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GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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怪奇蒐集者 異相 響洋平5

kyouhei 015

肝試しには全く縁のないわたしだが、噺だけでも聴いてみようと、、、
とは言え、実際毎日が肝試しみたいな日々でもあるが、、、。
一度、霊能者にでも見てもらいたい気はする。


1.キャンプ場の廃車
キャンプに行って肝試しに流れる定番もの。
行ったら、きゃ~っと女子が戻って来た。これこそ醍醐味というものか。
廃車の中に女がいたという。
灰色の顔の痩せこけた中年女性だそうだ(明らかにあちらの方)。
霊感のある人しか見えないのがミソ。
帰りの高速で車がやけに左に逸れる。PEに入ると車の前右タイヤに五寸釘が刺さっていた。
キャ~と戻った女子の上のタイヤだ。ヤダもう~っと言ってる場合ではない。
4人まとめて危うく死ぬところだった。タイヤを取り換え辛くも無事に家まで戻る。
肝試しを提案した男が廃車の中にあった呪いのノートを見てそのイヴェントを思いついたそうだ。
ノートに「死ね」が連呼されていてその対象の部分が破られていたそうだ。それを面白がってやった、罰当たりが。

2.非通知
深夜非通知の電話が来る。
友人にある橋まで来るように誘われた。
お前何で非通知なの、と聴くと、公衆電話からかけて来たという。
その橋は良く知ってるが公衆電話など無い。そして沢山の人が彼の背後に集まり喋っている声がした。
これはマズイと察知し、待ってろと呼びかけ直ぐに車で駆けつける。
わたしなら無かったことにしてすぐ寝るが。当たり前だ。
その誘った男は欄干に脚をかけて今にも落ちそうな体勢で、来いよと声をかけて来る。
マジかよと言って車に引き摺り込んで帰って来たそうな。
そこに行って何してたのか、訳を聴くが彼はその間の意識を失っていた。まあそうだろうね。
彼も誘われたみたい。今は誘いが多い時代だ。詐欺をはじめ気をつけないと。

3.その部屋の事実
ホテルに働く友人からの噺。
支店のホテルの内部監査を頼まれゆく。
10階に稼働してない部屋があった。
絶対何かが起きる為、使ってはいけないと従業員が答える。
使っていない部屋があっては困ると立場上、注意するが、先代からのキツイ忠告を守っているそうだ。
前の支配人がそこで一晩過ごし、大変なことになり仕事を辞めていたという。
気になり部屋を実際に見に行くと、2人の清掃員がロープで身体を結び付けドアを開けっぱなしにして作業をしていた。
まるで断崖絶壁みたいでないの。
そうしないとまずいことになるそうだ。
100%幽霊の出る部屋らしい。
除霊とかしないのか、そこだけリノベーションとか。無理やり使うとホテルの信用にかかわるだろうし。
上にどう報告したのか。


kyouhei 017


4.いつもと違う
夜中にふと目が覚める。部屋の扉が開き誰かがヒタヒタ忍び込んで来た気配。
突然、部屋の中で数を数える自分の声がする。何で自分の声なの?緊張が走る。
そして「「いるよ」といって急に首を絞めて来る。
金縛りで身動きできない。
息をやっとのことでするとその冷たい手はスルっと離れて行った、、、。
そういう噺らしい。
深夜、寝ている時に何かあったら嫌だね。
だが、いつもと違う、と言うのにはロマンを感じる。いつも同じはいい加減鬱陶しいわ。

5.離婚相談
離婚相談を受けた人が相手を車に乗せ神社に行くことに。
運気が上がるかもと思ったそうだが、神社に夜に行くか?
運転しているそばから身体の足元から冷えて行き、ついに頭の方まで徐々に冷気が上がって来るではないか。
警告だと思い、そのまま引き返した。
良い判断であったみたい。そのまま行っていたら死んでいたという確信が込上げる。しかもふたりとも。
そして相手をアパートの前まで送って来たところで、異変が、、、
彼女が鍵穴に鍵を挿せない。部屋に入れないで困っているのだ。
その時、凄い殺気を感じて背後を窺えば、彼女の夫の浮気相手が恐ろしい形相で車内から睨んでいるではないか。
その女は、何と幽体離脱して襲って来た。これほど肝を冷やした経験はない、と。SFホラーものかい。
生霊が本人の身体から離脱するところを初めて観た人の証言。
ちっとも羨ましくない。

6.仏間の闇
荒行をやった僧侶の噺。睡眠時間3時間で、お経を唱えて水を被る業を100日間やり遂げたという。
よくもまあ、その結果、除霊の技法を習得し、もう自信満々。
そんな時(20年前の噺)、除霊の依頼が来る(対象の老婆の親族から)。
当人は祈祷・除霊に確信を持っており引き受けるが、、、。
友人から断るように勧められる。その老婆は既に僧侶界において有名人であった。
これまで除霊に誰もが悉く失敗し、その後事故等で大変な目に遭ってると言う。

実際に赴くと、家は廃墟同然、異様な圧を放つ。
中も荒れ放題。臭いも酷い所謂ゴミ屋敷。下はびしょびしょの布で湿っていた(キモイ)。
奥から老婆が出現。「どうしました、、、?」わたしならそこで無理。
お経を唱えると空気がいきなり変わった。凄く沢山のひと~霊が殺意の視線で寄り集まって来た。
怯むことなくより声を張り経を唱え続けると、、、
お供えのおはぎがグネグネと動きだす。よく見ると何と猫の首ではないか。下にあったのは布ではなく湿った猫の皮であった。
「主人が猫好きでしたからねえ、、、」という老婆に、僧侶は家を咄嗟に飛び出していたという。
その前によくもそんなところで経をあげたもんだな。わたしなら家を見ただけで逃げるぞ。
生半可、自信があると言うのが怖いもの。

kyouhei 016

いつも思うが作ろうとすれば幾らでも出来る噺だ。勿論、自分で収集したというのだから、そうなのだろう。
だがよくこんなに沢山あるものだ。こういう噺が。
こちらとしては時折、聴くだけでたくさん。
AIならどんどん量産してしまいそう。騙りも上手かったりして、、、。
怪奇蒐集者も頑張ってもらいたい。





AmazonPrimeにて





CURE

CURE001.jpg

CURE
1997

黒沢清 監督・脚本

役所広司、、、高部賢一(刑事)
萩原聖人、、、間宮邦彦(元心理学部学生)
うじきつよし、、、佐久間真(心理学者)
中川安奈、、、高部文江(高部賢一の妻、統合失調症)
洞口依子、、、宮島明子(医師)
戸田昌宏、、、花岡徹
春木みさよ、、、花岡とも子
でんでん、、、大井田巡査
螢雪次朗、、、桑野一郎
大鷹明良、、、安川刑事
大杉漣、、、藤原本部長


とてもよく練られた作品であるのはよく分かる。
言いたいことも巧みに説かれているように見えるが。
間宮邦彦という伝道者が後継者である高部賢一を見出し、高部が更なる高次の位置に就くのをわれわれは観て終わる。
高部は一体何を継承したのか。
悪しき催眠術師の類か。

CURE003.jpg

そんな映画であった。
こういうことは、あのような凄い外観の何処にあるのか分からないような廃病院に行かなくても、、、
秘境的なビデオを拝まなくとも、、、
日常茶飯の家の中や学校内でも白昼のもとで行われている。
食卓や居間や部活の部屋や休み時間の教室などで。
いつものルーチンのうちに。
無意識的にしかし意図的に。
勿論、意識的にそれをやる人間もいるはず。

CURE002.jpg

指先の動き、炎の揺らめき、溢れる透明な水とその流れる音、、、
ここで意識を動揺させる。
のらりくらりと苛立たせながらその人間が抑圧・封印している観念と感情を呼び覚ます。
それに付け入れられたら、自分の抱えた問題を覚醒する場合はある。
これは解放に繋がる良い療法ともなろう。
自分を締め付ける観念を手放す為の。
しかし、その問題解決にあたりその対象自体を現実に排除~殺傷する短絡は別の意図によるものか。
つまり術者の暗示であり催眠術によって操った殺人ゲーム?

CURE004.jpg

この間宮邦彦はそもそも何をやらんとしていたのか。
邪教を広めようとしている魔導士みたいな存在に窺える。
自分を抑圧する対象に見えるものは、飽くまでも対象に関する観念でありイメージである。
対象自体に本来意味はないし価値もない。
特定の対象が自分の抑圧または迫害を継続するようならそれ相応の手立てを講じるのは当然だ。
しかしここでは本人はほぼ意識をなくし相手の首を斬り裂いて殺害する結果に終わる。
何でこうなるのか。その後、当人も唖然としているが。
(ここでは殺害者も皆、被害者である)。
自分を抑圧している対象(に関する観念)が明白となれば通常そこから解放され、本来の自分として適切な距離と対処が可能となるはずだが、それが真逆の無意識的な行為~殺害、しかもX状に首を斬り裂くという、まさに間宮邦彦に操られた形の結末なのだ。
警察にとり、連続猟奇殺人しかもそれぞれ同じ形の殺害だが個々に関連は見られない、というもの。

CURE005.jpg

間宮邦彦は何者で、何をしようとしていたのか。
(その研究の師みたいなのがいたみたいだが、悪しき催眠術師に過ぎないのか)。
そして高部賢一も一体何になったと謂うのか。
確実に悪魔みたいな存在と化したのは分かるが。
誰もが程度の差こそあれ不全感を抱き解決できない問題を抱え持って生きている。
生き難い世界だ。
そこにこういった介入は何の価値があるのか。
意味が分からない。
自らが解放されると皆が殺人鬼と化してしまう(又は殺人幇助する立場となる)と言うのは余りに歪。

CURE006.png

ヒトの本質はこのような殺害マシンというような。
その部分は確かに大きいとはいえるか。
しかし”CURE”には全くなっていない。
何とも言えない作品であった。






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ソウX

Saw X001

Saw X
2023
アメリカ

ケヴィン・グルタート 監督
ジョシュ・ストルバーグ、ピーター・ゴールドフィンガー 脚本

トビン・ベル、、、ジグソウ/ジョン・クレイマー
ショウニー・スミス、、、アマンダ・ヤング
シヌーヴ・マコディ・ルンド、、、セシリア・ペダーソン
スティーヴン・ブランド、、、パーカー・シアーズ
レナータ・バカ、、、ガブリエラ
コスタス・マンディロア、、、マーク・ホフマン
マイケル・ビーチ、、、ヘンリー・ケスラー
ジョシュア・オカモト、、、ディエゴ


わたしは『ソウ』しか観ていないのだが、これは何と”10”ではないか。ソウなの?!もはや「寅さん」のレベルだわ。
凄い人気シリーズになったものだ、と感心したが、間が空きすぎて大丈夫かなと心配にもなる。
しかし、噺の時系列は『ソウ』と『ソウ2』の間に位置するそうだ。
丁度良かった。
では安心して観る。

Saw X005

安心して観られる訳ないじゃん!
”Saw”なんだからもう鋸でギリギリ切るしかないのよ、、、もうまったく。
わたしのもっとも苦手領域だって!
だが、引きつけられるね。この虚無的で達観した乾いた表情。
ジグソウというヒーロー。
ここでは、末期癌で藁をも縋りたい人間を騙して金だけ巻き上げる詐欺グループを裁く。
そう謂えば、日本にも必殺何とか人とかいたな。

Saw X004

しかしこのヒト、末期癌で後数か月と医者から宣告されて、映画10作出てる訳よね。
この10作目が初期の頃を描いているにせよ、9作まで行ってるのだし。
『ソウ』が2004である。もう21年目だわ。
こりゃ癌は趣味で生きてるうちに昇華しちまったのか。
趣味で思いっきり発散できれば身体に良いこと請け合い。
わたしも基本そうしているが、更に強化するぞ。
さて、ここで観るのを終えたい。
と言いたいところだが、最後まで付き合う。

Saw X003

このジグソウの主義から言って、罪は自ら償うのだ。
だから自ら脚とか腕とか脳ミソとかを切り出さなければならない。
だが肝心なことだが、間違っても納得した上での自らの意思によってではない。
選択の余地なくそうしなければ確実な死が待ってるだけだからだ。
ジグソウの決めたゲームのルールに従いそうするしかないと言うだけの噺。
しかも自らの行いを恥じても反省してもいないので、ただ生存本能に従いやけっぱちで狂ったように自傷するだけ。
これを自ら罪を償う行為とは到底言えまい。

Saw X002

ジグソウ自身が殺してあげる方が遥かに優しい。
自ら手を下さず、恐怖と苦痛を目一杯味合わせそのあげくに自動的に時間切れでシステマチックに殺す。
これ程残酷な殺し方があろうか。
趣味人だねえ。と言うか彼独自の倫理規定なのだ(彼独自の信念が要請する)。
まず殺す~罰する人間に合わせた殺戮機械を裁きの論理で厳密に作っている。
末期癌で苦痛も相当なものであろうに。能力も精神力も強靭だ。強靭な狂人なのね。
しかも彼はその(自動)機械によるゲームは飽くまで罪人に対する試練であると主張する。
与えられた試練を苦痛に耐えしっかり成し遂げれば、辛うじて命だけは助かる~救済される仕組みなのだ。
実際に、今回ふたりはクリアした。勿論、医者で何とか助けられようが相当な深手を負ってはいるが。
だが辛うじてクリアしたガブリエラは、セシリアに無残に殺されてしまう。

Saw X007

出て来る連中が皆凶悪で狂ってるというのも凄い。
そのなかでもこのジグソウの脳回路は特に際立っている。
最初の病院での検査の病床にあって隣の部屋の清掃に来た男が患者の貴金属を盗もうとしていた際、その男に相応しい拷問機械~メカニズムを瞬時に構想し実際に男が狂乱している絵まで浮かんでくるのだから大したもの。
これは特異な才能だ。メカにもやたらと強い。しかもマシンに美意識すら感じられる。
発明とかにその能力を使えば良いのに。
しかしヒトを残酷にいたぶるのとセットの能力なんだろうね。
セットにならないと発想自体が浮かばないのかも。
そういうヒトもいると思う。ヒトラーにはきっと喜ばれる人だ。

Saw X006

まさに末期癌でも10本映画に出てしまうタフな狂人なのだ。
エイリアン対プレデターと言うのがあったが、ジグソウ対レクターというのも凄そう。
たまには観たい映画かも。刺激が強すぎるが。
豚の被り物をしたり妙な三輪車のキャラは何なのかちょっと不明であった。趣味との関連か。
それから助手の女性。シリーズを観てないとやはり知らない(関係が分からない)ヒトもいる。
機会があれば、2~9のどれか観てみたい。





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サンクスギビング

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Thanksgiving
2023
アメリカ

イーライ・ロス 監督
イーライ・ロス ジェフ・レンデル 原案
ジェフ・レンデル 脚本

パトリック・デンプシー、、、ニューロン保安官
アディソン・レイ、、、ギャビー
マイロ・マンハイム、、、ライアン
ジェイレン・トーマス・ブルックス、、、ボビー
ネル・ベルラーク、、、ジェシカ
リック・ホフマン、、、トーマス・ライト
アマンダ、、、ジーナ・ガーション


わたしがこれまでに観た、スプラッターホラーの中では良く練られた、こってりした出来の映画だった。
ともかく、こちらまで痛い痛いと言ってしまうような痛さ満載のスプラッターなのだ。
感覚と言うか痛覚に直接、訴えかける作品である(その上、吐き気も誘う)。
参るわ。もう。一番苦手分野だわ。
切る折る削ぐ潰す焼く、、、惨殺~死体損壊も甚だしい。そのうえで飾ると来るのだ。
しかもターゲットに対しSNSにタグ付けしてロックして来る。警察には犯行場所の配信をして来る。趣味人だねえ。
何やらピルグリムとの関連付けも意図してるのかしらこの監督(脚本家)、ジョン・カーヴァーのお面の強調からして。

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やり方がいちいち芝居じみて凝っている。
ここでも警察はお馬鹿で役立たず。
復讐劇なのだが、シンプルに待ち伏せて銃で撃ち殺すとかではなく面白いシチュエーションで凝った殺し方がしたいのだ。
拘りの強い暇な殺人鬼である。
まあ監督・脚本家の趣味であろうが。
こいういうニーズに応えようと言う。
丁寧な作りだし、ヒットしたのでは。
続編も当然匂わせていた。

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しかし、ガンガンぶっ叩いて内臓飛び散るまでは、この手の映画で度々見て来たが、七面鳥みたいにこんがり焼いて食卓に出すというのは、なかなか見ない。もう七面鳥だ。感謝祭に忠実なのは分かる。
こんがりと良い焼き加減の妻を、ご主人にどうぞ召し上がれと出されては、彼もゲロ吐くしかなかろう。
この犯人の趣味~冗談はキツイ。
まあ復讐なのでダメージを狙っているのだろうが、イメージも取り込み何ともである。
それからいつも思うのはこうしたホラーで殺される輩だが、ざまあみろという感覚しかない。
殺人犯の応援はしている訳ではないが、犠牲者に余りにも可愛げのないのも事実。
そこが淡々と観れるところか(吐き気には気を付けたいが)。

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感謝祭の日にブラックフライデーにかかる大売出しを行ったデパートで客が待ちきれず準備中の売り場に雪崩れ込む。
そこで暴動となり巻き込まれた客や警備係などに死者が出る。
これを焚きつけたのが、店のオーナーの娘とその友達の高校生たちであった。
長時間柵の外で待っている客を尻目に従業員扉から先に入って商品をあさる真似をして挑発してしまったのだ。
中で燥いで見せる男子にボコボコにされた不良も列に混ざっており、その辺が中心に特攻して来た。
先に特権的に中に入った高校生の挑発で、客たちが暴動に駆り立てられたとは謂える。
あってもおかしくないシチュエーションか(実際に安売りバーゲンで死亡事故は起きてるし)。
この場で、犯人の恋人も巻き込まれて亡くなったのね。実際のバーゲン怖い。やはりAmazonの通販にしておく。

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死者は単に事故死扱いとなり、罪に問われる者はいなかった。
それで拘りの強い趣味人でもある殺人鬼が関係者を次々に襲う。
これ見よがしな惨殺であり、労力からすればもう少しあっさりしても、と思うが。
監督、脚本家の相談によりこの演出がベストとなったのだろう。
思い切りこってりしている。
怖いと言うより吐きそうになる人が出てもおかしくない。
そういう映画だ。ポップコーン食べながらは、やめた方がよいかも。

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終盤の感謝祭パレードからの怒涛の展開が大いに魅せる。ある意味、祭りで始まり祭で終わる。狂乱の祝祭殺戮物語。
恐らくスプラッターホラーファンからすれば盤石の定番なのかも知れぬが、ピタゴラスウィッチ的な面白さもある。
成程そう来たか的な。
大変手強い敵であり、これまで観たラスボスと比べ誰にも負けていない感じ。
やはりあの警官ねえ、、。
そして辛くもガスで焼き殺したと胸を撫でおろすが死体は出てこない。
何かに成り済まし(これまではジョン・カーヴァーのお面を被っていたが)群衆の中に潜んだのか。
潜伏し突然現れる予感、、、助かったはずのヒロインの悪夢で終わる。

Thanksgiving005.jpg

なかなか面白いし、続編が出れば(この監督なら)観ようと思う。
何も考える必要もない気楽さはあるが痛いしゲロ吐く恐れはあるかも。






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ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

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2023

金子由里奈 監督
大前粟生 原作
金子鈴幸 金子由里奈 脚本

細田佳央太、、、七森剛志
駒井蓮、、、麦戸美海子
新谷ゆづみ、、、白城ゆい
細川岳、、、鱈山
真魚、、、光咲
大迫祐希、、、藤尾上
若杉凩、、、西村
天野はな
小日向星一
宮﨑優


建前は、何でも受け容れ認めますよ、だから気兼ねなくいらっしゃい、みたいな集まりに見える。
もし自分があの部活の扉をノックして開いたら、、、
強烈な違和感に、間違えましたとサッサと逃げ出すはず。
そもそも縫い包みと話すって、集団でやることなの?
京都の大學なのに標準語なの?
生き辛さという一点において共感は出来る。
やはり何と言っても、ヒトとの関係だと思う。

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自分に沈下した内言語をむずむず感じそれを放出する~自分を確認する必要性を感じたら、文を書くのが手っ取り早い。
絵も優れて役立つ方法だ。時間はかかるけどそれだけの事はある。
縫い包みに向けて各自想い想いに話すと言うのも、面白い試みかも知れない。
だが考えてみると、同様の経験は図らずともやっている。
ヒトに向けマイクで喋る時も自らの口から発せられる言葉を耳で聴き、自分が何を騙っているのかを確認しているものだ。
テーマあって話してるから関係ないということではなく、不可避的に自分を騙ってしまう。
自らが自動的に騙るのを聴き、自分が何を考えているのかを知る。そんな経験は幾らでもある。
わたしもかつて職業柄人前でマイクで長々と喋ることは多かった。
そんな時、思考力は自分の口から紡ぎ出される言葉の確認に向けられている。少なくとも考えて話すと言う事は無い。
テーマに沿ってであろうと、実際に話し出すとことばは自動的に生成されてゆく。考えて話すようなタイムラグはない。
縫い包みを前にしなくとも、自らの喋りを聴き自らを知ることは様々な局面で日々していたりするもの。
意識すればそれは確認できる。

nuigurumi003.jpg

でもやはりその情報量の蓄積と拡張・展開・再利用を考えると文が良いかな。
絵も情報量からすれば大変なもの。感性的にも精神的にも有効だし健康にも良い。
一時、絵が描けなくなったことがあり、それはとても自分にとり不味い事態となった。
これからは何よりも積極的に描かねばなるまい。
作曲家ならば曲もよい。
縫い包みに語ることが身についている人はそのまま続ければよいだろう。
七森や麦戸もそれで思わぬ自分を見出して苦しんだりしている。
自己解体の契機となり、良いことだ(この部活に入って良かったと最後に言っていた)。

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わたしはトラに語り掛ける気はしないし、鉄人やガメラのフィギュアに語り掛ける気も無いが。
そうした行為は自らが騙るのを聴いて自らを知る、考えを整理することに確かに役立つ。発散、浄化にもなるかも知れない。
これは分かるが、あのドヨ~ンとした特異な湿度の集団に見詰められたらハイ、さようなら!と二度と行くまい。
そもそも何で集団でやるのよ。聴かれたくないこともあろうに。自分の部屋で独り静かにやったら、どう?
この部活の規約に人の喋っている内容はヘッドフォンして聴かない、人形は大事にする、とあったが、どうしたって漏れ聴こえるわな。

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あの髭生やした男子学生の圧力は凄いぞ。
あの風貌で「だれかを傷つけることになってしまうかも、、、」とか涙声で騙られたら、、、
向学の為、わたしも一週間体験入部させてもらうかも。
聴いてないふりしてしげしげと聴いてみたいものだ。ちょっとぞくぞくするかも。
「優しさの場」というものに一度、浸ってみたい気もして来る。怖いが。
始め七森と麦戸は、縫い包み作りの部活だと思って扉を叩いたのだ。
ぎっしり縫い包みは並んでいるが、作れる人はいなかった。
その髭学生の言う事がシュールだった。一番端にいる縫い包みの隣にも縫い包みを置かなければならない、、、。
やはり一週間の仮入部は必要だ。
こういう集団、もしかしたら面白いのかも。縫い包みはさておき。

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駒井蓮がヒロインということでポチっと観始めたのだが、、、
キャラとしては、白城ゆいと言う女子学生が、マドンナに思えた。
悩みを聴いてもらうなら彼女しかいない気はする。
観察するなら面白い部活かも知れぬが。
長居は無理。

七森が白城に告白したのは何故だろう。
わたしは、麦戸なのでは、と思っていたが。
結局、彼は恋愛関係と言うのは分からないと言う。「友愛」しかピンと来ないらしい。縫い包みより白城との関係で分かる。
ここでも男女ペアや女子同士ペアもいたが、誰とも恋愛関係を結ばないヒトがいても良いと思う。
その辺の自己確認~自覚にも繋がるなら意味あるものだ、この部活。
「やさしさ」の前提である。






AmazonPrimeにて




ナチス強制収容所

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1945
ジョージ・スティーヴンス監督
アメリカ

ドキュメンタリー。モノクロ記録フィルムである。
アメリカ軍により各収容所から捕虜が解放される様子を記録したものである。
映画なので臭いはしない。風もなく埃もたたない。
エアコンのもとで、ミルクティーを啜りながら観ることが出来る。

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30分がやたらと長く感じた。
ヒトの尊厳がこれ程に踏みにじられる局面があるのだ。と思うところだろう。
しかし、わたしはこれと無縁の場にはいたことがない。
尊厳と言う点において見事に踏みにじられて生きて来た。
勿論、激しい怒りと憎悪の念に燃えているのは当然の事。
これからどう動くかだ。

ドイツでは、極右のAfD(ナチスを評価している党)が台頭目覚ましい。CDUに僅かの差で2位につけている。
しかもこれまた急激な伸びを示す最左派のBSW(3位につけたらしい)がAfDと主張を同じくしているようだ。
ウクライナ戦争による自国の経済の悪化に対する懸念が大きく影響を及ぼしているという。
(本来ドイツはロシアとの相互依存的な経済関係を保って来たのに瓦解した。それに加えての移民問題である)。
「関心領域」からも分かるが、普通に理性的で職務に忠実な人間はいとも容易く有能なナチスになる。
いよいよ準備段階に入ったか。それらの党の支持者はトランプファンが多いのも特徴。
SPD(社会民主党)、緑の党、FDP(自由民主党)の連立に上にショルツ政権は立っているが劣勢のもいいところ。

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夥しい数の捕虜の死体がまずは収容所の近傍、一般人の住む村に隣接する場所に埋められるが、その悪臭に耐え兼ね、村人たち自らが掘り起こし別の場所に埋め直したそうだ。
ドイツ国民も実際、何が行われているか、知らぬはずはない。
遺体の検証も可ねまたもや掘り起こされ彼らは並べられる。
山のように積まれた死体。この即物的光景。人としての尊厳などどこにあるか。
ぞんざいに扱われる死体。
皆ガリガリの木の枝みたいな裸。顔に何とか個性が窺えるか。だがその表情は恐怖と苦悶が作った化石でもあった。
それが計650万体にものぼるのだ。途方もない。

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ほんの少数の生き残った捕虜が、虐殺の方法をカメラの前で騙る。
銃殺、飢え、生体実験による病、撲殺、生きたまま焼き殺す、感電、ガス~焼却、、、
ドイツ兵にとっては日課~ルーチンである(女性監視官なども当然いる)。
施設は自動ではなく手動である。常に意識して操作をして来たのだ。
(ガス室はシャワー室と偽り、タオルと石鹸を渡しダミーのシャワーヘッドまで付けられていた)。
食料は無いに等しく、死んだ人間の肝臓などを皆で貪ったと。
衛生状態など、どうこういう以前の問題。
ヒトとしての尊厳など端からないのだ。

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子供も往々にしてそうだ。
親に尊厳の感覚が全く無い。
うちがまさにそうであり、心身が朽ち果てる寸前にまで至った。
そこに哲学書と自然科学、ロックが救済に入ってくれた。
飽くまでもそれらのものである。自分で購入したもの。
ヒトでは断じてない。論文と音楽作品である。
もはや修復不可能ではあるが、取り敢えず憎悪の念~エネルギーで生きている。
毎朝、新たな記憶が蘇る。これが大きい。対象は親ばかりではなくその周辺の輩にも及ぶ。

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子供の頃であったから既に時効が成立していようが、生々しく本質が蘇る。
記憶とはそういうものだ。だから我々を支配し進ませる。
わたしがかねてより問題視している斜め右の爺。
そこの店子の女の少なくとも10点以上のうちからの窃盗(常習犯)。
更にうちの猫が殺されたという大声での吹聴。
確かにその後から猫の姿は消えてしまった。猫殺害はその女と謂うより、その周辺の関係者によるものらしい。
中も外もこんな状況~磁場となっていた。当時のわたしは病んでいて何も動かせなかった。
親も何もしなかったようだ(刑事事件でもある)。
貸家は潰され女はもういないが(恐らくこの世にも)、基本何も変わっていない。

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アメリカ軍が近くのドイツ住民を集め収容所の遺留品やドイツ人が依頼して作らせた人間の皮によるランプシェードや5分の1に縮小した頭部の飾りなどのコレクションを見せ、その後積まれた遺体の山もご披露したようだ。
招待されたドイツ人たちは着飾ってパーティーにでも参加するような気分で集まったらしい。笑顔の婦人が目立つ。
順路を回るうちに倒れて担架で運ばれる婦人などいたが、何とも笑える絵である。

本来、自分の身体感覚の及ぶ範囲~場の浄化がまず何よりも肝である。
何よりもわたしが心地よく過ごせる場を生成することに全力を尽くしたい。
これを観てつくづくそう思った。





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関心領域

The Zone of Interest001

The Zone of Interest
2023
アメリカ、イギリス、ポーランド

ジョナサン・グレイザー 監督・脚本
マーティン・エイミス『関心領域』原作
ミカ・レヴィ音楽


クリスティアン・フリーデル、、、ルドルフ・ヘス
ザンドラ・ヒュラー、、、ヘートヴィヒ・ヘス
ラルフ・ハーフォース、、、オズヴァルト・ポール
ダニエル・ホルツバーグ、、、ゲルハルト・マウラー
サッシャ・マーズ、、、アルトゥール・リーベヘンシェル
フレイア・クロイツカム、、、エレオノーア・ポール
イモゲン・コッゲ、、、リンナ・ヘンセル


『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』の監督なのね。成程、と唸った。
あれも傑作だった。
あの乾いた映像世界である。固定カメラによる視座が多い。平板であり音やアイテムでそれを想わせる。
決して実物をドラマチックに見せない。ほぼヘスの邸宅・庭園での出来事。
自然光を中心に撮影しているところに、異様に迫るものを感じさせる。
そして何より音である。銃声や叫び犬の遠吠え、、、等がとてもリアルな距離感で聴こえるのだ。

The Zone of Interest002

アウシュヴィッツ強制収容所の直ぐ近くにこの世の楽園のような自宅を構える収容所所長一家。
(当然煙や臭いは漂って来るはず。招かれた妻の母は荷物を持って或る時逃げ出してしまう)。
仕事熱心な優秀な職業軍人であり家庭思いの優しい夫であるルドルフ・ヘス。
彼を支え子供の養育、家の庭造りに専念する妻のヘートヴィヒ。
プールや芝生のうえで玩具と戯れるやんちゃで可愛い息子と娘。
理想的な家庭かも知れない。

The Zone of Interest005

アウシュヴィッツ強制収容所の焼却システムを大規模で効率的なものに改革しその功績を称えられるヘス。
しかし彼はその仕事を認められ、全収容所を束ねる指揮官として栄転しオラニエンブルクに赴任しなければならなくなる。
妻は猛反対し何とかアウシュヴィッツに留まることを懇願し、ヘスの支持者もヒムラ―に書簡を送る等手を尽くすが覆らない。
自分で最高の庭園を造ったこの地を愛する妻は、ヒムラ―の単身赴任と言う形で妥協する。

The Zone of Interest003

ヘスは子煩悩であり激務の最中、子供と遊んだり夜寝付くまで絵本の読み聞かせをしていた。
絵本を読む時に同時に流れる赤外線暗視カメラによる映像、これは『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』にも見られた手法であり、まるで裏メルヘンのように描かれるマルタのリンゴ配りである。
住み込みで働くポーランド人の若い娘、マルタは捕虜が見つけてくれるように土木作業場にリンゴやジャガイモを隠しに行く。
夜に自転車に乗って行くのだ。その際、収容所にいた作曲家による瓶に詰められた楽譜を見つける。

The Zone of Interest004

ヘス以外にこの一家は妻にせよ、この事態の把握をしていないかと思う流れであったが、マルタを叱る時、夫に頼んであなたを灰にしてやるわ、と普通に騙っている部分でしっかり認識していることは分かる。子供を育てる母としてどう考えているのか。
差別的なお喋り以外に何かを感じ取ることは、この女性から出来ない。
ルドルフ・ヘスも優秀な軍人である前に人である。
会話や書簡、行動からは見えてこないが、後半特に体調の不全が見られるところ、、、。
何度も吐くのだ。
医者の診療も受けているが、具体的に病名などは明かされない。
身体の反応と思われる。

The Zone of Interest007

本当の意思に沿わない理知的義務的な仕事の裏で身体が悲鳴を上げていることは少なくない。
単純に思考停止などというものではない身体と精神の乖離は充分起こり得る。
わたしもそれで子供~青年時代に大いに病んだ。
親とそれを取り巻く環境下において。
いや実は過去形ではないのだ。
この問題は

The Zone of Interest006

この映画が単に時代~戦争映画には留まらないところである。
勿論、地続きなのだ。今のわたしの生活空間とも。
(わたしとしては、まず現在出くわす醜悪なエキストラは徹底して潰してゆく)。






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断捨離パラダイス

Hoarder on the Border001

Hoarder on the Border
2023

萱野孝幸 監督・脚本

篠田諒、、、白高律稀(元ピアニスト、現ゴミ屋敷清掃業者)
北山雅康、、、市木八吉(ゴミ屋敷清掃業社長)
武藤十夢、、、岸田万莉子(小学校教諭、青原明日華の子供の担任)
中村祐美子、、、青原明日華(シングルマザー、元AV女優)製作・宣伝
関岡マーク、、、ボン・デ・グスマン(フィリピンから来た介護職員)
泉谷しげる、、、金田繁男(ゴミ屋敷の主人、価値ある骨董の収集家)


電気海月のインシデント」の監督である。当然、期待する。面白かったが、、、。
かなりユーモアもタップリ。ニンマリするタイプ。

小さな互いに絡み合うエピソードが6つあり、それぞれその中心となる人物の元で展開する。
1 白高律稀
2 青原明日華
3 ボン・デ・グスマン
4 金田繁男
5 岸田万莉子
6 白高律稀

指の痺れからピアニストを断念した篠田諒はピアノ塾の傍ら思い切って知らない世界に飛び込むと言う意味もあり、「断捨離パラダイス」と言う、ゴミ屋敷清掃業者に応募してみるが、あっさり受かる。
病的に捨てられない人のゴミ屋敷に派遣され、一日目はその壮絶な汚れとでたらめさと匂いに圧倒され、気絶し仕事にはならなかった。
帰りに社長に銭湯を紹介され始めて湯船に浸かる。
だが、やめずに頑張ることに。
段々慣れて行き手際も良くなる。
仕事の最後に必ず籤を引いて貰い、景品が当たるというのも面白い。

Hoarder on the Border002

青原明日華というシングルマザーの小学生のひとり息子の様子(生活態度)から担任と学年主任が心配して家庭訪問を母に希望する。だが部屋が飛んでもなく荒れ果てゴミの山の中に暮らしている為、どうにも呼べない。しかしついに断り切れなくなる。
断捨離パラダイスが呼ばれ家庭訪問時間に合わせテキパキ片付け、何とか間に合わす。
白高律稀がお子さんの為ということで、母に過去の仕事の成果(AVDVD)の処分を勧めるところが可笑しい。
母はこれはとっても大事なものなのと言い張り応じない。
だが最後に全て買い取ってもらっていた(その方がお得なのだ)。

Hoarder on the Border008

ボン・デ・グスマンというフィリピンから来た介護職員が自国に戻りそこで仕事を起こすと言う。
部屋の掃除を頼まれる。
やはり凄まじい混乱状態であるが、然程長年にわたる蓄積とも見えない。
当人に聴くと母が死んだ時からこうなり始めたという。
仕事が済んだところで、母が生前に作ってくれたと言う肉料理を冷蔵庫から取り出して、白高と2人で食す。
8年前のものだと言っていたがわたしはてっきり食中毒でのたうち回ると思っていたが、何もなかったみたい。

Hoarder on the Border004

金田繁男という時折TVでも放送されるタイプのその街有名なゴミ屋敷の主人の噺。
泉谷しげるなので重みと迫力は充分。哀愁もある。味わい深い。
金田繁男の息子と社長が知り合いであり息子からの頼みで親父の家(実家)の片付けを開始する。
金も事前に息子から貰い、店のPRビデオの製作もお願いする。
とても張り切って仕事を始めるがTV局もカメラを構えリポーターの質問に答えながら進めてゆく。
店のPRにもなり、何よりもゴミの買取りをやっているが、今回は凄い値打ちのある骨董品が沢山ゴミの中に含まれているとあって、スタッフ総出の大捜索~片付け作業となる。
その様子を偶然TVで観た息子も駆け付け、骨董品は業者より自分が先に押さえようと割り込んで来る。
TVカメラや近隣の住人、レポータも交えた作業光景はなかなかのもの。
かなり金になったみたいだ。

Hoarder on the Border005

岸田万莉子という若くて綺麗な小学校教員も片付けの出来ない女性であった。
婚約者が部屋に来てその汚さに吐いてしまうほど。
彼はそれをどうにかしたいと言う事で、断捨離パラダイスに先に支払いを済ませて彼女の部屋を任せる。
一番ショックであったのは、彼女が窓を開けていた隙に猫が出て行ってしまったと言っていたのだが、猫はゴミの下の層で死んでいたのだ。臭いも相当したであろうが、、、。こりゃキツイ。
片付けられない人というのは、やはり病的である。確実に治すべき心的状況を抱え持っているはず。
この女性はオマケにゴミの中に恋人から貰った婚約指輪も落としていた。
これを白高は偶然、ゴミの下層から掘り出すが、それが何であるか分かった時点でびっくりして放ってしまう。
それが取っておくボックスに入ったのか処分ゴミの方に入ったのか定かでない。
何だか運命を決める籤みたいだ。

Hoarder on the Border006

岸田万莉子が家庭訪問に行った先で母親の青原明日華と打ち解けて噺が弾む。
その際に青原が、彼氏の事をしつこく聞き、岸田も折れて携帯の写真を見せる。
良さそうな人ね~と言いながら、怪訝な顔をして昔仕事で絡んだ覚えがある、と漏らし岸田は思わず引く。
白高律稀はピアニストを断念してこの仕事に就いていることに対する心情を吐露する。
今ハッピーならそれで良し、ということらしい。
そういうものかね。へたくそな子供の弾くピアノを聴いている内に思わず泣いていたのだが。
究極の断捨離をしたのね。パラダイスまでいってしまうと逆に怖いが。

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顔を知っているのは泉谷しげると武藤十夢くらいであった為、とても新鮮に観られた。
「電気海月のインシデント」でも魅力的な知らない役者を使って成功していたが、良いやり方だと思う。
中村祐美子はプロジューサーと作品宣伝の担当者でもあるようだ。癖のある元女優という役も合っていた。
クスっと笑える面白い作品である

エンドロール後に会社のPRビデオがご披露され皆盛り上がっていた。
(これもこの監督ならでは、のやり方)。



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宮松と山下

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2022

関友太郎、平瀬謙太朗、佐藤雅彦 監督・脚本

香川照之、、、宮松 / 山下陽児
津田寛治、、、健一郎
中越典子、、、藍
尾美としのり、、、谷
野波麻帆、、、里帆
大鶴義丹、、、潮田
尾上寛之、、、國本


これは凄いものを観た。
毎日のように手渡されるエキストラ台本をファイリングして管理しているのだ。
棚には既に夥しいファイルとラベルで整理された短い台本がギッシリ並んでいる。
これ芸術だぞ。
監督のひとりは「ピタゴラスイッチ」の監督なんだと、、、。

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そしてその様々なエキストラで只管殺され役を演じ続ける男を香川照之が演じる。
最強ではないか。
脇を固めるのが、津田寛治、中越典子、尾美としのり、、、である。
逆にこの役者たちでなければ、微妙な作品となっていたかも。

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このエキストラでロープウェイの運行機械設備の保守点検員でもある宮松は元山下というタクシー運転手であった。
しかしある日、ロッカーで誰かとの激しいやり取りで組み合った際、突き飛ばされ頭を強打して気を失う。
暫く後、目覚めると記憶を全て失っていた。
彼は姿を消す。何故か京都で映画のエキストラをやっていた。
医者の診断では、あの頭の傷から言っても、記憶を失うのは本人のこころの問題が大きく影響していると。

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かつてのタクシー会社の同僚が彼がヤクザで出演していたシーンを見て、身元を調べ出張がてらに訪ねて来る。
エキストラで同じ日に4回殺されたりする役でも彼の存在感からすると知ってる人ならすぐ分かるのだ。
12歳年の離れた妹がおり、既に結婚していた。
元同僚の谷は妹に連絡してくれ、実家に山下として連れ帰る。
家に戻り、久々に妹と逢いその婿を紹介され自分の部屋で寛ごうにも、何も思い出せない。
当然、妹夫婦とも他人行儀で、とてもぎこちなく過ごす。

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自分が野球が得意であったことをバッティングセンターに連れて行ってもらい自覚する。
妹と餃子を一緒に作り、自分がとても手先が器用な事と、「お兄ちゃんのお母さんも器用だった」という彼女のことばから異母兄妹であることを確認する。
この2人を陰から窺う妹婿の表情が穏やかではない。
山下はかつて全寮制の高校にいたが、両親が事故死したことで高校を中退し、12歳年下の妹の為帰京し彼女を支えて来た。
だが、山下の妹を見る目は彼女を独占しようとするものであった。当然、藍に心を寄せる者にはその構図ははっきりと分かる。

健一郎は今はホテルの接客係となっているが、かつてはタクシー運転手で山下の同僚であった。
ここで全ての経緯がこちらには、分かってしまう。
山下は、妹に教えられた、かつて買い物帰りにタバコ屋で吸っていたというショートホープを実際に試してみる。
日本酒を妹婿から勧められた時もそうであったが、とても美味いことに気付く。
そして暫く吸ううちに、戻って来るのだった、、、。

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彼は妹に頼まれた買い物をして帰り、軒先で残りを吸っていた。
妹が彼の隣に座り、お兄ちゃん戻るでしょ、と聴くと言葉遣いは変わらないが明らかに表情はこれまでと違っている。
そして、彼は立ち去った。
兄はまた宮松として殺され役を淡々と演じ、彼の部屋の棚は台本ファイルが更に増えてゆく。
健一郎は実家から姿を消した義兄について記憶が戻らないとやはり居辛いのかな、と語るが、藍は、いえ戻ったのよと返す。
山下は自覚してエキストラを演じていた。これまでは無意識にしかし意図的にやっていたが、今はハッキリと意識して。
藍の為にエキストラに徹することにした。
(同時にロープウェイの運行機械設備の保守点検というのも趣深い)。

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中越典子の恐らくすっぴんでの演技が素敵だった。
津田寛治のちょっと危ない穏やかな表情と尾美としのりの枯れた演技も頗る良かった。

この3人グループ監督は面白そう。
夥しい短い台本ファイルが一番刺さった。
こちらを鋭く逆照射する。
アートの次元だ。




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ドリーム・シナリオ

Dream Scenario001

Dream Scenario
2023
アメリカ

クリストファー・ボルグリ 監督・脚本


ニコラス・ケイジ、、、ポール・マシューズ(進化生物学の教授)
ジュリアンヌ・ニコルソン、、、ジャネット・マシューズ(妻)
リリー・バード、、、ソフィー・マシューズ(長女)
ジェシカ・クレメント、、、ハンナ・マシューズ(次女)
マイケル・セラ、、、トレント
ティム・メドウス、、、ブレット
ディラン・ゲルラ、、、モリー
ディラン・ベイカー


わたしもネットのPowerは利用しているが、もっと現実における力~破壊力を行使したい。
全てはやりようだと知ってはいるが、下品なことはしたくないものだ。
絶対に同格には思われたくないし。

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誰もの夢の中に現れ単なる傍観者でいるというのは、面白い設定だ。
無害だが顔だけ印象付ける。
果たしてこれが無害か?とても気味悪くはないのか。
ニコラス・ケイジなら面白いで許されるものかも知れない。

かなり変わった人だと前から思っていたが、本格化して来た。
夢と現とSNS情報空間を行き来する不条理のヒトとして自然に実存している。
但し、一度悲惨な方向に転げだすともう止まれない。
自分の与り知れないところで、人々に何らかの害を成す存在として出現してしまえばもうそれまで。

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雪だるま式に膨らむ魔女狩りとなる。
だが、それがこれまた夢か現かSNSかどこの現実か分からない。
あからさまな夢と分かるものと現実の恐怖と不安に怖れ慄く場面もあり。
どの空間にいるのか判然としない。
そもそも自分はどうして他のヒトの夢に案山子の如く現れてしまったのか。
最初は気味悪いと思われていたくらいであったが、明らかな悪意を持って暴れても来る。
これが混乱を更に深める。

Dream Scenario004

これでは、実際(現実)に顔を合わせれば敵意と害意を寄せられてしまう。
つまりそのイメージが膨らみ固定して行くのだ。
そのイメージ~情報が全ての空間を侵食して行く。
当然、居場所など無くなってしまう。
これは夢だよと、身体が浮いてさよならできれば良いが、、、。

Dream Scenario005

これが本当の現実ならどれだけ良いか、というイメージも、白々しく浮きあがり漂い出してしまう。
この実相、ニコラス・ケイジだから大変リアリティを持って描き得た。
うさん臭さでは彼の右に出る役者はいまい。
ただ、SNSは面白い。
利用価値は高いもの。

Dream Scenario006

あるところで彼は誰の夢にも出なくなる。
そして変な起業家に利用されるが、メディアに出て不本意な本も出て少しは金にもなったみたい。
散々迫害された分を取り戻せたとは言えまいが。
(わたしならば、この程度ではとてもじゃないが許さない)。
結局、妻とは別れたみたいね。
自分の専門の研究分野の書籍は、それを盗んだ女性の教授に先に出されてしまい、悔しがっていたが、どうするのか。
まだ原稿も書いていなかったのだから致し方ない。

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変なIT起業家がヒトの夢の中に入り込み商品を宣伝するというツールを開発するが、ニコラスのこの事件から着想を得たという。
夢でアフィリエイトされてはたまったもんじゃない。
夢や無意識を探られ操作される世界になったことは確か。
まさに身体の搾取である。
如何逃れる?それを使って攻撃するか。
日々闘いの場にある。われわれは。





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オフィーリア

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Ophelia
2018
イギリス、アメリカ

クレア・マッカーシー 監督
セミ・チェラス 脚本
ウィリアム・シェイクスピア『ハムレット』、リサ・クレイン『オフィーリア』原作
スティーヴン・プライス 音楽


デイジー・リドリー、、、オフィーリア(王妃の侍女)
ナオミ・ワッツ、、、ガートルード(王妃)/メヒティルト(王妃の姉、薬に詳しい森の魔女)
クライヴ・オーウェン、、、クローディアス( 国王の弟。兄を薬殺し国王となる)
トム・フェルトン、、、レアティーズ(オフィーリアの兄)
ジョージ・マッケイ、、、ハムレット(王子、オフィーリアの恋人)
ドミニク・マフハム、、、ポローニアス(オフィーリアの父、侍従長)
デヴォン・テレル、、、ホレイショー(ハムレットの親友)
デイジー・ヘッド、、、クリスティーナ(王妃の侍女)


まずはプレ・ラファエル派のジョン・エヴァレット・ミレーの「オフェーリア」が目に浮かぶ。
この映画もそれを意識した絵作り。
全体に絵~映像が美しい。

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オフェーリア視点で描かれた作品で、恐らくリサ・クレイン『オフィーリア』寄りの脚本ではと思った。
ハムレットとの禁断の恋はオフェーリアがいくら冷静に対処しようとしても深まるばかり。
これは分かるが、その先には破滅しか待ってはいない。
森の魔女で王妃の姉の調合した薬を飲んで死んだふりの姿が「あの絵」であり無事に切り抜けるというのが痛快。
解毒剤で蘇り、ハムレットを待つが、彼は決闘で相手を倒すも自らも毒で殺されてしまう。

全ては権力の亡者クローディアスの奸計によるもの。
とは言え、ガートルード王妃もよく夫の弟と直ぐに再婚出来るものだ。これにはちょっと呆れる。
クローディアスの仕業を悉く自覚してからは不信と怒りを抱え込む。
とくにオフィーリアへの仕打ちなどに対し。
そして毒を塗った剣による傷でハムレットが死ぬと一気にガートルードの怒りが爆発する。
クローディアスは王妃に剣で胸を突かれ殺されるが、その直後ノルウェー軍が雪崩れ込み、エルシノア城は簡単に陥落となった。

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オフェーリアは修道院に逃れ、その後ハムレットとの間の娘を生み育ててゆく。
それにしてもエルシノア城はクローディアスが台頭してからもう滅茶苦茶な状況であった。
ずっと重苦しい。
毒蛇を使い兄である国王を謀殺し(それ以前に自分の子を産ませた王妃の姉を魔女として殺害を図ったり)、権力の座を脅かすハムレットやオフェーリアたちの排除を企てるクローディアスが元凶である。
この男が城の全てを狂わせた。
だがこういう男が悪巧みで堂々としぶとく生き残るものだ。
ずっとその過程をこちらはイライラしながら見せられる。そういう物語でもある。

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最後にナオミ・ワッツがこれまでの恨みを晴らすという勢いで剣で突き殺し爽快感を味わった直後にノルウェー軍が攻め込んで来る二重のカタストロフ。
既に城内はグダグダで反撃どころの体制ではない。
内輪の謀略から騒ぎ続きで内部崩壊状態であった。
結局、一番身の危険に常に晒されていた(一度は墓に葬られた)オフェーリアがただ一人生き延びた形になった。
娘も育て未来の物語に希望を託す。

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あの「オフィーリア」の絵を最初と終盤に見せられるが、こういう展開だったのね。
発狂も芝居だったし。
賢くしぶといオフィーリアでもあった。
このデイジー・リドリーという女優さん綺麗だが今一つピンとこない。
演技からかなあ、、、。
それを言えば、ハムレットもだ。ハムレットの親友くらいが丁度良い役者に思えた。
ナオミ・ワッツは老け役であったが、相変わらず素敵であった。
二役共に。
クライヴ・オーウェンは憎たらしい役がピタリと嵌っていた。

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オフィーリア役はガートルード王妃に侍女として取り立てられた頃の子役の存在感が突出していた。
将来的にはこっちの子だと思う。
絵が綺麗で、こういう解釈が良ければ観て損はない。






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櫻の園

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1990

中原俊 監督
じんのひろあき 脚本
吉田秋生 原作

中島ひろ子、、、志水由布子(ドゥニャーシャ / 部長)
つみきみほ、、、杉山紀子(ヤーシャ)
白島靖代、、、倉田知世子(ラネフスカヤ)
岡本舞、、、里美先生(顧問)
宮澤美保、、、城丸香織(舞台監督、2年)
梶原阿貴、、、久保田麻紀(ロパーヒン)
三野輪有紀、、、大町真由美(トロフィーモフ)
白石美樹、、、平井和代(ガーエフ)
後藤宙美、、、戸田麗子(シャルロッタ)
いせり恵、、、河合喜美子(ピーシチク)
金剛寺美樹、、、井上志摩子(ワーリャ)
三上祐一、、、島田祐介(城丸の彼氏、煙草を持ち込む)


まあ、何と言うか、女子高の創立記念公演当日の舞台発表までの演劇部の数時間を描いている。
題目はチェーホフの『桜の園』である(わたしは読んだことない)。
この原作アニメも勿論、観たことない(これは毎度のことだ)。
反抗期(自立期)の象徴であるかタバコがキーアイテム。

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3時間前くらいからを描いているか。
当日数時間前なのに職員会議が開かれ演劇部の公演が中止になるかどうかの騒ぎとなる。
前日の夜、他の学校の生徒と喫茶店にいた杉山紀子が喫煙の疑いで補導されてしまったのだ。
実際に喫煙したのは他校の生徒で、彼女は居合わせただけであったが友人であることで問題となった。
若い顧問の里美先生は、必死に今日の公演が出来るように他の教員を説得したが、かなり難航する。

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昨日の出来事は緊急連絡網で各家庭に回り、今朝の会議は学校中に知れ渡り、演劇部の生徒の不安は高まる。
発表当日に中止はいくら何でもない。
しかし意地の悪い年寄り教員たちが、色々いちゃもんをつけ、若い顧問を攻撃しているという。
演劇部偵察隊がしっかりリポートしてメイクや衣装合わせしている3年先輩に知らせに来る。
軽く声出ししたりセリフのチェックもしているところに神経逆撫でするところだが、もっとも気になる点でもあった。
イライラソワソワしたり妙に緊張したり、わたしたちには今年しかないのよと叫ぶ3年生もいる。
こういう時必ず、来年は実施するが今年は見合わせようなどと言う教員がいる。
しかし今年の卒業生にとり、一回だけの発表なのだ。
櫻は毎年同じように咲くにせよ。

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まあ、べたな青春ものやね。
杉山が志水のことが好きであり、志水は倉田の事が好きである。
このような淡い恋愛感情も揺れ緊張感や不安も高まって行く。
なかなか良い感じの流れをつくる。
本番前は平坦ではない。

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長くもめている職員会議を抜けて顧問の里美先生が部長の志水たちに告げる。
「『桜の園』は絶対にやるわよ。」
開始時間はズレたが、これで迷いなく準備となる。
志水は倉田が衣装とメイクが終わったところで2人して仲良く写真を撮っているのを陰から杉山が眺め禁煙を破り煙草を吸っている、、、ここはハラハラしたが、そのタバコとライターを学園に持ち込んだのが2年の真面目な舞台監督城丸の彼氏である。
女性の園に煙草とライターもって早朝忍び込むというのも太々しい野郎だ。
それを舞台道具のソファの下に城丸が隠し、それに気づいた部長の志水が自らのポケットに隠し、それを最終的に禁煙中の杉山が回収していた。こちらとしては、その過程のどこかで意地悪教員に見つかったりしないか、そこがちょっとヒヤヒヤもの。

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結局、煙草で捕まった他校の生徒が舞台を見に来てトイレでタバコを吸ってるところを意地悪教員に見つかり、ちょっと危なかったが、舞台はしっかり開演されたところで、終わる。
ちゃんと魅せる映画になっていてよかった
キャストも概ねピタりと嵌っていた。特につみきみほ、白島靖代、岡本舞、宮澤美保はバッチリであった。
つみきみほの板についた吸いっぷり、原作にない役なのに準主役級の活躍の宮澤美保は印象的。
中島ひろ子は他の女優でもよかった気がする(別に合わないとは謂わないが)。
面白く観られた。この原作アニメから2008年に再びこの監督のもと、福田沙紀主演で同じ映画が作られている。
内容はかなり変わっているそうだが。
それも観るかどうかは、分からない。





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