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 宇井純を学ぶ  2007/06/28 (Thu)
 以下、ずいぶん勝手に書いている。十分な下調べもしていないのでかなり自信なし。

 2007年6月23日、東大安田講堂で「宇井純を学ぶ」という自主公演が開催された。知り合いの紹介もあって、それでもちょいとうさんくさい匂いもしたので一人行ってきた。この日は晴れで、汗が吹き出そうなくらいよい天気。東大の堂々とした門をくぐりぬけて、安田講堂へ。東大は何回か行ったことがあるが、レンガ調の外観に建物が統一されていて、長年の歴史を感じる。自分の大学と比べると、東大がうらやましくなってしまう。

 話がそれた。
 途中、老婆に話しかけられた。
「安田講堂はどこですか?」
 自分は部外者なので、知らないがおそらく正面の建物がそうですと答えた。お互い宇井純の自主公演に参加するということがわかると、
「宇井純は東大から仲間はずれにされてずっと助手だった。でも福島みずほも東大なのよ」
 あの〝福島みずほ〟なのかと思い、今ググってみるとたしかに彼女は東大出身のようである。この時点で妙な気配を確信した。

 老婆と別れ、安田講堂に入る。たくさんの人で受付がごった返していて、学生と思われるスタッフたちは忙しそうだ。学生料金500円を払って、講堂の二階へ。席がまあまあ空いている。思ったよりも若い人が少ない。ギターを空席においている女学生がいた。「あまり時間がないので講演者の方の持ち時間は10分とさせていただきます。本当ならばお一人、一時間でも語っていただきたいのですが、それでは安田講堂に篭城することになるので――」という冗談の後すぐに講演が始まった。

 まあ、つまらない。なんだこの講演は…。がっかりした。自主公演の趣旨は〝若い人に宇井純を伝える〟であったはずだ。それなのに、思い出話に花を咲かせているだけというか、それぞれが宇井純を解釈して伝えるべきなのに、そういったしっかりしたものがない。そうでない人もいたのだけれども。どうも全体的に内輪で楽しむ感が強い。

 沖縄大学学長などは、途中から宇井純から遊離して「沖縄の現実を見てほしい。わずかな国土に過ぎない沖縄にアメリカ軍が常駐している。あの悲惨な戦争を―」などという話題が八割。宇井純はどこにいってしまったのか。いやむしろ宇井純はそういう人だったのか? 自主公演からの遊離感が気持ち悪くなって、前半の部で安田講堂を後にした。

 宇井純とは何者だったのか? 返って考えさせられてしまう。確かに彼はある政治的な思想と共に研究に励み、水俣病や公害に対して尽力を尽くしてきた。内にこもらない、社会派の研究者として有名なのだろうと思う。けれどその社会派の部分だけを取り出して彼の業績を評価して良いものだろうか? 彼はたんなるシンボルになってやしないだろうか? 歩いて考えるという彼の言葉から想像するに、泥をかぶりながら地道に仕事をしてきたのだと思う。彼が政治家にならず、科学の世界にいたのは、そこに彼なりの正義を実践する場があったからではないのか? ああ、もうなんだかわからない。ただこの自主公演はどうにも気持ちが悪かった。

http://www.takagifund.org/08/ui/ui01.html
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2007/07/03(Tue) || [edit]
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