Yonsei UniversityのJineon Baekという人がプレプリントサーバ arXiv にソファ問題を解決したとするプレプリント"Optimality of Gerver’s Sofa"を投稿している。arxiv.org119ページの大論文だ。 ソファ問題(英語では the moving sofa problem)と呼ばれる19…
整数論の研究者が合宿を行う『八王子数論セミナー』に参加してきました。 私が生まれた年から開催されている歴史あるセミナーで、今年のテーマは「素数の小さな間隔について」でした。内容は、前半でセルバーグの篩の方法を学び、1つの応用として双子素数の…
旧知の仲である数学者 齋藤 耕太 氏(筑波大学、学振PD)が、昨日数学の未解決問題を解決したとするプレプリントをプリプリントサーバーarXivに投稿されました:arxiv.org論文自体は「現状分かるところまで研究しつくす」という素晴らしい態度で執筆されてい…
多項式とその導関数の根の分布に関して、次の予想があります:予想(Sendov, 1959年) を 以上の整数とし、 を 複素数係数の 次多項式であって、その根が全て単位円周の内部または周上に分布しているものとする。このとき、 の任意の根について、その根を中…
R. Matsuhira, T. Matsusaka, and K. Tsuchida による論文arxiv.orgが雑誌 The American Mathematical Monthly に掲載を許可されたという嬉しいニュースを聞いたため、それを祝ってあらためて彼らの結果をご紹介します。 具体的な初期値と漸化式で数列 が与…
私の推し1458次方程式はです。 解説 沢口一之が著書『古今算法記』に出題した15題の遺題の第14問は次のような問題でした。 第14問図図において、BD、AD、CD、AC、BC、ABの長さをそれぞれ とおく。以下の関係が成り立つとき、 の値を求めよ。 関孝和は著書『…
私の推し1458次方程式は 304427359235102988198909492797117224639257303765248885072787139048603222654443743671517756261066899467603894099309373450184856997293378168857073366264945461418417548761230990615155029895062529423079700791323655618752…
本記事は 日曜数学 Advent Calendar 2023 の4日目の記事です。 特に書きたい内容があったわけではないのですが、ノリで登録してしまいました。 その結果、書く内容を中々思いつくことができずにいたのですが、渡邉究先生の以下の投稿を見て、これで何か書こ…
平方剰余と三角関数 とを相異なる奇素数とする。このとき、をLegendre記号として、が成り立つ。この式から相互法則が得られる。 4乗剰余とレムニスケート関数 は前節では円周率、この節ではprimaryなガウス素数とする。ここで、primaryとは を満たすことを意…
関孝和すげえという話をします。 【算聖】関 孝和【新助、自由亭】 先月、上野健爾、小川束、小林龍彦、佐藤賢一 による『関孝和全集』が岩波書店から出版されました:岩波書店のページ。 最近はこの本を勉強しているのですが、すこぶる面白いです。 私は元…
アマチュアの方などが、第一級の数学者が長年取り組んでも解決できない問題(フェルマーの大定理*1の初等証明、コラッツ予想、リーマン予想、ふたご素数予想、P=NP問題、etc.)を解いたと主張して論文や本として発表されることは、ありふれたことのように思…
一部の人々は正の整数を特定の種類の整数だけを使った和で表したくなるんですよね。 例えば、2つの平方数の和で表してみたり4つの平方数の和で表してみたり2つの素数の和で表してみたり そして、その人々は、いつそのような和で表せるのかということが気にな…
小林銅蟲さんとの共著『せいすうたん1』の発売が近づいてきました。そろそろ書店には届き始める頃なので手に入るところもあるかもしれませんし、発売日としてはどうやら5/1と設定されているようです。今日は本書に載っている内容の過去記事を全て非公開にし…
二冊目の書籍が出版されます。
素数の無限性の証明はたくさん知られています。昔はそれらを調べることが趣味でしたが、もう飽きてしまって久しいです。 ですが、トゥエによる証明とよばれている古いアイデアがあって、それを久しぶりに読む機会があったので、まあちょっとエッセイでも書こ…
平面にティーをいっぱい重ならないように生やす話。
初めて執筆した書籍『グリーン・タオの定理』の宣伝記事です。
Duffin−Schaeffer予想の主張および、それが解決したことの紹介記事。
ラドチェンコ・ヴィアゾフスカの2019年の論文の結果の紹介。
大野予想の紹介。
2021年7月5日-9日の日程でオンラインで"Mathematical Summer in Paris"なる16歳から20歳までの数学好きのためのサマースクールが開かれるようです。 https://www.mathematicalsummerinparis.frパリ時間で5月1日中までに申し込めばよいようです。興味のある若…
一橋大学の数学の第1問は口ずさみたくなる文ですね。integers.hatenablog.comのEratosthenesの篩を およびとして適用すると、が得られます。 数列クイズ♪ 問題 正の整数であって、十進法表記したときにが現れないようなものを考える。このような整数のうち…
徳島大学の入試(2020)で等差素数列に関する問題が出題されていたことを八田先生から教わりました。(3)について、以下の最大の素数をとしを仮定するとき、公差が「以下の素数の積」の倍数になることを同じように示せます。「(5) 任意の正の整数に対して項数の…
David Wise作曲のStickerbrush Symphony (= Bramble Blast = Brambles)のYouTube動画を自分用にまとめます。この曲がなければ私は論文を書けません。 原曲(原点にして頂点) www.youtube.com 作曲者 www.youtube.com オフィシャルな編曲 www.youtube.comwww…
高木大論文の鑑賞。
Richterによる素数定理の新証明の検証を行う。
昨日、SoundararajanがarXivに記事をあげていて、さらっと読んだので部分的に紹介する*1。 定理とその証明 次の有名な基本的定理をRamanujanとErdősによるBertrandの仮説の証明を真似れば証明できるということが書かれている。定理 を有限体、を正整数とする…
ベルヌーイ多項式はで定義されるのでした。Almkvist-Meurmanが証明した次の定理を紹介します*1。定理 を正整数とする。とおくとき、が成り立つ。ここで紹介する証明はSuryによるものです*2。なお、定理はの場合もであることから自明に成立しています。 ベル…
2020年6月17日にarXivにプレプリントをあげました(九州大学の広瀬さん, 佐藤さんとの共同研究):arxiv.orgどのような研究成果であるかをここに簡単に解説しようと思います。 研究対象は多重ゼータ値と呼ばれる数です。それがどのようなものであるかについては…
せきゅーん: やあ、久しぶり。 ラムネ: この間、ABC予想から非ヴィーフェリッヒ素数の無限性を導出するシルヴァーマンとは別の方法があると言っていたよね。今日はそれを教えて欲しい。 せきゅーん: 了解。その方法は「Mollin-Walsh予想」と関係している。予…