怪奇蒐集者 異相 響洋平5

肝試しには全く縁のないわたしだが、噺だけでも聴いてみようと、、、
とは言え、実際毎日が肝試しみたいな日々でもあるが、、、。
一度、霊能者にでも見てもらいたい気はする。
1.キャンプ場の廃車
キャンプに行って肝試しに流れる定番もの。
行ったら、きゃ~っと女子が戻って来た。これこそ醍醐味というものか。
廃車の中に女がいたという。
灰色の顔の痩せこけた中年女性だそうだ(明らかにあちらの方)。
霊感のある人しか見えないのがミソ。
帰りの高速で車がやけに左に逸れる。PEに入ると車の前右タイヤに五寸釘が刺さっていた。
キャ~と戻った女子の上のタイヤだ。ヤダもう~っと言ってる場合ではない。
4人まとめて危うく死ぬところだった。タイヤを取り換え辛くも無事に家まで戻る。
肝試しを提案した男が廃車の中にあった呪いのノートを見てそのイヴェントを思いついたそうだ。
ノートに「死ね」が連呼されていてその対象の部分が破られていたそうだ。それを面白がってやった、罰当たりが。
2.非通知
深夜非通知の電話が来る。
友人にある橋まで来るように誘われた。
お前何で非通知なの、と聴くと、公衆電話からかけて来たという。
その橋は良く知ってるが公衆電話など無い。そして沢山の人が彼の背後に集まり喋っている声がした。
これはマズイと察知し、待ってろと呼びかけ直ぐに車で駆けつける。
わたしなら無かったことにしてすぐ寝るが。当たり前だ。
その誘った男は欄干に脚をかけて今にも落ちそうな体勢で、来いよと声をかけて来る。
マジかよと言って車に引き摺り込んで帰って来たそうな。
そこに行って何してたのか、訳を聴くが彼はその間の意識を失っていた。まあそうだろうね。
彼も誘われたみたい。今は誘いが多い時代だ。詐欺をはじめ気をつけないと。
3.その部屋の事実
ホテルに働く友人からの噺。
支店のホテルの内部監査を頼まれゆく。
10階に稼働してない部屋があった。
絶対何かが起きる為、使ってはいけないと従業員が答える。
使っていない部屋があっては困ると立場上、注意するが、先代からのキツイ忠告を守っているそうだ。
前の支配人がそこで一晩過ごし、大変なことになり仕事を辞めていたという。
気になり部屋を実際に見に行くと、2人の清掃員がロープで身体を結び付けドアを開けっぱなしにして作業をしていた。
まるで断崖絶壁みたいでないの。
そうしないとまずいことになるそうだ。
100%幽霊の出る部屋らしい。
除霊とかしないのか、そこだけリノベーションとか。無理やり使うとホテルの信用にかかわるだろうし。
上にどう報告したのか。

4.いつもと違う
夜中にふと目が覚める。部屋の扉が開き誰かがヒタヒタ忍び込んで来た気配。
突然、部屋の中で数を数える自分の声がする。何で自分の声なの?緊張が走る。
そして「「いるよ」といって急に首を絞めて来る。
金縛りで身動きできない。
息をやっとのことでするとその冷たい手はスルっと離れて行った、、、。
そういう噺らしい。
深夜、寝ている時に何かあったら嫌だね。
だが、いつもと違う、と言うのにはロマンを感じる。いつも同じはいい加減鬱陶しいわ。
5.離婚相談
離婚相談を受けた人が相手を車に乗せ神社に行くことに。
運気が上がるかもと思ったそうだが、神社に夜に行くか?
運転しているそばから身体の足元から冷えて行き、ついに頭の方まで徐々に冷気が上がって来るではないか。
警告だと思い、そのまま引き返した。
良い判断であったみたい。そのまま行っていたら死んでいたという確信が込上げる。しかもふたりとも。
そして相手をアパートの前まで送って来たところで、異変が、、、
彼女が鍵穴に鍵を挿せない。部屋に入れないで困っているのだ。
その時、凄い殺気を感じて背後を窺えば、彼女の夫の浮気相手が恐ろしい形相で車内から睨んでいるではないか。
その女は、何と幽体離脱して襲って来た。これほど肝を冷やした経験はない、と。SFホラーものかい。
生霊が本人の身体から離脱するところを初めて観た人の証言。
ちっとも羨ましくない。
6.仏間の闇
荒行をやった僧侶の噺。睡眠時間3時間で、お経を唱えて水を被る業を100日間やり遂げたという。
よくもまあ、その結果、除霊の技法を習得し、もう自信満々。
そんな時(20年前の噺)、除霊の依頼が来る(対象の老婆の親族から)。
当人は祈祷・除霊に確信を持っており引き受けるが、、、。
友人から断るように勧められる。その老婆は既に僧侶界において有名人であった。
これまで除霊に誰もが悉く失敗し、その後事故等で大変な目に遭ってると言う。
実際に赴くと、家は廃墟同然、異様な圧を放つ。
中も荒れ放題。臭いも酷い所謂ゴミ屋敷。下はびしょびしょの布で湿っていた(キモイ)。
奥から老婆が出現。「どうしました、、、?」わたしならそこで無理。
お経を唱えると空気がいきなり変わった。凄く沢山のひと~霊が殺意の視線で寄り集まって来た。
怯むことなくより声を張り経を唱え続けると、、、
お供えのおはぎがグネグネと動きだす。よく見ると何と猫の首ではないか。下にあったのは布ではなく湿った猫の皮であった。
「主人が猫好きでしたからねえ、、、」という老婆に、僧侶は家を咄嗟に飛び出していたという。
その前によくもそんなところで経をあげたもんだな。わたしなら家を見ただけで逃げるぞ。
生半可、自信があると言うのが怖いもの。

いつも思うが作ろうとすれば幾らでも出来る噺だ。勿論、自分で収集したというのだから、そうなのだろう。
だがよくこんなに沢山あるものだ。こういう噺が。
こちらとしては時折、聴くだけでたくさん。
AIならどんどん量産してしまいそう。騙りも上手かったりして、、、。
怪奇蒐集者も頑張ってもらいたい。
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