アナログとデジタルを融合させたアフリカのための図書館プロジェクト「Librii」がガーナでスタート
2013年4月にオープンした電子図書館「アメリカ・デジタル図書館(The Digital Library of America)」を見てもわかるとおり、長年にわたって人類が築きあげてきた知識や創作物は、次々とデジタル化され、インターネットを通じて世界中で共有されるようになってきました。このように、デジタルアーカイブを集約するオンラインプラットフォームが整備されつつある一方で、より多くの人々がこれらオンライン上の"知"を利用でき、とりわけ、発展途上国における情報格差(デジタル・デバイド)を解消しようという取り組みも進んでいます。
「Librii」は、「アフリカの貧困地域や過疎地に、通信インフラを活用したコミュニティ図書館を設立しよう」というミッションを掲げ、建築家David Dewane氏ら米テキサス州・ライス大学(Rice University)の卒業生たちが立ち上げたプロジェクトです。このプロジェクトは、2010年、世界銀行研究所(World Bank Institute)の助成のもと、非営利団体「Libraries Across Africa」として活動をスタート。2011年には、優れた社会的イノベーションを表彰する米デル社(Dell)のコンペティション「Dell Social Innovation Challenge」で「Best Innovation Levering Technology」も受賞しています。
プロジェクトチームでは、図書館建設に先立ち、アフリカ大陸に属する全55ヵ国を対象に、経済成長率、国民1人当たりの国内総生産(GDP)、識字率、政治的安定度、情報通信インフラの普及状況など、様々な観点から市場調査を行いました。その結果、アフリカ大陸に居住する約10億人のうち、インターネットへのアクセスが可能な割合は約13%にまで増えているものの、ブロードバンドに対応しているのは全体のアクセスのわずか3%と、まだごく一部にとどまっているのが現状だということがわかりました。
そこで、「Librii」は、アフリカ大陸での今後のブロードバンド普及を見越し、現時点で最も情報通信インフラの整備が進んでいるガーナの首都アクラ(Accra)で、第一号となるコミュニティ図書館を設立することを決定しました。2013年内の完成を目指し、以降、他のアフリカ諸国にも同様の図書館を建設していく方針です。