高木さん、もっと文学、勉強しましょう ― 2007年07月27日 09時06分33秒
ASAHIネット(http://www.asahi-net.or.jp)のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
---
コンピュータセキュリティ関連で精力的に活動している、高木浩光さん。頭
が下がる思いで尊敬していますが、
http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20070601.html
キンタマウイルス頒布にマスコミ関係者が関与している可能性
は、だめ。完全に誤爆。
武田徹が、「ウィニーこそ史上最強の「ジャーナリスト」?」でいっている
のは、ウィニー礼賛ではなく、ジャーナリズムの衰退への皮肉、叱咤激励。
ひねった文章じゃないんだから、これくらいは読めないと、これで犯罪者と
やり合えるのかと、セキュリティ専門家として能力に疑問符がつきかねない。
高木さん、もっと文学、勉強しましょう
以下、一般向け。
もの書きは、いろいろなレトリックを使うし、文章にいろんなものを埋め込
んでいる。書いた本人すら気づかないものもあるし、そういうのを掘り出すの
が「読む」ということ。字面を追って表面的に意味がわかっただけじゃ、ほん
とは「読む」とはいわないんだよね。本来、「読む」とはもっと深い行為だか
ら。
悪巧みもいろいろやるし、高木さんは、作家の悪意というものにもっと敏感
であったほうがいいと思う。
今回は、武田さんがやったのは悪意というほどのものではなく、かなりスト
レートな書き方なので引っかかる人は少ないだろうが、読者がどの程度読み込
めるか、文章にいろいろ仕掛けてあることも多いのよ。それで読者のレベルを
測定し、はっきりいえば、こいつはバカかどうかも判定できるような要素も仕
掛けてあったりするわけ。
こういうのに気づいたのは20歳前後から。何度も書くけど、筒井康隆が仕掛
けを施すほうだし、それを山下洋輔、平岡正明らが読み解いているのを知って、
自分の思い上がりを叩き潰されたから。
「読む」ことに興味がある人は、この前、
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/07/16/1658941
高校生のための文章読本
で紹介した
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480917047/showshotcorne-22/
梅田卓夫, 清水良典, 服部左右一, 松川由博編「高校生のための文章読本」
から始めたらどうかな。
趣味が合うなら、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894360101/showshotcorne-22/
平岡正明著「筒井康隆はこう読め」
を薦めます。
これは元々は別になっていた(おれが読んだのはバラバラのころ)のをビレッ
ジセンターが合本に出したもの。
http://iiyu.asablo.jp/blog/2006/11/07/690490
伸びない典型
でも触れています。
別に筒井さんじゃなくて、自分の好きな作家をみつけて、読み込んでいくの
が一番いい。おれはたまたま高校生くらいで筒井康隆作品に出会ったというこ
と。
もちろん、小説だけが「読む」対象ではない。絵画や彫刻だって好きな作家
の作品を読み込んでいくのもいいし、書道の書だって、音楽だってある。
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コンピュータセキュリティ関連で精力的に活動している、高木浩光さん。頭
が下がる思いで尊敬していますが、
http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20070601.html
キンタマウイルス頒布にマスコミ関係者が関与している可能性
は、だめ。完全に誤爆。
武田徹が、「ウィニーこそ史上最強の「ジャーナリスト」?」でいっている
のは、ウィニー礼賛ではなく、ジャーナリズムの衰退への皮肉、叱咤激励。
ひねった文章じゃないんだから、これくらいは読めないと、これで犯罪者と
やり合えるのかと、セキュリティ専門家として能力に疑問符がつきかねない。
高木さん、もっと文学、勉強しましょう
以下、一般向け。
もの書きは、いろいろなレトリックを使うし、文章にいろんなものを埋め込
んでいる。書いた本人すら気づかないものもあるし、そういうのを掘り出すの
が「読む」ということ。字面を追って表面的に意味がわかっただけじゃ、ほん
とは「読む」とはいわないんだよね。本来、「読む」とはもっと深い行為だか
ら。
悪巧みもいろいろやるし、高木さんは、作家の悪意というものにもっと敏感
であったほうがいいと思う。
今回は、武田さんがやったのは悪意というほどのものではなく、かなりスト
レートな書き方なので引っかかる人は少ないだろうが、読者がどの程度読み込
めるか、文章にいろいろ仕掛けてあることも多いのよ。それで読者のレベルを
測定し、はっきりいえば、こいつはバカかどうかも判定できるような要素も仕
掛けてあったりするわけ。
こういうのに気づいたのは20歳前後から。何度も書くけど、筒井康隆が仕掛
けを施すほうだし、それを山下洋輔、平岡正明らが読み解いているのを知って、
自分の思い上がりを叩き潰されたから。
「読む」ことに興味がある人は、この前、
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/07/16/1658941
高校生のための文章読本
で紹介した
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480917047/showshotcorne-22/
梅田卓夫, 清水良典, 服部左右一, 松川由博編「高校生のための文章読本」
から始めたらどうかな。
趣味が合うなら、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894360101/showshotcorne-22/
平岡正明著「筒井康隆はこう読め」
を薦めます。
これは元々は別になっていた(おれが読んだのはバラバラのころ)のをビレッ
ジセンターが合本に出したもの。
http://iiyu.asablo.jp/blog/2006/11/07/690490
伸びない典型
でも触れています。
別に筒井さんじゃなくて、自分の好きな作家をみつけて、読み込んでいくの
が一番いい。おれはたまたま高校生くらいで筒井康隆作品に出会ったというこ
と。
もちろん、小説だけが「読む」対象ではない。絵画や彫刻だって好きな作家
の作品を読み込んでいくのもいいし、書道の書だって、音楽だってある。
コメント
_ pon ― 2007年07月27日 14時55分39秒
_ 中村(show) ― 2007年07月28日 08時23分23秒
えーっ、そう? PONさんもさらに誤爆じゃないの?
おれは武田徹の著作などいままでいろいろみてるし、彼自身から取材を受けて、あれこれ話したこともあるけど、彼が「情報の内容を問わず、単に情報を漏らすことを、ジャーナリズムだと思っている」わけがない。
それをそう思って「バカは死ね」と批判する高木さんの思考の直線性、単純さこそ、ジャーナリズムの衰退を助長するのでは?
武田さんがいってるのは、ウィニー同様、情報の内容を問わず、単に情報を漏らすことを、ジャーナリズムだと思っているメディアの連中に、そんな体たらくだから、ウィニーのほうがお前らより優れていて、最強のジャーナリストになっちゃうんだよ、情けないね、お前らということです。
その武田さんに向かって、「バカは死ね」といって批判している高木さんは、お門違いの誤爆であって、高木さんこそ、情報の扱い方、読み込み、提示法を学ぶべきと思います。
高木さんは、ジャーナリストとして訓練されてないだろうし、怖い目に遭ったこともないだろうから、仕方ない面もあるけど。
おれは武田徹の著作などいままでいろいろみてるし、彼自身から取材を受けて、あれこれ話したこともあるけど、彼が「情報の内容を問わず、単に情報を漏らすことを、ジャーナリズムだと思っている」わけがない。
それをそう思って「バカは死ね」と批判する高木さんの思考の直線性、単純さこそ、ジャーナリズムの衰退を助長するのでは?
武田さんがいってるのは、ウィニー同様、情報の内容を問わず、単に情報を漏らすことを、ジャーナリズムだと思っているメディアの連中に、そんな体たらくだから、ウィニーのほうがお前らより優れていて、最強のジャーナリストになっちゃうんだよ、情けないね、お前らということです。
その武田さんに向かって、「バカは死ね」といって批判している高木さんは、お門違いの誤爆であって、高木さんこそ、情報の扱い方、読み込み、提示法を学ぶべきと思います。
高木さんは、ジャーナリストとして訓練されてないだろうし、怖い目に遭ったこともないだろうから、仕方ない面もあるけど。
_ pon ― 2007年07月28日 09時19分44秒
なるほど。そういう解釈もあるんですね。非常に好意的。
だけど、武田さんの例のページを見ると、そういうふうには読めないんですけどねえ。どっちの読み方がいいんでしょうか?
なお、中村さんの解釈が正しいのだとしたら、この武田さんという人は、ひどく文章が下手なのだと思います。自分の意図と正反対のように解釈されるように書いているんだから。
もし中村さんの意図であれば、「既存のジャーナリズムはウィニーだ」と書くべきなのです。
逆に、「ウィニーはジャーナリストだ」と書けば、高木さんのように解釈するのが当然です。
後者を前者のように解釈する中村さんの解釈は、ちょっと筒井ふうで、うがちすぎでしょう。文章を逆に読むのに慣れすぎ。
だけど、武田さんの例のページを見ると、そういうふうには読めないんですけどねえ。どっちの読み方がいいんでしょうか?
なお、中村さんの解釈が正しいのだとしたら、この武田さんという人は、ひどく文章が下手なのだと思います。自分の意図と正反対のように解釈されるように書いているんだから。
もし中村さんの意図であれば、「既存のジャーナリズムはウィニーだ」と書くべきなのです。
逆に、「ウィニーはジャーナリストだ」と書けば、高木さんのように解釈するのが当然です。
後者を前者のように解釈する中村さんの解釈は、ちょっと筒井ふうで、うがちすぎでしょう。文章を逆に読むのに慣れすぎ。
_ 通りすがり ― 2007年07月28日 17時27分24秒
文学とジャーナリズムは区別した方がよいのではないかと。
_ al ― 2007年07月28日 23時41分36秒
ジャーナリスト=マスゴミ、Winny=悪と言う単純翻訳しかできない人にその説明では何も通じない。
情報の収集力と発信力の両方とも、コンピュータがジャーナリストの能力を上回ったと言いたかっただけなのだろう。
しかし、そうした主張は既にインターネットに人々が飛びついた時、個人がWEBページを持った時、2chが注目された時、そしてWEB2.0と言う言葉が登場した際にも言われた事で、目新しさはない。
これは、こうしたものがジャーナリストの役割を奪わなかったのではなく、ジャーナリストの意識が10余年前から進歩していないって事なんじゃないだろうか?
実際、ネタをblogや2chに求め、自らがキンタマコレクター化しているジャーナリストっているでしょ?
そう考えると、Winnyを題材にしたのは注目されるからと言う安っぽい意識に見えてくる。
情報の収集力と発信力の両方とも、コンピュータがジャーナリストの能力を上回ったと言いたかっただけなのだろう。
しかし、そうした主張は既にインターネットに人々が飛びついた時、個人がWEBページを持った時、2chが注目された時、そしてWEB2.0と言う言葉が登場した際にも言われた事で、目新しさはない。
これは、こうしたものがジャーナリストの役割を奪わなかったのではなく、ジャーナリストの意識が10余年前から進歩していないって事なんじゃないだろうか?
実際、ネタをblogや2chに求め、自らがキンタマコレクター化しているジャーナリストっているでしょ?
そう考えると、Winnyを題材にしたのは注目されるからと言う安っぽい意識に見えてくる。
_ settler ― 2007年07月29日 03時11分46秒
高木さんが含まれるかどうか微妙ですが、どうもこの記事にブックマークしている「モヒカン族になりたい子」たちは「ジャーナリスト・評論家」による「コラム」を学術論文や技術文書と勘違いしているようですね。「コラムに高度な文学性を求めてどうする」という珍発言もあるようです。
「書いてあることだけで判断する」という言葉を言い訳に使って、文脈を読めなかったことを正当化するのは、モヒカン族という言葉を低俗化させるだけだと思います。
「書いてあることだけで判断する」という言葉を言い訳に使って、文脈を読めなかったことを正当化するのは、モヒカン族という言葉を低俗化させるだけだと思います。
_ 中村(show) ― 2007年07月31日 08時24分30秒
ponさん、武田徹がひどく文章が下手というより、高木さんもPONさんもその他誤読している人も、ひどく文章を読むのが下手なんです。
武田徹が使ったのは基本的なレトリックで、読み間違うほうが読解力のなさを指摘されるレベル。野球でいえば、初心者向けに、打ちやすいように肩口から入る甘いカーブを投げた程度。それをボールが最初に頭に向かって飛んできたのでビンボールだといってるみたいなもので、武田徹が高木さんの非難を知ったら、理系ってこんなにバカなのか、こいつらカーブを初めてみたのかとびっくりするでしょうね。
通りすがりさんの、文学とジャーナリズムの区別うんぬんも同様で、そんな区別以前のレベルなんです。
武田徹が使ったのは基本的なレトリックで、読み間違うほうが読解力のなさを指摘されるレベル。野球でいえば、初心者向けに、打ちやすいように肩口から入る甘いカーブを投げた程度。それをボールが最初に頭に向かって飛んできたのでビンボールだといってるみたいなもので、武田徹が高木さんの非難を知ったら、理系ってこんなにバカなのか、こいつらカーブを初めてみたのかとびっくりするでしょうね。
通りすがりさんの、文学とジャーナリズムの区別うんぬんも同様で、そんな区別以前のレベルなんです。
_ pon ― 2007年07月31日 12時27分40秒
「馬鹿は死ね」ではなく、普通の人が死んでしまいました。
ウィニーで児童の個人情報流出、男性教諭が自殺
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20070608_winny_suicide/
こういう状況で平然として Winny を放置・是認していることを高木さんは批判したわけです。それが普通の人の読み方です。
http://d.hatena.ne.jp/gatonews/20070717/1184693877
「自分以外はみんなが誤読するんだ」
というのは、ちょっとまずいんじゃないでしょうか?
私は高木さんがそれほど馬鹿だとは思いません。
人が死ぬ状況で、その状況に警鐘を鳴らす人が馬鹿なのでしょうか? また、その状況を利用して、Winny とは無関係の人々の悪口を言う人が利口なのでしょうか?
なお、これは、中村さんへの悪口ではありません。どちらかというと、「あんまり他人の悪口を言わない方がいいですよ」というアドバイスです。ご健筆をお祈りします。
ウィニーで児童の個人情報流出、男性教諭が自殺
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20070608_winny_suicide/
こういう状況で平然として Winny を放置・是認していることを高木さんは批判したわけです。それが普通の人の読み方です。
http://d.hatena.ne.jp/gatonews/20070717/1184693877
「自分以外はみんなが誤読するんだ」
というのは、ちょっとまずいんじゃないでしょうか?
私は高木さんがそれほど馬鹿だとは思いません。
人が死ぬ状況で、その状況に警鐘を鳴らす人が馬鹿なのでしょうか? また、その状況を利用して、Winny とは無関係の人々の悪口を言う人が利口なのでしょうか?
なお、これは、中村さんへの悪口ではありません。どちらかというと、「あんまり他人の悪口を言わない方がいいですよ」というアドバイスです。ご健筆をお祈りします。
_ ys ― 2007年08月10日 11時40分17秒
Ponさんに一票。
タケダさんがどんな人か知りませんが。
タケダさんがどんな人か知りませんが。
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※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。
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_ ホットコーナーの舞台裏 - 2009年07月10日 05時01分23秒
ASAHIネット(http://www.asahi-net.or.jp)のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
---
昨夜(2009/07/09)に書いたもの
===
標題: 平岡正明さん、亡くなる
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昨夜(2009/07/09)に書いたもの
===
標題: 平岡正明さん、亡くなる
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_ ホットコーナーの舞台裏 - 2011年09月15日 05時24分12秒
ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
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最近、売れていた本や関連本。お買い上げありがとうございます。
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最近、売れていた本や関連本。お買い上げありがとうございます。
高木さんは、中村さんの言っていることぐらいちゃんとわかっています。その上で、武田さんの誤解を指摘しています。
それは、「情報の漏洩をジャーナリズムだと勘違いしている」ということです。
武田さんのは、出歯亀と同じ発想ですよ。情報の内容を問わず、単に情報を漏らすことを、ジャーナリズムだと思っている。そういう人に「バカは死ね」と批判しているわけです。
政府が都合の悪い情報を隠していることと、片山さつきがこっそりオシッコしていることとは、全然違います。なのにウィニーは無差別に暴露します。そしてその違いがわからないまま、何でもかんでも情報を漏らすことは立派なジャーナリズムだ、と思い込んでいる。
既存のジャーナリストが、「オレもウィニーに負けないようにしよう」と思って、いくらスケベ情報の暴露をしても、何の意味もありません。自衛隊の機密情報を暴露して、中国のために働いても、何の意味もありません。
「情報の意味を考えろ」というのが、高木さんの主張です。情報の暴露といっても、いろいろあるのです。情報を扱うときに、ウィニー並みの頭しかもっていないようでは困ります。