☆短編
《春節企画小説》桜の老木の精×突き出しを終えた下級遊女
こちら、ありま氷炎様の主催する春節企画に寄稿させていただこうと思い、ひねり出した小話となります。
どうしても『タグ』なるものが判らなかったため、規定に抵触するやもしれませんが、僭越ながらこちらにて『タグ』の表記をさせていただきます。
申し訳ございません。
タグ:「春節企画」「0131」
※平成26年1月31日 23:07現在 一部改稿
東皇回(かえ)る
しらじらと夜が明けてまだ間もない、朝まだき時分。
幸い昨夜は客もなく、早々と床(とこ)にもぐりこみ存分に眠りを得た竹井は、一番鶏がけたたましく鳴き叫ぶと時を同じくして跳ね起きると、装いもせず寝起きの見苦しいまま手近な衣装――手触りで、昨日まではなかった真新しい縮緬の打掛と知った――を引き寄せ袖を通し、建てつけの悪い襖障子をぴしゃりとすべらせた。
その騒がしい音に眼を覚ました同室に雑魚寝する朋輩の何名かが、もはや幾度目となるか判らぬ竹井の迷惑千万な行状を声高に咎めたが、そんなものは些末な雑音、当然のことながら寝静まった置屋の板張りをギシギシと軋ませて走る竹井の耳朶をかすりもしない。
手狭な階段を降り、ずらりと部屋の並ぶ長い廊下をひと息に駆け抜けた竹井は、見世の裏のあがり框(かまち)の下に転がる、誰のものとも決まっておらぬ使い古しの三枚歯下駄を適当につっかけ、表に躍(おど)り出た。
いかに人目のない早朝といえど、脇目もふらず翠(みどり)の黒髪を振り乱し、大大名の奥方が居城の中を引きずり歩くような裾長の衣をはためかせて一心不乱にひとところを目指す竹井の姿は、数多の女が怠惰な婀娜と瀟洒な美を得物に色を売る華やかで淀んだ世界には似つかわしくない、純真なひたむきさに彩られていた。
くすんだ朱色の鼻緒がぷつりと切れてしまいそうな勢いで、花街遊里の外れにある小高い丘の上へと息せき切って駆けのぼった竹井であったが、頂上に到着する頃にはすっかり息が上がっていた。
がくがくと笑う膝に片手を突き、もう一方の手で口許を押さえ、背を丸めて、ぜいぜいと肩で荒い息をする。
この時ばかりは、脆弱に成り下がった身体がひどく恨めしく思える。
これも普段、奥まった座敷にばかりいるせいだろう。
幾許かののち、やっと呼吸が落ち着き、ほぅとひとつ息を吐いて顔をあげた竹井は忽ち気落ちに眉尻を下げた。
「あぁ…やっぱりまだまださね…」
落胆は深く、新調したばかりの縮緬の織物が朝露に濡れるのも構わず、ぺたりと腰を落とす。
楼(ろう)を飛び出したことも含め、後で胡麻塩頭の阿漕な忘八(ぼうはち)からきつく叱られるかもしれないが、今の竹井にとり、それはさして重要なことではなかった。
眼の前に在るのは、太い幹から縦横へと無数に枝を伸ばす、堂々たるはだかんぼうの巨木。
竹井が幾ら反(そ)り返るほど首を伸ばして見上げても、そいつはうんともすんとも答えやしない。
はぁ、と溜息を吐(つ)き、竹井はぱたぱたと裾を叩(はた)きながら立ち上がった。
再びスッと背を伸ばすと、数歩前に進み出て、年季を感じさせるでこぼこした幹にそっと手を当てて語りかける。
「ねぇ。――もうすぐ春だよ。早いとこお目覚めな」
新年を迎えてからというもの、毎朝ここに通い詰めては、祝詞(のりと)のごとく同じ言葉をかける。
一年、待った。
何せ彼に会えるのは、枝の先につけた薄桃色の蕾がゆるゆると綻び、爛漫たる満開の花を咲かせ、その花びらの最後の一枚が散り落ちるまでの、わずかな間だけ。
益(ま)して己は、自由な身動きなどままならぬ遊廓の端女郎という身。
詰(なじ)るような口吻になろうとも、それは致し方なきこと。
情(なさけ)深き女の愛らしき拗ねごと、ちょっとしたご愛嬌というものだ。
彼とてそのくらい、考えずとも重々心得ておろうに。
「いつもよりちょいと早く眼を覚ましたって、神様も仏様もばちをあてなすったりしやしないさ」
軽く額を押し当て、紅(べに)の刷かれていない生(き)のままの唇を意識なく尖らせる。
待ち焦がれた一年来の再会は、いつも決まって竹井の胸に期待と不安、二つの相反する感情を抱(いだ)かせる。
――儂も既に この世に芽吹いて五百余の年を数えた
もうさほど長くはあるまいて――
一見して二十歳(はたち)を幾つも超えない、粋で美麗な若衆そのものの容姿を取るくせに、いかにも達観した老翁みたく年寄り染みた口ぶりで語るくだんの青年は、竹井がものの道理も判らぬ嘴の黄色いほんの禿(かむろ)の頃から、毎年顔を合わせる都度、唐輪髷(からわまげ)の頭を撫でつつ、そんな年寄りくさいことを言って聞かせてくれたものだ。
「あぁまったく。あんたも大概、いけずだよ」
ほろ苦い微笑を面に刻んで、竹井はふわりと幹を離れた。
「そいじゃあ、また明日」
さながら後朝(きぬぎぬ)の別れのごとくに、この日も頬近くに触れる枯れた枝先に羽のような口づけをひとつ落とすと、与えられた格は低くとも、江戸吉原、京島原、大阪新町――この三所とともに並び謳われる天下の丸山遊廓の遊女らしく、優雅な足取りで丘をくだる。
未だ新緑のひとつも纏わず、黒ずんだ樹皮のみを晩冬の冷えた空気に寒々しくさらす巨大な桜の老木の精が、人の姿を借りて竹井の前に現れるには、今暫しの時が必要なようだった。
懐かしい春の友。
また逢える日まで、もうあと少し。
作中にて、ゴタゴタと鬱陶しく用語を頻発してしまったため、一応解説がてら軽く記述しておきます。
多分色々と間違っていると思いますが、そっと眼を瞑っていただけると幸いです…。
【突き出し】
一人前の遊女として独立するための最終段階。主に十七、八歳で行う。
【三枚歯下駄】
花魁下駄とも。遊女が道中で履く履物。
【楼(ろう)】
遊女屋の別称。
【忘八(ぼうはち)】
遊女屋の主人をさす楼主(ろうしゅ)の別名。
人として備えるべき八つの徳『孝・悌・忠・信・礼・義・廉・恥』は遊廓――特に吉原――で遊ぶ際には不要であり、楼主はこれら八つの徳を持ったままではとても務まらないので忘れるべきとされたことから、「八を忘れる」で忘八という名称がついたとされている。
【端女郎】
江戸時代初期の下級の遊女。太夫の七分の一の価格で買うことができた。のち消滅。
【禿(かむろ)】
遊女見習いの七、八歳の少女。
【唐輪髷(からわまげ)】
江戸初期の遊女が好んで結った髪形。
蛇足。
題名『東皇回(かえ)る』の「東皇」とは、春の神、あるいは春そのものをさす語、だそうです。
どうしても『タグ』なるものが判らなかったため、規定に抵触するやもしれませんが、僭越ながらこちらにて『タグ』の表記をさせていただきます。
申し訳ございません。
タグ:「春節企画」「0131」
※平成26年1月31日 23:07現在 一部改稿
東皇回(かえ)る
しらじらと夜が明けてまだ間もない、朝まだき時分。
幸い昨夜は客もなく、早々と床(とこ)にもぐりこみ存分に眠りを得た竹井は、一番鶏がけたたましく鳴き叫ぶと時を同じくして跳ね起きると、装いもせず寝起きの見苦しいまま手近な衣装――手触りで、昨日まではなかった真新しい縮緬の打掛と知った――を引き寄せ袖を通し、建てつけの悪い襖障子をぴしゃりとすべらせた。
その騒がしい音に眼を覚ました同室に雑魚寝する朋輩の何名かが、もはや幾度目となるか判らぬ竹井の迷惑千万な行状を声高に咎めたが、そんなものは些末な雑音、当然のことながら寝静まった置屋の板張りをギシギシと軋ませて走る竹井の耳朶をかすりもしない。
手狭な階段を降り、ずらりと部屋の並ぶ長い廊下をひと息に駆け抜けた竹井は、見世の裏のあがり框(かまち)の下に転がる、誰のものとも決まっておらぬ使い古しの三枚歯下駄を適当につっかけ、表に躍(おど)り出た。
いかに人目のない早朝といえど、脇目もふらず翠(みどり)の黒髪を振り乱し、大大名の奥方が居城の中を引きずり歩くような裾長の衣をはためかせて一心不乱にひとところを目指す竹井の姿は、数多の女が怠惰な婀娜と瀟洒な美を得物に色を売る華やかで淀んだ世界には似つかわしくない、純真なひたむきさに彩られていた。
くすんだ朱色の鼻緒がぷつりと切れてしまいそうな勢いで、花街遊里の外れにある小高い丘の上へと息せき切って駆けのぼった竹井であったが、頂上に到着する頃にはすっかり息が上がっていた。
がくがくと笑う膝に片手を突き、もう一方の手で口許を押さえ、背を丸めて、ぜいぜいと肩で荒い息をする。
この時ばかりは、脆弱に成り下がった身体がひどく恨めしく思える。
これも普段、奥まった座敷にばかりいるせいだろう。
幾許かののち、やっと呼吸が落ち着き、ほぅとひとつ息を吐いて顔をあげた竹井は忽ち気落ちに眉尻を下げた。
「あぁ…やっぱりまだまださね…」
落胆は深く、新調したばかりの縮緬の織物が朝露に濡れるのも構わず、ぺたりと腰を落とす。
楼(ろう)を飛び出したことも含め、後で胡麻塩頭の阿漕な忘八(ぼうはち)からきつく叱られるかもしれないが、今の竹井にとり、それはさして重要なことではなかった。
眼の前に在るのは、太い幹から縦横へと無数に枝を伸ばす、堂々たるはだかんぼうの巨木。
竹井が幾ら反(そ)り返るほど首を伸ばして見上げても、そいつはうんともすんとも答えやしない。
はぁ、と溜息を吐(つ)き、竹井はぱたぱたと裾を叩(はた)きながら立ち上がった。
再びスッと背を伸ばすと、数歩前に進み出て、年季を感じさせるでこぼこした幹にそっと手を当てて語りかける。
「ねぇ。――もうすぐ春だよ。早いとこお目覚めな」
新年を迎えてからというもの、毎朝ここに通い詰めては、祝詞(のりと)のごとく同じ言葉をかける。
一年、待った。
何せ彼に会えるのは、枝の先につけた薄桃色の蕾がゆるゆると綻び、爛漫たる満開の花を咲かせ、その花びらの最後の一枚が散り落ちるまでの、わずかな間だけ。
益(ま)して己は、自由な身動きなどままならぬ遊廓の端女郎という身。
詰(なじ)るような口吻になろうとも、それは致し方なきこと。
情(なさけ)深き女の愛らしき拗ねごと、ちょっとしたご愛嬌というものだ。
彼とてそのくらい、考えずとも重々心得ておろうに。
「いつもよりちょいと早く眼を覚ましたって、神様も仏様もばちをあてなすったりしやしないさ」
軽く額を押し当て、紅(べに)の刷かれていない生(き)のままの唇を意識なく尖らせる。
待ち焦がれた一年来の再会は、いつも決まって竹井の胸に期待と不安、二つの相反する感情を抱(いだ)かせる。
――儂も既に この世に芽吹いて五百余の年を数えた
もうさほど長くはあるまいて――
一見して二十歳(はたち)を幾つも超えない、粋で美麗な若衆そのものの容姿を取るくせに、いかにも達観した老翁みたく年寄り染みた口ぶりで語るくだんの青年は、竹井がものの道理も判らぬ嘴の黄色いほんの禿(かむろ)の頃から、毎年顔を合わせる都度、唐輪髷(からわまげ)の頭を撫でつつ、そんな年寄りくさいことを言って聞かせてくれたものだ。
「あぁまったく。あんたも大概、いけずだよ」
ほろ苦い微笑を面に刻んで、竹井はふわりと幹を離れた。
「そいじゃあ、また明日」
さながら後朝(きぬぎぬ)の別れのごとくに、この日も頬近くに触れる枯れた枝先に羽のような口づけをひとつ落とすと、与えられた格は低くとも、江戸吉原、京島原、大阪新町――この三所とともに並び謳われる天下の丸山遊廓の遊女らしく、優雅な足取りで丘をくだる。
未だ新緑のひとつも纏わず、黒ずんだ樹皮のみを晩冬の冷えた空気に寒々しくさらす巨大な桜の老木の精が、人の姿を借りて竹井の前に現れるには、今暫しの時が必要なようだった。
懐かしい春の友。
また逢える日まで、もうあと少し。
作中にて、ゴタゴタと鬱陶しく用語を頻発してしまったため、一応解説がてら軽く記述しておきます。
多分色々と間違っていると思いますが、そっと眼を瞑っていただけると幸いです…。
【突き出し】
一人前の遊女として独立するための最終段階。主に十七、八歳で行う。
【三枚歯下駄】
花魁下駄とも。遊女が道中で履く履物。
【楼(ろう)】
遊女屋の別称。
【忘八(ぼうはち)】
遊女屋の主人をさす楼主(ろうしゅ)の別名。
人として備えるべき八つの徳『孝・悌・忠・信・礼・義・廉・恥』は遊廓――特に吉原――で遊ぶ際には不要であり、楼主はこれら八つの徳を持ったままではとても務まらないので忘れるべきとされたことから、「八を忘れる」で忘八という名称がついたとされている。
【端女郎】
江戸時代初期の下級の遊女。太夫の七分の一の価格で買うことができた。のち消滅。
【禿(かむろ)】
遊女見習いの七、八歳の少女。
【唐輪髷(からわまげ)】
江戸初期の遊女が好んで結った髪形。
蛇足。
題名『東皇回(かえ)る』の「東皇」とは、春の神、あるいは春そのものをさす語、だそうです。
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もくじ 既刊販売案内
もくじ ★日向の娘
もくじ ★情の洪水
もくじ ★傾国の女神
総もくじ ★暁の煉獄
- ┣ ・本線(メイン)
- ┗ ・脱線(パラレル)1
もくじ ★村人Yと金の子竜
もくじ ★蒼月を仰いで
もくじ ★海老で鯛を釣る
もくじ ★天の咆哮
総もくじ ☆お題
もくじ ☆短編
もくじ ☆STAR SPECTACL
もくじ 三国志【※】
総もくじ ミスフル【※】
- ┣ ・通常仕様(その1)
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- ┗ ・小ネタ
もくじ トリコ【※】
総もくじ fkmt【※】
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- ┣ (アカカイ)山神パロ
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- ┣ (アカカイ)獣と教誨
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- ┣ (アカカイ)イタカパロ
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- ┣ ・短編2
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- ┣ ・中編
- ┣ ・パラレル
- ┣ ・パラレル2
- ┣ ・パラレル3
- ┗ ・パラレル4
もくじ APH【※】
もくじ 狼花【*】
~ Comment ~
メッセージありがとうございます。
ありま様
投稿の報告が遅れてすみません。
ありま様のブログのほうにコメントでご報告しようと思っていたのですが、所用あってネット環境から離れなければならなかったため、朝バタバタしながら先に話だけ掲載させていただきました。
タグの件、了解しました。
紹介、ありがとうございます。
わたしも、これからゆっくり皆様の作品を拝読していきたいと思います。
改めまして、この度は企画開催と参加許諾、誠にありがとうございました。
投稿の報告が遅れてすみません。
ありま様のブログのほうにコメントでご報告しようと思っていたのですが、所用あってネット環境から離れなければならなかったため、朝バタバタしながら先に話だけ掲載させていただきました。
タグの件、了解しました。
紹介、ありがとうございます。
わたしも、これからゆっくり皆様の作品を拝読していきたいと思います。
改めまして、この度は企画開催と参加許諾、誠にありがとうございました。
- #22 野津征亨
- URL
- 2014.01/31 17:00
- ▲EntryTop
Re: NoTitle
ありま様
お気遣い、痛み入ります…。
拙作ですが、サラッと読みで一向に構いませんよ。
その、正直な話、ゆっくり読まれると、「何これ」という矛盾点や粗が一気に浮き彫りになってしまうので…
実力不足で申し訳ありません。
企画、楽しかったです。
お気遣い、痛み入ります…。
拙作ですが、サラッと読みで一向に構いませんよ。
その、正直な話、ゆっくり読まれると、「何これ」という矛盾点や粗が一気に浮き彫りになってしまうので…
実力不足で申し訳ありません。
企画、楽しかったです。
- #24 野津征亨
- URL
- 2014.01/31 22:50
- ▲EntryTop
NoTitle
また来ました。
すみません、なろうから読み始めて最後になってしまいました。
わからない用語が多かったので
用語解説があってよかったです。
突き出しを終えたって、あれですよね。
でも竹井さんは純粋な感じでした。
早く桜の精が目覚めるといいなー。
野津さんの書き方はやっぱり格調高いですね。
歴史ものが似合う感じです。
ご参加ありがとうございました。
すみません、なろうから読み始めて最後になってしまいました。
わからない用語が多かったので
用語解説があってよかったです。
突き出しを終えたって、あれですよね。
でも竹井さんは純粋な感じでした。
早く桜の精が目覚めるといいなー。
野津さんの書き方はやっぱり格調高いですね。
歴史ものが似合う感じです。
ご参加ありがとうございました。
- #25 ありま氷炎
- URL
- 2014.02/02 00:50
- ▲EntryTop
Re: NoTitle
ありま様
読んでくださってありがとうございます。
順番についてはまったく気にしておりませんので大丈夫です。
実は、何年も前から密かに、いつか遊廓を舞台に話を書けたら…と画策していたものですから、調子に乗って色々と詰めこみ過ぎました。
わざわざ用語解説をつけずとも理解してもらえる、判りやすい文章を書けるようになりたいものです…。
「突き出し」
――はい。お察しの通り、あれのことです。
水揚げ、という表現のほうが一般的かもしれませんが、ここでは参考資料に従って「突き出し」としました。
竹井について補足させていただくと、幼少の頃から花街の世界しか知らないので、遊女というものや自分が遊女であることに対して、抵抗感や負のイメージはありません。
そういうものなんだと、息をするのと同じようにごく自然なものとして受け入れている感じです。
逆に、そのことがあって素直なところが素直なまま育った、妙にスレていない遊女らしくない遊女……という、どこか矛盾した人物像になってくれるように意識しながら書きました。
…うまくいっている自信はありませんが。
桜の精の目覚めまで、もう少しです。
格調高いと言っていただけて、身に余る光栄です。
この読みにくく堅苦しい文体は、歴史小説ばかり読んでいたせいかもしれません。
企画、楽しかったです。
読んでくださってありがとうございます。
順番についてはまったく気にしておりませんので大丈夫です。
実は、何年も前から密かに、いつか遊廓を舞台に話を書けたら…と画策していたものですから、調子に乗って色々と詰めこみ過ぎました。
わざわざ用語解説をつけずとも理解してもらえる、判りやすい文章を書けるようになりたいものです…。
「突き出し」
――はい。お察しの通り、あれのことです。
水揚げ、という表現のほうが一般的かもしれませんが、ここでは参考資料に従って「突き出し」としました。
竹井について補足させていただくと、幼少の頃から花街の世界しか知らないので、遊女というものや自分が遊女であることに対して、抵抗感や負のイメージはありません。
そういうものなんだと、息をするのと同じようにごく自然なものとして受け入れている感じです。
逆に、そのことがあって素直なところが素直なまま育った、妙にスレていない遊女らしくない遊女……という、どこか矛盾した人物像になってくれるように意識しながら書きました。
…うまくいっている自信はありませんが。
桜の精の目覚めまで、もう少しです。
格調高いと言っていただけて、身に余る光栄です。
この読みにくく堅苦しい文体は、歴史小説ばかり読んでいたせいかもしれません。
企画、楽しかったです。
- #26 野津征亨
- URL
- 2014.02/02 13:42
- ▲EntryTop
真守 様
初めまして。
この度は丁寧なコメントを頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。
いただいた文面から、細部まで読みこんでくださっているのが伝わってきて、何ともお恥ずかしい限りです…
はい。竹井の属する丸山遊廓は、今の長崎にあったそうです。
何となく、竹井という人物的に吉原や島原のような、誰もが知る有名どころの遊女という感じではないな、と思ったので、上方から離れた丸山を選びました。そこでもまた、博多の柳町とどちらにするか悩みましたが。
博多という気風を考えた結果、最終的に前者に落ち着いた次第です。我ながら、つまらない拘りです。
わたしも真守様と同じく、遅読な上に何度も繰り返し読み返すタイプでして。
閲覧くださるごとに、拙文の粗がますます際立ったことかと(汗)
他にも、拙宅の中途半端で締まらない短編にまで眼を通してくださり、この上コメントまでいただけて、感謝の言葉もございません。
『反逆を起こした王弟×幼馴染の王妃』は学生の時に書いた厨二病要素全開の妄想駄文なだけに、ツボだと言っていただけてとても嬉しいです。救われる思いです。
本当に、南北朝時代は戦国時代と比べてさほど資料の数がなく。…かと言って、まったく時代考証をせずに、自分自身の勝手な想像で適当に済ませるのも気が引けるし――で、長編で書く気を失くしました。
どちらかと言うと、安土・桃山の頃よりも、平将門や藤原純友といった地方の有力武士が台頭し始めた平安中期から、室町幕府が成立し南北に分かれた王朝が統一されるまでの間に活躍した武将のほうが好きなので。
どうでもいい個人情報、失礼いたしました。
「優しい味のする砂糖菓子」
「蜂蜜やチョコレートみたいに喉に絡みつくような甘さじゃなくて、ふわっと解けるようなそんなイメージ」
――一瞬、自分の都合のいいように錯覚しているだけではなかろうか、と自らの眼と正気を疑いました。
通じます! というより、過分なお言葉の数々に我を失いそうです…!
甘ったるい文章を書くのが大の苦手で、これって絶対恋愛小説としても普通の小説としても物足りないよね…と涙していた日々から解放された心地です。
まるで、このままでいいのだと肯定していただけたようで、もう本当にありがたいです。
今回の企画で、沢山の方の素敵な作品に触れることができて、また、それを通して新たな繋がりを得ることができて、これまでにない充実した時間を過ごせました。
こちらこそ、企画にご一緒させていただけて光栄の極みでした。
改めまして、ありがとうございました。
この度は丁寧なコメントを頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。
いただいた文面から、細部まで読みこんでくださっているのが伝わってきて、何ともお恥ずかしい限りです…
はい。竹井の属する丸山遊廓は、今の長崎にあったそうです。
何となく、竹井という人物的に吉原や島原のような、誰もが知る有名どころの遊女という感じではないな、と思ったので、上方から離れた丸山を選びました。そこでもまた、博多の柳町とどちらにするか悩みましたが。
博多という気風を考えた結果、最終的に前者に落ち着いた次第です。我ながら、つまらない拘りです。
わたしも真守様と同じく、遅読な上に何度も繰り返し読み返すタイプでして。
閲覧くださるごとに、拙文の粗がますます際立ったことかと(汗)
他にも、拙宅の中途半端で締まらない短編にまで眼を通してくださり、この上コメントまでいただけて、感謝の言葉もございません。
『反逆を起こした王弟×幼馴染の王妃』は学生の時に書いた厨二病要素全開の妄想駄文なだけに、ツボだと言っていただけてとても嬉しいです。救われる思いです。
本当に、南北朝時代は戦国時代と比べてさほど資料の数がなく。…かと言って、まったく時代考証をせずに、自分自身の勝手な想像で適当に済ませるのも気が引けるし――で、長編で書く気を失くしました。
どちらかと言うと、安土・桃山の頃よりも、平将門や藤原純友といった地方の有力武士が台頭し始めた平安中期から、室町幕府が成立し南北に分かれた王朝が統一されるまでの間に活躍した武将のほうが好きなので。
どうでもいい個人情報、失礼いたしました。
「優しい味のする砂糖菓子」
「蜂蜜やチョコレートみたいに喉に絡みつくような甘さじゃなくて、ふわっと解けるようなそんなイメージ」
――一瞬、自分の都合のいいように錯覚しているだけではなかろうか、と自らの眼と正気を疑いました。
通じます! というより、過分なお言葉の数々に我を失いそうです…!
甘ったるい文章を書くのが大の苦手で、これって絶対恋愛小説としても普通の小説としても物足りないよね…と涙していた日々から解放された心地です。
まるで、このままでいいのだと肯定していただけたようで、もう本当にありがたいです。
今回の企画で、沢山の方の素敵な作品に触れることができて、また、それを通して新たな繋がりを得ることができて、これまでにない充実した時間を過ごせました。
こちらこそ、企画にご一緒させていただけて光栄の極みでした。
改めまして、ありがとうございました。
- #28 野津征亨
- URL
- 2014.02/07 12:55
- ▲EntryTop
Re: NoTitle
こんにちは。
そちら様に投稿させていただいたコメントですが、あれは言うなればクロエ様に捧げさせていただいた文章ですので、煮るなり焼くなり、どうぞご自由になさってくださいませ。
わざわざご報告ありがとうございました。
そちら様に投稿させていただいたコメントですが、あれは言うなればクロエ様に捧げさせていただいた文章ですので、煮るなり焼くなり、どうぞご自由になさってくださいませ。
わざわざご報告ありがとうございました。
- #32 野津征亨
- URL
- 2014.02/08 16:39
- ▲EntryTop
野津さま
今晩は。栞如の葛藤が繊細に記されており 女心を擽られる 女性を良くご存知の作品ですね。 私でしたら 千は好きです。迷わず胸に飛び込むでしょう…(笑)
拍手コメント 送れませんでした…変になっていたらごめんなさい。
あと迷惑でなければ リンクさせて頂いても構いませんか?
拍手コメント 送れませんでした…変になっていたらごめんなさい。
あと迷惑でなければ リンクさせて頂いても構いませんか?
ありがとうございます…!
クロエ様
こんばんは。
拙作をお読みいただいた上に、ご感想まで、ありがとうございます。
展開的に、少し夢見がちだったかもしれません。
何となく少女漫画を意識して書いてみました。
千をお好きと言っていただけて嬉しいです。
彼は今のところ、あまり報われておりませんので…(笑)
拍手コメントですが、確かに途中で途切れていました…。
でも、コメントをいただけて、とても幸せです。
そしてそして、当方をリンクしていただけるとか! 感激です…!
もちろん喜んで、ぜひとも、お願いいたします…!
こんばんは。
拙作をお読みいただいた上に、ご感想まで、ありがとうございます。
展開的に、少し夢見がちだったかもしれません。
何となく少女漫画を意識して書いてみました。
千をお好きと言っていただけて嬉しいです。
彼は今のところ、あまり報われておりませんので…(笑)
拍手コメントですが、確かに途中で途切れていました…。
でも、コメントをいただけて、とても幸せです。
そしてそして、当方をリンクしていただけるとか! 感激です…!
もちろん喜んで、ぜひとも、お願いいたします…!
- #34 野津征亨
- URL
- 2014.02/10 20:09
- ▲EntryTop
野津さま
今晩は。野津さま
今日は 砂の花びら 拝読致しました。 千と栞如が結ばれて 本当に嬉しいです。栞如は 心を開くまで5年も掛かったのですね。それだけ複雑だったのか 意地っ張りと言うのか…(笑)
砂の花びら 素敵なお題ですね…。
詩人になれそうな 気が致します♪
此れからも楽しみにしています。
時節柄 お身体ご自愛下さいませ。
今日は 砂の花びら 拝読致しました。 千と栞如が結ばれて 本当に嬉しいです。栞如は 心を開くまで5年も掛かったのですね。それだけ複雑だったのか 意地っ張りと言うのか…(笑)
砂の花びら 素敵なお題ですね…。
詩人になれそうな 気が致します♪
此れからも楽しみにしています。
時節柄 お身体ご自愛下さいませ。
ありがとうございます
クロエ様
こんばんは。
拙作を読んでくださってありがとうございます…!
はい。最終的にはくっつくのですが…一番肝心とも言える、二人が結ばれた時の話はまだ書けていないのです…(苦笑)
栞如はとても意地っ張りで、なかなか素直になれないので、五年もかかってしまいました。
そして題名ですが…実はこれ、好きな歌手の方の曲名をそのままお借りしただけなのです。
素敵な言葉だったので、つい使ってしまいました。
それでは、ご訪問ならびにご感想、誠にありがとうございました。
クロエ様も、お身体ご自愛くださいませ。
こんばんは。
拙作を読んでくださってありがとうございます…!
はい。最終的にはくっつくのですが…一番肝心とも言える、二人が結ばれた時の話はまだ書けていないのです…(苦笑)
栞如はとても意地っ張りで、なかなか素直になれないので、五年もかかってしまいました。
そして題名ですが…実はこれ、好きな歌手の方の曲名をそのままお借りしただけなのです。
素敵な言葉だったので、つい使ってしまいました。
それでは、ご訪問ならびにご感想、誠にありがとうございました。
クロエ様も、お身体ご自愛くださいませ。
- #38 野津征亨
- URL
- 2014.02/12 23:00
- ▲EntryTop
野津さま
今晩は。
昨日は 訪問できず残念でした。
今日は Happy Valentine♪ですね~(*^^*)
気持ちだけですが お届けに参りました♪(笑)
昨日は 訪問できず残念でした。
今日は Happy Valentine♪ですね~(*^^*)
気持ちだけですが お届けに参りました♪(笑)
ありがとうございます!
クロエ様
こんにちは。
いつもご訪問ありがとうございます。
Happy Valentine!ですね。
嬉しいです!
お気持ち、しっかり届きました。
わたしも後ほど、そちら様にお邪魔させていただきますね。
こんにちは。
いつもご訪問ありがとうございます。
Happy Valentine!ですね。
嬉しいです!
お気持ち、しっかり届きました。
わたしも後ほど、そちら様にお邪魔させていただきますね。
- #41 野津征亨
- URL
- 2014.02/14 11:52
- ▲EntryTop
野津様へ
こんにちは。野津さん。
この文章 『 一年待った ~ の間だけ 』
なんとも美しくも 情景が浮かびます。恋心と桜…。
お題目もとても魅力的ですね。
もうすぐ4月 応援していますね♪
この文章 『 一年待った ~ の間だけ 』
なんとも美しくも 情景が浮かびます。恋心と桜…。
お題目もとても魅力的ですね。
もうすぐ4月 応援していますね♪
クロエ 様
こんにちは。
美しいと言ってくださって、本当にありがとうございます。
漠然としたイメージから書いた文章でしたが、情景を思い浮かべていただけましたなら嬉しいです。
題目は漢和辞典からそのまま引用しました(苦笑)
そして暖かい応援のお言葉、ありがとうございます…!
四月から新天地で頑張ります。
美しいと言ってくださって、本当にありがとうございます。
漠然としたイメージから書いた文章でしたが、情景を思い浮かべていただけましたなら嬉しいです。
題目は漢和辞典からそのまま引用しました(苦笑)
そして暖かい応援のお言葉、ありがとうございます…!
四月から新天地で頑張ります。
- #145 野津征亨
- URL
- 2014.03/27 17:23
- ▲EntryTop
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ありがとうございます。
参加ありがとうございます。
タグはすみません。
ブログは関係なかったです。
FC2ブログでは紹介しますね。
だめだったら教えてください。
ゆっくり読みます。