迷宮の螺旋階段
2008'04.07.Mon
本日は政治コラムが二本。
まずは産経新聞です。
【政論探求】「5月改造」が浮上か
産経新聞 2008.4.7 19:28
福田内閣の支持率が23・8%(産経・FNN調査)にまで下がった。国政の機能不全状態を見れば、福田康夫首相の最終責任が問われるのは分かる。「衆参ねじれ」がここまで深刻な結果をもたらすとは、大方の予想を超えたのではないか。
注目すべきは、政局攻防で勝っているように見える民主党の支持率が上がっていないことだ。自民党支持率(27・4%)が民主党(24・9%)をわずかながら、上回っている。
日銀総裁人事などに見るごとく、「ねじれ」をもっぱら政略的に利用している民主党の実態を、国民も見据えているといえるのではないか。
さあ、福田首相はどう出るか。自民党は衆院解散・総選挙をできる限り引き延ばす構えだ。来年9月の衆院議員の任期満了までこらえられれば一番いいと踏んでいる。
衆院で再議決可能な「与党3分の2」をむざむざと手放すことはない。衆院選で過半数を確保したとしても、「ねじれ」は解消せず、再議決要件も失ってしまう。
福田首相がどうにも政権を持ちこたえられないとなったら、自民党総裁選をやって「首相のクビをすげ替える」という奥の手がある。麻生太郎、与謝野馨、谷垣禎一、小池百合子各氏らの名前が早くも浮上している。小泉純一郎元首相の再登板説もある。
これをやったら、国民の関心はそちらに集中する。民主党にとっては、好ましい展開とはいえない。
といった事情で急浮上してきたのが、内閣改造だ。現在の陣容は安倍改造内閣をほぼ引き継いだもので、「居抜き内閣」などともいわれた。
福田首相が改造を避けてきたのは、民主党の小沢一郎代表に対して「大連立の用意あり」というサインを送り続ける意味合いもあったとされる。大連立となったら、民主党から閣僚をごそっと登用する必要があるためだ。
前述の「後継候補」のうち何人かを閣僚に起用すれば「閣内封じ込め」も果たせる。人心一新効果も期待できよう。
4月末に予算関連法案の再議決に踏み切ったあとが改造のタイミングとなる。福田首相にとっては「一石四鳥」ぐらいの意味合いを持ち始めているのだが、慎重居士はどう動くか。
(客員編集委員 花岡信昭=ご意見などは次のブログへどうぞ)http://hanasan.iza.ne.jp/blog/
ふーむ。
確かに利害が一致すればあっさり手を組んでしまうのが永田町というところ。
ただ、どれだけ利害が一致していても、絶対手を組まない相手がいる、というのもいかにも永田町。
まあこう上手くは行かないでしょうね。
そして毎日新聞より。
政治の“いろは”「『プロセスの政治』をこなせるリーダーを」
福田政権の迷走が続いている。日銀総裁人事では民主党の抵抗にあい、決定まで大いにもたついている。道路特定財源の暫定税率存続問題では野党の反対で廃止に追い込まれている。4月初旬からガソリンは1リットル当たり25円程安くなった。4月下旬には3分の2以上を占める衆院での再議決で暫定税率の復活を自民党は目指す方針だ。
だが、国民感情は複雑だ。諸物価の値上がりが相続いており、国民の6割前後は廃止状況を歓迎している。27日には衆院山口2区の補選が控えている。動乱期の補選結果はその後の政局に重大な影響を与えてきた。
4月に入っても福田内閣の支持率は依然下降傾向をたどっている。読売新聞の調査に続いて毎日新聞でも支持率は2割台に突入した。不支持率も5割台後半だ。「やるべきことはやっているが、ねじれ国会でやりたいことは何も出来ないでいる」と福田康夫首相は愚痴を口にするという。
自民党の一党支配が続いた55年体制下では金銭的不祥事も続き単独政権の弊害も指摘された。半面、高度経済成長の成果を原資にした社会保障や公共事業の充実で「国民中流意識」が定着した。プロセスでの不透明性よりも経済的成果をもたらす政治に多くの国民は納得せざるを得なかった。しかし、バブル経済の崩壊で、日本人の最大の矜持ともいうべき「経済大国」の地位も大いに揺らいできた。「結果の政治」に期待が持てなくなっている。
にもかかわらず少子高齢社会の到来で、国民一人当たりの負担は増えざるを得ない。負担増を国民に説得することが政治の主な任務になっている。「プロセスの政治」が求められているはずだ。
ところが、福田は雄弁家でもなければ、自らの意思を赤裸々に見せるタイプでもない。「福田政治」の指導性、方向性に世論は懐疑的だ。政治家、福田のスプリングボードは小泉内閣の官房長官だった。「劇場型政治」「テレビ政治」を得意とした当時の小泉純一郎首相とは対照的に福田の売りは「安定性」であり、時には「シニカルな話術」で仕える小泉まで大いに牽制。国民は安堵感を覚えた。
ところが、対照にすべき小泉がすわった座に現在の福田は就いている。サブ役だった官房長官当時は有効だった「安定性」も、トップに立つとマイナスに働き、せっかくの指導力をかき消している。「シニカルな話術」では国民を鼓舞させる力も湧いてこない。官房長官当時の長所が裏目に出始めている。
にもかかわらず、「ポスト福田」の動きは一向に顕在化していない。民主党が求める解散風もいま一つだ。ライバルの民主党・小沢一郎代表も「プロセスの政治」への対応能力が不十分であることも一因だ。二大政党制下で政権担当能力の誇示よりも抵抗政党に徹するのが当面の小沢戦略だ。
民主党内でも異論が出始めている。「ポスト小沢」の最有力候補と見なされている岡田克也副代表は福田が提唱した道路特定財源の一般財源化に「キチンとボールを投げ返す。しっかり協議していくべきだ」と、前向きだ。
「口べたな東北人」を自称する小沢だが、ここに来て大変身を心掛けている。テレビへの露出度を多くし、精力的に地方行脚を続けている。だが、持ち前の豪腕さが威圧感と暗さと写り、庶民性に欠ける。
自民党内では昨秋の総裁選で2位に着けた麻生太郎前幹事長が「ポスト福田」の有資格者一番手と見られる。読売の世論調査でも「首相に最もふさわしい国会議員」のトップに数えられている。党員からの支持も小泉と並んで依然として高い。数少なくなった「人を集められる政治家」の一人であることは間違いない。
その一方で、党内基盤は脆弱だ。麻生派だけでは総裁選に立候補できる40の推薦人をまかなうことも出来ない。言動は誤解されやすい。福田と争った総裁選では自民党八派の領袖のうち麻生以外は敵陣に回った。時としてひんしゅくを招いた痛快な人物評も世論評も避けているようだ。
トップを狙うにはマイナス要素と見られていることを意識した行動だろう。こうした麻生の弱点を克服するため、政策通でなる与謝野馨前官房長官と連携を深めようとしているともいわれる。与謝野は財政再建路線の中心で「上げ潮路線」の中川秀直元幹事長らと対立している。「党官僚」と陰口をたたかれる程、イデオロギー性は薄い。
麻生はこれまでは厳しい対中政策を提唱し、安倍晋三前首相らと歩調を合わせる保守派と見なされてきた。与謝野との連携は中道にウイングを広げようとすることだろう。
いずれにしろ「ポスト福田」で求められる必須要件は「プロセスの政治」を極めるリーダーであることだ。(敬称略)毎日新聞 2008年4月7日松田 喬和(まつだ・たかかず)
1945年群馬県生まれ。69年早大文学部卒、毎日新聞入社。福島支局、社会部の後、74年から政治部。サンデー毎日、メディア企画本部、政治部デスク、横浜支局長などを経て、99年10月から論説委員、専門編集員。著書に「中曽根内閣史」(共著・中央公論社)「日本政党史」(共著・第一法規)。月刊「潮」に、政治コラム「永田町鳥瞰虫観」を連載中。TBSの「ブロードキャスター」政治コメンテーター。BS11「インサイドアウト」のコメンテーター(月、木曜日)。
「プロセスの政治」という言葉は好きですねえ。
長期展望を考えた場合、結果がすぐに出るわけではありませんから、以下に言動できちんとその間をフォローできるかというのが大切なのだと思います。
私が麻生さんを支持するのには、こういう点に期待が持てるというのも、理由のひとつとしてあります。
そしてまたお名前浮上の与謝野さん。
こちらも記事によっては立ち位置がまったく違っていて、ご本人は何かと大変そう。
でも確かに、与謝野官房長官-麻生幹事長のコンビは実務的に非常に行動がスピーディでスマートでしたから、今度はまた改めて、違う形での連携を見たいと思ってもしまうのですがね。
2008.04.07 23:50 | 麻生太郎さんのこと |
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our life
2008'04.06.Sun
夕刊フジの「日本の底力」。
今回は税制についてです。
『税制はパッケージで論議を』
道路特定財源と呼ばれる揮発油税などの暫定課税が3月末で失効しました。
ガソリン価格が下がったことを喜んでおられるユーザーの方々も多いと思いますが、確かに税金はできることなら安い方が良いわけで、その心情は理解できます。ただ、国や地方自治体の税収・財政などに直結する問題だけに、政治に携わる身としてはその影響などを考慮し、これにきちんと対処していかねばなりません。
今後、政府や与野党間できっちりと議論・協議をしていくべきと考えますが、その際には大きく二つのポイントがあると思います、
一つは暫定課税が失効したことで、今年度の税収が全体で約2兆6000億円も失われるということです。このうち地方自治体の減収分は、総額9000億円にものぼります。すでに地方自治体では、その税収分を見込んだ平成20年度予算を組んでいますが、このままでは予算に穴が開くことが確実で、国として早急に責任を持ってこれに対応していく必要があります。
二つ目は揮発油税などを、税制全体の中でどう位置付けるかという問題です。
そもそも税制とは硬直したものではなく、時代や環境の変化に適応できるよう見直していくべきものだと思っております。その際に必要不可欠なのは、どのような国を目指すのかという国家ビジョンです。要するに、ビジョンを実現させるためにはどのような税制が必要なのかを考え、社会保障などを含めたパッケージとして議論していく必要があるんじゃないでしょうか。
例えば、道路特定財源は道路の整備とその安定的な財源確保のために創設されたもので、受益者負担の考え方に基づき、その利用状況に応じて車の利用者が負担しているものです。
自動車取得税のように使途を特定して徴収する目的税もあれば、揮発油税のように普通税でありながら目的税としての性格を持つものも含まれています。
これを道路以外にも使える一般財源にするという話が急浮上していますが、それには 1.なぜ車の利用者だけが余計に税負担をするのか 2.環境対策はもとより医療や年金にも使うのか──などといった疑問にきちんと答え、国民に理解をしてもらう必要があります。
国交省やその関係団体が道路特定財源をズサンに使ってきた許しがたい事実が次々と明らかになっているだけに、道路特定財源のままにしておくよりはましだという意見もあるでしょう。
これはこれで、きっちりケジメをつけなきゃならんでしょうが、国民多数の理解を得るにはやはり、理念に裏打ちされた制度や説明が必要だと思うのです。
麻生さんの考えというのは、根幹としてまず自分の中での大原則があるというのが印象的です。
むろん、現実というのはまったく違う顔を見せるわけですが、枝葉を落とせば本質が変わらないものというのも多々あるわけです。
より多くにとって公平であること、社会に共有されるシンプルな原則に基づいた国家運営というものは、麻生さんが長年主張するところ。
慣習であったりしがらみであったりするところがもちろん存在するわけで、すべてをばったばったとなぎ倒すわけにも行きません。小気味はいいのですが、小説と違ってエンディング後も私達の生活は続くのですから。
対処療法と長期治療、そして手術。
全部必要で、組み合わせの問題なのですよね。
2008.04.06 23:50 | 麻生太郎さんのこと |
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the detective said
2008'04.05.Sat
●山口県下関市にて講演
本日の麻生さんは山口。
山口といえば・・・そうです、安倍前総理と一緒だった模様です。
ポスト福田目指す麻生前幹事長が安倍氏と連携を誇示
「ポスト福田」に向け、いよいよ表舞台での活動開始です。次の自民党総裁の有力候補の一人、麻生前幹事長が、安倍前総理大臣の地元に入り、今後の連携をアピールしました。
これまで水面下での接触を重ねてきた安倍・麻生の両氏ですが、今回は初めて表舞台での活動を開始しました。
自民党・麻生前幹事長:「何でオレが山口に行かないかんのや。(総裁選で)前回も山口県は全票オレじゃなかった。その前も安倍さんだった」
安倍前総理大臣:「麻生さんは快く引き受けて頂き、お忙しいなか、わざわざお越し頂いた」
安倍氏が麻生氏擁立に向けて水面下で動き始めたのは、去年の年末からでした。しかし、ここにきて、あえて2人の関係をさらしたのも、さまざまな勉強会が立ち上がるなど、「ポスト福田」に向けた動きが自民党内でも活発化しているためです。安倍氏としても「そろそろ仕掛け時」と周辺が解説するように、こうした党内の動きに対抗して、今後の政局をリードしていきたい考えです。ANN 2008年4月5日22時7分
うーん、こういう季節かあ・・・
麻生さんを支持するようになっていくつかこうした季節を過ごしましたが、いつもやっぱり心臓に悪い。
そして講演の内容についても上がっています。
麻生氏“暫定税率戻すべき”
自民党の麻生前幹事長は山口県下関市で講演し、各国が地球温暖化対策に取り組んでいるなか、日本だけが税金を下げてガソリンの消費を奨励する形になっているのは問題だとして、環境対策の観点からも暫定税率は元に戻すべきだという考えを示しました。
この中で、麻生前幹事長は「日本のガソリン税はイギリスやフランスなどに比べて圧倒的に安い。各国がガソリン価格を上げて公共の乗り物を使うことを奨励しているのに、日本は税金を安くしてガソリンの消費を奨励する形になっているのは、環境サミットを開く立場として具合が悪い」と述べ、環境対策の観点からも暫定税率は元に戻すべきだという考えを示しました。そのうえで、麻生氏は「福田総理大臣が提案した道路特定財源の一般財源化について、与野党で答えを出す必要がある。それは、消費税など日本の税体系全体のあり方を考えるよい機会にもなる」と述べ、与野党の政策協議では消費税の問題についても話し合うべきだという考えを示しました。また、同じ会合で安倍前総理大臣は「暫定税率が下がり、道路の建設や維持ができなくなっている。福田総理大臣は一般財源化という大きな決断をし、協力を呼びかけたのだから、民主党は将来、日本の政治を担う考えがあるなら、呼びかけに応じるべきだ」と述べました。NHK 2008年4月5日 21時24分
麻生氏が安倍氏の地元下関入り 講演
産経新聞 2008.4.5 17:36
自民党の麻生太郎前幹事長は5日、安倍晋三前首相の地元である山口県下関市入りし、党県連支部大会で講演した。このなかで、福田康夫首相が平成21年度から道路特定財源を全額一般財源化すると表明したことについて、「特定財源を環境など広く使えるようにする一般財源化の答えを出すためには、与野党で政党間協議をすべきだ。この際、税体系全体を考えてはどうか」と述べ、議論の広がりに期待感を示した。
講演に先立って安倍氏もあいさつし、「民主党も将来日本の政治を担っていく考えがあるなら、ぜひわれわれの呼びかけに答えてほしい」と、民主党に協議への参加を促した。
現状はこれしかないかなあと思いますけどね。
動くようで動かない。壊れるようで壊れない。
既存のものが確実ではないのに、なかなかどうして変わらないのは不思議のような得心するような。
動くときは些細な切っ掛けで動くのかもしれませんが。
さて。
2008.04.05 23:50 | 麻生太郎さんのこと |
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