~~ 市民による地域精神保健 ~~ 

- 健康は権利 - (無断転載はお断りします) 中村佳世

ピアラン・レスパイトはなぜ重要なのでしょうか?

大阪公立大学の松田博幸さんのfbに、ピアラン・レスパイト(ピアレスパイト)に関するコメントがありました。 とても重要と思いますので、そのまま転載いたします。(許可済) 「アメリカで展開されてきた精神障害当事者運動の重要な成果の一つとして、ピアラン・レスパイト(peer-run respite)、つまり、心の調子が崩れた時に短期間滞在して精神科病院への入院を回避する、当事者運営の場があると私は考え…

滝山病院事件を起こさないための制度的糸口

第3節  ベルギーとの比較から、日本の精神医療保健福祉の法制度実践について ~ 医療の透明性と患者の自律を担保する権利保障制度 ~ 人権侵害が起きないために基礎となるのは透明性であろう。第3節では精神医療の透明性を高めていると思われるベルギーの権利保障制度や人権を監視する仕組みを取り上げ、日本の現状を考える上での参考としたい。 1) 人権委員会「機会の平等と差別撤廃のための地域間連携センター」U…

権利保障と共に進化する地域移行

ベルギー 共に進化する人権保障と地域精神保健 はじめに ベルギーの人口は日本の約1/11、面積は約1/12、欧州人権条約の下、基本的人権を共有する文化圏にある。オランダ語圏フランドル、フランス語圏ワロニー、少数のドイツ語圏、EU本部が置かれる首都ブリュッセルの4つの独立した行政区からなり、複雑さのため異文化交流に慣れていると言われる。 医療水準は高く、家庭医制度がありかつ自由アクセス、スイスと並…

伊藤時男さん裁判の要点

【長期入院に関する厚労省検討会2014】 伊藤時男さん退院2年後の検討会。 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000051138.pdf 【伊藤時男さん裁判の争点、訴え】 2020/09/30提訴 伊藤時男さん(73歳)の長期入院の責任は…

精神医療国賠訴訟第一審判決 高木勝己裁判長 2024.10.01

令和6年10月1日判決言渡し 同日原本領収裁判所書記官 東京地方裁判所・令和2年(ワ)第24587号国家賠償法1条1項に基づく国家賠償請求事件 口頭弁論終結日令和6年6月18日 判決 当事者の表示別紙当事者目録のとおり 主文 1原告の請求を棄却する。 2訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求 被告は、原告に対し、3300万円及びこれに対する令和2年12月17日から支払済みまで年5分…

匿名カルテレビューと良質な標準医療

2023年より、日本でもカルテレビューが始まりました。 適切な医療行為がなされているかをみる審査ですが、医療内容の透明性を高めるのに役立つと同時に、データの蓄積により、より効果的で良質な医療を探るのにも役立ちます。欧州では既に公的監査に取り入れている国もあります。 以下、 匿名加工にして情報提供する場合について 医療法人公仁会 姫路中央病院 医療法人公仁会 姫路中央病院附属クリニック お問合せお…

キーサン革命のえばっちより寄稿

精神医療国賠研究会からベルギーの項目について書くように依頼があり、市民4人からご提案を頂きました。下記はえばっちの提案、冒頭と結びを引用させて頂きました。元はセンタリングで書かれたものです。 キーサン革命の鬼えばっち江端一起、63歳。 34年間、心血を注いで、、ひたすら、精神病患者会前進友の会を開き続け、、 そして、友の会が設立母体運営主体となっていたやすらぎの里作業所に通い続け みんなの部屋で…

滝山病院事件への緊急対応

滝山病院事件その後 相原弁護士は転院可能な病院やGHの情報を都やpsw協会に提供していたそうですが、その動きの鈍さ、第三者委員会の独立性のなさ等もツイートで逐次報告されていました。告発者としてある意味排除されていたのかもしれません。 世間は番組のオドロしさの方に気を取られていたようでした。 入院者の人権 滝山病院に入院している精神障害者の方には、厚労大臣、医師、精神科医、看護師、PSW、都知事、…

医療における無過失補償立証制度

Elsevier Masson SAS 出版 2021  Medico-legal 《 予防医療、診断、治療過程での医療行為による結果に対する、補償調停委員会の役割 》 W. Djadooun 身体的被害研究法律事務所 S. Bart ルネ・デュボ中央病院泌尿器科 2002年3月4日付けクシュナー法により、医療事故、医原性疾患、院内感染による患者の被害への補償制度が制定された。この制度は、過失の…

精神医療の透明性を高める施策

人権保障のために何よりも必要なのは透明性ではないでしょうか。それがない場合には、現場の倫理感と感情労働に頼らなければなりません。 以下の施策が非現実的だと感じるとすれば、それこそが、これまでの不作為を証明しているかもしれません。 【精神医療の透明性を高める施策】 ①経験者や家族が参加する訪問支援、処遇改善 ②経験者や家族が参加する抜打ち監査 ③措置入院と身体拘束に司法審査 ④無過失補償立証義務 …

個性的な映画館

東京外国語大学 tufsシネマ https://www.tufs.ac.jp/tufscinema/ 大塚シネマハウス https://cinemahouseotsuka.com/archives/ ガシマシネマ https://gashimacinema.info/

ハラスメントで本質的なこと〜ハラスメント集

フランスにはパワハラという言葉はありませんが、モラルハラスメントという言葉に集約されています。 ハラスメントは、人の自由を奪い、尊厳を傷つけることが問題とされます。 ここでは、丁寧にこころの機微を説明する動画を見つけましたので、取り上げてみたいと思います。 岡村晴美弁護士が、ご自身の経験を踏まえ、ハラスメントを微に入り細を穿ち、丁寧に分かりやすく説明しています。 職場での指導の目的は適切な生産を…

証言フォーマット

精神医療国家賠償請求訴訟研究会  精神医療国家賠償請求訴訟に関わる証言陳述書【当事者用】(記入シート) 記載(聴き取り)日時                 202  年   月   日   :   ~   :    ご本人/聴き取り者の氏名                                                    ㊞ ご本人/聴き取り者の連絡先           …

『人権が尊重される地域・社会を目指して』アウトリーチへの期待、から考える

【アウトリーチネット全国大会、みんなの対話】 「人権が尊重される地域・社会を目指して」 ~アウトリーチへの期待~ を拝聴して考えたことなど 🤔課題 ①強制入院を経験しないと指定医が取れない    ②緊急のときはどうするか? ③地域の理解 。。。 🎈提案したいこと ①他の事故などの救急対応同様、身体的な危険の伴う措置入院をひとまず『応急入院』とする。3日目以降、落ち着いた時点で本人意思の確認を…

無過失補償立証義務〜医療過誤へのシンプルな対応

医療過誤へのシンプルな対応 「従来の医療事故裁判は、立証義務が被害者側にあり、判決までに長期化、裁判費用の高騰から患者側には非常に困難なものでした。本制度は、被害者救済を目的とし、無過失の証明責任を医療機関側に課し、迅速な裁判外解決を可能としました。」 https://sp.m3.com/news/open/iryoishin/855716 【透明性を高め、ケアに専念するために】 〜医療事故保障…

これからの地域精神保健に望む事

【これからの地域精神保健に望む事】 ①当事者の自治 ・開かれた自助グループとその自治 ・グループホームの自治 地域精神保健 2 インフォーマルケア【当事者運動から生まれた相互支援】 - ~~ 市民による地域精神保健 ~~  ②市民の理解とサポート ・一般住宅への受入れ ・地域活動などへの相互参加 ・職場の受入れ ③精神科病院の役割の変容↓ 【地域を補完する精神科病院に望む役割】 ①自分の意思で入…

人権侵害の可能性 : 訪問支援員の制度化ー医療保護入院の場合

【訪問支援員制度】 〜医療保護入院に制度化し、適用される場合〜 精神医療審査会が機能しない現状の法制度の下で、各人権センターが行なう訪問支援は素晴らしい次善の策です。 訪問活動により透明性が増し、処遇が改善されてきました。それが純粋に仲間を助けたい気持ちからであったことが情熱を持続させ、活動の継続に繋がっていたように見えます。 が、退院そのものはあまり進んでいないそうで、制度の改善は進みません。…

滝山病院事件から考える医療制度

医療制度がある意志、遺族として放っておくことのできない問題です。 滝山病院事件 〜相原弁護士のお話から考えたこと〜 都の指導があり、院長が依頼した第三者委員会(院内調査委員会)が、調査報告書をまとめました。改善すべき点も書かれていますが、元凶となった疑いのある院長に関する言及がなく、この事件の発見者とも言うべき、事情を知るはずの相原弁護士には、調査の聞き取りが無かったそうです。 法律では弁護士と…

当事者運動から生まれた地域精神保健~ニュージーランド

【軸となる概念、リカバリー】 WHO協力センターのあるリール市の地域精神保健は、当事者運動から生まれたリカバリーを軸に展開してきました。モバイルチームの拠点にはリカバリー憲章が貼られています。 リカバリー憲章:地域精神保健のチームを結ぶ - ~~ 市民による地域精神保健 ~~  改革の中心に立ったのは精神科医のジャン・リュック・ローランさん。これに感銘を受けて始まり、発展したのがベルギーの改革で…

セルフアドボケイトの試み

セルフアドボケイトの試み 市民の基本的人権と地域共生 ~セルフアドボケイトと市民の意見~ 序 地域共生に向けた変革  〜 ベルギー 〜  民間の精神科病院が85%というベルギーでは、保健省の真摯な努力により『生活と活動の場でのケアと共生』への制度改革が進み、多くの利用者が自分の場所で療養しながら自身の活動を続けられるようになりました。それを可能にしたのは豊富なインクルーシブ住宅と自由度の高いモバ…