なぜ勉強はつまらないか?
みなさんはじめまして。瀧本哲史です。
ぼくはふだん、京都大学で日本の将来を担う大学生たちに、あたらしい時代を生き抜くための考え方について講義しています。今日の講義は、その14歳バージョン。語り口はやさしくても、中身は超本格派です。大学生はもちろんのこと、大人たちでさえ知らないような「未来をつくる5つの法則」をお話ししていきます。
きっと大人たちは、みなさんのことをうらやましく思うでしょう。人生を変え、世界を変えるようなトップシークレットに、その若さで触れられるのですから。
そこで最初に質問をさせてください。
みなさん、勉強は好きですか? 毎日の授業や宿題が楽しくてたまらない、という人はどれくらいいますか?
むしろみなさんは、こんな疑問を抱えているのではないでしょうか。
「どうして勉強しなくちゃいけないんだろう?」
「なんで学校に行かないといけないんだろう?」
「理科や数学の知識が、社会に出てなんの役に立つんだろう?」
中学生にもなれば、誰もが一度は突き当たる疑問です。
学校そのものが嫌いなわけじゃない。学校で友だちと会うのは楽しいし、会えなくなったら寂しいと思う。部活の練習は大変だけど、なんとかがんばっている。
ただ、問題なのは「勉強」だ。授業はつまらないし、毎日の宿題、中間テストに期末テスト。考えただけでうんざりしてくる。
……当然の悩みだと思います。
それではなぜ、勉強はつまらないのか。ここには簡単な理由が隠されています。
レンガを積み上げて建物をつくっている場面を想像してみてください。このとき、あらかじめ「レンガを積み上げて、家をつくろう。完成したらみんなで暮らそう」と言われていたら、それなりにやる気も出ます。
でも、なんのためにレンガを積み上げているのか、誰も教えてくれなかったとしたら、どうですか? いつ終わるかもわからず、なぜ自分がやらなきゃいけないのかも教えてもらえない。かなりつらい作業になりそうですよね。
勉強だって同じです。
みなさんは、勉強そのものが嫌いなのではありません。
勉強という、「やる意味がわからないもの」をやらされることが、嫌いなのです。
学校では「魔法」を学んでいる
もう少し具体的に考えてみましょう。
世のなかには、いろんな種類の「学校」があります。
サッカー選手になりたい人が通う、サッカースクール。ダンサーになりたい人が通う、ダンススクール。料理人になりたい人が通う、調理師学校。自動車の運転免許をとるために通う、自動車学校。本や映画でおなじみのハリー・ポッターは、「ホグワーツ魔法魔術学校」という魔法学校に通っていましたね。
こういう学校では、「なにを学ぶのか?」がはっきりしています。
きっとハリー・ポッターだって、「魔法使いになるためには、この勉強が必要なんだ」と思いながら、魔法学校の授業を受けていたはずです。
さあ、ここで大きな疑問が浮かんできます。
みなさんは学校に通いながら、なにを学んでいるのでしょう?
なんのために、勉強をしているのでしょう?
いい高校、いい大学に進むため? そしていい会社に就職するため?
……そんなつまらないことのために勉強するなんて、あまりにも寂しい話ですよね。正解はもっと別のところにあります。
みなさんが学んでいるものの正体、それは「魔法」です。
ハリー・ポッターと同じ、「魔法」を学んでいるのです。
いま、みなさんは「魔法」の力で未来を変えるために、学校に通い、勉強をしています。まずはここから、講義をはじめましょう。