世界の記憶
世界の記憶(せかいのきおく、英: Memory of the World、略号 MoW、仏: Mémoire du monde)は、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が主催する事業の一つ。危機に瀕した古文書や書物などの歴史的記録物(可動文化財)を保全し、広く公開することを目的として、1992年に創設された[1]。選定件数は2022年12月時点で地域登録を含め490件超である[2]。
日本政府は2010年に日本ユネスコ国内委員会の小委員会で「記憶遺産」と訳すことを了承したが、「heritage」など遺産を意味する英単語が正式名称に含まれていないことから、外務省や文部科学省では2016年6月から直訳である「世界の記憶」を用いている[3][4]。
概要
編集歴史的記録物は人類の文化を受け継ぐ重要な文化遺産であるにもかかわらず、毀損されたり、永遠に消滅する危機に瀕している場合が多い(文化浄化)。このためユネスコは1995年、記録物の保存と利用のためのリストを作成して効果的な保存手段を用意するために「世界の記憶」の選定を開始し、記録物保護の音頭を執っている。事業の主要目的は、世界的に重要な記録物に最も適切な手段を講じて保存を奨励し、デジタル化を通じて全世界の多様な人々の接近を容易にすること[注 1]、平等な利用を奨励して全世界に広く普及させ、世界的観点で重要な記録物を持つすべての国家の認識を高めることにある。
「世界の記憶」と呼ぶと歴史的出来事自体を登録するように誤解されがちだが、歴史的出来事を検証・顕彰できる一次記録物が対象である。ユネスコでも「the documentary heritage」[6]と称していることから[7]、「世界の記録」「記録遺産」とした方が意味合いとしては適切との指摘もあるが、国際連合の6つの公用語ではいずれも「記憶」に相当する言葉が使われる。一方、韓国では記憶(기억)でなく記録(기록)としている(세계기록유산)。
ユネスコ内部の担当部署は、情報・コミュニケーション局情報社会部情報アクセス・保存課である。
なお、世界遺産の場合は一般に「登録」(正式には世界遺産リストへの「記載」)と呼ぶが、「世界の記憶」は選定事業であるため、「登録」や「認定」とは言わず、「選定」が正しい呼称となる[7]。
選定手続
編集選定基準は世界歴史に重大な影響をもつ事件・時代・場所・人物・主題・形態・社会的価値を持った記録物(一次資料)を対象とする。申請は原則的に政府および非政府機関を含むすべての個人または団体ができるが、関連地域または国家の委員会が存在するのであれば、その援助を受けることができる(後述の「#地域委員会と地域版、国内委員会と国内版」の節参照)。申請権は対象記録を所有する事象当事国に限られる(事象と記録が複数国に跨る場合は双方の合意の上)[7][8]。なお、2021年に決定した制度改革によって、申請は政府に限られることとなった。
まず、申請者はユネスコ本部内の一般情報事業局に申込書を提出して書類審査を受けるが、申請は1国で2件までであり、日本の例では3件以上の申し込みがあれば日本ユネスコ国内委員会が2件に絞り込むよう調整が行われる[9]。
審査はユネスコ事務局長が任命する委員14名によって構成された「国際諮問委員会(IAC)」を通じて1997年から2年毎に「MoW選考委員会(Register Committee)」の場で選定を行っている[7]。国際諮問委員会の委員は、ユネスコの「公共図書館宣言」[10]の公文書館[注 2]やワールド・デジタル・ライブラリーへ参加する図書館の司書などが多い。委員に求められる資質は、国連出版物の編纂や国際的な図書普及啓蒙活動に関与した実績、典籍研究が広く評価されていることなどとされ、国際図書館連盟(IFLA)や国際文書館評議会(ICA)からの推挙もある[7][13]。
ただし最終決定権はユネスコ事務局長に委ねられ、2015年審査分にパレスチナが申請したアーカイブ「Palestine Poster Project Archives」はあまりにも反ユダヤ主義的で文化摩擦を招きかねないとして、イリナ・ボコヴァ事務局長(当時)の判断により除外された例もある[14]。なお、この権限も制度改革で改められ、最終的な選定合否はユネスコ大使などによる「世界の記憶執行委員会」が行うことになった。
選定基準
編集選定における基準は以下のとおりである。
- 1次的基準
- 1. 影響力
- 2. 時間
- 3. 場所
- 4. 人物
- 5. 対象主題
- 6. 形態及びスタイル
- 7. 社会的価値
- 8. ほか
- 2次的基準
- 1. 元の状態での保存
- 2. 希少性
- 3. ほか
選定指針
編集対象となる歴史資料は、世界遺産同様に真正性が重要であり、これは言い換えれば「信憑性がある」ことになる。
また、近現代史資料に関しては記録の客観性も評価の対象となる傾向がある。2013年に審査されたシンガポール申請の録音テープ媒体「日本占領下の証言集(Japanese occupation of Singapore oral history collection)」は戦後かなり経ってからの回顧録で、客観性に欠けるとの理由から不登録となった[15]。
歴史資料の定義
編集ユネスコが定義する記録物とは、1978年に採択した「可動文化財の保護のための勧告」[16]で、以下の各項に該当するものである。
- (vi)美術的に重要な物件:独創的創作手段としてのポスターおよび写真、あらゆる材料の独創的美術的なアセンブラージュおよびモンタージュ。
- (vii)肉筆および初期の活版印刷による古書・写本・書籍・文書または出版物。
- (ix)原文記録、地図その他の製図上の資料を含む文書・写真・映画フィルム・録音物および機械によって解読できる記録。
特徴
編集世界遺産と無形文化遺産は申請国の法的保護根拠を必要とするが、「世界の記憶」にはそうした条件が求められない。
また、歴史が浅くても構わず、例えば韓国の「光州事件の民主化運動に関する記録」は1980年、フィリピンの「ピープルパワー革命(エドゥサ革命)時のラジオ放送」は1986年、東ティモールの「ターニングポイント:国家誕生の時」は1999年 - 2002年にわたる出来事の資料が選定されている。
世界遺産同様にトランスバウンダリー(国境を越えた複数国による共同申請)も推奨されており、2013年(平成25年)に選定された日本の『慶長遣欧使節関係資料』はスペインと共同で申請し、2017年(平成29年)には民間と地方自治体主導で日韓共同による『朝鮮通信使関係資料』が選定された[17]。
制度改革
編集審査は非公開で、国家間で見解が異なる係争中の資料を密室審議することへの批判もあり、ユネスコの中立性・政治的利用が懸念され[18]、このことはユネスコも認めた[19]。2016年には日本政府がユネスコ分担金約44億円の支払いを凍結するなど異議を申し立て、制度改革を進めるとされた[20]。
2018年のユネスコ執行委員会(加盟58ヶ国で構成)で議題に取り上げ、当初3月日31日の報道によると同年は新規の申請を受け付けないこと、2019年7月から新制度の審査にあてるよう予定した[21]。ところが年が明けても韓国の反対で協議が進展せず、2019年10月半ばの発表で同年の改訂を断念して、2020年半ばまで延期すること[22]を伝え、申請は2019年も受付を中止した[23]。
2020年は新型コロナウイルスのパンデミックにより協議を開くことができず、制度改革は2021年まで重ねて延期された[24]。
制度改革案は日本国内でさまざまな意見が発せられており、例えば慰安婦や南京事件の検証を続ける秦郁彦は19世紀以降の事象は除外することを提言している[25]。
2021年4月15日にオンラインで開催された執行委員会において、日本・韓国・中国など32の国と地域で構成した制度改革作業部会が取りまとめた改革案が承認され、各国からの申請があるとその内容を公開し、異議がある他国は90日以内に不服申し立てを行い、ユネスコの事務局が仲裁役として当事国間の対話を促し、双方の合意が得られた場合にのみ選定されることとなった。この決定をうけ、長らく停止していた新規申請の受付を2021年の内にも再開し、2022-23年度分として新たな選定を行うことになった[26]。
日本は新制度に対応できる物件の選定に臨んで、文部科学省付きで「『世界の記憶』国内案件に関する審査委員会」を設置し、増上寺(東京都港区)が収蔵する仏教聖典「浄土宗大本山増上寺三大蔵」と、日本と中国の文化交流の歴史を伝える「智証大師円珍関係文書典籍―日本・中国のパスポート―」の2件を推薦すると決めた[27]。
選定後の変更
編集「世界の記憶」は選定後に対象物の追加や一部削除を認めるが(実例なし[7])、抹消はできないと松浦晃一郎前ユネスコ事務局長は指摘した[28]。その後、制度改革が進められ、原本が失われた場合や、真正性が否定されることが確認できた場合には選定抹消も可能となった[8]。
なお、2021年の制度改革で決定した異議申し立てでは、既存の対象物の選定に遡った適用は行えない。
これまでの国際諮問委員会総会(MoW選考委員会)
編集- 1993年9月:準備委員会、ポーランド・プウトゥスク
- 1995年5月:準備委員会、フランス・パリ
- 1997年9月:ウズベキスタン・タシケント
- 1999年6月:オーストリア・ウィーン
- 2001年6月:韓国・慶州
- 2003年8月:ポーランド・グダニスク
- 2005年6月:中国・麗江
- 2007年6月:南アフリカ・プレトリア
- 2009年7月:バルバドス・ブリッジタウン
- 2011年5月:イギリス・マンチェスター
- 2013年6月:韓国・光州
- 2015年10月:アラブ首長国連邦・アブダビ
- 2017年10月:フランス・パリ[注 3]
- 2020年:(休会)新型コロナウイルスの世界的流行。
- 2021年4月:(オンライン)執行委員会が制度を改革[26]、申請者を政府に限定など。
- 2022年
- 2023年5月:フランス・パリ[29]
登録物件
編集世界各地に多数の選定物件があり、2005年6月18日時点で57ヶ国120点、2009年7月31日時点で193点(35点追加)[30]、2011年5月25日時点(第10回定期総会終了時点)で268点(75点追加)、2018年時点で527件[31]となった。
なお、以下に記述する地域区分はユネスコの発表に準じたものであり、通常、日本で用いられる地理的区分とは大きく異なる点に留意したい。例えば、一方でトルコはヨーロッパに含まれ、エジプトやモロッコなどはアフリカではなくアラブ諸国に含まれ、サウジアラビアもアジアではなくアラブ諸国に分類するが、他方、オセアニアはアジアと同じ区分として扱われる。
ヨーロッパおよび北アメリカ
編集ヨーロッパおよび北アメリカ地域では、現在、145点が選定されており[32]、特にドイツの選定数が多い。代表的な登録物件としては、子供と家庭の物語(グリム童話、2005年選定)、バイユーのタペストリー(バイユー・タペストリー美術館所蔵、2007年選定)、ニーベルンゲンの歌(2009年選定)、マグナ・カルタ(イギリス、2009年選定)、アンネの日記(文学作品[注 5]、2009年登録)[30]、グーテンベルク聖書(2001年選定)、ベートーヴェンの交響曲第9番の自筆楽譜(ベルリン国立図書館所蔵、2001年選定)、共産党宣言及び資本論初版第1部(2013年選定)[33]などが挙げられる。
以下の一覧は2011年時点[32]。
- ドイツ(13)、オーストリア(12)、ロシア(11)、ポーランド(10)、デンマーク(8)、フランス(8)、イギリス(8)、オランダ(7)、スウェーデン(6)、ハンガリー(5)、アメリカ合衆国(5)、リトアニア(4)、ノルウェー(4)、ベルギー(3)、カナダ(3)、チェコ(3)、イタリア(3)、ポルトガル(3)、スロバキア(3)、トルコ(3)、クロアチア(2)、エストニア(2)、フィンランド(2)、ラトビア(2)、セルビア(2)、スペイン(2)、ウクライナ(2)、アルバニア(1)、アルメニア(1)、アゼルバイジャン(1)、ベラルーシ(1)、ブルガリア(1)、アイスランド(1)、アイルランド(1)、ルクセンブルク(1)、スロベニア(1)
アジアおよびオセアニア
編集アラブ諸国を除くアジアおよびオセアニアでは、2011年時点で42点が選定されている[34]。
- 韓国(18)、日本(7)、中国(7)、インド(6)、オーストラリア(5)、イラン(5)、マレーシア(4)、フィリピン(4)、インドネシア(2)、カザフスタン(2)[注 6]、モンゴル(2)、ニュージーランド(2)、タイ(2)、ウズベキスタン(2)、フィジー(1)、カンボジア(1)、パキスタン(1)、スリランカ(1)、タジキスタン(1)[注 7]、ベトナム(1)[34]。キルギスタン(1)[注 8]。
日本
編集慶長遣欧使節関係資料 (仙台市博物館蔵) |
長らく日本からは推薦が無く、事業そのものの国内における知名度も低かったが、福岡県田川市と福岡県立大学が共同で2010年(平成22年)3月、炭鉱記録画家・山本作兵衛が描き残した筑豊の炭鉱画など約700点の推薦書をユネスコに提出し[37]、翌2011年5月25日、697点の『山本作兵衛炭坑記録画・記録文書』が国内初の「世界の記憶」として選定された[38]。
2010年時点の政府の見通しでは、2012年3月には日本ユネスコ国内委員会から推薦するとして『鳥獣戯画』や『源氏物語絵巻』などが候補に挙がったところ[39]、それに先んじて2011年5月、記憶遺産選考委員会で日本国政府として初めての推薦物件が国宝の『御堂関白記』と『慶長遣欧使節関係資料』に決まり、推薦すると[40][41]審査を経て2013年6月に選定された[42]。
2015年の選定では舞鶴引揚記念館が所蔵する『舞鶴への生還 1945-1956シベリア抑留等日本人の本国への引き揚げの記録』と『東寺百合文書』を申請し[43][44]、いずれも同年10月に選定されると[45]、舞鶴引揚記念館資料寄贈者の木内信夫、安田清一は日本初の生存作家となった。
2017年10月には、江戸時代に朝鮮から日本に派遣された外交使節『「朝鮮通信使」に関する資料』が日韓共同申請の物件として[46][47]、また日本独自で申請した古代の石碑群『上野三碑(こうずけさんぴ)』(群馬県高崎市[48])がともに選定された[49]。
2021年11月10日、日本政府は『浄土宗大本山増上寺三大蔵』と『智証大師円珍関係文書典籍―日本・中国のパスポート―』を新たに推薦することを決定した[50]。後者は2023年のユネスコ執行委員会で登録された[29]。
2023年時点で日本関連とされる物件は上記に加え、2016年5月に地域登録に選定された『水平社と衡平社 国境を越えた被差別民衆連帯の記録』との合計9点である[2][注 9]。
大韓民国
編集韓国では1997年に『朝鮮王朝実録』と『訓民正音解例本』がこのリストに選定され、2018年時点で選定物件16点、世界第4位[51]と、アジア太平洋地域で最多である。2001年の審査では、朝鮮王朝時代の国王の「秘書室」とも言える承政院が扱った文書と事件を記録した『承政院日記』[注 10]がリストに選定された。2002年、ハングルの日記念式に出席した金碩洙(キム・ソクス)首相は「ユネスコが地球上の文字の中で、唯一ハングルのみを世界記録遺産に認定した」と発表した[52]。
2007年には『グーテンベルク聖書』より約80年古く、1377年に印刷され世界最初の金属活字本[55]と公認される『直指心体要節』も選定された[注 11][要出典]。
医学に関する文献で世界初の認定は2009年の『東医宝鑑』(1613年発行)であり、その前段に1980年代から東洋医学を国際標準化する各国の努力がある[56][57]。
2015年の審査では、韓国放送公社の特別生放送『離散家族を探しています』が選ばれる[58]。同年、日本軍の従軍慰安婦関連資料の申請を目指し、『国際連帯推進委員会』を結成した[59]。韓国が申請しようとした物件はナヌムの家が保管する資料が主体で、慰安婦像まで含まれる可能性もある[60]とされたものの、2017年の審査では選定の可否が先送りとなった。
中華人民共和国
編集中国では、『黄帝内経』や『本草綱目|故宮博物院所蔵』の清代歴史文書や、雲南省の古代ナシ族が伝えるトンパ文字による古文書など、13点が選定されている(2018年時点[51]当時、世界第8位)。
2014年、中国政府は南京事件および従軍慰安婦に関する資料を申請した。このうち、南京事件に関する資料が2015年10月に選定された[61]。
タイ王国
編集タイ王国では、同国の近代化に貢献したラーマ5世チュラロンコーン王の政策を記した文書が、2009年に選定されている[30]。選定数は2018年時点で5点[51]であった。
インド
編集インドでは、『リグ・ヴェーダ』や『ヴィマラプラバー』(『時輪タントラ』の註釈書)、『ティムール伝』の原稿[注 12]、ポンディシェリーのシャイヴァ文書、タミル医学文献コレクション、『シャーンティナータ・チャリトラ|オランダ東インド会社のアーカイブなど、2018年時点で9点[51]が選定されている。
アラブ諸国
編集アラブ諸国における選定数は2018年時点で13件(全体の2%相当[63]。その内訳はそれぞれエジプト(4件[51])、レバノン(2件[51])、モロッコ(2件[63])、サウジアラビア(1件[63])、チュニジア(2件[63])である。
アフリカ
編集アラブ諸国を除くアフリカにおける2018年時点の選定数は8件。その内訳はそれぞれ南アフリカ共和国(5[63])、エチオピア(1[63])、ガーナ(1[63])、マダガスカル(1[63])、モーリシャス(2[63])、ナミビア(1[63])。
南アメリカおよびカリブ諸国
編集南アメリカおよびカリブ諸国における2018年時点の選定数は93件(全体の18%[64])。その内訳はそれぞれ以下の通りである(数字は件[64])。
- メキシコ(13)、トリニダード・トバゴ(6)、バルバドス(6)、ブラジル(10)、スリナム(3)、ベネズエラ(3)、アルゼンチン(3)、バハマ(2)、ボリビア(4)、チリ(3)、コロンビア(2)、キューバ(3)、ドミニカ共和国(2)、ギアナ(2)、ジャマイカ(3)、オランダ領アンティル(2)、セントクリストファー・ネイビス(2)、セントルシア(2)、ベリーズ(1)、バミューダ諸島(1)、キュラソー島(1[63])、ドミニカ国(1)、ニカラグア(1[63])、パナマ(1)、パラグアイ(1)、ペルー(3)、ウルグアイ(3[51])、コスタリカ(2[63])、アンギラ(2[63])、アンティグア・バーブーダ(1[63])、エクアドル(1[63])、エルサルバドル(1)、グアテマラ(1[63])、ハイチ(1[63])、モンセラート(1[63])。
国際交流機関
編集国際交流機関からの選定は2011年時点で3件[65]。
地域委員会と地域版、国内委員会と国内版
編集「世界の記憶」地域委員会と地域版、国内委員会と国内版にはユネスコ本部と国際諮問委員会が主導する「ワールド・コミッティ」(上記のもの)と、ユネスコ地域事務局と地域委員会による地域版の「リージョナル・コミッティ」、そしてユネスコ憲章が定める国内協力団体として各国政府が設置するユネスコ国内委員会が選定する国内版の「ナショナル・コミッティ」がある。地域委員会は現在、アジア太平洋、アフリカ、ラテンアメリカ・カリブ諸国の3区域を扱う。地域版も選定基準は世界版に準じるが、当該地域における重要性を重視する[8][66]。
地域版
編集アジア太平洋地域版では日本初の選定物件として全国水平社の資料が登録された[67]ほか、水平社運動に連動した朝鮮衡平社の資料も日本と共同歩調を取った韓国申請により選定された[68]。また、シンガポールは世界版に申請し棄却された「日本占領下の証言集」につき、中国の支援をうけ地域版に再申請するが、こちらでも選定に至らなかった[69]。
2018年の選定を目指し日本ユネスコ国内委員会が国内候補を公募すると、「伊能忠敬測量記録・地図」(千葉県香取市)、「画家加納辰夫の恒久平和への提言 フィリピン日本人戦犯赦免に関わる運動記録」(島根県・加納美術振興財団)、「松川事件・松川裁判・松川運動の資料」(福島大学)の3件が申し込んだ。「世界的重要性、唯一性・代替不可能性などの選考基準に照らし合わせ、推薦すべき物件がないと判断した」とし、推薦は見送られた[70]。
2023年9月に第45回世界遺産委員会でアルゼンチンの「ESMA『記憶の場所』博物館 - かつての拘禁、拷問、絶滅の秘密センター」を新たな概念に基づいて記憶の場所という世界遺産に登録されたが、第23回ラテンアメリカ・カリブ海地域委員会(MoWLAC=同年11月27・28日)において、2006〜2023年まで行われた「ESMAに関する裁判の視聴覚記録(Audiovisual record of trials for crimes against humanity - Argentina 2006-2023)」が世界の記憶ラテンアメリカ・カリブ海地域版として登録された。ユネスコは世界遺産と相互補完することの意義を強調。2023年まで行われた同時代の事象の登録ともなった[71]。
国内版
編集国内版記憶遺産は日本ユネスコ国内委員会が2010年に担当窓口を設けたが、選定は行っていない。具体的な国内版の「世界の記憶」を選定している事例としては、ベトナムの「ベトナム独立宣言」などがある[66]。
国際センター
編集世界遺産における世界遺産センターに相当する機関として、「記録遺産国際センター」(International Center for Document Heritage)を韓国の清州市に設立することが決まった。ここでは、登録された記録物の管理や関連政策の研究などを行う[72]。
新たな試み
編集ユネスコは新型コロナウイルス感染症の流行をうけ、加盟各国に対して医療や社会と経済への影響などを公的に記録保存するよう各国に要請し、今後、「世界の記憶」に選定することを表明した[73]。
また、2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻による蛮行を記憶しておくため、「世界の記憶」で扱うことも検討。そうした折、ノーベル平和賞をウクライナで戦争犯罪の実態を収集している市民自由センターが受賞したことで、その情報を活用することも検討している[74]。
障壁
編集世界遺産・無形文化遺産とともにユネスコ三大遺産事業と形容される「世界の記憶」だが、決定的に違うのは世界遺産と無形文化遺産が条約に基づく保護活動であるのに対し「世界の記憶」は単なる選定事業に過ぎないことである。
このことから、ユネスコ未加盟の台湾(中華民国)が2010年に甲骨文字コレクションを申請したものの受理されなかった経緯がある[75]。
台湾では「世界の記憶」への登録実現を見据えて「世界記憶国家名録」制度を整備しており、琉球王国の外交文書『歴代宝案』(全249冊/台湾大学図書館蔵)を指定した。この資料は琉球王国が中国(明・清)・朝鮮・タイ(シャム)などと交した外交文書をまとめた[76][リンク切れ]もので、東アジアにおける中近世外交史の重要史料でありながら原本は沖縄戦などで失われており、写本[注 13]のうち、ほぼ完全な内容が残るものは台湾の資料のみである。別題『歴代寶案康煕至嘉慶』[77]。
関連事業
編集ユネスコは1980年に「動的映像の保護及び保存に関するユネスコ勧告」を採択し、文書のみならず映像資料の保存にも乗り出しており、「世界視聴覚遺産」(Audiovisual Heritage)として保護を呼び掛け[80]、「世界の記憶」選定規準にも反映した[要出典]。
直指賞
編集韓国の『直指心体要節』[81]が2001年に「世界の記憶」に選定された[82]ことを記念し、韓国政府は記録遺産の保存とデジタル化情報発信に寄与した選定物件所有者を顕彰すべく、2004年に「直指賞」(Jikji Memory of the World Prize)を創設した。翌2002年から2年毎に国際諮問委員会の日程に合わせて表彰している[83]。2019年に大阪韓国文化院展覧会を開いた[84]。
脚注
編集注釈
編集- ^ 選定資料デジタル化公開の好例はイスラエルのヤド・ヴァシェムにおけるホロコースト証言集があげられる[5]。
- ^ ユネスコ「図書館統計の国際的な標準化に関する勧告」[12]
- ^ 前出の「制度改革」の項にあるように、2019年–2020年に中断した。
- ^ 2009年7月31日時点で日本の登録数はゼロであった。
- ^ 言及されていないが、原テキストと初版本の一部が対象か。原テキストはオランダ国立戦時資料研究所が所蔵。
- ^
カザフスタンの登録/Реестр номинаций Казахстана カザフスタンの候補物件登録簿[35]
- 1. The cinephotodocuments of the International antinuclear movement "Nevada-Semipalatinsk" / Кино-фото документы Интернационального антиядерного движения "Невада-Семипалатинск" 国際反核運動「ネバダ・セミパラチンスク」のフィルムと写真の記録
- 2. Khoja Ahmed Yassawi Manuscript Collection(ホジャ・アハメド・ヤッサウィ写本コレクション) / Коллекция документального наследия Х.А. Яссауи и его ученика 記録遺産H・A・ヤッサウィと生徒の写本コレクション[35]。
- ^
タジキスタンの登録/Реестр номинаций Таджикистана タジキスタンの候補物件登録簿[35]
- 1. The private books collection of academician S. Oldenburg. [学識経験者セルゲイ・オルデンブルク蒐集の個人コレクション] / Личная коллекция Академика Сергея Федоровича Ольденбурга. Хранится в Академической библиотеке 学者セルゲイ・フェドロヴィチ・オルデンブルクの個人コレクション。学術図書館に所蔵[35][36]。
- ^
キルギスタンの登録/Реестр номинаций Кыргызстана[35]
- 1. Ballerina Bubusara Beishenalieva(1923-1973) and historical collection of the cinema-documentary heritage - Owner is the State Central Archive of cinema-photo-phono documents of Kyrgyzstan [ブブサラ・ベイシェナリエワ(バレリーナ 1923-1973)と映画ドキュメンタリー遺産の歴史的コレクション - キルギスタン国立映画写真音声資料中央アーカイブ所蔵。] / Балерина Бюбюсара Бейшеалиева(1923-1973) и историческая коллекция кино-документов. Владелец - Государственный центральный архив кино- фото- фоно-документов Кыргызстана バレリーナのビュビュサラ・ベイシェリエワ(1923-1973)と歴史的な映画資料のコレクション。所有者 - キルギスの映画、写真、音声資料の国立中央アーカイブ[35]。
- ^ 日本の登録件数は2018年時点に7件、世界第21位だった[51]。
- ^ 国家のすべての機密を扱った部署による『承政院日記』は世界最大の連帯記録物であり、総数3,243冊・2億4250万字に及ぶ。
- ^ 選ばれた資料はフランス国立図書館が所蔵し、清州興徳寺にて印刷された。
- ^ 『ティムール伝』の原稿とはムガル帝国初代皇帝ティムールの生涯を描いた挿絵入りの手稿を指す。
- ^ 国立国会図書館に写本[77]が2巻、筆写の日付は「嘉慶肆年肆月」(嘉慶4年=1799年)[78][79]とある。
出典
編集- ^ 「筑豊の炭鉱画、国内初の「記憶遺産」に 山本作兵衛作」『朝日ドットコム』朝日新聞社、2011年5月25日。オリジナルの2011年5月28日時点におけるアーカイブ。2024年7月24日閲覧。
- ^ a b 『国際関係 > 日本ユネスコ国内委員会 > ユネスコの活動(文化、情報・コミュニケーション) > 「世界の記憶」』(プレスリリース)文部科学省 。2023年6月4日閲覧。
- ^ 「「記憶遺産」改め「世界の記憶」、外務省が日本語名称変更」『YOMIURI ONLINE』読売新聞。オリジナルの2022年4月21日時点におけるアーカイブ。2016-06-112022-04-21閲覧。
- ^ 「記憶遺産「世界の記憶」に 文科省が表記変更」『産経ニュース』。オリジナルの2016年7月24日時点におけるアーカイブ。2016年6月20日閲覧。
- ^ “Last Letters From The Holocaust: 1943:I Left Everyone At Home” (英語). yadvashem.org. 2020年7月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月16日閲覧。
- ^ "Memory of the World Programme(MoW): Preservation of documentary heritage". Office in Santiago » Communication & Information (Press release). UNESCO. 2017. 2020年2月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月16日閲覧。
- ^ a b c d e f (英語) (PDF) General Guidelines to Safeguard Documentary Heritage(記録遺産保護のためのガイドライン). UNESCO. オリジナルの2023-10-25時点におけるアーカイブ。 2018年4月6日閲覧。
- ^ a b c 「ユネスコ記憶遺産 登録の手引(仮訳)」(PDF)、文部科学省、2012年。
- ^ “ユネスコ記憶遺産推薦から登録までの工程について” (PDF). 文部科学省. 2014年3月3日閲覧。
- ^ “ユネスコ公共図書館宣言 1994年”. 日本図書館協会. 2016年7月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年4月14日閲覧。
- ^ 以上の証拠として、われわれは、1970年11月17日に署名した。
総会議長 アティリオ・デロロ・マイニ
事務局長 ルネ・マウ - ^ 文部科学省「図書館統計の国際的な標準化に関する勧告(仮訳) (PDF) 」は1970年11月13日、第16回ユネスコ総会採択に定義される[11]。
- ^ 資料保存対策室「ユネスコ『世界の記憶』プログラム・アンケート結果報告-日本国内の図書館における資料保存活動」(PDF)『国立国会図書館月報』第433号、国立国会図書館、1997年4月、2-10頁、2023年10月12日閲覧。(1MB)
- ^ Hana Levi Julian (February 4, 2015). “UNESCO Director Rejects Palestine Entry to 'Memory of the World' Program”. The Jewish Press. 2023年10月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年2月7日閲覧。
- ^ Japanese Occupation of Singapore Oral History Collection (Singapore) (PDF) - UNESCO
- ^ 可動文化財の保護のための勧告 (PDF) - 文部科学省
- ^ “朝鮮通信使シンポジウムのご案内”. NPO法人 朝鮮通信使縁地連絡協議会 (2015年5月21日). 2015年2月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年6月19日閲覧。 “「朝鮮通信使」ユネスコ記憶遺産登録シンポジウムを長崎県と共催で次のとおり開催いたします。お近くのかたは、是非お越しください。
○日時 平成27年2月1日(日)14時〜17時” - ^ 「世界記憶遺産 選定には公開の議論を」『東京新聞』中日新聞社、2015年10月16日。オリジナルの2015年10月19日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「記憶遺産 透明性の欠如認める」『Yahoo!ニュース』2015年11月6日。オリジナルの2016年6月11日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「ユネスコ記憶遺産の制度改革「進展している」 : 外務省」『朝日新聞』2016年4月29日。オリジナルの2016年6月11日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「ユネスコ、「世界の記憶」制度改正へ行動計画案発表 7月に改正案作成へ」『産経新聞』2018年3月31日。
- ^ 「「世界の記憶」改革を延期 日韓が対立、来年秋まで」『産経新聞』Yahoo!ニュース、2019年10月18日。2020年4月22日閲覧。
- ^ 「ユネスコ「世界の記憶」年内改革を断念 韓国反対、作業部会で結論出ず」『産経新聞』Yahoo!ニュース、2019年9月22日。オリジナルの2022年4月21日時点におけるアーカイブ。2020年4月22日閲覧。
- ^ 「【独自】ユネスコ、「世界の記憶」改革延期へ…コロナで年内断念」『読売新聞』2020年7月24日。2020年10月16日閲覧。 読者会員限定アクセス。
- ^ 秦郁彦『読売新聞』2017年11月29日
- ^ a b 「日本政府が主導、ユネスコ「世界の記憶」審査改革案を承認…慰安婦など政治利用防ぐ」『読売新聞』Yahoo!ニュース、2021年4月16日。2021年4月17日閲覧。
- ^ “「世界の記憶」候補2件決定 増上寺の仏教聖典など—政府” (2021年11月10日). 2021年11月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月10日閲覧。
- ^ 「南京登録は日本外交の "敗北" : 松浦前ユネスコ事務局長「部分的に取り消す手順ある」」『産経新聞』2015年10月16日。2015年10月17日閲覧。
- ^ a b 「智証大師円珍関係文書典籍ー日本・中国の文化交流史ー」のユネスコ「世界の記憶」登録決定について(文部科学省、2023年6月4日閲覧)
- ^ a b c 「「アンネの日記」、ユネスコが世界記憶遺産に登録」『AFPBB News』2009年7月31日。2011年9月19日閲覧。
- ^ 「MOW統計2018年版」 2018, pp. 1–4
- ^ a b "Europe and North America". Memory of the World(公式サイト) (Press release) (英語). UNESCO. 2011年9月20日閲覧。
- ^ “Schriften von Karl Marx: "Das Manifest der Kommunistischen Partei"(1848) und "Das Kapital", ernster Band(1867) [カール・マルクスの著作:『共産党宣言』(1848年)および『資本論』重編(1867年)]” (ドイツ語). 2020年10月16日閲覧。
- ^ a b “Asia and the Pacific” (英語). Memory of the World(公式サイト). UNESCO. 2011年9月20日閲覧。
- ^ a b c d e f Administrator panel / Панель администратора 管理パネル. “Central Asia: The Memory of the World Register”. MEMORY OF THE WORLD REGISTER IN CENTRAL ASIA [中央アジアにおける世界の記憶遺産登録]. UNESCO Almaty Cluster Office. 2005年3月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年7月25日閲覧。 archive.org版。
- ^ “CENTRAL ASIAN SUB-REGIONAL NOMINATION FORM : PART A - ESSENTIAL INFORMATION | PART B - SUBSIDIARY INFORMATION | PART C - LODGEMENT”. MEMORY OF THE WORLD REGISTER IN CENTRAL ASIA (2004年8月12日). 2008年5月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年7月25日閲覧。 archive.org版。
- ^ 「山本作兵衛の炭鉱画「ユネスコ記憶遺産に」」『読売新聞九州版(Yomiuri Online)』読売新聞社、2010年4月8日。オリジナルの2010年4月30日時点におけるアーカイブ。2011年5月26日閲覧。
- ^ 「筑豊の炭鉱画、国内初の「記憶遺産」に 山本作兵衛作」『朝日ドットコム』朝日新聞社、2011年5月25日。オリジナルの2011年5月28日時点におけるアーカイブ。2011年5月26日閲覧。
- ^ 「ユネスコ「記憶遺産」日本も推薦へ…鳥獣戯画など」『読売新聞全国版(Yomiuri Online)』読売新聞社、2010年3月3日。オリジナルの2011年5月14日時点におけるアーカイブ。2010年3月3日閲覧。
- ^ 「御堂関白記など、ユネスコ記憶遺産に推薦」『読売新聞』2011年5月11日。オリジナルの/2011-05-14時点におけるアーカイブ。2011年5月26日閲覧。
- ^ 「藤原道長の自筆日記などユネスコ「記憶遺産」に推薦へ 文科省」『日本経済新聞』2011年5月11日。2016年9月30日閲覧。
- ^ 「世界記憶遺産に御堂関白記と慶長遣欧使節資料」『読売新聞』Yahoo Japan、2011年6月19日。オリジナルの2013年6月25日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「記憶遺産候補に「東寺百合文書」「舞鶴引き揚げ記録」」『朝日新聞デジタル』朝日新聞社、2014年6月12日。オリジナルの2014年6月12日時点におけるアーカイブ。
- ^ 『「ユネスコ記憶遺産事業」の平成26年の審査に付する案件の選定について—第128回文化活動小委員会の審議結果』(プレスリリース)文部科学省、2014年6月12日 。
- ^ 「シベリア抑留が世界記憶遺産登録 ユネスコ決定、東寺文書も」『47NEWS』(共同通信社)2015年10月10日。2015年10月10日閲覧。
- ^ 「朝鮮通信使を記憶遺産に 16年に日韓で共同申請」『日経電子版』日本経済新聞社。2018年3月4日閲覧。
- ^ 『朝鮮通信使 : 日韓の平和構築と文化交流の歴史 : ユネスコ「世界の記憶」登録記念特別展』下関市立歴史博物館、201。 NCID BB25879110。
- ^ 『上野三碑 : ユネスコ「世界の記憶」(国際登録)申請書』 2016
- ^ 「世界記憶遺産に「朝鮮通信使」」『nikkei.com』。2018年3月4日閲覧。
- ^ 『ユネスコ「世界の記憶」(2022-2023登録サイクル)への登録申請案件の決定』(プレスリリース)外務省 。2022年3月24日閲覧。
- ^ a b c d e f g h 「MOW統計2018年版」 2018, p. 2, 3. NUMBER BY COUNTRY
- ^ “제556돌 한글날 기념식(第556周年ハングルの日記念式)”] (朝鮮語). ハンギョレ新聞 (서울). (2002年10月9日). オリジナルの2015年7月13日時点におけるアーカイブ。 2015年6月5日閲覧。 서울/연합뉴스 ソウル/ヨンハップニュース
- ^ 町田 2017, pp. 244-, 「(3)白雲和尚抄録『佛祖直指心體要節』」
- ^ 凸版印刷印刷博物館 2014, 『朝鮮金属活字文化の誕生展 : 韓国清州古印刷博物館姉妹提携10周年記念』
- ^ 研究書[53]、印刷博物館の「朝鮮金属活字文化の誕生」展で紹介された[54]。
- ^ 東郷 俊宏「鍼灸領域における国内外の標準化の現況」『全日本鍼灸学会雑誌』第62巻第2号、公益社団法人 全日本鍼灸学会、2012年、CRID 1390282679524380160、doi:10.3777/jjsam.62.114、ISSN 0285-9955。
- ^ 표, 만석、市川, 剛、朴, 貞境(著)、KBS(韓国放送)特集「東医宝鑑」制作チーム(編)「KBS東医宝鑑 : 世界で初めて医学書分野で世界記録遺産に登載韓国発の医学文化遺産が世界に羽ばたくとき」、産学社、CRID 1130000795499984896。 上・下巻、201年7月完結。付録は「東医宝鑑薬食同源」(上巻:[227]-246頁)、「韓国のユネスコ文化遺産」(下巻:207-225頁)、参考文献と参考論文および参考図(下巻)
- ^ 김문기 [金 文基]: “한국의 세계기록유산 : 유네스코 지정 [韓国の世界記録遺産 : ユネスコ指定]”. 글누림출판사 (2015年1月). 2024年7月25日閲覧。
- ^ 「慰安婦資料、世界遺産へ国際委=韓国」『時事通信』2015年5月7日
- ^ “世界遺産登録を目指す韓国「慰安婦関連記録物」“着せ替え" 慰安婦ブロンズ像の神格化が進行中!?”. livedoor NEWS. サイゾー (2015年5月23日). 2015年5月25日閲覧。
- ^ 「南京大虐殺、世界記憶遺産に登録 ユネスコが発表」『47NEWS』(共同通信社)2015年10月10日。2015年10月10日閲覧。
- ^ “甲骨文字がユネスコ世界遺産に登録”. 人民網 (2017年11月25日). 2018年5月19日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 「MOW統計2018年版」 2018, p. 3, 2. NUMBER BY REGION
- ^ a b 「MOW統計2018年版」 2018, p. 1, Latin America and the Caribbean, 2. NUMBER BY REGION
- ^ “Registered Heritage” (英語). Memory of the World(official website). UNESCO. 2011年9月20日閲覧。
- ^ a b Memory of the World Committee for Asia and the Pacific UNESCO
- ^ 「全国水平社創立宣言と関係資料」のユネスコ世界記憶遺産登録をめざす会「「めざす会」の解散と新たな登録運動 : 第二次「全国水平社創立宣言と関係資料」のユネスコ世界記憶遺産登録運動の総括と今後の方向」『部落解放』第734号、解放出版社、大阪、2016年12月、98-103頁、CRID 1521417755202152576、ISSN 0914-3955。
- ^ 「水平社と朝鮮・衡平社の交流、記憶遺産地域版に登録」『日本経済新聞』2016年5月25日。
- ^ 「「華僑虐殺」を記憶遺産アジア太平洋地域版に申請 大戦中の旧日本軍 投票で不登録」『産経新聞』2016年5月24日。
- ^ “国内候補の推薦せず=18年登録「世界の記憶」地域版”. 時事通信社. Yahoo!ニュース. (2017年7月28日)
- ^ “23 new registrations in the Memory of the World for Latin America and the Caribbean”. UNESCO (2023年11月29日). 2023年11月30日閲覧。
- ^ 「韓国、ユネスコ新組織誘致 世界記憶遺産を管轄」『東京新聞』2017年11月7日。
- ^ “Mobilizing the documentary heritage community amid the COVID-19 pandemic” (英語). UNESCO. 2020年4月22日閲覧。
- ^ "Stressing Civil Society Groups are Catalysts for Peace, Secretary-General Congratulates 2022 Nobel Peace Prize Winners, Urging Support for Brave Defenders of Democracy" (Press release) (英語). UN Press. 2022年10月7日閲覧。
- ^ “台湾 ユネスコから門前払い―世界で最もそろっている甲骨文字がなぜ?”. YouTube. ニュース動画. 2022年4月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年5月19日閲覧。登録制、2024年7月24日時点。Playback ID: GPMTDXdZSQ6nWSBa。
- ^ 「歴代宝案 記憶遺産目指す 台湾政府 大学所蔵写本を登録」『琉球新報』Yahoo!ニュース、2022年12月3日。
- ^ a b 『歴代宝案』(写) 2011
- ^ 『歴代宝案』(写)1 2011, p. コマ番号4, 0004.jp2(左)。
- ^ 『歴代宝案』(写)2 2011
- ^ "World Day for Audiovisual Heritage". Communication and Information » Themes » Access to knowledge » Archives (Press release) (英語). UNESCO. 2015年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年10月17日閲覧。
- ^ 崔禎鎬 著、舘野晳 訳『韓国の文化遺産巡礼』クオン〈クオン人文・社会シリーズ ; 06〉、2018年8月。ISBN 978-4-904855-66-9。国立国会図書館書誌ID:029166569、全国書誌番号:23104224。
- ^ 『韓国の栄光世界の栄光 UNESCO韓国の世界遺産(DVD)』国政広報所海外広報院、2004年。国立国会図書館書誌ID:000007463315、全国書誌番号:20664946。「ビデオディスク 1枚」
- ^ "Jikji Memory of the World Prize". TOPIC (Press release). UNESCO. 2020年10月16日閲覧。
- ^ 「清州古印刷博物館/駐大阪韓国文化院 「韓国の古印刷文化」」『Korea today』第44巻第4号、ANC社、大阪、2019年4月、12-17頁、CRID 1521980705554043008、ISSN 0385-258X。「大阪特別展 : 3月7日〜30日、大阪韓国文化院ミリネギャラリー 日本初公開! ユネスコ世界記録遺産「直指」 : 特別講演会、デモンストレーションも」
参考文献
編集主な執筆者、編者の順。
- 浅賀方正、井上清、大澤末男『上野三碑 : ユネスコ「世界の記憶」登録記念誌』高崎市文化協会吉井支部、2018年。 NCID BB27010050。
- 『上野三碑 : ユネスコ「世界の記憶」(国際登録)申請書 : 2016年5月30日提出 [Nomination form International Memory of the World register - Three Cherished Stelae of ancient Kozuke - submitted on May 30, 2016]』上野三碑世界記憶遺産登録推進協議会、2018年。 NCID BB27039416。
- 清州古印刷博物館パンフレット[要文献特定詳細情報]
- 緒方宏大 企画・編集 編『朝鮮金属活字文化の誕生展 : 韓国清州古印刷博物館姉妹提携10周年記念』凸版印刷印刷博物館〈印刷博物館講演録〉、2014年12月。国立国会図書館書誌ID:027238087、全国書誌番号:22731937。
- 古田陽久、古田真美 著、世界遺産総合研究所(企画・編集) 編『世界記憶遺産データ・ブック』 2015〜2016年版、シンクタンクせとうち総合研究機構、広島〈世界の記憶シリーズ〉、2015年、[要ページ番号]頁。ISBN 97848620019622020年版まで続刊。
- 古田陽久、古田真美『世界の記憶遺産』 60巻、幻冬舎、2015年、[要ページ番号]頁。ISBN 9784344027848
- 『歴代宝案(写)』(写本)、2011年3月31日。国立国会図書館書誌ID:000007327719 。
- 琉球国中山王世孫尚『歴代宝案(写)』 第1巻(写本)。doi:10.11501/2568506 。2024年7月25日閲覧。
- 琉球国中山王世孫尚『歴代宝案(写)』 第2巻(写本)。doi:10.11501/2568507 。2024年7月25日閲覧。
- 町田恵一「(3)白雲和尚抄録『佛祖直指心體要節』」『江戸前期上方色摺史の研究 : グローバルな進化の過程の下で』印刷学会出版部、2017年、244-頁。国立国会図書館書誌ID:028128500。
- (英語) (PDF) Statistics of MOW [MOW統計2018年版]. UNESCO. (2018-12). オリジナルの2022-04-07時点におけるアーカイブ。 2024年7月23日閲覧. "総計=527件、内訳(MAIN INSCRIPTIONS: 523 / ADDI. INSCRIPTIONS: 4)"
関連文献
編集- 朝鮮通信使
- 『鞆の浦と朝鮮通信使 : ユネスコ「世界の記憶」朝鮮通信使に関する記録』(福山市教育委員会管理部文化財課、2018年)NCID BB26429903
- 記憶の継承全般
- 櫻井龍彦「開発と自然環境問題に対する民間伝承の「語り」の可能性」『生物保護』第4巻第2号、「野生生物と社会」学会、1999年、63-92頁、doi:10.20798/wildlifeconsjp.4.2_63、ISSN 1341-8777。。
- コッホ, ラースークリスティアン、ヴィードマン, アルブレヒト、チーグラー, スザンヌ「ベルリン録音資料館([[:d:https://www.wikidata.org/wiki/Q821680%7Cドイツ語: Das Berliner Phonogramm-Archiv]]): 音響記録の宝庫(〈小特集〉貴重な音声・音楽データの採録・修復・保存を考える)」『日本音響学会誌』第60巻第7号、一般社団法人 日本音響学会、2004年、386-391頁、doi:10.20697/jasj.60.7_386、ISSN 0369-4232。
- 八重樫純樹「横断的アーカイブズ論研究会」『アート・ドキュメンテーション通信』第67巻、アート・ドキュメンテーション学会、2005年10月25日、2-6頁、ISSN 0915-7956。
- 小粥良「ガリチアの首都レンベルク」『山口大学独仏文学』28巻、山口大学独仏文学研究会、2006年12月25日、75-107頁、ISSN 0387-6918。
- 出口弘「日本漫画と文化多様性 : マンガをめぐる現状と歴史的経緯(〈特集〉MANGA)」『情報の科学と技術』第64巻4号、一般社団法人 情報科学技術協会、2014年、122-132頁、doi:10.18919/jkg.64.4_122、ISSN 0913-3801。
- 小川千代子「軍隊と情報公開」『藤女子大学文学部紀要』第53巻、藤女子大学、2016年2月10日、57-63頁、ISSN 2187-4670。掲載誌別題『The bulletin of the Faculty of Humanities, Fuji Women's University』
- 小川千代子、小野田美都江「記録管理学会2013-2014年度理事会メンバーによるブレーンストーミング成果報告書」『レコード・マネジメント』第70巻、記録管理学会、2016年、3-14頁、doi:10.20704/rmsj.70.0_3、ISSN 0915-4787。
- 黒沢文貴『歴史に向きあう : 未来につなぐ近現代の歴史』東京大学出版会、2020年。ISBN 9784130263504。
関連項目
編集外部リンク
編集- 「世界の記憶」公式サイト - ユネスコ
- 「世界の記憶」 - 日本ユネスコ国内委員会(文部科学省サイト内)
- ユネスコ「世界の記憶」選考委員会 - 日本ユネスコ国内委員会(文部科学省サイト内)