非常によくある混乱なのですが、「動詞」という言葉の意味を正しく理解してないようです。
その責任の大半は不正確な説明の多い参考書にありますが、、。
動詞という言葉が文法説明で用いられる場合、
1、英語の8品詞の1つとしての動詞
名詞 noun
代名詞 pronoun
動詞 verb
形容詞 adjective
副詞 adverb
前置詞 preposition
接続詞 conjunction
間投詞 interjection
2、文の要素(S 、V、O、C)の中のV「述語動詞」を省略した呼び名としての「動詞」<この省略名称が悪い!--略すなら「述語」と呼び品詞名としての「動詞」とは言葉を区別するべきなのです。
S=Subject
V=Predicative Verb
O=Object
C=Complement
つまり「品詞としての動詞」なのか「文の要素のV」を指しているかの区別がそもそもついていない人が多く見受けられます。
さらに困ったことには学校現場でも英語教員がこの用語を混乱したまま用いて文法説明をしているため、学習者はどんどん混乱のきわみへと誘導されています。
文法の最大の基本は、品詞というものを順序よく階層的に理解することに始まります。
上の1にあるとおり、英語の品詞には全部で8種類の「最上位分類」があり、そこには「助動詞」も「冠詞」も含まれていません。
助動詞というのは「動詞」の下位分類の1つであり、動詞全体を「本動詞」と「助動詞」に分けた場合の名称です。
(ちなみに冠詞<定冠詞・不定冠詞>は「形容詞」に含まれます)
たとえば、
I have finished my homework.
という英文の場合、文型としては
S(主語)=I
V(述語)=have finished
O(目的語)=my homework
となり、「have finished」という「助動詞+本動詞の過去分詞」の組み合わせが1つの述語動詞を形成しています。
(すでに述べたとおり、助動詞も本動詞も品詞としては「動詞」です)
ちなみに現在完了に用いられる have も本来は「持っている」の意味に由来しており、
I have finished my homework.は、歴史的にいいますと
I have <my homework> finished =私は「すでにやり終えられた宿題」を持っている
を基にして、haveとfinishedが連続的に配置され、目的語のmy homeworkがあとにまわった語順へと変化していきました。
その段階でhaveが本来持っていた「持っている」という意味が希薄となり、意識されなくなったため「have過去分詞」という形式が、「1つの時間表現」となっていったわけです。
英語文法で言う「助動詞」とは、常に「本動詞」に対する言葉であり、「助動詞+本動詞」という組み合わせによる「V(述語)」を形成しているのです。その本動詞の形は、
1、助動詞がcan, may, must, willなどの場合>原形
2、助動詞がhaveの場合>過去分詞
3、助動詞がbeの場合>意味によって現在分詞(進行)か過去分詞(受身)
4、助動詞がusedの場合>to不定詞
などなど多岐に渡ります。中学などの段階では理解を容易にするため、can, may, must, willなど「次に動詞の原形を伴うもの」に限って助動詞と呼んでいますが、助動詞をこまかく見ると、それに続く本動詞の形式は様々です。
要するに助動詞とは「本動詞」単独では表しきれない、もっと細かいニュアンス(時間的相<完了、進行など>、態<能動、受動>などなど)を添えるために「助動詞+本動詞」という組み合わせで用いられるものなのです。