いよいよ今夜、「芸人マジ歌選手権」が放送される(1/1 22:55~ テレビ東京)。この企画を楽しみに待っていた人も多いのではなかろうか。本記事では、この番組のプロデューサーでもある佐久間宣行さんによる20万部突破のビジネス書『佐久間宣行のずるい仕事術』と、最新作『その悩み、佐久間さんに聞いてみよう』の2冊から、「芸人マジ歌選手権」の制作の裏側とあわせ、佐久間流リーダーシップのコツを紹介する。ビジネスパーソンの悩みの多くは人間関係に由来するもの。「上司に悩まされた」「部下に悩まされた」「同僚やクライアントに苦しめられた」……2025年はそうした問題から開放される1年にしたいもの。2冊の本はそんなあなたの参考になるかもしれない(構成 石塚理恵子)。

「芸人マジ歌選手権」制作の裏側でリーダーがやっていたこと

チームが空回りしたらどうするか

チームに重苦しい雰囲気が漂ったらどうするか。

「ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンで、がんばろう」
「力を合わせれば達成できる!」
「ワンチームになって、ここから切り替えよう」

 そんなポジティブなスローガンでチームを活気づけようとしても、人の心を動かすことは多分できない。

 チームに重苦しい雰囲気が漂ったとき、僕がリーダーだったら「このままの状態で仕事を進めても、たいした成果は出ない」という、ネガティブシミュレーションをメンバーに早めに伝えると思う。

「期待感」を共有する

「このまま仕事を進めても、たいした成果は出ない」という一言が共有されると、自分もひっくるめて、危機感から場の雰囲気はガラッと変わる。

 その上で「でも、この仕事にはポテンシャルがある。フレッシュなアイデアがあと1~2個加わればきっともっと成果が出る。だからみんなでアイデア出しをがんばろう」と具体策を提案する。

 チームに今から取り組むべきタスクを周知し、それが成果につながるという期待感が広がれば、チーム全体の士気はかならず上がる。

「自分」と「メンバー」を分けてはいけない

 1点、ここで注意したいのが、リーダーとメンバーの意識が分かれないようにするということ。

「リーダーは指示を出す人」「メンバーは現場で働く人」と役割を分けて語ってしまうと、メンバーは受け身になって

「チームがうまくいかないのはリーダーのせい」と考えてしまう。

 そうなるとチームは機能不全になりやすい。

 だからリーダーは率直に「自分もプロジェクトの一員として、努力が足りていない」と打ち明けつつ、自分もメンバーと同じ立場に立って、「このままだと成果が出づらいから、一緒にやってくれないか?」と呼びかけたい。

 自分とメンバーを分けない話し方、言葉づかいを意識することで、重苦しかったチームの雰囲気は変わっていく。

負担をチェックする

 それとは別にチームの雰囲気が重いとき、リーダーには違う視点から改めて確認してほしいことがある。

 それはメンバー一人ひとりが負担超過じゃないかということだ。

 たとえばリーダーが上からの指示で過剰な仕事を持ってきたら、メンバーとしては、「誰が現場を動かすんだよ」「上にいい顔ばかりして」チームの雰囲気は最悪になる。

 これをリーダーが気合いで押し切ろうとしようものなら余計に気持ちは離れていく。

 リーダーは確実に成功させたいプロジェクトがあるときほど、それが高いクオリティで実行できるようにメンバーの負担をコントロールする必要がある。

 水がいっぱいのコップに新たな水を注ぐには、今ある水を減らさないといけない。

 それを差配するのがリーダーの役割だ。

勝負企画「マジ歌選手権」の裏側

 僕の場合、現場ディレクターとADのローテーションには、かなり頭を使っている。

「ゴッドタン」の勝負企画、「芸人マジ歌選手権」の前後では、なるべく準備がラクな企画にすることでADの負担を分散している。

 細かい調整がモチベーションを左右するからだ。

 どれだけ思い入れがある仕事でも、自分ひとりでできることなんてひとつもない。

 チームが力強く同じ方向に進めるように、言葉と態度と行動でメンバーのモチベーションを上げること。それもリーダーの大事な仕事だ。

本書には、この他、多くの仕事術が収録されています