流されることも能わないなら、 ただどこまでも穴掘って逃げる
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>> "Neighbours (Voisins)" (1952) (ミラー1、ミラー2) 前衛アートアニメーションの巨匠、ノーマン・マクラレン(Norman McLaren)の動画特集。 先日渋谷ユーロスペースで観た「年をとった鰐&山村浩二セレクトアニメーション」でも 「色彩幻想」("Begone Dull Care/Caprice en couleurs" / 1949)が選ばれてましたね。 フィルムに直接ペインティングしたり、傷をつけたりする手法などを用いて ダイナミックかつアヴァンギャルドな映像世界を実現、当時の映画の常識を覆し・・・ なんて御託はおいといて、どれもこれも30年~60年前の作品とは思えない ものすごいクオリティの作品ばかり。未体験の方はこの機会に是非。 冒頭に載せたのは「隣人」という1952年のアカデミー賞短編ドキュメンタリー賞受賞作。 実験的で抽象的なものが多い彼の作品の中で、 珍しく明確なストーリーとメッセージ性があってとてもわかりやすい部類。 ぴりっとスパイシーなユーモアとコミカルかつ斬新なモーションが楽しい傑作。 以下その他の作品のリンク集。一応古い順に並べてみました。 >> "Fiddle-de-dee" (1947)
邦題「フィドル・デ・デー」。 フィルムに直接彩色したり、傷をつけたりして作画している。 以降彼の作品で頻出するこういう手法は、この作品が初の試みだそうで。 ひたすらめまぐるしい嵐のような映像。フレームという概念を無視して、 コマをまたいでながーい線をペイントしたりと、とにかく奔放。 それを映写機にかけるとこんな動きを生むのか。おもしろい。 だけどもやっぱり初の試みだけあって「とりあえずやってみた」感が強く、 この路線の裏テーマである「映像と音の連動」という部分ではまだ未完成な感じ。 >> "Blinkity Blank" (1955) 代表作とされる実験短編。邦題「緑と色の即興詩」。 ここでもカメラを一切使用せず、フィルムに直接傷をつけて描く手法が用いられている。 様々なフォルムが暗闇の中にちらちらと明滅し、残像を残しつつ音と連動して変化する。 アニメーションがアニメーションに見える原理の部分たる残像効果を 徹底的に活用した実験作品。 終盤の、闇の奥からいろんなものが飛来してくる部分が好き。 あれだけで十分に奥行きと空間の広がりを感じる。 >> "A Chairy Tale (Il etait une chaise)" (1957) 「いたずら椅子」。「隣人」に続く実写ベース作品。 何もない舞台の上で、椅子と男の2者だけで繰り広げるサイレント喜劇。 映像的には何か斬新な表現が出てくるわけではないけども、 ユーモアたっぷりのさっぱりしたコメディで楽しい。 椅子相手に一人で変なことしてる男もおかしいけど、 それ以上に見てるとどんどんキュートに思えてくる椅子がたまらない。 >> "La Merle (Blackbird)" (1958) 「ツグミ」。 丸と棒が様々に組み合わさって、ツグミになったりツグミじゃないなにかになったり。 ピタゴラスイッチの「十本アニメ」のようなノリ。楽しげ。音楽も好き。 イシュ・パテルの「ビーズ・ゲーム」もこれに影響を受けてそう。 >> "Synchromy (Synchromie)" (1971) 「シンクロミー」。 MSXとかPC-98あたりの古ーいPCゲームのBGMを思わせる ピコピコ電子音(マクラレン本人による作曲)に合わせて 幾何的でアブストラクトな図形がぴょこぴょこ動く。 うーん、完璧なリンク!これは楽しいなあ。7分以上あるけど観ていて飽きない。 >> "Chants Populaires no5" (1944) いきなり古くなりますが、最後におまけ的なものを。 ノーマン・マクラレンがアニメーターとして参加していた2分間の小品。 なので非抽象系ですが実験的なのには変わりなく意味はよくわかりません。 戦前のものなので音声劣化が著しいけど、とにかく動きが緻密。 今観てもおおっと思うくらいキャラクターの動作がきれい。すごい技術。 * コメント *
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