京都アニメーションの功績について(メモ)
7/18~7/19 マスコミ対応のために作ったメモです。
あくまで「初動用」ですので、「役割は終わった」と考えて公開するものです。
マスコミ用を考慮して伝わりやすい表現にした箇所が多々ありますし、抜けもあります。研究者によっては正確性に疑問を抱くかもしれません。だいたい15分から20分話して使われるのは30~40秒が分かっていたので、使われそうな作品、伝わりやすそうな特徴に絞りこみつつ、多面的にしてあります。「もっとこういう作品」「もっとこんな特徴」という点は、京都アニメーションさんへの取材経験があったり、今後、個別の作品を知悉している編集者や研究者、ファンbの方々にお任せしたいと考えています。
このメモを参考にされたり引用したりするのは、ご自由にお願いします。
もし氷川の記名によるコメントとして使用する際は、[email protected] まで。
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京都アニメーションについて(メモ)
2019/07/19
明治大学大学院特任教授(アニメ研究家) 氷川竜介
その1
東京一極集中で外注・フリーランスによって回すことの多いアニメ制作に対し、京都を拠点としてスタッフを集め、定常的な雇用で映像クオリティの向上と安定化を行った。アニメスタジオがブランド化するきっかけとなり、地方スタジオ(富山県のP.A.WORKSなど)が幾つも設立される呼び水となった。
その2
2006年、ライトノベル「涼宮ハルヒの憂鬱」の映像化で、インターネット以後のアニメファン(デジタルネイティブ)の感性に近い映像化を実現。特に学園祭ライブシーン、ダンスシーンが圧巻で、「音楽との同期」「楽器の扱いのリアリティ」と「ドラマの盛りあがり」がリンクし、ブログを介して一気に高評価を得た。「ネットによるアニメ評価の拡大と拡散」の最初期と言える。また国際的なインターネット映像配信(YouTube)の開始時期だったので、「ハルヒダンス(エンディング)」が全世界に拡大。アメリカ、フランス、南米など世界各国で「ハルヒダンス」をコスプレで実演、共有し、アニメの国際化に貢献した。
その3
「らき☆すた」オープニングのダンスで聖地巡礼ブームを拡大させた。鷲宮神社へファンが集まり、地方活性化をリード(2007年)。京都の風景も作品に採り入れ、地元の魅力を日本中に紹介した。
その4
「けいおん!」で部活もの、女子観察ものの決定版をつくった。日常の細かい仕草・会話や、女子がギターやドラムで演奏する描写が出色。20歳以上の男子ユーザーのみならず、リアル女子高生に人気となり、実際にバンドを組む若者を増やすなどの影響をあたえた(2009年)
その5
2~4の各作品で「音楽演奏」を重視。「響け!ユーフォニアム」(2013年)という作品では、高校の吹奏楽部で当初下手で気持ちの合わなかったメンバーが、息を合わせて楽器を上達させるプロセスを、ていねいに描くなど難しく繊細な作画・演出を実現。「音楽とアニメーション」の関係を進化させた。
その6
2~4の各作品のヒットはDVD,Blu-ray販売のみならずCDやライブコンサートなどにも波及。ビジネス面の成果だけでなく、それまで「オタク=室内で鑑賞する」という行動形態を「アウトドア」「コミュニケーション」に転換し、アニメーションの受容を大きく変えるきっかけを作った。
その7
2010年以後は「商業性と作品性」を両立。特に山田尚子監督の一連の映画(「映画けいおん!」「たまこラブストーリー」など)は、青春映画の純朴さを実現した。作家性、作品力の事例としては、難しい社会的テーマを扱った「映画 聲の形」(聾唖者が主題)、デリケートな感情の交錯する「リズと青い鳥」(「響け!ユーフォニアム」のスピンオフ)などで芸術性を更新するアニメーション映画を完成。映画賞の数々を受賞し、高く評価された。
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