「ウェブメディアは儲からない」への挑戦---nanapiがグローバルメディアを打ち出す理由と現在地を聞いた

[左]永山忠義氏(株式会社nanapi・編集者)、[右]古川健介氏(株式会社nanapi・代表取締役社長)

PV単価が4~5倍、ユーザー数20倍の英語圏に挑戦

日本のウェブメディアは限界を迎えているのだろうか。人口も限られるため、広告売上もそれほど高くない。しかしながら、このような状況下で、一つの挑戦がはじまっている。

2014年4月、株式会社nanapi(ナナピ)がグローバルメディア「IGNITION(イグニション)」を立ち上げた。月間3500万訪問数のライフレシピ共有サイト「nanapi」やスマートフォンに特化したQ&Aアプリ「answer(アンサー)」などを運営している同社がなぜ、英語の長文記事を掲載するメディアを立ち上げたのだろうか。このグローバルメディアについて、同社代表取締役社長古川健介氏とIGNITIONの編集を務める永山忠義氏にインタビューを行った。

立ち上げの背景には英語圏のポテンシャルの大きさがある。あるとき、ハウツーサイト「nanapi」の広告売上がPV単価0.4~0.5円なのに対し、海外の同様のサイトでは2円ほどということを聞いてショックを受けたという。PV単価が4~5倍、ユーザー数は20倍、日本語圏と英語圏では80倍のポテンシャルの違いがあるのだ。

「海外メディアが日本に上陸し、翻訳中心で展開するだけでもクオリティが高いです。一方で、日本のウェブメディアが稼げないからといって、PVばかりを狙うようなコンテンツを出し続けていくとまずいという問題意識もありました。記事にかけられるコストに差があり、最終的にクオリティで負けるという状況で、メディアはもとからグローバルで考えないといけないと思ったんです」(古川氏)

グローバルメディアの着想を得たのは去年の12月、プロジェクトが立ち上がったのが1月だった。出版社出身でnanapiの編集を務めていた永山氏がIGNITIONの編集担当を務め、エンジニア2名、デザイナー1名、ウェブディレクター1名、プロジェクトリーダー1名という6名ほどのチームでメディアづくりを行っている。

ネーミングは海外のクラウドソーシングを数回活用して決めた。約1000件のネーミング案から、上位を選出し、社内投票を実施。最終的には、ドメインの取りやすさやイメージと合致することから、「発火・着火」を意味する「IGNITION」と名付けられた。

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