JAXA、「ひとみ」トラブル発生の推定メカニズムを公表 21
ストーリー by headless
回転 部門より
回転 部門より
JAXAは15日、X線天文衛星「ひとみ(ASTRO-H)」の状況に関する記者説明会を開催し、現在有力と考えられるトラブル発生の推定メカニズムを明らかにした(記者説明会資料: PDF、
JAXA TV、
ファン!ファン!JAXA! — トピックス)。
3月26日に通信異常が発生したASTRO-Hでは、姿勢異常や物体の分離が発生していることも確認されている。通常、ASTRO-Hは慣性基準装置(IRU)とスタートラッカ(STT)の情報を用いて姿勢制御を行う。STTは捕捉モードで星の位置から姿勢情報を計測し、追尾モードで姿勢情報を出力する。姿勢変更を実施した後にはIRU誤差推定値を一時的に増加させ、STTが出力した姿勢情報により補正を行うのだが、IRUとSTTの姿勢決定値の差が1度以上となった場合はSTTのデータを取り込まない設計になっているという。
ASTRO-Hは3月26日に姿勢変更運用を実施したが、補正が開始されてすぐにSTIが捕捉モードへ移行してしまい、IRU誤差推定値が大きな値のまま保持されたと推定されている。その後STTは再び追尾モードに移行したが、姿勢決定値の差が大きくなっていたため出力データは取り込まれなかった。その結果、実際には回転していない衛星が回転していると判断され、回転を止めようとしたリアクションホイール(RW)の作動が衛星を回転させるという姿勢異常が発生したと推定されるとのこと。ただし、この時点での回転は17時間で1回転する程度のゆっくりとしたものだった。
(続く...)
3月26日に通信異常が発生したASTRO-Hでは、姿勢異常や物体の分離が発生していることも確認されている。通常、ASTRO-Hは慣性基準装置(IRU)とスタートラッカ(STT)の情報を用いて姿勢制御を行う。STTは捕捉モードで星の位置から姿勢情報を計測し、追尾モードで姿勢情報を出力する。姿勢変更を実施した後にはIRU誤差推定値を一時的に増加させ、STTが出力した姿勢情報により補正を行うのだが、IRUとSTTの姿勢決定値の差が1度以上となった場合はSTTのデータを取り込まない設計になっているという。
ASTRO-Hは3月26日に姿勢変更運用を実施したが、補正が開始されてすぐにSTIが捕捉モードへ移行してしまい、IRU誤差推定値が大きな値のまま保持されたと推定されている。その後STTは再び追尾モードに移行したが、姿勢決定値の差が大きくなっていたため出力データは取り込まれなかった。その結果、実際には回転していない衛星が回転していると判断され、回転を止めようとしたリアクションホイール(RW)の作動が衛星を回転させるという姿勢異常が発生したと推定されるとのこと。ただし、この時点での回転は17時間で1回転する程度のゆっくりとしたものだった。
(続く...)
その後、姿勢異常のため磁気トルカによるRWのアンローディングが正常に働かず、RWに蓄積された角運動量が制限値を超えたことで、スラスタによる姿勢制御が行われたと推定される。しかし、2月28日に再設定されたスラスタ制御パラメータが不適切なものであったため、想定とは異なる噴射が行われて回転速度が増加し、太陽電池や伸展式光学ベンチ(EOB)など、回転力に弱い部分が分離したと推定されている。
現在はバッテリーが枯渇していると推定されるが、通信が確立できていないために充電機能をオンにできない状態だという。当面は電力・通信の確立に向けた運用や状態を推定するための地上観測、推定が残る部分の検証などを行っていく計画とのこと。
なお、ASTRO-Hは本体と識別されている部分を含め、11物体に分離しているとみられる。このうち2物体については、4月29日(ID: 41443)と5月10日(ID: 41438)に大気圏再突入が予測されている。JAXAではこれらの物体が大気圏中で燃え尽きると推定しているとのことだ。
姿勢変更を実施した後にはIRU誤差推定値を一時的に増加させ、 (スコア:2)
会見を聞いてもここがよくわからない。説明がおかしいと思う。
STTを止めている間はIRUへ誤差が蓄積していくけれども推定値はゼロのままで、時間が経った後やマヌーバの
後にSTTで追尾を再開すると、蓄積された誤差がそのまま出てくるんじゃないのかな?
Re:姿勢変更を実施した後にはIRU誤差推定値を一時的に増加させ、 (スコア:1)
おそらくマヌーバ後の観測開始前には、IRUの誤差推定値を大きな値にして、STTの追尾動作を使ってIRUの校正をしてたんじゃないかな。
それがこの時は、STTが早々に追尾を完了してしまったために、IRUの校正が十分に行えずに大きな誤差推定値のまま観測が開始されてしまったんだと思う。その状態で観測対象に向けて姿勢制御した結果、観測モードで想定された範囲を超える姿勢変化が起こったんじゃないかな。
「こんなこともあろうかと」不足 (スコア:1)
X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)の状況について 平成28(2016)年4月15日 [fanfun.jaxa.jp] 8ページより
もうちょっと「こんなこともあろうかと」があれば、自らを高速回転で破壊する壮絶な事態にならずにギリギリ踏みとどまれたかも。
ソフトウェアのバグなら事前のテストや動作シミュレーションで発見できた可能性はあったと思うので、こういう事態に至ったのは残念極まりない。
電子金蚕 (スコア:0)
でお兄様激おこで言い訳は後でじっくり聞かせてもらおうかの流れ
Re: (スコア:0)
御兄様なら、24時間以内だったら、X線天文衛星「ひとみ(ASTRO-H)」の再成ができたのかも知れないが、既にタイムオーバー。
(何故24時間以内なら再成可能なのかは知らん)
Re: (スコア:0)
バックアップ保持期間が1日なんじゃね
単純故障ではなかった (スコア:0)
とりあえずはリアクションホイールやスラスタの不良・故障などでは無かったということで、ほっとしている人もいるのかしらん
(どちらも過去にトラブル事例があるからね)
Re: (スコア:0, 荒らし)
単なるパラメーターの設定ミスだから、関係者は悔やんでも悔やみきれないと思う
仮にメーカーの担当分だったら責任を転嫁できてOKだけど、研究者の担当分だったら廃業を真剣に考えざるを得ない
Re: (スコア:0)
>責任を転嫁できてOKだけど、
さすがにそれはねーよ、あんた性格悪いな!
Re: (スコア:0)
Astro-Eの時はロケットのせい(担当は日産からIHIに移管)で失敗したから、代替機を打ち上げさせてもらえたじゃんよ
Re: (スコア:0)
誤った仮定に基づくものだったり不適切なパラメータ設定にもいろいろあるのに少ない情報で断言できるこの人すごいな。
Re: (スコア:0)
誤った仮定にせよ単なる単位系の勘違いにせよ、誰かが間違ったから失敗したわけで、
関係者の間では「誰が」悪いのかうすうすわかってるはずですよ
Re: (スコア:0)
なるほど、「あいつの担当範囲が間違っていると仮定すると矛盾しない」というやつか。
Re: (スコア:0)
全然伝わってないけど面倒だからそれでいいよ
Re: (スコア:0)
「スタートラッカの捕捉が安定しない場合に、ドリフト除去を行わないジャイロの姿勢を採用し続けてしまう」という仕様は
破損を引き起こすことはなかったかもしれなくて、スラスタの設定が間違っていたことが破損を直接的に引き起こしてる。
そこに至るまでに危ない設計が重なってるように思うけど、「このスラスタのモデルを作ったのは誰だ」「シミュレータを
書いたのは誰だ」という方向に行きがちな事案だな。
ドリフトが除去されないままのジャイロで角速度を安定させようとしてホイールが飽和したのはまずいと思う。
Re: (スコア:0)
ソフトの重要性が大きいことが世に知られるという良い効果がある、というよかった探し。
枯れた技術じゃなかったのか (スコア:0)
衛星の姿勢制御なんてできて当たり前の基礎技術かと思ってたんだけど
なんでこんなミスが起きるんだろう?以前の衛星ではこんなミスしてなかったよね?
技術の継承ができてないとか?
Re: (スコア:0)
1990年の日米衛星調達合意で、枯れた技術の衛星国産継続調達が禁止されているから、次々新型を開発する羽目になっている。(米国が売らない情報収集衛星を除く)
WW2時、隔週ガトー系潜水艦一本槍で日本の海上交通を破壊し尽くした米海軍に比べ、あれこれ新設計した大日本帝国海軍潜水艦が役立たずだった事と同じ。
Re: (スコア:0)
故障などを一切考慮しないただの制御なら簡単ですが、現実は違います。
また、どこかの信号の極性1つ間違えたらアウトです。
搭載機器も時代とともに変化します。
さらに、修理も回収も不可能です。
まあ、技術継承に失敗した可能性も否定はしませんが。
Re: (スコア:0)
前回のはオフトピックなんかにならなかったのに。