輝きのタクト 25話

  • 2011/04/05(火) 00:47:11

ちょっと体調を崩したらしく、二回目見たときにはすでに頭が
はっきりしなかったので最初に思ったことを基準に書こうと思います。


不安すぎる最終回だったが、認めよう。
認めます。

榎戸は大した奴だった。



ヘッドの目的が明かされ、他の綺羅星団員たちの協力、決着、
決してスガタのことも忘れず、期待を裏切らないタクトの行動。

これだけの見所を一つの話でし、区切りをつけた。

あ、すいません非常に非常に長くなりました(笑)。
一応全部書きたい大事なことなんですけど総評は
だいたい半分から下の方です(笑)。



まず、ヘッドのこと。
ザメクの復活。

ヘッドはシンゴのサイバディ、シンパシーでザメクとアプリボワゼする。
要するに乗っ取りなのだが、催眠とかじゃなくアプリボワゼという
若干の表現、意味の違いで聞こえ方が良くなっていることを評価したい。

ただ、シンゴに拘る理由があったのならカタシロに「復元のリスクを
負った分だけお前より勇気がある」と過去に言わせない方が良かった。
タカシというヘタレキャラがいるためヘッドも小物だと思われてしまう。
最終回の物語での不満はこれだけですね。

封印を全て解けば、0時間の外に出ると同時に第5フェーズに上がり、
ザメクは時間を自由に操れるようになる。
タイムトラベラーとなった自分は好きな過去を何度も繰り返せる。
それがヘッドの目的だった。

これには十分納得したし満足した。
若い姿のままでいる理由も、「本当の強さを手に入れて失った物も
取り戻してみせる」の意味も理解できた。
大事なのは、最初俺も書きそうになったんだけど(笑)、
「やり直す」じゃないんですよ。
ヘッドのセリフは「繰り返す」、つまり楽しかった過去を
何度も何度も味わうことが目的なわけですよ。
過去に悔いがあるわけじゃなく。

時間を進めることも、義務も責任も拒んで自分の好きなように生き、
永遠に楽しい夢だけ見ていたいと望む。
それがヘッドという人間だった。

ついでに言うと「自分だけが取り残されるような気がした」と言った
シンゴは若いままでいたことを後悔しているのだから
このセリフの時点でシンゴの物語は終わっている。

これでヘッドの目的の説明という義務は果たされた。
サカナちゃんの歌とともにヘッドを描いたAパート、
最終回一つ目の盛り上がりだった。



サイバディは自分たちがたどり着くべき未来の一つ、
ただ、ヘッドが間違った使い方をし、
ザメクが間違ったサイバディであるだけ。

仮面が砕けた瞬間に人妻たちは改心し、サイバディを取り戻し、
同時に綺羅星団員としての物語の終着点でもあった。

ワコの歌とともに人妻らが落とし前をつけるべくタクトに協力、
これが二つ目の盛り上がりだった。



「まだ…僕には見えている!」
王の柱の中を諦めることのないリビドーで突き進んで
父親をぶん殴り倒したタクト。

改めて顔がひしゃげるほど殴ったのも良いし、
ここからは作画が素晴らしい。
曲もしっかりと盛り上げてる。

ピンチからの父親との決着。
三つ目の盛り上がりだった。



スガタが選んだのはザメクの封印。

まずスガタをちゃんと忘れてないのが素晴らしい。
ヘッドに時間を取られてスガタの扱いがいい加減になりやしないかと
思ったが、回想を絡めて十分スガタの決断と思いを描いていた。

これがスガタにとってのやりたいこととやるべきことの一致だった。
タクトが前回ナツオの顔を浮かべたのも理解できる。
もはや逃れられない運命の中で自分は何ができて何をするべきなのか。
スガタとナツオは同じ境遇にあった。

保険医の「地球は救われたな」と、
人妻の「この戦いに価値はあった」がとても良い。
あのセリフのおかげでこれが結末のような印象を受けた。
「本来ならばこの物語の主人公はスガタであるが、タクトが来たことに
よって変わってしまった」と榎戸が語っているとwikiにあったが、
スガタが主人公であった場合の結末はこれなんだろう。

ケイトの目的はスガタをこの星の王にすること。
スガタが自分の物にならなくても、大人しくワコに渡すのも癪だった。 
良いことじゃないが、責め立てる気にもなれない行動。
それに結局、ヘッドには最後まで利用され、スガタもワコを選ぶという
仕打ちを受けてしまった。
皮肉なことに、今思えばスガタを決心させたのはケイトだった。
常にスガタのことを思うケイトの献身が、スガタをワコのために
自分ごとザメクを封印する決断をさせた。
ケイトがスガタを諦める日が来るといいがね。

スガタの意思を尊重していることが十二分に伝わる封印シーン。
それが4つ目の盛り上がりだった。



しかし。
俺にはそんな結末、到底認められない。

だから封印されていく姿を見ながら、
「タクトはそんなアニメじゃないだろ!なんとかやれよタクト!」
と思った。

そして出た行動がワコのサイバディの破壊で封印を解き、
ザメクに戦いを挑むこと。

「いっけえーーーー、タクトーーーーーーー!!!!」
「はぁあああああああああああああああ!!!」
はもう何回見てもたまらない(笑)。
同時に曲が流れ出すのもいい。
俺の気持ちに、期待に応えてくれた瞬間だった。
「ああそうだ、その通りだタクト!」と(笑)。

そこからのバトルは素晴らしい出来だった。
特にいいのが、ザメクに握りつぶされそうになったのを
タウ銀河ビーム(?)で焼ききって脱出したとき。
タクトのリビドーの輝きは誰も敵わないに決まってるんだから、と
苦戦することすら不愉快だった今までの回の鬱憤が一気に晴れた。
たとえ助太刀されなくてもタクトは負けなかったと確信できた。

「俺やお前にはもう見えないものさ」と言うカタシロの姿は
見えない左目からのアングルだったのが印象的だった。
一応取りまとめるものの進んで何かをしようとはせず、
トキオのすることを見届けるカタシロは
組織側のエントロピープルみたいなものなんだな。

期待を裏切らないタクトの行動。
5つ目、最後の盛り上がりはそれだった。




ということで見所の連発、クライマックスの連続だったわけですが。
これだけでも人によっては十分評価できる最終回といえる。

しかし結末はさらに素晴らしかった。

「もっと凄い空を、きっと見るさ」
「人生という冒険はつづく」
まさにこの言葉に集約されている。

俺はずっと終わらせることばかり考えていた。
前回を見たときに終わらせられるはずがないと不安に思ったし、
最終回前にちゃんと終わらせるか考えて書いたりもした。
決着をつけ、各キャラのエピローグを描くにはどうしたらいいのかと。

でも榎戸の考えていたことはそんなんじゃなかった。
「人生という冒険はつづく」、つまり、タクトたちはこのために
存在していたわけじゃない、決着をつければ終わりじゃなかった。
「終わらない」という答えがあったことは、終わらせることだけ
考えていた俺にまるで新しい未来を与えたようだった。

だからエピローグなんて入れるわけがない。
そんなものを描いたら終わってしまう。
この答えを見たことでわかった。
エピローグとは冒険を終えた者たちの風景だ。
今まで見た作品の結末を考えると、世界を救った後は穏やかに暮らした
というようなパターンや、歳を取らない設定の作品に多い、
物語は終わらない、というパターンに大別できると思う。
エピローグは未来のようで実は完結しており、その先には何もない。
完全に固定されてしまう。
終着駅、余生と言ってもいい程だ。

しかしこのアニメは「人生という冒険はつづく」、と締めている。
このことを、ヘッドという若い姿のまま永遠に過去のみを求める
キャラを同じ最終回の中で登場させることでより際立たせていることは
無視してはならない。
しかも、今見ているものとは違うもっと凄い空を見ると言っている。
このサイバディにまつわる物語は通過点で、
未来はもっと輝かしく広がっていると言うんだ。
俺はここまで明日を、未来を信じ、讃えている作品を見たことがない。

その上、それだけでも十分伝わるのにエンドカードで
「君の銀河はもう輝いている」と、駄目押ししている。
それも以前使われたメッセージを再び使い、
「ずっとそう思っていたんだよ」とおまけをつけて。
アニメに限らず、良い作品は見終わった後に必ず良い気分になる。
それはたとえほんの少しでも、確実に受け手の気持ちを前に
動かしていることに他ならない。
タクトはそれを積極的に訴えかけている。
受け手の未来を輝かせようと、讃えようとしている。
タクト19話で「ナツオの輝きを見たタクトの輝く姿を見て、
視聴者が何かを感じるんだ」と書いたのは間違ってなかった。
しかしここまでされては感嘆するしかない(笑)。


キャラクターたちの人生は続くのだから、
ワコの気持ちももちろんそうである。

「二人の男の子を、こんなにも深く同時に好きになっちゃった女の子の
苦しみが、あなたにはわかる?」というのは、一瞬被害者面みたいで
不快にならなくもなかったが(笑)、悪い意味のセリフじゃない。

その輝きで閉塞した島に笑顔を与えてきたタクトと、自分の体ごと
ザメクを封印しようとしたスガタが魅力的でないはずがない。
スガタにしてもワコがいたから決断できたのだろう。

ワコは心に決めた一人の男性を思い続けるケイトの考えが正しいと
思っているし、彼氏ができた友達をうらやましく思っている。
だから苦しい。
一人の誰かのはずが、二人を好きになってしまったのだから。
そして、苦しんでいるということは今の自分は良くないと
思っているということでもある。
決して二股かけようとかハーレムを望んでいるのではない。

二人が好きとの答えは現在の気持ちで、
ワコにもいずれ苦しんだ末に結論を出す日が来る。

あと、地味に忘れがちだが封印が解かれたことで
ワコも島から解き放たれたことも評価したいと思う。
考えてみると、ワコとスガタはタクトの手で封印やしきたりから
解放されたんだな。
3人の青春はこれからだ。


今まで見方を間違えてた人間もさすがにわかっただろうと思う。
タクトは負けない。

ナツオと接してその死よりも輝きに惹かれたタクトだからこそ
そのリビドーは純粋で強く、諦めない。
地球人のために作られたタウバーンはその輝きに応える。

タクトは島に縛られている人間よりも精神的に一つ上にある。
輝きたいという一心で行動するのがタクトであり、
変にぶれたりしないし掘り下げる必要もない。

どんなピンチでも諦めず、そして輝く。
主人公だから必ず敵に勝つんじゃない、タクトだから勝つんだ。
途中で負けるような奴ならザメクにも勝てやしないよ。

「タクトが必ず勝つのが気に入らない」なんて意見、
的外れも過ぎるだろ。



いくらなんでも長すぎるな(笑)。
そろそろ締めよう。
というかちょうど終わりです。

非常に満足の行く最終回で、見て良かったと思う。

期待通り、と言えないのがなんとも残念(笑)。
何度でも言うけど7話が糞過ぎたし、最終回までに気になる部分が
ちょこちょこあったために不安は拭い去れなかった。
信じきれなかった。

見方を間違えてる人間が出たのも元を正せばスタッフが「タクトは
こういうアニメです」と最初にはっきり明示しておかなかったからで、
このアニメは本当にもったいつけ感、思わせぶりが多い。
タカシのヘタレ具合とか、特に絡まなかったワコのばあちゃんとかね。

もう少し整えられていればアニメ史に残る名作になっていただろう。
榎戸は設定だけで満足するタイプの二流じゃないけど、
どうも自分の頭の中だけで計算されていて、やや客観的な視点に
欠けるところがあるようだな。
まだまだ脚本家という冒険は続くぞ(笑)。


伏線についてはいまいち覚えてないから残ってるかは分からないけど、
あったとしても大抵は別にいいことだと思いますよ。
最終回後も続いていく物語の中で起きた小さなことなわけで。
伏線もまた未来への掛け橋よ。

ちなみに自分がちょっと気になってるのは、
EDの最後で人妻らが背中からこっちを向いてたのは
最終回で仲間になるからなのか、と、
ヘッドの「やっかましいガキだ」の言い方がスイートプリキュアの
セイレーンの口癖「やっかましいわ!」に言い方が似てたんだけど
意識したのかどうか、です。


よっしゃ、終わりとするか。
自分の想像を越えた最終回だったよ。

全く、タクトは失恋した方がいいなんて考えてたのは
実に小さいことだったな。
明日からもいつものようにタクトたちが
青春を謳歌している姿なんて簡単に目に浮かぶ。
人生はこれからなのにエピローグを描いたんじゃギャグになる。
終わりを描くこともエピローグのために時間を割く必要もない。
完璧に配分計算されての前回だったんだな。

後日談のDVD特典なんて作るんじゃねえぞ(笑)?
まあ半年、一年後に現在のタクトたちがどうしているか覗いてみるのも
悪くはないが、せっかくのこの終わり方なんだから、しなくてよかろう。

次は日本昔ばなしか…。
曲が流れたときはガクってなったよ(笑)。
それでも終わったあとはしばらくタクトの余韻に浸りたくて
他のアニメ見なかったけどね。

よくやった榎戸!
作画等その他スタッフも良かった!

これでドラマ「ゴンゾウ」に続き二つ目の、終われそうにないのに
きちんと終われた作品になった。

いい作品だった。

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