仲間川
仲間川(なかまがわ)は、沖縄県の西表島を流れる二級河川である。流域は西表石垣国立公園に含まれる。
仲間川 | |
---|---|
中流 | |
水系 | 二級水系 仲間川 |
種別 | 二級河川 |
延長 | 7.45 km |
流域面積 | 28.41 km2 |
水源 | 南風岸岳付近 |
水源の標高 | 425.1 m |
河口・合流先 | フィリピン海 |
流域 | 日本 西表島(沖縄県) |
地理
編集同島南部の南風岸岳付近を源流とし、しばらく北流した後、海岸に並行して東へ流れ、島東部の仲間港(通称大原港)に注ぐ[1]。全流路のうち、河口側半分ほどは勾配が緩やかで、蛇行しながら流れている。下流から河口部にかけては三角江が形成され[2]、河口付近では川幅が200mを越えるところもある[1]。
河口には、1952年(昭和27年)の入植により形成された左岸の大富[3]、1938年(昭和13年)と1941年(昭和16年)の新城島からの集団移住により形成された右岸の大原[4]の2つの開拓移民の集落がある。また、河口右岸には仲間港(大原港)がある[5]。
両集落を結ぶ仲間橋は、1956年(昭和31年)にアメリカ陸軍によって鉄骨造の仮橋が架けられ、1968年(昭和43年)にコンクリート橋となったもので、現在の一部コンクリートの鋼製橋は1991年(平成3年)の竣工である[6]。
河川名の由来
編集かつて河口にあった仲間村からきていると考えられている。方言ではナカマガーラという[5]。1884年(明治17年)頃に西表島を調査した田代安定は、この川の名称を「浦田川、別名、前川」と記録している[5]。新城島からの移住者は、この川をナーメカラまたはナハメカーラと呼び、上流の渓流域をヤーラヌカンと呼んだ[5]。
自然
編集中流左岸の斜面にはヤエヤマヤシが群生し、「ウブンドルのヤエヤマヤシ群落」として国の天然記念物に指定されている[7]。
下流にはオヒルギ、メヒルギ、ヤエヤマヒルギなどからなる日本最大の面積を有するマングローブ林があり[8]、これも「仲間川天然保護区域」として国の天然記念物となっている[9]。
歴史
編集河口北岸には、無土器期の仲間第一貝塚[10]及び下田原期の仲間第二貝塚[11]の2つの貝塚があり、ともに沖縄県の史跡に指定されている。
河口にはかつて、1711年(康熙50年)に竹富島や新城島からの移民によって左岸に成立した仲間村や、右岸の南風見村があったが、マラリア流行のためともに明治時代に廃村となった。
流域の山は新城島や波照間島の島民の材木伐採地となっていて、1850年(道光30年)頃、船材を伐り出して船の修理を行なっていたという[12]。
また、流域には新城島からの通い耕作による水田が分布しており、河口右岸にあった水田はウパルダ(大原田)と呼ばれていた[5]。
利用
編集河川では遊覧船やカヌー等によるエコツアーが行われている。ツアーを行う業者らは「自然環境の保全」と「持続可能な利用」を目的として、航行速度の規制、エンジン付き船舶の隻数制限、野生動物の採集禁止等を定めた仲間川地区保全利用協定を締結しており、2004年6月に沖縄県の認定を受けている[13]。
橋梁
編集- 仲間橋 - (沖縄県道215号白浜南風見線)
脚注
編集- ^ a b “仲間川”. 川の散歩. 沖縄県 (2018年3月23日). 2019年12月23日閲覧。
- ^ 改訂新版 世界大百科事典(オンライン版) 平凡社
- ^ “1世に感謝、入植65年祝う 西表大富公民館が記念祭”. 八重山毎日新聞. (2017年8月30日)
- ^ 「八重山ジャンルごと小事典」p44、崎原恒新著、ボーダーインク、1999年8月1日
- ^ a b c d e 角川日本地名大辞典編纂委員会 (8 July 1986). "仲間川". 角川日本地名大辞典 47 沖縄県. 角川書店. p. 531.
- ^ 日本歴史地名大系(オンライン版) 小学館 (『日本歴史地名大系』 平凡社、1979年~2002年 を基にしたデータベース)
- ^ ウブンドルのヤエヤマヤシ群落 - 文化遺産オンライン(文化庁)
- ^ “1.2 各々の地域における「すぐれた自然」の概況”. 自然環境の保全に関する指針 八重山編(陸域). 沖縄県. 2019年12月23日閲覧。
- ^ 仲間川天然保護区域 - 文化遺産オンライン(文化庁)
- ^ “仲間第一貝塚 (なかまだいいちかいづか)”. 琉球新報. (2003年3月)
- ^ “仲間第二貝塚 (なかまだいにかいづか)”. 琉球新報. (2003年3月)
- ^ 『未年怪我帳』
- ^ “仲間川利用を認定 遊覧船の速度規制も”. 八重山日報. (2019年12月4日)