甘利大臣、辞任か残留か
〜政権発足後最大のスキャンダルがはらむ「特殊性」
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ずっと閣僚に起用されたのは甘利だけ
政権発足以来、最大のスキャンダルが中枢を襲った。建設会社から口利きの見返りに違法献金を受け取ったと週刊文春に報道された経済再生担当相・甘利明。首相・安倍晋三が財務相・麻生太郎、官房長官・菅義偉と並んで「三人衆」と呼ぶ「政権の柱」だ。
28日までに公表される甘利による調査結果によっては進退問題に発展しかねない。辞任を認めるにしても、残留させるにしても、安倍政権はイバラの道を歩まざるを得ないだろう。
安倍と甘利の関係は、安倍が小泉政権下で自民党幹事長に抜擢された03年9月に始まった。当時、安倍は当選3回で49歳、閣僚も経験していなかった。その時、筆頭副幹事長として仕えたのが甘利だった。
安倍の周りの議員はキャリアも年齢も上という中で、当選6回、55歳、閣僚も経験済みの甘利は懸命に安倍を助けた。安倍はのちに「甘利さんは、自分に心底から仕えてくれた」と語っている。
だから、安倍は06年と12年の自民党総裁選で甘利を選対本部長に据えた。さらに、第一次内閣で経済産業相、第2次、第3次内閣で経済再生相として重用した。安倍内閣でずっと閣僚に起用されたのは甘利だけだ。
安倍が甘利を買っているのはその忠誠心と政策能力である。財務省や農水省などの官僚を、甘利は政策の論理で、菅は人事権を背景にした力で押さえ込んだ。この二人が連携していたからこそ、14年の消費増税先送り決定、環太平洋連携協定(TPP)への抵抗排除などを遂行できたと言える。
盟友であり、政権運営の右腕である甘利を、安倍はなんとしても守りたいと思っているに違いない。だが、その願いが奏功するかどうかはまだ分からない。