Orbiter Space Flight Simulatorとは、無料の宇宙船(およびロケット)フライトシミュレータである。
概要
Orbiter Space Flight Simulatorは、2000年のリリースから現在に至るまで開発が続いている宇宙版フライトシミュレータであり、無償で公開されている。作者はイギリスの大学講師、Martin Schweiger先生。
2016年8月、6年ぶりとなる新バージョン「Orbiter2016」がリリースされた。 グラフィックが大幅に強化され、地球・月・火星に高低差のある地形が追加された。 富士山をかすめて飛んだり、月の低軌道でクレーターを眺めたり、火星のマリネリス峡谷を観光したりできるようになった。
アドオンも盛んに開発されており、アポロミッション、スペースシャトルミッションの再現、各種実在ロケットやSFに出てくる宇宙船、オリジナルの創作宇宙機など様々な要素を追加できる。これら以外にも、軌道エレベータやマスドライバーなど、宇宙船でなくても宇宙に関係するものならほとんど何でも乗ることができる。
名前の通り「宇宙機のシミュレータ」であり、フライトシムの一種であるが、一般のゲームに出てくる宇宙船のような簡単な操縦はできない。その代わり、狙い通りに操縦できた時の充実感は格別である。
Orbiterの特徴
コクピット上の各種スイッチやMFDなどを使って操作する、フライトシミュレータに近いUIを持つ。基本的には1人称視点でしか操作できないので、計器の読み方がわからないと現在位置を把握することすら難しい。
とはいえ、専門的な知識を必要とする軌道計算などについては、そのためのツールが非常に充実しているため、操作方法さえ理解していれば中学生でも問題なくプレイすることができる。
(日本語版は存在しないが、「軌道傾斜角」や「昇交点黄経」と聞いて即座に理解できる人もあんまりいないので、英語でも問題ないような気がする。日本語での解説も探せばそれなりにある)
相対論的効果は存在しないものの、多体問題にも部分的に対応した物理エンジンを備え、現実の宇宙機のフライトをそれなりの精度で再現することができる。また、太陽の光圧や、重力傾斜トルク、非球対称な重力源などが宇宙船の姿勢や軌道に影響を及ぼすかどうか、オプションで設定することもできる。
初期機体としては、スペースシャトルや、架空のSSTOであるデルタグライダーなどがあるが、一般的な多段式のロケットにはMODを導入しないと乗ることができない。
機体特性と難易度
Orbiterでは、実在・架空を問わず多種多様な宇宙船・無人の宇宙機に乗ったり飛ばしたりすることができるが、機体によって操作の難易度は大きく異なる。
まず、Orbiterには現実離れした強力なエンジンを積んだ架空機や、ワープドライブなどのMODがある。これらを導入すれば、操作がほとんどわからなくても太陽系のどこでも飛んでいけるだろう。
次に、初期機体のデルタグライダーや、有名MODのDG4、XR2 Ravenstarなど、実在機に比べれば強力だが、控えめな性能の架空機がある。DG4やXR2には衝撃や熱などによるダメージ判定が実装されているので、現実的な範囲で操縦しなくてはならない。UMMUという宇宙飛行士を再現するアドオンに対応している機体なら、クルーのための酸素残量にも気を使う必要がある。
また、スペースシャトルのほか、アポロ計画、ボストークやソユーズ、日本のM-Vロケットや「はやぶさ」など、Orbiterには実在する宇宙船・探査機などのアドオンが非常に充実している。これらの機体は現実のそれをモデルにしているため、厳しい制約のもとで飛ばさなくてはならない。実際のスペースシャトルを忠実に再現したMODの場合、実機と同様の操縦システムを理解している必要がある。
宇宙船の飛行について十分な知識がないのであれば、いきなり「はやぶさ」などにチャレンジするのではなく、デルタグライダーのようなあまり極端でない性能の架空機で練習することを強く推奨する。
日本におけるOrbiterの現状
英語圏に留まらず、ESA(欧州宇宙機関)の本部があるフランス、イタリア、ソヴィエト時代からの宇宙大国ロシアなどにOrbiterのコミュニティがそれぞれ存在し、活発にプレイされているにもかかわらず、日本においてOrbiterはほとんど知られていない。海外の有志が作った「すいせい」「さきがけ」「はやぶさ」「はやぶさ2」「こうのとり」などのアドオンも存在するが、日本人のプレイヤーはほとんど遊んでいないのが現状である。
必要動作環境 (2010Pacth1)
- Windows 98/2000/XP/Vista/Win7
- 1.2GHz Pentium 相当のCPU
- 512MB以上のRAM
- DirectX 7 またはそれ以上
- 64MB以上のメモリを搭載したDirectX対応のグラフィックスカード
- 約120MBのHDD空き容量(最低限のインストール)
必要動作環境 (Orbiter2016)
高解像度テクスチャを利用する場合、最大で100GB程度のHDD空き容量が必要。
標準で登場する機体
関連動画
関連商品
関連コミュニティ
関連リンク
- Orbiter 本家サイト
(英語)
- Orbiterプログラム本体のアーカイブ
(英語)
- Dan's Orbiter Page
(英語 アドオンサイト:サウンドモジュール)
- Orbit Hangar Mods
(英語 アドオンサイト)
- Altea Aerospace
(英語 アドオンサイト)
- OrbiterWiki
(英語)
- Flytandem Tutorials
(英語 TransXチュートリアル)
- Orbiter Space Flight Simulator 日本語解説ブログ
(2010年版解説)
- 無料であなたも宇宙飛行士! - Orbiter -
(2006年版解説)
- P64 ORBITER日本語解説
(2003年版解説)
- orbiter_transx @ ウィキ
(アドオン解説)
- ORBITER Shuttle Fleet@wiki
(アドオン解説)
関連項目
- 宇宙
- 宇宙ヤバイ
- フライトシム
- Mitaka (国産3D天文シミュレーション・ソフトウェア)
- Celestia (3D天文シミュレーション・ソフトウェア)
- Stellarium (プラネタリウムソフト)
- Kerbal Space Program
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