ボルネオール (borneol) は竜脳ボルネオショウノウとも呼ばれる二環式モノテルペン。化学式は C10H18O、分子量は 154.14。香りは樟脳に類似しているが揮発性がそれに比べると乏しい。樟脳と同じくボルナン骨格を有し、樟脳を還元することによって得ることができる。光学異性体が存在し、(−)体("l-ボルネオール")は竜脳樹(Dryobalanops aromatica)やラベンダーに、(+)体はタカサゴギク等に含まれる。

ボルネオール

(+)-ボルネオール

(-)-ボルネオール
識別情報
CAS登録番号 507-70-0 (+/-) チェック
PubChem 6552009
ChemSpider 5026296 チェック
UNII M89NIB437X チェック
EC番号 207-352-6
国連/北米番号 1312
KEGG C01411 チェック
ChEBI
ChEMBL CHEMBL486208 チェック
6413
特性
化学式 C10H18O
モル質量 154.25 g mol−1
外観 無色または白色の固体
匂い 樟脳のような香り
密度 1.011 g/cm3 (20 °C)[1]
融点

208°C

沸点

213°C

への溶解度 わずかに溶ける (D-型)
溶解度 クロロホルムエタノールアセトンジエチルエーテルベンゼントルエンデカリンテトラリンに溶ける。
磁化率 −1.26×10−4 cm3/mol
危険性
安全データシート(外部リンク) External MSDS
GHSピクトグラム 可燃性
GHSシグナルワード 警告(WARNING)
Hフレーズ H228
Pフレーズ P210, P240, P241, P280, P370+378
NFPA 704
2
2
0
引火点 65 °C (149 °F; 338 K)
関連する物質
関連物質 ボルナン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

反応

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ボルネオールを酸化すると樟脳となる。

歴史

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歴史的には紀元前後にインド人が、67世紀には中国人がマレースマトラとの交易で、天然カンフォルの取引を行っていたという。竜脳樹はスマトラ島北西部のバルス(ファンスル)とマレー半島南東のチューマ島に産した。香気は樟脳に勝り価格も高く、樟脳は竜脳の代用品的な地位だったという。その後イスラム商人も加わって、大航海時代前から香料貿易の重要な商品であった。アラビア人は香りのほか冷気を楽しみ、葡萄の実・ザクロなどの果物に混ぜ、水で冷やして食したようである。

参考文献

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出典

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  1. ^ Lide, D. R., ed. (2005), CRC Handbook of Chemistry and Physics (86th ed.), Boca Raton (FL): CRC Press, p. 3.56, ISBN 0-8493-0486-5 

関連項目

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