消費税増税の悪影響を認めたくないあまりに分析までおかしい「2014年度経済財政白書」
政府は25日、2014年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を公表した。例によって論点が盛りだくさんだが、筆者としては消費税増税の影響に興味があるので、その点に絞ってみよう。
冒頭に甘利明・経済財政相による「平成26年度年次経済財政報告公表に当たって」がある。この部分は、甘利大臣がサインするので、事務方が用意するものの、ここだけは大臣自身が必ず読んでいる。はじめの部分を引用しておこう。ここが経済白書のポイントであることは間違いない。
〈日本経済が、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」の効果もあって着実に上向く中、2014年4月に消費税率が8%へと引き上げられました。
景気は、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動によりこのところ弱い動きもみられますが、緩やかな回復基調が続いています。今後については、駆け込み需要の反動の影響が次第に薄れ、各種政策の効果が発現する中で、緩やかに回復していくことが期待されます。
ただし、海外景気の下振れなどのリスクを注視していく必要があります。日本経済は、デフレ脱却へ向けて着実に進んでおり、今後は適度の物価上昇が安定的に実現する正常な姿に戻っていくことを期待しています〉
簡単に要約すれば、消費税の影響は大丈夫で、リスクは海外要因だと言っている。
本当だろうか。本コラムを読んでいる読者であれば、最近の経済指標は軒並み良くないことをご存知だろう(→7月21日付「政府月例経済報告に異議あり!消費税増税の悪影響を認めたくない政府に騙される政治家とマスコミ」など)。
5月の家計調査、機械受注、住宅着工が既に出ている。これらの統計は、民間消費、民間企業設備投資、民間住宅投資を占う統計なので重要だ。何しろ民間消費、民間企業設備投資、民間住宅投資でGDPの7割を占める。
しかし、これらのいずれも過去の消費税増税の時と比べて悪い数字なので、筆者としては、消費税増税の影響が出ていると判断している。