「恣意的な波線」は、むしろアリだと思う2007年01月30日 09時10分48秒

これが「無意識に」「非意図的に」使われちゃってるってのが、問題っちゅーか頭が悪いっちゅーか。

2つ例が紹介されていて、1つ目の例については賛成意見が多いものの、2つ目については賛否両論分かれている模様。

1つ目がまずいのは、波線すらないから。それどころか、目盛りに数字すら振られていない。各グラフに数字が振られているとはいえ、これは確かに大きな誤解を招くと思う。

しかし 2つ目の例については、波線は書かれているし、目盛りにも数字が振られている。見た目のデザイン的には、個人的には波線が入る部位をもう少し長めに余白を取って、さらに破線自体の白抜きの太さももっと太めに取る、つまり、目盛りが一部省略されていると言うことがもっとしっかり強調されている方がいいな、とは思うけど、このデザイン自体が決定的にまずいのかといわれると、うーん、と頭を捻ってしまうのは、単においらがこの手のグラフの描かれ方を見慣れてしまったから、つまり、慣例として心理的に受け入れちゃっているからだからなんだろうか、とは思わなくも無く。

ただ、心配なのは、こうしたグラフにおける「波線」の使用が、変化を強調したい為に用いられる演出であることを理解せずに使用しているケースが少なくない、ということ。高木さんは記事中で以下のようにおっさられているわけですが (強調は T.MURACHI による)、

これも悪意を持って印象操作したわけではないのだろう。テレビではいちいち増えたとか減ったとか言わないと気が済まないのではないか? データをグラフで示すというのは、なにも変化があることを示すためだけじゃない。「変化がない」ことを示すことも立派な重要な情報であるはずだ。「横ばい」と言えばいいものをわざわざ拡大して無理に「増加している」だの言う様子は、NHKでさえ見かける。

変化があることを示したかったにしても、サンプルが年単位でたったの 6年間でしかないというのはあんまりにも少なすぎるという意味で説得力は低いわけですが、そもそも元となる記事の内容を見ても、これが「全国における海難審判の件数はやや増加傾向にある」ということを伝えたいジャーナリズムであるようには、どこをどう縦読みしても見えない、という点にこそ、問題があるんじゃないかと思う。

つまり、「なんとなく見栄えのあるグラフにしたい」という潜在的な欲求が、あんまり意味のない波線の挿入へと駆り立て、その結果、本来伝えるようなことではないような事柄を、読者や視聴者に勝手に読み取られているということが、少なからず発生しているんではないかと思う。あるいは、そうした報道が、別の報道機関やミニコミや一部の詐欺師などに悪用されるケースも、無いとは言えないんじゃないかと勘ぐってしまう。

悪用例を、ここですぐさま示すことができればいいんだけど、今回思いつきでこの記事書いてるので\(^O^)/ (てゆか、それは「今回」じゃなくて「いつも」だろ>ヲレ\(^O^)/)、すぐには示せないのが残念ではあるのでございますが。。。

ただ、おいらとしては、グラフに波線を使用する、まぁ確かに、科学的なことを言えば、本来この手の波線は、すべてのサンプルに共通する部分を省略する為ではなくて、一部の特異なサンプルによる突出が紙面で表示しきれない場合の例外措置として使用されるべきなのは言うまでも無いのですが、そうではなくて、あくまで変化を強調したい、という目的があって波線を使用する、のであれば、そのような強調表現が行われているということを紙面で、あるいは TV 報道ならばキャスターが口答で、はっきりとその事実と意図を記述もしくは公言すべきではあると思う。そして、記述もしくは公言するほどの意図がないのであれば、そんな無意味な波線表記は避けるべきなんだろうな、と思う。

んー、こうしてまとめると、タイトルほど (グラフの波線に対して) 肯定的じゃないなw。こういうタイトルの付け方もやっぱり「恣意的」で「捏造」になっちゃうのかしら? \(^O^)/

コメント

_ @DRK ― 2007/01/30 11:25:32

>一部の特異なサンプルによる突出が紙面で表示しきれない場合の
>例外措置として使用されるべきなのは言うまでも無い

実際には学会発表でもグラフ操作はあるw
まあ、それはあくまで見た目だけの話で、見る人がきちんと数字を見ているから出来る事ですが。。。
TVの場合は、視聴者が数字をきちんと見られるかどうか疑問(画面が切り替わっちゃったりするし、そもそもグラフに慣れている人ばっかりじゃないし)だから問題かと。

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