タグ・ホイヤー (TAG Heuer) は、スイスの高級時計メーカーである。

TAG Heuer S.A.
種類
子会社
業種 時計製造業
設立 1860年 (164年前) (1860)
創業者 エドウアルト・ホイヤー
本社
事業地域
世界の旗 世界
主要人物
ジュリアン・トルナーレ(CEO
製品 時計,アクセサリー
親会社 LVMH
ウェブサイト tagheuer.com

概要

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ドイツ系スイス人で、ベルン州ブリュックドイツ語版出身のエドウアルト・ホイヤードイツ語版1840年 - 1892年)が1860年に設立した。設立当初からストップウオッチや、クロノグラフといったスポーツウオッチの開発に力を注いでおり、クロノグラフの歴史に貢献している。近年では、トゥールビヨンや磁気を利用した新たなムーブメントの開発を行っている。

1985年までの社名はホイヤーであった。クォーツショックで資金難だったところをマンスール・オジェ率いるTAGグループ (Techniques d'Avant Garde) から資金援助を受け、現在の社名に変更。その後1999年9月にLVMHが同社の株式の50.1%を取得し、現在はLVMH傘下となっているが、前グループの冠(TAG)は外していない[1]

2003年まではF1の公式計時を担当していたが、同年限りでF1の公式計時から撤退する一方で、2004年よりインディカー・シリーズの公式計時を担当している。

日本における人気

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スイス時計協会FHが2016年に実施した消費者意識調査によると、日本人男性(30万円以上の腕時計に関心がある人)が所有している腕時計ブランドのランキングにおいて、タグ・ホイヤーがロレックスオメガスウォッチに次いで4位、また日本人男性が欲しい腕時計ブランドのランキングにおいては、ロレックス、オメガに次いでタグ・ホイヤーが3位に位置している[2]

歴史

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  • 1840年2月15日 - ビール近郊のブラグで[3]創業者のエドウアルト・ホイヤー (Edouard Heuer ) が産まれた[4]
  • 1856年 - 創業者のエドウアルト・ホイヤーがサンティミエの時計メーカーLs.Kierneur&Filsに入社[3]
  • 1859年 - エドウアルト・ホイヤーがスザンナ・マグダレナ・シェルツと結婚した[4]
  • 1860年 - エドウアルト・ホイヤーによりスイスのサンティミエでエドウアルト・ホイヤー・ウォッチメーカーズ設立[3]
  • 1861年 - 創業者の長女ルイズ(ルイーゼ)・ホイヤー (Louise Heuer ) が産まれた[5]
  • 1869年 - ビールに移転した[3]
  • 1871年 - 創業者の長男シャルル(カール)・ホイヤー (Charles Heuer ) が産まれた[6]
  • 1876年 - ロンドンに支社を設立した。
  • 1878年 - ルイズ・ホイヤーが入社した[3]。時計メーカー向けの宝飾加工を行なっていたフリッツ・ラムベレが事業に参加し、ホイヤー・ラムベレ&カンパニー・ビエンヌ&ロンドンを設立[3]
  • 1882年 - クロノグラフで特許取得[3]。懐中時計のクロノグラフの製造を開始した[3]。ロンドン支店閉鎖[3]
  • 1885年 - フリッツ・ラムベレが独立し、エド・ホイヤーに商号変更した[3]
  • 1892年 - エドウアルト・ホイヤー死去[6]
  • 1896年 - シャルル・ホイヤーの長男シャルル・ホイヤーJr.が産まれた[4]
  • 1901年 - シャルル・ホイヤーの次男ウベール(フーベルト)・B・ホイヤー (Hubert B. Heuer ) が産まれた[7]
  • 1916年 - シャルル・ホイヤーJr.が入社。世界初の100分の1秒まで計測可能なストップウオッチ『マイクログラフ』を開発。
  • 1920年 - アントワープオリンピックの公式計時を初めて担当。高級ブランドだったユール・ヤーゲンセンを購入した。
  • 1923年 - シャルル・ホイヤーの次男ウベール・B・ホイヤーが入社[8]。シャルル・ホイヤー死去[9]
  • 1929年 - ホイヤーのロゴが作成された[8]
  • 1932年 - ジャック・W. ホイヤーが産まれた[4]
  • 1953年 - 日本で商標登録した[10]
  • 1964年 - クロノグラフの製造会社レオニダスと合併、正式な社名はホイヤー=レオニダスとなる[11]
  • 1967年 - 自動巻クロノグラフ、キャリバー11の開発を始めた[12]
  • 1969年 - 角型時計としては世界初の防水クロノグラフ『モナコ』、世界初の自動巻きクロノグラフ『クロノマチック』などを発表[12]
  • 1971年 - スクーデリア・フェラーリのF1公式計時を初めて担当、当時のドライバーはクレイ・レガツォーニジョー・シフェール[12]スティーブ・マックイーンが映画栄光のル・マン中で『モナコ』を着用し、レーシングスーツにホイヤーのロゴをつけて出演した[13]。スイススキー連盟と契約を締結、スイススキーチームがホイヤーのクロノグラフを使用した[12]
  • 1974年 - シャルル・ホイヤーJr.死去[6]
  • 1982年 - ピアジェの傘下に入る。4代目ジャック・W. ホイヤーが社長から退任し、創業者一族による経営は途絶えた。ジャック・W. ホイヤーは、その後コンピューター関係の仕事に携わった。
  • 1985年 - ピアジェの傘下から離れ、TAGグループからの資金援助を受けて『ホイヤー』から『タグ・ホイヤー』に社名を変更。
  • 1999年 - テクニーク・ダバンギャルド (Techniques d'Avant Garde) から売却され、LVMHの傘下に入る。しかし、既に商標として定着している為、元親会社の商標が外されず、現在も社名に-TAG-を残す。その為、元親会社許諾を得て商標を使用している。
  • 2001年 - CEOジャン・クリストフ・ババンの懇請で、ジャック・ホイヤーが名誉会長に就任。
  • 2004年 - インディカー・シリーズの公式計時を初めて担当。
  • 2013年 - ジャン・クリストフ・ババンがブルガリCEOに就任し、代わってステファン・リンダーがCEOに就任[14]。ジャック・ホイヤーが、81歳誕生日の前日11月17日に名誉会長を退任[15]
  • 2016年 - イングランドプレミアリーグの公式タイムキーパーを担当[16]、同リーグのマンチェスター・ユナイテッドFCと公式タイムキーパー並びにグローバルパートナー契約を結ぶ[17]Jリーグとのトップパートナー契約も締結し、公式タイムキーパーとなった[18]
  • 2020年 - 新CEOとして親会社であるLVMH会長のベルナール・アルノーの三男であるフレデリック・アルノーが就任。
  • 2024年 - 新CEOとしてグループ会社であるゼニスCEOであったジュリアン・トルナーレが就任。

代表モデル

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モナコ
  • アクアレーサー (Aquaracer )
  • カレラ (Carrera )
    • グランドカレラ (Grand Carrera )
  • エレノア (Erenoa )
  • F1(1986年発売[19]) - 樹脂を使用したモデル[20]
    • F1クロノグラフ
  • キリウム (Kirium )
  • リンク (Link ) アイルトン・セナが愛用していた「Se/l」コレクションの後継機としてリリースされた。
  • モナコ (Monaco ) - 1971年映画『栄光のル・マン』中、主役のスティーブ・マックイーンが装着したことで知られる。古くからモータースポーツの計時を担当していたホイヤー社(現在のタグ・ホイヤー)と縁のあるサーキットがモナコであり、そのグランプリに敬意を表し、ホイヤー社は新たなモデルを開発。それがマイクロローターを採用した世界初の自動巻きクロノグラフムーブメント「クロノマティック」を搭載。後に、復刻モデルが多数リリースされ、豊富なモナコ・ファミリーがラインナップされた。
  • モンツァ (Monza )
  • フォーミュラ (Formula )
  • S/el(セル、スポーツ・アンド・エレガンスの略称、1987年発売[21])現在は廃番。リンクに継承された。
    • S/elレザー(1991年発売[19]) - 革バンドを採用した[22]
    • S/elクロノグラフ(1988年発売) - クォーツモデルの一部で1/100秒までの計測が可能[23]
  • 1000シリーズ(1000Series 、1985年発売[19]
  • 1500シリーズ(1500Series 、1990年発売[19]) - 入門用の手頃な価格のモデル[24]
  • 2000シリーズ(2000Series 、1983年発売[19]) - 基本ラインでクォーツと自動巻があり、200m防水[25]。現在は廃番。アクアレーサーに継承された。
    • 2000クロノグラフ(1988年発売) - クォーツモデルの一部で1/100秒までの計測が可能。
  • 3000シリーズ(3000Series 、1985年発売[19]
  • 4000シリーズ(4000Series 、1990年発売[26]
  • 6000シリーズ(6000Series 1991年発売[19]) - 最高級ライン[27]
    • 6000ゴールド(1994年発売[19]) - ケース素材にK18ゴールドを採用、クロノメーター規格に合致した自動巻を搭載する[27]

モータースポーツ

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レッドブル・RB13 タグ・ホイヤー

自動車レースの最高峰・F1にて、ホイヤーは1970年代にフェラーリのスポンサーとなる。一方TAGは、79年から83年シーズンまでウィリアムズチームのスポンサーとなる。1984年からマクラーレンチームの要請でポルシェが開発した、1,500ccV6ターボエンジンに資金提供したため「TAG」のバッジネームを付けて参戦。1984年から1986年まで、3年連続でF1のチャンピオンエンジン(86年はドライバーズタイトルのみ)となる。86年シーズンから「TAG HEUER」ロゴを掲出し、スポンサーとして2015年まで同チームを支える。2016年からレッドブル・レーシングのスポンサーとして長期に渡って活動している。その関係でアイルトン・セナ片山右京キミ・ライコネンなどF1ドライバーの名前を冠したモデルを多数発売している。

2016年から2018年までレッドブル向けに製造されたルノーパワーユニットエンジン+ハイブリッドシステムの総称)は、両社の紛糾の結果として[28]『タグ・ホイヤー』のバッジネームで供給が行われていた[29]

スポンサー活動

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タグ・ホイヤーはロンドン・シカゴ・ニューヨークシティのワールドマラソンメジャーズ大会、マンチェスター・ユナイテッドFIM世界耐久選手権レッドブル・レーシングF1モナコグランプリFIAフォーミュラE選手権インディアナポリス500MXGPオーストラリアン・オープンなどのオフィシャルタイムキーパーとして務めている。かつてタイガー・ウッズも名前を冠したモデルなども存在し、この時計を身につけたが、不倫スキャンダル問題で契約を解除した。マリア・シャラポワも2016年3月の緊急会見にてドーピングが報じられたことから、契約を中断した。

アンバサダー

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過去のアンバサダー

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脚注

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  1. ^ TAG accepts LVMH bid CNN Money 1999年9月13日
  2. ^ 腕時計に関する消費者意識調査2016スイス時計協会FH、2016年5月30日、23・26頁https://www.fhs.jp/file/121/2016_Japan_Consumer_Survey_-_Summary_-_Jpn.pdf 
  3. ^ a b c d e f g h i j 『タグ・ホイヤー物語』p.36。
  4. ^ a b c d 『タグ・ホイヤー物語』p.31。
  5. ^ 『タグ・ホイヤー物語』p.31、p.36。
  6. ^ a b c 『タグ・ホイヤー物語』p.31、p.37。
  7. ^ 『タグ・ホイヤー物語』p.31、p.38。
  8. ^ a b 『タグ・ホイヤー物語』p.38。
  9. ^ 『タグ・ホイヤー物語』p.31。p.38。ただしp.37は1920年とする。
  10. ^ 『タグ・ホイヤー物語』p.40。
  11. ^ 『タグ・ホイヤー物語』p.40、p.41。
  12. ^ a b c d 『タグ・ホイヤー物語』p.41。
  13. ^ 『タグ・ホイヤー物語』p.41、年表では1970年だが栄光のル・マンの公開は1971年。
  14. ^ タグ・ホイヤーの新CEOにステファン・リンダーが就任2013年5月7日、2013年7月10日閲覧
  15. ^ 『カレラ完全マスターBOOK2013』P.5
  16. ^ タグ・ホイヤー、イングランド プレミアリーグと契約!”. ORICON STYLE (2016年4月27日). 2016年12月24日閲覧。
  17. ^ マンチェスター・ユナイテッド、タグ・ホイヤーとパートナーシップを締結”. TAG Heuer (2016年7月24日). 2016年12月24日閲覧。
  18. ^ タグ・ホイヤーがJリーグとのパートナー契約締結発表会を実施 SOCCER KING(2016年10月26日)2017年6月25日閲覧
  19. ^ a b c d e f g h 『タグ・ホイヤー物語』p.43。
  20. ^ 『タグ・ホイヤー物語』p.135。
  21. ^ 『タグ・ホイヤー物語』p.43、p.99。
  22. ^ 『タグ・ホイヤー物語』p.111。
  23. ^ 『タグ・ホイヤー物語』p.105。
  24. ^ 『タグ・ホイヤー物語』p.129。
  25. ^ 『タグ・ホイヤー物語』p.121。
  26. ^ 『タグ・ホイヤー物語』p.43、117。
  27. ^ a b 『タグ・ホイヤー物語』p.89。
  28. ^ レッドブルが勝てない原因をルノーに求め、公に批判することを続けた結果、ルノーは供給の条件として同社以外の名義を求めたため
  29. ^ レッドブル、ルノー製『タグ・ホイヤー』PUを発表”. オートスポーツweb. 2015年12月4日閲覧。

参考文献

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  • 『タグ・ホイヤー物語』ワールドフォトプレス
  • 『TAG Heuer カレラ完全マスターBOOK2013』、WATCHNAVI2013年夏号

外部リンク

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