2011.12.14

オリンパスの粉飾は「重大ではない」?
上場廃止回避のムードが強まる東証周辺に霞が関の影

オリンパス第三者委員会〔PHOTO〕gettyimages

 オリンパスの巨額損失隠し問題で、同社が設置した第三者委員会が報告書をまとめた。バブル期の財テクによって生じた損失については歴代の社長が存在を認識し、「(損失処理策は)巨大な負の遺産として、いわば裏の最優先経営課題と位置づけられていた」ことが明らかになった。組織ぐるみの行為だったことを認めているのだ。

 この報告書がまとまったのを受けて、東京地検特捜部や証券取引等監視委員会、東京証券取引所による捜査や調査が本格化、今後、責任追及が本格化する。

 その中で1つの焦点は、東証がオリンパス株を上場廃止にするかどうかだ。

 東証が上場を廃止にする基準には、株主数や時価総額といった外形基準のほかに、債務超過となって1年以上が経過するなど、経営が大きく悪化した場合など、いくつかの規定がある。その中に、「有価証券報告書等に虚偽記載を行った場合で、その影響が重大であると当取引所が認めたとき」という項目がある。

 虚偽記載---。決算書に嘘の記載をすることで、端的に言えば粉飾決算ということになる。つまり、投資家や株主を欺くような会社は市場から追放する、という意味だ。上場企業にとっては死刑宣告に等しい。実際、これまでの例では虚偽記載が明らかになったり、疑われた結果、市場の信用を失って経営破綻に追い込まれたケースが少なくない。

 では、オリンパスはどうなるのか。

 第三者委員会によって巨額損失を隠して決算書に記載しない「虚偽記載」が長年にわたって行われてきたことが明白になった以上、上場廃止は避けられないという見方が、市場関係者の間には多い。だが、上場廃止にするかどうかを決める東証の周辺を取材すると、「上場廃止にはしない」というムードが醸成されていることに驚かされる。

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