※一番下に追記中:7/21時点で、当事者(minoriとNo Name Losers)間で、話し合いが進んでいるようです。1年ほど前に、
海外の「minoriファンサイト」が作っているのは、「ファンサブ」ではなく「海賊版」という記事で、No Name Losersというサイトがminoriの作品(eden*)を翻訳し、(ゲーム本体を含めた海賊版同然の形で)公開しようとしていたことをお伝えした。
同サイトは、今年4月に
minoriが英語ファンサブサイトに対して「実力行使」を行った際に、一時休止状態となったのだが、
最近また活動を再開したようだ。(※日本のIPアドレスからのアクセスは、ブロックされるかもしれない)
これに対しminoriは、以下のようなメールをNo Name Losersに送付した。
2010年7月12日に私たちはNO NAME LOSERSの皆さんに次のメールをお送りしました。
NO NAME LOSERS の皆さんへ
以前にもメールでお願いいたしましたが、
貴方たちが私たちの願いを受け入れて頂けなかったこと、
非常に残念に思います。
貴方たちが私たちが制作し販売している「ef - the first tale.」、「ef - the latter tale.」及びPS2版「ef - a fairy tale of the two.」(以下、「ef」と総称する)や「eden*」、その他のソフトウェアについて英語に翻訳を行い、私たちの許可無く公開する行為は、各国が相互に批准する著作権法の翻訳権および公衆送信権を侵害する違法行為です。
私たちが既に発売している「ef」について貴方たちが許諾無く翻訳し、しかもグラフィック、音声、映像、音楽、そしてその他全ての内容を不特定多数に対しネットワークを通じ公開したことは、海賊版の頒布行為と同様であり、それは私たちだけが持つ権利を侵害しているのです。また「eden*」や、私たちが9月に日本国内で発売を予定している「天使の日曜日」についても翻訳し不特定多数に頒布する行為を予告しておりますが、こちらも違法行為にほかなりません。特に単独で起動するソフトウェアを不特定多数に提供する行為は私たちが創作者として得た権利全てを否定する行為ではないでしょうか?
貴方たちは私たちのファンを自称していらっしゃいますが、私たちは貴方たちの行為は私たちを傷つけるばかりで、ファンとは言い難いと思っています。
私たちは貴方たちに以下の全てをお願いします。
1.「ef」およびそれに関連する作品を翻訳したものを、私たちの許可無く不特定多数に頒布をしないこと。
2.「eden*」を翻訳したものを、私たちの許可無く不特定多数に頒布しないこと。
3.「天使の日曜日」を翻訳したものを、私たちの許可無く不特定多数に頒布しないこと。
4.その他、過去に私たちが発売した全ての作品についても同様に、私たちの許可無く翻訳したものを不特定多数に頒布しないこと。
5.今後、私たちの発売する全ての作品についても同様に、私たちの許可無く翻訳したものを不特定多数に頒布しないこと。
6.引用権やフェアユースの範囲を越えて、私たちのWebサイトや作品中から画像などを無断で引用しないこと。
私たちは作品を作るために莫大なお金や長い時間を掛け、そして、自らの命を賭しています。貴方たちはそうした多くの犠牲の中から生まれてくる、いわば、私たちの努力の結晶を、貴方たちの快楽といった身勝手な理由で壊そうとしています。
もし、貴方たちが本当に私たち"minori"のファンであり、私たちの生み出す作品に今後も期待しているというのであれば、どうか私たちの未来を閉ざす違法行為をいますぐにやめてください。繰り返しお願いいたします。
2010年7月12日
株式会社ミノリ
追伸1:もし、貴方たちが私たちから正式なライセンスを受け、レーティング等、私たちの求める手順を踏み、英語圏で販売もしくは頒布をするということであれば、私たちのオフィスにいらして、ライセンス許諾のための交渉をすることは可能です。私たちは正式な手順を踏んで頂けることを期待しています。
追伸2:このメールの内容はminoriのWebサイトにて公開いたします。
※メールの内容が公開されているのは、日本以外のIPからminoriにアクセスした際に表示されるトップページ。
minoriのメールは今までと同様、(
他の美少女ゲームメーカーによる同様の要請とも違い、どのような相手に対しても)真摯な物言いである。が、それだけに以下の一言は強烈だ。
貴方たちは私たちのファンを自称していらっしゃいますが、私たちは貴方たちの行為は私たちを傷つけるばかりで、ファンとは言い難いと思っています。
…遠く海外に在りながら、
ファンであることを公式に否定されるという離れ業をやってのけるような彼らに対し、筆者如きが何を書いたところでもはや無駄かもしれない。私に出来るのはせいぜい、No Name Losersのサイトに綴られている
minoriへの思いを述べた文章を紹介して、彼らの最後の良心に期待するくらいである。
minori fanboys
A quick look at our fansubs page will reveal that a good chunk of our work is associated with titles from minori. A month before No Name Losers formed, we happened to stumble across a site called Omoi Wa, which had screenshots of minori's newest game, Wind -a breath of heart-. You have to remember that back then, western bishoujo game fandom consisted of a few Megatokyo fanboys who only knew of Kanon and Air. Wind looked much better than those games. Kana Little Sister had yet to be released in English! Family Project and Baldr Force were still regular games instead of legendary classics!
The reason we started fansubbing bishoujo game openings was that no one had done them. Wind was the first one, and the rest is history. minori will always hold a special place in our heart for being the company whose games most influenced No Name Losers' direction. So yeah, we're the ultimate minori fanboys!
minoriオタクとして。
僕等のファンサブのページをざっと見てもらえば分かると思うけど、僕等の「仕事」の大部分はminoriのリリースしたタイトルなんだ。このNo Name Losersが結成される一月前、minoriの最新タイトル"Wind -a breath of heart-"のスクリーンショットを掲載した「Omoi Wa」というサイトに偶然巡り会った。君はその頃のことを忘れちゃいけない、西洋の美少女ゲームファン界隈は、"Kanon"と"Air"しか知らないような少数の"Megatokyo"※ファンみたいな奴等しか居なかったんだぜ。Windはそれらよりもずっと良い作品に見えた。"Kana Little Sister"※※がようやく英語でリリースされようとしていた、伝説的な古典に代わり『家族計画』と『BALDR FORCE』が定番のタイトルとなったあの頃!
僕等が美少女ゲームのオープニングのファンサブを始めた理由は、他の誰もがやらないことだったからだ。Windから始まって、その後は知っての通り。minoriはずっと僕等の心の中の特別な位置を占め続けるだろう、このNo Name Losersの方向性に最も大きな影響を与えた作品の企業として。そうさ、僕等は究極のminoriオタクなんだ!
※Megatokyo:2000年より連載されている、日本のオタクネタが中心のWebコミック。
※※日本でのタイトルは加奈 ~いもうと~(D.O.)。英語版はJAST USAより(正規に)販売され、日本国外の美少女ゲーマーにも多大な影響を与えた。
彼らは過去にもminoriの作品(Wind)を翻訳しており、(無許可の行為ではあるが)「
正規版」の普及に尽力しようとした事もあった。
何年も前から続くminoriとの「因縁」の果てに、彼らにもいろいろ思うところがあるのだろうとは推測できる。が、昨今の彼らの取っている行動は、
「特別な」minoriに対する最悪の裏切り行為でしかない。…どうしてこうなった。
追記:上記のminoriからのメールを受けたNo Name Losersはサイトを再び閉鎖し、トップページに以下のような文章を掲載した。
No Name Losers is down until further notice.
We have begun preliminary discussions with the CEO of minori, nbkz Sakai.
Thank you for your understanding.
-
No Name Losersは追っての通知があるまで閉鎖します。
minoriのC.E.O. nbkz Sakaiと予備的な討論を始まります。
ご理解くださり、ありがとうございます。
※日本語は原文ママ
また、minoriの(日本以外のIPからminoriにアクセスした際に表示される)トップページにも、以下のような文章が掲載された。
2010年7月14日から私たちminoriとNO NAME LOSERSの皆さんとの間で発展的な交渉を開始しています。どのような結果になるかまだわかりませんが、遠くない未来に皆さんに結果をご報告できればと思います。今しばらくお待ち下さい。よろしくお願いします。
ちなみに、この件に関する記事を最初に報じた英語サイト
encubedにもたくさんのコメントが寄せられているが、「発展的な交渉の開始」については、
Aaeru Says:
July 14th, 2010 at 11:36 am
Why is minori even dealing with those bastards. You cannot work with a partner you cannot trust. You can work with other translation groups but you CAN’t work with NNL. It is a relationship of discord after all.
However I think total war is not a good thing for the fansubbing scene. So any settlement is better than nothing at all, even if it is NNL in an intimidating position. I wonder what 2ch thinks
なんでminoriはあんなろくでもない連中を相手にするんだろう。minoriは他の翻訳グループと協力することはできても、NNLとはできないだろう。信頼できないパートナーとは協力すべきじゃない。結局のところ、水と油のようなものなんだ。
とはいえ、今みたいな「全面戦争」はファンサブ界隈にとってよろしくない事態だとも思う。だから、どのような話し合いであれ現状維持よりはマシに違いない、たとえNNLが脅迫的な態度であったとしても。(この件について、)2chの人達はどう思っているのかな…
のように、No Name Losersのやりかたを支持しない人も、(釈然としないものはあるが、)話し合いはすべきだろうといった意見が見られる。
追記2:minoriの(日本以外のIPからminoriにアクセスした際に表示される)トップページが更新された。どうやら話し合いは進んでいるらしい。
2010年7月17日、私たちからの提案をNO NAME LOSERSの皆さんにお送りしました。
私たちのメールに対する第一回目の回答期限は7月21日午前中(日本時間)と設定しました。
たくさんのblogなどでこの件が取り上げられていますが、私たちとNNLの皆さんは前向きな議論を開始したと確信しています。
海外の多くのファンの皆様、いましばらくお待ち下さい。
P.S.No Name Losersの皆さんから第一回目の提案についてお返事を頂きました。
ありがとうございます!
追記3:minoriの(日本以外のIPからminoriにアクセスした際に表示される)トップページが更新。
2010年7月21日、私たちは、私たちの作品を英語圏でリリースするため、NO NAME LOSERSの皆さんに協力を頂き、新たな枠組みを構築する作業を続けています。
本件については7月28日以降に新たなお知らせをできればと思います。
いましばらくお待ち下さい。
話し合いが始まってから、minoriの態度も随分と変化している感じですが、本当にリリースされる事となったら、急展開ですね…
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