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【精神科医が教える】ストレスを溜めがちな人が、嫌なことがあったときに思うことPhoto: Adobe Stock

ストレスを感じたときに思うこと

今日は「自分がストレスを受けていることを過小評価しない」というテーマでお話しします。

特に人間関係において、ストレスを感じているのにその気持ちを押し殺したり、ストレスに感じている自分を「器が小さいな」と否定してしまうことってありませんか?

これをやらないほうがいい、というのがポイントです。

そんなことも許せない自分が悪い?

他人と接していて、まったくストレスを感じないのが理想的ですが、現実には相手に対して少し違和感を得たり、やり取りをするなかでイライラしたりすることがあるものです。

もちろん、相手が明らかに悪い場合、たとえば遅刻を繰り返すとか、暴言を吐くといったケースでは、「相手のほうが悪い」と納得しやすいので、そこまで自己否定することにはなりません。

しかし、微妙なラインのストレスの場合、「そんなことも許せない自分が悪いんじゃないか」と感じてしまう人が多いのです。

違和感やストレスを感じる相手

はっきりとした問題はないけれど、一緒にいるとなんとなく違和感を得たり、ストレスを感じたりする相手がいます。

それが明確な理由ではなくても、自分にとって不快感をもたらす要因がある以上、そのストレスを「自分が悪い」と片づけてしまうのはよくないです。

微妙な非常識を見逃さない

たとえば、会う約束をしていたのに、直前まで連絡がつかない人がいたとしましょう。結果として遅刻はしなかったし、無事に会えたのだけれど、直前まで音信不通で「大丈夫かな」と不安にさせられる。

そういう場合、「相手を許容できない自分の器が小さいのかな」と自己否定しがちですが、そもそも連絡が途絶えてしまう相手に問題があるんですよね。

普通の感覚でいえば、当日の朝まで連絡がつかないというのは非常識です。不安になるのも無理はないのです。

「自分が悪い」と思うのは間違い

こういう状況で「こんなことでイライラするのは器が小さい」「自分が悪い」と思うのは間違いです。自分がストレスを感じる理由がある以上、相手に問題がある可能性が高いのです。

もちろん、すべてを他人のせいにするのはよくありません。普段から自分のことを棚に上げて「他人のせいだ」と思いがちな人は、まずは自分に非がないかを見直すことも必要です。

ただ、自分を責めがちな人は、「相手にも非があるかもしれない」という発想を身につけてほしいのです。

自分を責める視点からいったん離れる

では、相手に非があるとわかったらどうするか。相手の言動を許容するのか、それとも改善を求めるのか、あるいは関係を断つのか。その判断は状況によります。

ただ、まずは「自分が抱いたストレスは、なにが問題なのか」を冷静に見つめることが大事です。

自分を責めがちな人は、自分を責める視点からいったん離れて、純粋に状況を分析する姿勢を持つことが、よりよいメンタルを維持する基盤になります。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。