日毎に敵と懶惰に戦う

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汕頭広州香港の旅2日目 汕頭の市場と鳳凰単叢の山と潮州の夜

旅の2日目、朝は比較的のんびり、7時過ぎにホテルを出て、朝飯を食べに出掛ける。とくにあてがあるわけではなくて、昨夜コンビニに出掛けるついでに見掛けた腸粉の店、朝はやっているかな?と思って。

で、錦江之星汕頭金砂西路酒店からほど近いそのお店に来てみたら、夜は気が付かなかったけど、あたり一帯が大きな市場だった

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木曜の朝、市場は活気に溢れていて、野菜、肉、魚介、麺、その他、様々なものが

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これはうろうろしているだけで楽しい…。本当に生活の市場ですよね。果物では龍眼が旬なのだろうか、あちこちの店で見かけるし、黄皮という、去年香港ではじめて食べたけっこう酸味のあるブドウのような果物、実は汕頭の特産品らしいのだけれど、これもあちこちの店で見掛ける。あした買おうかな。

食に関して日本で情報が閉じていると、中国の野菜は危険!日本の野菜は安全で美味しい!みたいになるかもだけれど、中国大陸に来て市場を覗き、そして街の店で飯を食っていると、こんなに種類豊富で味の濃い野菜や果物がこんなに安く…羨ましい!としかならないのよな…。

一部には再生油問題とか、あぶない話はあるんでしょうけれども。あと、日本の果物は、中国香港では高級ブランド化していますけどね。

こういう市場では、旅の途上で食べる果物以外、あまり持って帰れるものも買えないので(漬けものと麺類くらいかなー)、眺めるだけにとどめて、市場の前にある腸粉の店へ

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腸粉、香港で食べたことある人も結構いるかと思うけれど、米とでんぷんが原料で、液を薄くのばして蒸して、そこに様々な具材を巻く広東料理でありまして。広州の本当に昔ながらの店だと、竹の網に液体を広げて蒸すらしいのだけれど、普通はステンレスのトレイに液を延ばし、何段にも重ねて蒸す。

中国 広東「腸粉」 | 国際報道2018[特メシ] |NHK BS1 ワールドウオッチング

飲茶の店だと上品なのが出てくるけど、ここは、どーん!と

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とにかく、何かしら具材を巻くための皮として使われているのだな、という感じ。しかし皮も、つるっともっちりしていて美味しい。そして安い

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豚肉入りは5元、80円ちょっとである。これと、豆漿で朝飯は済む感じ。豚肉入り5元、海鮮入り6元、豆漿2元が2つ、合計15元。折角なので微信支付で支払ってみた。アプリを立ち上げて、店に掲示してあるQRコードを読み取ると、支払い画面が出てくる

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ここに金額を入力して支払すると、それで支払いが済むというわけ。おそらく、スマホ決済としては導入店舗として一番簡単な使い方で、屋台の店からストリートミュージシャンから物乞いから、この方式を導入しているところは多い。15元入力した画面を見せて、これで良いか?みたいにジェスチャーで確認した後支払い

支払いが済んだかどうか、店の人はいちいち、スマホ画面とかで確認するのかな?と思っていたら、店の奥のほうから、中国語はわからないが、おそらく15元支払い完了、的なことを機械音声で読み上げるのが聞こえた。なるほど、これなら忙しい店でも、手を止めずに支払いを確認できますね

支払いを済ませ、市場を出てぶらぶら

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汕頭でも今流行りのシェアサイクルはそれなりに見掛けたけど、街の足はバイクがメインな感じ。そして道路は昼夜問わずかなり渋滞していた。さきほどの店でもスマホ決済を利用している人はごく一部で、あとは現金支払い。

街を眺めるのは明日も少し時間を取ることにして、本日はいちにち、ある方にお世話になることになっている。で、ホテルに一旦戻ってから、お店へ

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旅立ち前に連絡を取ったら、いろいろお茶を飲ませていただき、さらにお茶の山まで連れて行っていただけることになり。それで汕頭まで足を延ばしたのだ。このお茶屋、兼、お茶農家の方は、この地域の特産の鳳凰単叢メインで扱っている。自分の茶畑と工場を持ち、とても質の高いお茶を売っている

鳳凰単叢は中国茶の中でも烏龍茶が分類される半発酵茶「青茶」の一種で、潮州市の鳳凰山一帯で栽培される茶。様々な木から採れた茶葉を混ぜず、1本の木から採った茶だけで製茶されるお茶。木によって個性が強く、百種類とも言われる鳳凰単叢が存在する。

1本の木から…と言っても、普通は、本当にひとつの株から摘んだ茶葉だけを使うわけではない。お茶の木は放っておくと花が咲き実をつけて、その実が落ちてまた新芽が生えて…という拡がりをする。しかし、実から芽を出した新芽、所謂「実生」というのだが、これが育っても、母となる木と同じ味になるわけでない。

だから、安定した品質の茶葉をつける木を増やすために、挿し木、接ぎ木でお茶は増やされる。鳳凰単叢の場合、ある母樹を始祖とするチャノキから収穫した茶葉に銘柄名がつけられている。厳密に言うと完全に1本の母樹ではなく、似通った味わい香りでグルーピングされていたりするようなのだが、すみません、私の理解力ではそれ以上はよくわからない…

その結果、特に質の良いお茶はロットあたりの生産量が少なく、大手業者が入りこみにくい業界構造になっているようだ。…そんな話はあとでもするとして、この日、朝から昼まで、かなり贅沢に何種類もの鳳凰単叢を試飲させてもらったけれど、最初の香り、何煎も重ねるうちに出てくる味わい、そして銘ごとの違い…ああ…これはうまい…と唸ってしまう。

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中国茶をそれなりに知るようになって2年ほど、こんな良いお茶を飲んでしまってよいのだろうか。目の前の価格表には1斤500gで数万円から高いと数十万円とかの金額が並んでいるが、それぐらいするよね、と納得している自分がいて、茶道楽は酒道楽よりおそろしい。

しかしですね、100g3万円のお茶だとしても、1回5g1500円分あれば、10煎15煎と煎れられて、2人で小一時間、幸せな時間が過ごせるわけですから、わりと安い道楽だと思いませんか…(ぐるぐる目)

昼前までいろいろいただいてから、では山へ…ということで車で移動。汕頭市から潮州市に入り、さらに少し山を行ったところ、1時間半ほどで潮州市の鳳凰鎮に至る。鳳凰単叢の拠点になっているところで、町中お茶屋だらけ、良いお茶の収穫期の春から、製茶が終わる初夏にかけては大混雑する街も、7月末にはのんびりしている。

で、お昼ご飯をいただきます。川魚揚げたの、ゴーヤの煮付け、豆腐とハーブ、じゃがいもを使った麺

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初めて食べるものばかりだけど、潮州料理は素材の味を引き出す系で、どれもこれも美味い。とくに、肉厚のゴーヤとか、じゃがいも麺とか、いいなあ…。

さらに魚の煮物(スープもめっさ美味い)、貝や豚肉や酸菜が入ったスープ

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サツマイモの葉の炒め物に、ホルモンと酸菜の炒め物

 

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とにかく、ニンニクとゴマ油と塩はケチるな精神がどれにも活きており、中国の野菜の豊かさよ、というか、潮州料理がとにかく美味いのだな 。街の気軽な食堂風のところで、こんな美味しくて手の込んだ、それでていて素材の味がしっかり引き出されたものが、どんどん出てくるとは…。

おなか一杯になり、さらに車に乗って山へ。お茶は基本的に標高の高い処のほうが質の高いものが採れる。鳳凰単叢でも、低いところで採れるお茶はいろいろ混ぜてしまったり、一年に何回も収穫したりして、大量に製茶される。汕頭や潮州の人は日常的に路上でも茶盤を出してお茶を飲んでいるけれど、そこで飲まれているのは、こういう安い鳳凰単叢。

中国の人がお茶好きと言ってもそこはやはり郷土愛が強く、例えば緑茶の名産地に近い上海周辺の人は緑茶がメインだけれど、このあたりだと緑茶はあまり飲まないらしい。あと、長期保存される黒茶(プーアル茶など)は投機対象で、これは何度も盛り上がったり萎んだりしているようだが…

中国で盛り上がる「プーアル茶バブル」 | グレーターチャイナ縦横無尽 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

話が逸れた。とにかくそういう、低い標高の場所から、さらに山を登り、途中、黄皮を路上販売する店が多数並ぶのを見つつ、先に進む。標高1000mほどにある小さな村へ

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山の中に十数~数十軒の家がぽつんとある村なんだけれど、どの家も非常に豪華でモダンで、ああ、ここでお茶作っている人はみんな儲かっているのだなー、というのがよくわかる。

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しばらく、涼しくなるまでお茶をいただいてから、さらに山に入り、お茶の木を見せてもらった。

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日本でお茶の木と言って一般的にイメージされるのは、なだらかな丘陵地に綺麗に整えられた畝のように並ぶチャノキであるけれど、鳳凰単叢は全然違う。急峻な山肌にお茶の木がワイルドに生えている。こういう標高の高い場所のお茶は春の一度しか収穫せず、あとはエネルギーを溜め続ける。ほぼ野生化したお茶

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多種多様な鳳凰単叢は、木によって枝の生え方、葉の形などもまったく違う。

先ほど説明したように、鳳凰単叢は接ぎ木などで増やされた一群にそれぞれ「蜜蘭香」「水仙」などの名称がついている。昔は、古い木、木から落ちる種から育った木などが乱雑に山に植わっていて、どれがどの種類と明確にし難かったらしい。そこから、接ぎ木の技法を確立し、香りの分類体系も作り直し、鳳凰単叢の地位を確立していったそうな。以下の文章も詳しいので読んでくだされ

鳳凰単叢の香りの種類が多いわけは? | 中国茶専門店 Tea Happiness

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山の中には厳重に保護された樹もあって、これはある銘柄の母樹にあたるもの。これ以外にも樹齢何百年という立派な木は、ひとつひとつの株単位で年代測定されて管理されている。

こういう古い樹の場合は、ほんとうに1本の木、ひとつの株から収穫された茶葉のみで製茶される。そして1株から数kgのお茶が製茶されて、目玉の飛び出るような金額で卸されると。実際、聞いたら目が飛び出そうになるような金額でしたね…

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お茶好きな人からしたら、シロートのお前がこんな贅沢な!と怒られそうな、お茶の木をたくさん見せてもらい、お話を聞かせてもらった時間だった。ありがたいありがたい…。その後、製茶工場も見させてもらったり

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ごはんまでごちそうになったりしていたのでした。

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ところで、お茶の値段についてですが…。例えば、台湾の台北だと街中のマルシェに茶農家もたくさん出ていて、烏龍茶の直販の販売価格はだいたい150g(4両=1/4斤、1斤は中国では500gだが、台湾では600g)で300~600台湾ドルくらいで、これ即ち100gで750円から1500円くらいなわけで、ちょっとお茶好きな人が日常飲むお茶はこれくらいの価格帯と思って貰えれば良くて、これは安いよね!!!中国茶だからと言って、そんな、無体にお金がかかるわけではありませんよ…

 日もとっぷり暮れてきて、また車で移動(お世話になりっぱなしである)。山を下り、鳳凰鎮を通り過ぎ、潮州の街へ。独自の地方文化が盛んなこの街ですが、夜になると目立つのはこれ

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宋~明代に確立した城壁とか城門なんですが、どれもこれも派手にライトアップ…ライトアップ好きだな中国。通りもライトアップ

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この街出身で科挙に合格して出世した人の名を刻んだ門もライトアップ

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で、有名な広済橋、これもライトアップ…その向こうの山もライトアップ!なんだこれは

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そしてさらに、川岸に人が大勢集まって、夜の21時から光のショーまではじまったぞ!

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これがもう、やたらと派手で、時間も長くて、平日の夜のもかかわらず、大勢の観光客が見ているのでした。このショーは去年からはじまったらしく、教えてくれた人いわく、潮州市はお金が無いので、広東省がお金を出してくれたらしいが…

この広済橋、橋の真ん中あたりは艀になっていて、昼間は渡れる橋だけれど、夕方になると艀の部分が離れて、船が通行できるようになるそうな

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そんなこんな、盛りだくさんないちにち。汕頭に戻ってきたのでした。おやすみなさい…

在華坊(@zaikabou)/2018年07月26日 - Twilog