2025.01.09
「心筋梗塞」が少ない「日本人」、じつは「2つの食材」を食べていたからだった…!
日本人には、日本人のための病気予防法がある! 同じ人間でも外見や言語が違うように、人種によって「体質」も異なります。そして、体質が違えば、病気のなりやすさや発症のしかたも変わることがわかってきています。欧米人と同じ健康法を取り入れても意味がなく、むしろ逆効果ということさえあるのです。見落とされがちだった「体の人種差」の視点から、日本人が病気にならないための方法を徹底解説!
*本記事は『欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」 科学的事実が教える正しいがん・生活習慣病予防』(講談社ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。
*本記事は『欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」 科学的事実が教える正しいがん・生活習慣病予防』(講談社ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。
日本人の血管を守る魚と大豆の力
日本人が動脈硬化を起こしにくい原因の一つと考えられてきたのが、善玉HDLが多いことです。日本人と米国白人の血中脂質の濃度を比較した2008年の論文によると、悪玉LDLと中性脂肪の数値はほとんど同じでしたが、米国白人の善玉HDL値は日本人より10%低くなっていました。
善玉HDLは、あまったコレステロールだけでなく、酸化LDLも引き抜いて肝臓に運んでくれます。この他に、悪玉LDLを酸化されにくくする作用や、血管の内側の細胞を守る作用も報告されており、日本でも海外でも、心筋梗塞に関しては、悪玉LDLが多いことより善玉HDLが少ないことのほうが問題と考えられています。
日本でも食の欧米化が進んでいることから、これからは日本人も善玉HDLが減って動脈硬化になり、心臓病が増えるのではないかと予想する専門家もいました。ところがです。最近になって驚くようなことがわかりました。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、食の欧米化にもかかわらず、日本人のHDLは減っていないのです。
図5-5は、日本人のHDLの数値を男女別にグラフにしたものです。男女ともに数値はほぼ一定で、ほとんど変わっていないことがわかります。日本人のHDLが高い理由を解明して動脈硬化の予防に応用できれば、世界の人にとって大きな恩恵になるかもしれません。
そして日本人の動脈硬化が進みにくい原因とされるものが、もう一つあります。魚です。
先に書いたように、悪玉LDLバスには、コレステロールの他に脂肪酸がお客さんとして乗っています。脂肪酸はどんな脂質にも入っている成分で、大きく不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸に分けられます。そして、この脂肪酸の種類によって悪玉LDLバス全体の酸化されやすさが決まるのです。