元ファンドマネジャーが仰天!
「競馬で1億5000万円儲けた男」に学ぶマネー運用の"鉄則"

回収率を重視せよ、好きな会社に投資するな…
【PHOTO】gettyimages

あまりにも似ていて驚いた!

大阪の会社員が、馬券(正式には「勝ち馬投票券」)で得た利益を申告しなかったことで巨額の課税を受け、裁判を争った一件は大いに世間の耳目を集めた。

外れ馬券の購入費用が経費として認められるかが注目された同事案は、最高裁まで争われて、外れ馬券が経費として認められる判決が確定した。

本稿の主目的ではないが、本件に関する筆者の考えは、まず外れ馬券が経費なのは「当たり前」である。加えて、そもそも馬券の購入時に10%の納税(JRAから国庫への納付)をしているのと同じなので、馬券で得た利益に対して課税は不要だとはっきりさせるべきだというものだ。馬券の利益に対しては、購入時に事前に分離課税されていると整理できる状況がいいと思う。

現実には、多くの競馬ファンが馬券の儲けを申告していないし、税務署が馬券の利益に対して公平に徴税を行っているわけでもない。税務署がその気になったケースでのみ罪に問われるかも知れないという、不公平な裁量の余地を残しておくことは社会的に不健康だ。

競馬ファンが安心して馬券を買えるように、JRAがもっとしっかりして、フェアなルール作りに汗をかいて欲しい。

読者を少し脅かしておくと、例えばIPAT(JRAのインターネットを通じた馬券購入サービス)を利用している競馬ファンは、たまたま少なからず儲かった時に、銀行にあるIPAT口座に対して調査が入ると、単純無申告罪(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)で有罪になり得るということだ。

もっとも、筆者も含めて多くの競馬ファンは、馬券の利益に課税されることを本気で心配などしていない。馬券の収支は、トータルで損になっているのが普通だからだ。

しかし、馬券に対する課税もショッキングだったが、競馬ファンが真に驚き興味を持ったのは、28億7千万円の馬券を購入し、30億1千万円の払い戻しを得て、1億4千万円も儲けたという馬券裁判被告人の馬券術だ。

彼は「卍(まんじ)」というハンドルネームを名乗っているが、『馬券裁判 競馬で1億5000万円儲けた予想法の真実』(株式会社メタモル出版)という本を出版して、自身の馬券術について説明している。

筆者は一競馬ファンとしてこの書籍を読んだが、驚いた。

卍氏の馬券術は、筆者がファンドマネジャー時代に株式のポートフォリオ運用で行っていた運用法と、考え方の上でも、諸々の実行方法の点でも、「同じだ」といいたくなるくらい似たものだったからだ。

この本は、若いファンドマネジャーに是非読ませたい本だと思った(ファンドマネジャーでもベテランは我流が染み着いていて強情なのでダメだろう)。その理由を説明しよう。

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