ホメオパシー 各方面に広がっている根深いしがらみとは
ホメオパシー問題に絡んでついに総本山も転向したか?と噂されている助産師会ですが、やはりまだまだ一筋縄ではいかないというのが実際のところでもあるようです。
先日ちょうどこんな調査結果が出ていましたけれども、単に末端にはこれだけホメオパシーが滲透しているというだけではない話にもなりそうなんですよね。
36助産所でホメオパシー ビタミンK2投与せず(2010年9月7日産経新聞)
日本助産師会(加藤尚美会長)は7日、会員の開業助産所433カ所のうち36カ所で、過去2年間に新生児に必要とされるビタミンK2を投与せず、ホメオパシーと呼ばれる代替医療で使われる砂糖玉を投与していたケースがあったと発表した。
ホメオパシーに使われる砂糖玉をめぐっては、日本学術会議(金沢一郎会長)が8月24日、その科学的根拠を全面否定する異例の会長談話を発表。助産師会もすでに「助産業務としてホメオパシーを使用しないよう徹底する」との声明を出している。
乳児期にビタミンK2が欠乏すると、頭蓋内出血を起こすリスクが高まるとされ、日本小児科学会は生後1カ月検診までに計3回の投与を行うようガイドラインで定めている。
しかし、7月に助産師会の会員の助産師が、女児にビタミンK2を与えずに死亡させたとして、母親から民事訴訟を起こされていたことが発覚した。助産師は女児に砂糖玉を与えていたとみられる。
こうしたことから助産師会は会員の開業助産所433カ所を対象に実態調査を実施。分(ふん)娩(べん)業務を休止している19カ所を除く414カ所から回答を得た。
その結果、ビタミンK2の投与はすべての助産所で行われていたが、砂糖玉のみを投与し、ビタミンK2を投与しなかったケースが過去2年間に36カ所であった。砂糖玉のみを投与した理由は「薬剤拒否の妊婦からの強い希望があった」「ビタミンK2と砂糖玉の両方を説明した結果、妊婦が砂糖玉を選択した」などだった。
調査結果受け、助産師会は改めて、助産師の方から砂糖玉を勧めることがないよう、会員に徹底を図る。厚労省もビタミンK2投与の有効性を会員に徹底するよう助産師会に求めた。
助産所の1割でホメオパシー ビタミンK2与えぬ例(2010年9月7日朝日新聞)
社団法人・日本助産師会は7日、加盟助産所の1割弱にあたる36施設で民間療法のホメオパシーが行われ、新生児に必要なビタミンK2を与えない例があったと発表した。山口では5月、ビタミンK2を与えられずに新生児が死亡したとして訴訟も起きており、厚生労働省は同日、同会会長あてに注意を求める通知を出した。
新生児は、ビタミンKが欠乏すると頭蓋(ずがい)内出血を起こすため、ビタミンK2シロップを与えるよう、厚労省研究班が指針を出している。しかし、山口市の助産師が、K2シロップの代わりにホメオパシー療法で使うレメディーという砂糖玉を与え、生後2カ月の女児を死亡させたとして、損害賠償を求められた。
この訴訟を受け、助産師会は7月下旬から8月まで、全国433の助産所を対象に過去2年以内に、K2シロップを与えず、レメディーを与えていたケースがなかったか調査した。お産をしていない19施設をのぞく、414施設から回答を得た。
この結果、レメディーしか使わなかったケースがあったとする助産所は36施設に上った。複数の助産師が所属する助産所もあり、ホメオパシーを実践している助産師は36人を大きく上回る可能性が高いという。レメディーを与えた理由として、助産師がK2シロップとレメディーの両方を説明し、妊産婦がレメディーのみを選んだり、妊産婦からどうしてもと頼まれたりしたからと説明している。
助産師会は「ホメオパシーに傾倒するあまり、通常医療を否定するのは問題」として、助産所にK2シロップを使うよう指導した。今後は研修などを通じ、通常の医療に代わるものとして、ホメオパシーを使用したり勧めたりしないよう会員に周知徹底するという。今回の調査時点では、全助産所でK2シロップを使っていたという。
厚労省医政局も同日、新生児には、K2シロップが有効として、適切にシロップを使い、望まない妊産婦には、そのリスクを十分に説明することが重要とする通知を出した。
助産師は全国に約2万8千人。主に助産師が立ち会うお産は、年間約4万5千件で、「自然なお産ブーム」で年々、増えている。
日本助産師会の岡本喜代子専務理事は「K2シロップは当然与えるものと認識していたので、36という数字は多いと思う。会員には、お産の現場でホメオパシーを使うことがないよう指導する。また、助産院のホームページなどでホメオパシーについて記載しないよう求めた」と話している。(岡崎明子)
全国助産所の一割という数字をどう捉えるかですが、少なくとも病院等に比べると圧倒的に高い比率であるということは言えそうですし、この調査にしてもレメディー使用の有無ではなくレメディーのみしか使わなかった施設が一割であるということですから、実際にホメオパシーを使っている施設ははるかに多いのでしょうね。
助産師会としては一応公式に使用禁止の通達は出しましたという形ですが、非常に興味深いのはこの調査の方法自体で、決して「ホメオパシーを使っているかどうか」ではなく、単に「K2シロップを使わずレメディーだけを与えたかどうか」と非常に限定的になっている点が興味を引きますが、敢えて滲透の実態を明らかにしたくない心理も働いているのかなと考えてしまいそうです。
一応今回の調査は訴訟を受けての7月下旬からのものと言うことですが、その後の段階で出された助産師会としての通達がきちんと厳守されているものかどうか、特に「どうしても」と妊婦から求められるという助産所がどうやって(あるいは、本当に)断りを入れているのか、改めて確認のための再調査実施が求められているのではないかという気がしますね。
さて、先日以来社会的にもホメオパシーに対する視線が厳しくなってきていることを実感しますが、その背景としてこれだけの騒ぎになり感心も高まったせいなのか、各地で告発めいたことも行われているようになってきた結果、行政も放置出来なくなってきたという事情もあるようですね。
このあたりの代替医療だの健康食品だのは昔からホメオパシーに限らず限りなくグレーゾーンで、れっきとした大新聞にも薬事法違反は疑われるような広告が当たり前に載せられていますから、一度手を付け始めると果たしてどこまでやるべきなのか判断が難しいところだとは思います。
ただ朝日新聞などはかねてネット上でホメオパシー被害報告を募集していたりと今回すっかりやる気になっている様子ですが、今後こうした大手メディアが主導して「これも違反か?!」と騒ぎ始めれば、取り締まる側としても放置するわけにはいかないでしょうね。
ホメオパシー効能広告の疑い 販売会社に都が立ち入り(2010年9月8日朝日新聞)
民間療法・ホメオパシーで使われている砂糖玉のレメディーをめぐり、東京都が、同療法普及団体「日本ホメオパシー医学協会」関連の販売会社「ホメオパシージャパン」(本社、東京都世田谷区)に、薬事法に基づく立ち入り検査をしたことがわかった。同社の商品広告に、特定の病気に対する効き目をうたったとみられる表記がみつかり、都が改善を求めた。
薬事法は、同法で承認されていないのに、病気に効く医薬品であるかのように広告することを禁止している。都などによると、ホメ社の広告方法などについての情報提供が厚生労働省に寄せられ、都が8月に立ち入り検査を行った。
立ち入り検査にはホメ社側も同意した。都薬事監視課は、レメディーのパンフレットなどの商品広告について調査。その結果、病気に効くように受け止められかねない表現が一部に見つかったといい、改善を求める行政指導をしているという。
都は、2003年ごろにも、ホメ社に同様の検査をし、広告方法について改善を指導したという。
ホメ社は立ち入り検査に関し「薬事法の解釈・運用も徐々に変化しているようであり、お互いの認識合わせをし、指導があればその都度、変更を行ってきている。今回もその一環。法律を順守した企業活動の徹底をはかっている」とコメントしている。
日本ホメオパシー医学協会は、ホームページに「レメディーは食品であり、医薬品ではない」「レメディー自身が病気や体の部位に効果があるという記載は×」などと記している。
一方、同協会関連の出版社の書籍の中では「学問として情報を提供する」(同協会)として、レメディーの種類ごとに「大特徴 高熱のNo.1レメディー」「場所 皮膚、リンパ腺、脳」などと解説している。(福井悠介)
ホメオパシーHP相談、医師法抵触か レメディーを助言(2010年9月8日朝日新聞)
日本ホメオパシー医学協会関連の療法家育成組織「ザ・ジャパン・ロイヤル・アカデミー・オブ・ホメオパシー」のホームページ上での健康相談が、医師法に触れる疑いがあると指摘する声が、専門家から上がっている。
今年7月、女性からの相談が、ホームページの「体験談紹介」に掲載された。10歳の子どもが腎臓病で免疫抑制剤を服用してきて、今は病院の薬は飲ませていないという。
「毒だしのレメディをとると、すごい好転反応が出てしまいます。顔、特に目がはれてパンパン、足もむくみ、蛋白尿(たんぱくにょう)がでて、見ているのが辛(つら)くて断念してしまいます」という内容。「むくみや蛋白尿が出たときのレメディを教えてください。このままレメディで腎臓をケアしていきたい」と求めていた。
これに対し、アカデミー側の「先生」と名乗る人物が、「むくみや蛋白尿に対するレメディー」として3種類をあげ、担当のホメオパシー療法者「ホメオパス」に相談するよう促す返答を掲載した。
インターネット上でこのやりとりをみた千葉県四街道市の高畑紀一さん(39)は、子どもの保護を求めて警察に通報した。子どもの病気予防の活動をしている。「病名も治療経過も明らかでないのに、何でアドバイスが出来るのか。『先生』は医師ではなさそうだし、通常の医師なら主治医のところに行くよう促すのではないか」と考えたからだ。
警察からは「調査した結果、体験談投稿者と連絡がとれ、投稿にあるような深刻な病状ではなく、児童も無事であることが確認できました」と返答があったという。
国学院大法科大学院の平林勝政教授(医事法)は、「体験談紹介」のやりとりが医師法に触れる可能性を指摘する。「レメディーが薬品でないにせよ、症状を訴えてきた病人に、あたかもそれが効いて疾病に効果があるように勧めれば、実態は薬を処方するのと同じではないか」と説明。「仮にレメディーに一定の効果があったとしても、医師による治療を受ける必要があるかどうかを判断することは、医師でないと出来ない」と話す。
これに対し、日本ホメオパシー医学協会は「薬を処方することは医業にあたる。しかし、薬でないもの(=レメディー)をすすめることは医業にあたらない。したがって違法であるとは考えない」と文書で回答。医師法については、「ホメオパシーを対象にはしておりません」としていて、「先生」に医師が含まれるのか明らかにしていない。
ホメオパシー医学協会側の公式見解はいつも通りの内容で、さすが200年の歴史と伝統を誇るだけに法律の網をくぐるのも達者なものだなという感じではあるのですが、なかなかこの問題は法律的側面を考えても微妙な話ではありますよね。
昨今では児童虐待との絡みでこうした行為は放置出来ないと考える人間も増えているご時世でもあり、医療従事者でも何でもない自称療法家あたりが何も知らない子供に好き放題やるのを取り締まるのも当然でしょうし、法的不備があるというのであればきちんとそのあたりを正していかなければ同様の悲劇が繰り返されていくわけです。
健康食品などというものは元より効果効能に対して明らかに高すぎだろうというものが幾らでもありますが、そうした詐欺的要素以外に直接的に人命に関わる危険性が高いということであれば、これは早急に議論し規制を検討していかなければならないでしょう。
そしてもう一点、この場合助産師は元より一部医師も含めて、世間的には医療の専門家と見なされている側にもホメオパシーを愛用している人間がいるという事実が話をややこしくしています。
医者でもない人間が薬でもないものを治療と称して出すことに対する法的規制は存在しますが、医者が薬でもないものを治療と称して出すことが何ら規制されていないことは、まともな臨床の現場においても単なる無害な粉や薬効成分のない注射用水などが治療の一環として盛んに用いられているという現実を見ても判りますよね(そして、実際によく効いたりします)。
ただ逆に考えればホメオパシー推進派の方々が盛んに主張する「レメディーは単なる砂糖玉ではない!二百年に渡る治療実績がある!」という話も、医療従事者からすれば「はい?単なる水にもこんな素晴らしい治療実績がありますが何か?それを世間ではプラセボ効果と言いますが何か?」と言うだけの話で、専門家も単なる盲目的な砂糖玉の否定と受け取られないようアナウンスに注意は必要なのかなと言う気はします。
余談はそれとして、ひと頃は朝日新聞だけが突出して突っ走っていた感もあるこのホメオパシー問題、不幸な一つの死亡事故から思いがけない大きな話になってきた結果ということなのでしょうか、ようやく他社も追随する動きを見せてきているようですが、実はそのことが各社とホメオパシーとの根深いつながりを暗に示す結果ともなってきているようなのですね。
ひと頃こうしたものの宣伝に一役買って儲けてきたテレビなどでも一部に否定的な論調が見られるようになってきた一方で、相変わらず「公平に両者の言い分を取り上げなければ」と言いつつ過去のお得意先にしっかり配慮しているのが見え見えなんですが、無理矢理好意的に解釈すればテレビしか情報源がないというレベルの視聴者に対して「あれ?何かあったの?」と注意を喚起する程度の効果はあるかも知れませんね。
活字メディアに目を転じてみますと、最近ネットなどで記事検索をしてみますと意外に目立つのが産経新聞発のニュースなのですが、産経と言えばかねて医療報道に関しては素晴らしく定評のあるところだけに、何かしらとんでもない電波を飛ばしてくるんじゃないかと実はかなり楽しみに注目していたりもしますが(笑)、まずは記事を引用してみましょう。
ワイドショー通信簿 「ホメオパシー」サイド反論「癒しで心理効果ある」/とくダネ!(2010年8月26日J-CASTテレビウォッチ)
「ホメオパシーって知ってます?」と訊くプレゼンター笠井信輔アナに、「エステとかでよく聞きますね」とコメンテイターの真鍋かをり。番組によれば、ホメオパシーは多くの女性にその存在が浸透しているという民間療法だ。ただ、最近、日本学術会議などから「科学的根拠がない」などと批判を受けている。
「水を砂糖にくっつけたものをレメディーと称して、それを飲むとどんな病気でも治るという。科学的にはありえない」(日本学術会議副会長)
学術会議「科学的にありえない」と批判
こうした批判はわりと大きく報道されてるが、ホメオパシー側の話はあまりメディアに載っていない。番組はマスメディアの原則に忠実に、もう一方の当事者の「言い分」をかなりの時間を割いて伝えた。
クリニックでホメオパシーを取り入れている医師は、「一般の薬を併用し、心理効果に期待」しているという。「『癒し』の部分で、ホメオパシーは大いに役に立つと思う」
日本ホメオパシー医学協会会長は「現代の科学が計り知れないものが水のなかにある」「200年もヨーロッパで歴史がある。効かないんだったら、なぜ200年も続くのか考えるべき」などと主張。
「続くものは効くものなのか」という点では、ヨーロッパには「光るものすべてが金とは限らない」ということわざもある。
代替医療「ホメオパシー」 日本学術会議の談話が波紋 「荒唐無稽」vs「治療症例ある」(2010年9月8日産経新聞)
日本の科学者の代表組織「日本学術会議」が、植物などを希釈した水を含ませた砂糖玉を飲む代替医療「ホメオパシー」の有効性を全面否定する異例の会長談話を発表したことが波紋を呼んでいる。日本医師会などが賛同する声明を出す一方、一部の推進団体は「有効性は証明されている」と対立。ホメオパシーに傾倒して通常医療を受けずに死亡したとみられるケースもあり、代替医療のあり方が問われることになりそうだ。(長島雅子)
■「科学の無視」
発端は8月24日、日本学術会議の金沢一郎会長名で出されたホメオパシーに関する会長談話だ。
ホメオパシーについて「(物質を)極端に希釈した『ただの水』に副作用も治療効果もあるはずがない」と全面否定。「水が、かつて物質が存在したという記憶を持っている」などとする推進団体の主張を「科学の無視」「荒唐無稽(むけい)」と切り捨て、「ホメオパシーに頼ることで、有効な治療を受ける機会を逸する可能性があることが大きな問題」とした。
一方、ホメオパシー推進団体の一つ「日本ホメオパシー医学協会」は「数え切れないほどの治療症例があり、論文も多数存在する。従来の理論で説明できないから、効果がないと説明する姿勢こそ、非科学的であきれている」と反論する。
■死亡例も…
日本学術会議の唐木英明副会長(東大名誉教授)は1年半ほど前から日本でホメオパシーが広がる状況に危機感を抱いていた。
山口県で新生児の頭蓋(ずがい)内出血の予防に必要とされるビタミンK2の代わりにホメオパシーで使われる砂糖玉を投与されていた乳児がビタミン欠乏性出血症で死亡したとして、母親が助産師を相手に損害賠償を求めて提訴していたことが今年7月に発覚し、異例の談話発表につながった。
東京の多摩地区では5月、ホメオパシーに傾倒していた悪性リンパ腫の女性=当時(43)=が通常の医療をほとんど受けずに死亡したとみられるケースもあった。女性を知る牧師の荒瀬牧彦さんによると、周囲は病院に行くよう勧めたが、女性は「ホメオパシーでやってきたことが無駄になる」と拒否したという。
日本医師会など9団体は日本学術会議の会長談話に賛同する声明を発表。厚生労働省も代替医療の使用実態を調査している。
■近代医療への不満
9月に沖縄県名護市の公立中学校で、養護教諭が生徒に砂糖玉を渡していたことが発覚。日本助産師会の会員である開業助産所433カ所のうち36カ所でホメオパシーが行われ、ビタミンK2が与えられていなかったことも分かった。
ホメオパシーはなぜ広がるのか。8月下旬、大阪市中央公会堂(大阪市北区)で行われた普及団体「クラシカルホメオパシー京都(CHK)」の入門セミナー。医師から「治療法がない」と見放された膠原(こうげん)病の高齢者や、「薬の副作用で夫の体毛がすべて抜けてしまった」と悩む女性ら5人がCHKを主宰する荻野哲也さん(55)の話に聞き入っていた。
荻野さん自身、17年前に脳卒中で倒れ、痙攣(けいれん)発作の後遺症をホメオパシーで克服したという。「救命医療で助けられ、現代医学には感謝している。ただ、現代医学にも限界がある。ホメオパシーは傷ついた心身を健康に導き、現代医学を補完するものだ」と語る。
学術会議の唐木副会長は「ホメオパシーを施す人は患者の話をじっくり聞くという。一方、医師は忙しくて話を聞く時間がない。こうした状況が近代医療への不満を生み出している可能性がある」と話している。
ま、「とくダネ!」はやはりとくダネ!だったなという話なんですが、一見して朝日の一連の記事を要約しただけに見える産経の記事なども、最後に医療の現状への批判とホメオパシーに擁護的な意見を並べて読者の誘導を図っているあたりが同社のスタンスを示していると考えてみれば、今になってこんなアリバイ的記事を出してきたことの意味が見えてくる気がします。
実際に日本ホメオパシー医学協会が過去に掲載してきた各メディアへの反論文を並べてみれば、個々の内容以前にその対象を見比べるだけでもメディア毎の対応の温度差は一目瞭然ですが、要するに彼らが本気で敵視しているのはホメオパシーとの全面対決姿勢を崩さない朝日だけと言うことは、裏を返せば他社との間には魚心あれば水心的な予定調和が確定しているのか?とも勘ぐれる話ですよね。
このままアリバイ的に当社でも批判の声は取り上げてみましたが格好だけです、ほとぼりが冷めればまたお取引よろしくという態度が続くようなら、彼らのやっているのは報道ではなく報道の体裁を取った営業活動に過ぎないということも明らかになりそうですが、砂糖玉を売る側もそれを報じる方も単に商売で馴れ合っているだけということであれば、そこにはジャーナリスト的な批判精神など全く存在しないということでしょう。
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コメント
一般法則論のブログを読んでください。 一般法則論者
投稿: 一般法則論者 | 2010年9月11日 (土) 01時48分
↑電波警報発令!
投稿: | 2010年9月11日 (土) 07時08分
毎日新聞にホメオパシー擁護記事が出てますな
薬局で気軽に買えるようにしよう、なんだそうですが
時代の風:「ホメオパシー」をめぐって=精神科医・斎藤環
◇背景に自己承認の要求
代替医療として知られる「ホメオパシー」にまつわる事件が、このところ立て続けに起きている。
そもそもの発端は、本年5月に、ホメオパシー治療で乳児が死亡した事件の訴訟が山口地裁で起こされたことだった。助産師のアドバイスで一般に使用されるビタミンKを乳児に投与せず、ホメオパシーのレメディー(砂糖玉)のみ投与したため、乳児がビタミンK欠乏性出血症で死亡したというものだ。
このほかにも、やはり本年、東京都国立市に住む40代の女性が、進行した悪性リンパ腫の治療をホメオパス(施術者)にゆだねて病院を受診せず、そのまま死亡するという事件もあった。
これらの事件をきっかけとして、まずネット上でホメオパシーへの批判や告発が急速に広がり、マスコミでも次第にその危険性が報道されるようになった。
ホメオパシーとは、約200年前にドイツの医師ハーネマンによって創始された治療法である。ある症状を起こす物質を非常に薄めた状態で砂糖玉にしみこませて服用すると、その症状が治癒するという理論に基づいている。
しかし本年8月、日本学術会議はホメオパシーに関する会長談話を発表し、効果をほぼ全面的に否定した。ホメオパシーにはいかなる科学的根拠もなく、医療現場で用いることは慎むべきである、と。
しかし、それでもなおホメオパシーにすがる人々がいる。その中には少なからず著名人の名前も見られる。<信者>は家族にもそれを強要する傾向があり、こうなると問題は輸血を禁ずるカルトなどと同様のものになってくる。
ホメオパシーは自然治癒力を重視するため、抗がん剤やワクチンなどの西洋医学と敵対しがちだ。過激なホメオパスは患者に医療との接触を全面的に禁ずる場合もあって、こうした行為は問題である。
ただ、このところのいささか過剰とも思われるバッシングには、別の意味で危険も感ずることがある。
まず第一に、バッシングの過剰な盛り上がりは、重要なトピックを<祭り>として消費してしまいがちだ。後に残るのは忘却だけ、ということもままある。
第二に、どれほど過激なバッシングを展開しても、<信者>の態度変更にはつながりにくい。場合によっては逆効果ですらある。ゆきすぎた抑圧や弾圧は、むしろ<信仰のカルト化>を推し進めてしまうのだから。かつて禁酒法やキリスト教の弾圧が何をもたらしたかを想起されたい。
第三に、ホメオパシーバッシングの背景にあるエビデンス(医学的根拠)至上主義の危険性である。もちろん現代医療はしっかりした実証研究によって得られたエビデンスに基づいて、実施されなければならない。私もそうしている。ただしそれは、倫理や真理とは無関係な説明責任の問題である。エビデンスに従わないと訴訟に負けるのだ。
しかし、エビデンスに依存しすぎると、医療の方針が不安定化する場合もある。相反する治療方針のそれぞれにエビデンスがある、などということもざらにあるからだ。
最近、日本脂質栄養学会が「コレステロールが高いほど死亡率が低い」という研究結果を発表して話題になったが(これもエビデンスだ)、だからといってすぐに高脂血症の治療をやめて良いということにはもちろんならない。
精神科医としての私は、代替医療にかなり寛大なほうだろう。同業の神田橋條治氏がいうように、治療の中ではプラシーボ(偽薬)効果が最上のものであるとする考え方にも親しみを覚える。
代替医療の強みは、まず安価であること(例外もあるが)、それが有効だった場合に、患者の自己コントロール感を高めてくれることだ。
しかしさらに重要なことは、人が「治療」に求めるベクトルに、少なくとも2種類あるということだ。「みんなと同じように標準的な水準の治療を受けたい」という願望と、「私だけに効く特別な治療を受けたい」という願望。前者の願望は標準的な医療がかなえてくれるだろう。しかし後者は難しい。少なくとも医療保険内では実現不可能だろう。
代替医療はしばしば「あなたの体質に合わせて、あなただけのために調合された薬」といった、いわばテーラーメードの医療を自認する。この種の医療は、単なる治療である以上に、強力な自己承認の契機でもあり得るため、宗教やオカルトへの親和性が高いのだ。それだけに、こうした治療へのニーズは決してなくならないだろう。
そうであるなら、代替医療を非科学的として徹底排除するのは、むしろ愚かしいことだ。イギリスのように保険適用せよとまでは言わないが、誰でも薬局で買えるようなカジュアルな形で流通させることが望ましい。安価さのメリットを維持するためと、地下に潜ってカルト化することを予防するためだ。
排除の論理よりも共存の道をさぐること。私たちがどうしても治療に自己承認を求めてしまうことをやめられない以上、その形式は多様であることが望ましい。これはエビデンスではなく倫理性の問題なのだから。=毎週日曜日に掲載
http://mainichi.jp/select/opinion/jidainokaze/news/20101003ddm002070085000c.html
投稿: 通りすがりのただの人 | 2010年10月 4日 (月) 13時04分
こういうことをやった国がその後どうなったかを考えると、人間もっと謙虚に歴史に学ぶべきなんだろうなとは思いますね。
投稿: 管理人nobu | 2010年10月 5日 (火) 17時09分
こういうのでホメオパシー親がどんどん親権停止食らうようになるといいですね
★親権一時制限は2年有力 医療放棄など対象
親の虐待から子どもを守るため、民法の親権制度の見直しを検討している
法制審議会(法相の諮問機関)の部会は5日、親権の一時的な制限制度の
新設などを盛り込んだ中間試案をまとめた。育児放棄で医療が受けられない
子どもや、児童養護施設に預けられている子どもなどを対象とし、制限期間は
最長で2年間との案が出ている。
部会が最終報告をまとめた後、法制審は来年2月に法相に答申。来年の通常
国会に政府として民法改正案を提出する方針だ。
期限を定めずに親権全部を奪う、現行法の「親権喪失制度」に関しては、その後の
親子関係に大きな影響を及ぼすことや、申し立てをためらうケースがあるなどと指摘
されていた。
親権制限は家庭裁判所で審判するが、試案では申立人は親族か検察官とし、子ども
自身も含めるかは今後検討する。親権を制限していた原因がなくなった時は、一定期間を
待たなくても親や親族の申し立てを受け、取り消すことができるとした。
親権制限中に子どもを保護し、財産を管理する後見人には、新たに児童養護施設などの
法人を加え、複数で後見人を務めることも認めた。
2010/10/05 22:07 【共同通信】
▽ソース (47NEWS)
http://www.47news.jp/CN/201010/CN2010100501000583.html
投稿: | 2010年10月 6日 (水) 20時22分