「身元を明示していない人」はお互い様なのでは?

南堂さんのコメントは、どれも違和感を覚える物が多いのだけど。

「IDの明示」は「身元の明示」ではないというのが南堂さんの主張なんだけど、はてブユーザーが「身元を明示していない(だから「こっそり」悪口ばかりだ)と南堂さんが言うのが、私には滑稽に思えるのだ。

 「こっそり」の件は、言葉の行き違いになってしまったようですね。
 「身元を隠す」という意味では、もともと ID が明示されているので、それは成立しません。それは言わずもがな。
 私が言っているのは、「身元を明示しない」ということです。はてブで身元を確認するには、ID だけを知っても、ただの記号にしかなりません。たとえば ozawaichiro というような ID を知っても、それは何の意味もありません。ekken という ID を知っても、そこから
   http://ekken.blog1.fc2.com/
 までたどりつくには、手間がかかります。普通は、はてブを見るときに、いちいちそんな手間をかけません。はてブを見るときには、無名のユーザーのIDをいちいち調べたりはしません。

一週間ほど前、私が何らかの検索ワードによってOpen ブログ: ◆ Facebook と はてブに辿り付いた時に思ったのは、「この人ははてブの匿名性を批難しているのに、自分の素性を明かしていない不思議な人だなぁ」ということ。記事のフッターに表示されているのは「posted by 管理人」、コメント欄での署名も「管理人」なのである。私は「この‘管理人’氏ははてなブックマークに対して誤解をしている」と思い、言及記事を書こうとしたが、‘管理人’氏が何者なのか、なかなか分からなかった。サイドバーに表示された「同じ作者によるサイト」のリンクも覗いてみたが、書いている人の名前は分からない。まさかハンドルが「管理人」じゃあないよなぁ、と思いつつ、ブログのトップページを表示するとサイドバーに「私の著作」とあり、表紙画像をクリックするとようやく「南堂久史」という名前が分かるようになっていた。

これでは南堂さん自身が「身元の明示」を行っているのか、ちょっと疑問だ。

書いている人の名前がなかなか分からない。「自著へのリンク」が真実だと仮定しても、失礼ながら私は「南堂久史」という人物を知らない。ウェブ検索をしてみても「経歴不明の人」「覆面ライター」のような物ばかりがヒットする。まぁ実際に出版物がある方なので、「存在しない人」ということは無いだろうけれど、私にとってはネット上で長く固定ハンドルを用いて活動している人と、大きな差異は無い。

「管理人」という署名は「身元を隠している」し、ネット上で見る「南堂久史」という名前だけでは、いくつかのウェブサイトを運営している正体不明の人でしかない。長期間にわたってはてなブックマークでIDを明示して活動している人と、大きな違いがあるとは思えない。


南堂さんに限らず、はてブなどの匿名性を批難するサイトマスターにありがちな話なんだけど。

そういう人は恐らくは「実名」でネット上の活動をしているのだろう。それは良いのだけど、どういうわけか発言の価値を実名か匿名かだけで判断している人が少なくない。「自分は実名で参加している」という思いが強ければ、普通は暴力的発言に対する自制心が働くとは思う物の、「俺は実名、お前は匿名、匿名は卑怯者でくだらない発言しかしない」というような主旨で匿名相手に暴力的発言をする人は、決して少なくないように思う。

しかも、面白いことに、この「実名での参加」をしていると主張をしている人の多くは「自称実名」に過ぎない。

数週間前に、Twitter上でこんなトラブルがあった。

実名(と、本人は言っている)Twitterユーザーが、匿名Twitterユーザーと喧嘩になり、相手が匿名である事を批難し始めた。

しかしその実名Twitterユーザー氏の表示名は、ローマ字表記であった事から、匿名氏から「漢字で書かないと匿名と変わらない」のような事を言われ、何故か分からないけど逆上。曰く「匿名のやつに漢字表記しろといわれる筋合いは無い」

さて、「自称実名」のローマ字表記は、実名と同じ扱いが出来るのか?

その人の実名にもよるだろうけれども、音が同じという条件だと個人の特定は難しいのではないか、と私は思う。

ネット上で「実名」を名乗ったところで、実社会でのその存在を証明できないと「実名」とは言えない。

件の実名Twitter氏は、自己紹介欄に所属しているらしい会社のURLを表示していた。「実名で参加と主張していて、なおかつ所属会社を明示しているのなら‘実名’でいいんじゃないの?」と思うかもしれないが、これは実名Twitter氏が一方的に主張しているだけの「実名」と所属会社なので、この時点では真実かどうかは分からない。なので、そこに記述されていた所属会社のURLをクリックし、問い合わせフォームから「○○(実名Twitter氏が「実名」とした名前)さんという方がTwitter上で、貴社の所属である事を主張していますが、これは事実でしょうか?」という主旨の質問を投げかけた。あれから2週間以上経つが、音沙汰無し。プライバシーに関わる情報なので、事実であっても返答できないのかもしれないし、業務には無関係と判断した(だからスルーした)のかもしれないが、ネット上に記述された‘実名’と所属先は、その存在証明がなされない限りは、多くの見知らぬ人と関わる筈のネットコミュニケーションの場では固定ハンドル氏と同程度の存在だ。

「ekkenは疑い深いにもほどがある!」という人もいるかもしれないが。「本人が名乗っているだけ」の‘実名’と所属先によって「実名」の判断をしてしまうと、あまりに簡単に他人を貶める事が可能だ。本人が名乗っているだけの実名は、嫌がらせ目的等で他人が成りすましている偽者と区別する事が出来ない。

「本人が名乗っているだけの実名」とは違い、はてなブックマークのコメントは、オフラインでの存在が証明されなくとも、ネット上に唯一存在するはてなのIDと紐付けされている。

嫌がらせ目的でIDを取得することも可能だが、それが明白な場合、サービスサイドで対処してもらえる。複数のIDを使い分けても、それぞれのIDのキャラクターを長期間維持することは難しいので、たいていはバレる。ネット上の発言者はネット上で特定できれば良いのではないか。


冒頭で転載した南堂さんのブログのコメント欄を、もう一度載せておく。気になる部分を強調表示した。

私が言っているのは、「身元を明示しない」ということです。はてブで身元を確認するには、ID だけを知っても、ただの記号にしかなりません。たとえば ozawaichiro というような ID を知っても、それは何の意味もありません。ekken という ID を知っても、そこから
   http://ekken.blog1.fc2.com/
 までたどりつくには、手間がかかります。
普通は、はてブを見るときに、いちいちそんな手間をかけません。はてブを見るときには、無名のユーザーのIDをいちいち調べたりはしません。

これ、私には納得がいかない。あるブログエントリのブックマークページを開いた際、ユーザーのコメントには、必ずIDが表示され、それは各ユーザーのブックマークページにリンクされている。個別ユーザーのページには、一般的なブログと同様に、サイドバーのような物がある。

私のはてブ(はてなブックマーク - ekken!)を開くと、サイドバーの一番上に、私のアイコンや「サイト」などが記述されている(この「サイト」を設定していないユーザーもいる)。この「サイト」は私のブログにリンクしているので、クリックするとこのブログにジャンプしてくる。

果たして、これは「http://ekken.blog1.fc2.com/までたどりつくには手間が掛かる」ことになるのだろうか?

感覚的な問題なので、人によっては「そこに各ユーザーのウェブサイトのリンクがあるかなんて分かりにくいし、いちいちリンクをクリックするのなんて面倒だよ!」と思うかもしれないし、それは理解できる。

しかし、この南堂さんには分かりにくいかもしれない、このはてブのUIは、実は南堂さんのブログのUIと大差無いのではないか?

転載した南堂さんのコメントをコピペ改変。

「ブログで身元を確認するには、ハンドルだけでは何の意味もありません。管理人という署名を知っても、そこから南堂久史という筆名までたどり着くには、手間がかかります。普通はブログを見るときに、いちいちそんな手間はかけません。」

私は、ブログにしてもはてブにしても、その人が書いていることに興味を持てば、ID(ハンドル)を調べるのだけど、南堂さんはそういうことはしないのだろうか。面白いウェブサイトを見つける基本だと思うけどなぁ。

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