小泉八雲記念館 | Lafcadio Hearn Memorial Museum”. www.hearn-museum-matsue.jp. 2023年9月16日閲覧。
  6. ^ 桑原 羊次郎』 - コトバンク
  7. ^ 中央大学島根学員会”. www.gakuinkai.com. 2023年9月16日閲覧。
  8. ^ 特殊コレクション | 島根大学附属図書館”. www.lib.shimane-u.ac.jp. 2023年9月16日閲覧。

参考文献

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  • 馬場純一「桑原羊次郎」島根県教育委員会編刊『明治百年島根の百傑』1968年
  • 『桑原文庫図書目録』島根大学附属図書館、1975年