【次代カンヌっ子】寝ても冷めても【東出君またまた怪演】
僕が好きな映画は、
■日常を描いていているもの
そして
■この時代に生きる人間の心の動きを描いているもの
特にテーマとかモチーフには感心がなくて、
SFでもドキュメンタリーでも、その2つが揃っていれば大丈夫。
ダダ長いハッピーアワーで注目され濱口竜介監督のいわゆる商業デビュー作、「寝ても冷めても」。
この映画にはその両方がちゃんとある。
ありきたりな物語の先にある空白地帯
前作ハッピーアワー同様に物語はまったく興味をそそられない状態からはじまる。
普通の映画であれば開始数分で片付けてしまうような内容、前段階の物語が分厚い。
人間のサイズ感が良くて、今回は有名俳優を起用していながらも、
やっぱり等身大。特に東出君はデカすぎて顔が小さすぎるにも関わらず等身大。
瀬戸康史の脇感もすごくいい。
たぶんこの映画でしか見せていない顔がある。
そこに描かれる"いま"。
たぶんみんながみんな好きって映画ではないし、だからこそ映画なのだと思うけど、
この映画は貴重。重要。
台詞を、この時代に生きる僕らが、自分の言葉、同時代を生きる人の言葉として受け取ることができる。
特に主人公の台詞はとてもいい。数年前まではリアリティを持たなかった台詞。あんな主人公、すごく面白かった。
その他…
濱口竜介の切り取る世界はどこかダサくて、終わった感があって、くさい。でもカッコイイ。
それはきっと現代日本の姿そのものであって、僕らが「素晴らしき日本」から脱却してもいいんだと思わせてくれる。
感覚が更新されているのに、いつまでも「日本的」なものを作り続けないといけないのは、まるで民芸品のようだ。
きっとこれからの映画は濱口竜介が描いていく。
最後に…伊藤沙莉の存在は常に切ない。
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