スクウェア・エニックスから4月26日に発売のNDS用RPG『FINAL FANTASY XII REVENANT WINGS (ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウィング)』の感想・レビューです。
●ロード時間、セーブスロット数など
気になるようなロード時間を感じるような場面は特にありませんので快適にプレイ出来ています。
セーブスロットは2つ作成可能。通信要素はありません。
●続編という位置づけについて
『ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウィング』という名前からもわかるように、本作はPS2「ファイナルファンタジーXII(FF12)」の続編(外伝)です。FF12から引き続き登場するキャラクターやモンスターが前置き無しに多数登場し、シナリオ面でもFF12を知らないとよくわからないような部分もあるので、FF12をやらずに本作をプレイすると専門用語や固有名詞も多いこともありかなりわかりづらいかもしれません。続編という位置づけで認識する方が賢明だと思うので、ご注意を。ちなみに音楽は、FF12とかなり共通しています。
●開発は「THINK AND FEEL (シンク・アンド・フィール)」
本作の開発は、GBA「モンスター・サマナー」やPS「ちっぽけラルフの大冒険」などが代表作の「THINK AND FEEL (シンク・アンド・フィール)」が担当しているようです。ディレクターは、スクウェア・エニックスの鳥山求氏(代表作:FF10-2など)。
●ゲームの流れ、リアルタイムシミュレーション
公式サイトの表記では、本作のジャンルは「RPG」となっていますが、「リアルタイムシミュレーション」と表現した方が正しいような気がします。“多数のキャラクターや召喚獣 vs. 多数のキャラクターや召喚獣”というバトルになるのですが、多数のキャラクターがリアルタイムに入り乱れるので、詳しくジャンルを書くのであればリアルタイムシミュレーションとなるでしょう。
ゲームの流れとしては、(1)シナリオ進行、(2)バトル準備、(3)バトル、(4)飛空艇、準備、移動、もしくはフリーバトル、(5)シナリオ進行、という流れの繰り返しですが、自由に移動が出来るマップはバトルフィールドを除くと、(4)の部分ぐらいでしか自由に移動が出来ません。自由に移動が出来るとは言っても、飛空艇内は狭くあまり変化が無く、自由に移動可能な街はほぼ出てきません。フィールドマップはただの移動なので、ほぼシナリオとバトルの繰り返しと言っても過言ではありません。
●バトルについて
リアルタイムシミュレーションのバトルですが、本作のバトルはそんなに難しくはない印象を受けます。雑誌のレビューにて“ゴリ押し(力押し)が可能”とありましたが、本当にそうでした。詳しく言うなら、本作は多数の召喚獣が登場し、それらをバトル中に召喚し、敵と戦います。味方として登場するキャラクター・モンスターは大体10~20体。敵がだいたいこれの2倍程度出現し、それらが入り乱れます。しかしバトルにはそんなに戦略が必要というわけでもなく、味方全員で敵の集団に特攻すれば勝ててしまう、という難易度とバランスです。気にかける点と言えば、3すくみがあるのでパーティが偏らないように注意することと、属性を考える事ぐらいです。これらはバトル前の編成画面にて敵の情報が全て表示されるので、それを見ながらパーティ編成すれば特に問題はないと思います。
導入として丁寧なチュートリアルも挿入されますし、ヘルプはいつでも見る事が出来るので、初心者にもやさしいつくりになっていると思います。
FF12は“少数 vs. 少数”のリアルタイムシミュレーションのようなバトルでしたが、それらをデフォルメし、“多数 vs. 多数”にしたようなイメージと捉えてもいいかもしれません。実際、システム面ではFF12に似ているような部分も多く、FF12の経験者ならすぐに馴染むことが出来ると思います。
●バトル感想
本作のキモでもあるバトルですが、正直なところ筆者はあまり魅力を感じませんでした。理由としては概ね以下の通り。
(1)、ゴリ押しで勝てるので簡単。戦略が必要ない
(2)、多人数が入り乱れるので、操作が大雑把でいい。細かな操作が必要ない
(3)、同じことの繰り返し
(4)、細かな操作が必要ないが、細かな操作はしづらい
(1)についてですが、バトルの難易度というか歯ごたえがあまりありません。属性や3すくみにある程度の気を使い、召喚獣を限界まで召喚すれば(頭数をそろえれば)ほぼ負けることはありません。自分で制限をかけ難易度を上げればいいのかもしれませんが、普通にプレイする上で全くと言っていいほど戦略が必要とされないうえに、(3)で挙げたように同じことの繰り返しなので、バトルが次第に作業的としか感じる事が出来ないようになりました。(2)については、長所とも言えます。携帯ゲーム機という制限もあり、このような結果になったとも思えば(2)は長所とも言えますし、携帯ゲーム機だからと妥協しなければあまり面白くないバトルとしか思えませんでした。(4)については、多人数が入り乱れるため、集団の中のとあるキャラクターにピンポイントで指示を出そうと思っても、うまく選択(タッチ)する事が出来ず、細かな操作が難しくなっています。細かな操作が必要な難易度ではありませんが、たまに必要になる細かな操作の時に不満を覚えました。
●総評
バトルが終わる度など、細かくセーブをするかの選択画面が出てくるので、携帯ゲーム機としての配慮は全体的に出来ていると思います。個人的な意見を言わせてもらうなら、続編として捉えてもあまりに不出来としか思えないシナリオやあまりに使いまわしすぎる音楽、キャラクターなど、FF12の七光を期待しすぎているのではないか、と思える部分が多々見受けられました。全体的なボリュームもあまりなく、やり込み的な要素もあまりないようなので、全体的にもう一歩が欲しかったと思います。
しかし褒めるべき点も多いのも事実。ムービーの演出に2画面を効果的に使った点は素直に感心しましたし、よく練られたとも思うインターフェースやFFとしての初心者への配慮。取っつきにくそうなジャンルをここまで取っつきやすくしたのは、流石と言えると思います。
なのでまとめるなら、FFとしてライトユーザー向けと考えるならば、比較的良作。ヘビーユーザー向けと考えるならば、作り込みが今一歩足りない、といった感じでしょうか。
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