やって来た女ボス

 4月2日、1歳牝馬の放牧地に、栗毛の馬が入ってきました。

育成牧場へ移動する秋までの間、預かることになった中期育成馬。

その父は、Ｆｒａｎｋｅｌ。

前もって聞いていた通りの気位の高さで、初めての場所・初めての仲間に臆することなく、

朝から、周りの馬たちを威嚇しまくっていました。

1歳牝馬グループといえば、先日まで6頭放れていましたが、もう1頭預かる予定があることから、2グループに分割。

こちらは、昨年の3月中旬以降に生まれた、ハーツクライ牝馬、栗毛のキングズベスト牝馬、鹿毛のキングズベスト牝馬（育成）の3頭です。

ただ見ていただけなのに、

「何見てんのよぉ！」

ハーツちゃんに食らいつく、Ｆｒａｎｋｅｌちゃん。

「わっ！ごめんなさい」

口をパクパクさせて、服従の姿勢を示すハーツ。

しょんぼり。

3対1で、圧倒的に地元勢が有利なはずなのに、やられています。

その時、鹿毛キングが私の姿を見つけ、歩き出しました。

「ニンジン！ニンジン！」

続いてやって来る、栗毛のキングちゃん。

この3頭は、もともと仲が良かったはずですが、早生まれで気の強いディープ＆ピサ姉さんたちが同じ放牧地からいなくなったとたん、鹿毛キングが、台頭。

ディープちゃんがしていたように、ハーツや栗毛のキングを威嚇し始めました。

きっと、いつか自分も・・・という思いがあったのでしょう。

でも、そうさせてくれなかったのが、Ｆｒａｎｋｅｌ牝馬。

後から、のっしのっしとやって来ると、ギロリ。

みんなの後ろを回り、遠慮することなく、堂々と顔を出してきました。

ニンジンは、食べたことがないらしく、口にしません。

肩にのせて連れてきた猫のミケがとても気になるようで、盛んに匂いをかいでいました。

地面に降り立ったミケに、顔を近付けるＦｒａｎｋｅｌちゃん。

強気なミケに猫パンチされ、ちょっとびっくりしていました。

仲間たちと普通に向き合うようになったのは、それからです。

群れの中心に居座りそうなことは確か。

互いに刺激し合い、大きな活力が生まれることを期待しています。

奥の放牧地では、ヴィクトワールピサ牝馬2頭が、こちらの群れをのぞいた後、興奮したように、駆けていました。