日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

とても駆け足で廻るあいちトリエンナーレ2013

たまたま名古屋に出張が入り、仕事の合間にあいちトリエンナーレを見てきた。愛知県立美術館と、名古屋市美術館と、納屋橋の倉庫だけ、正味2時間なんだけどね。前回も駆け足でしたが
駆け足で巡るあいちトリエンナーレ2010 - 日毎に敵と懶惰に戦う
今回に比べればはるかに…。ちゃんとあらかた網羅してたし。今回、長者町と岡崎は行っておりません。
朝の新幹線で名古屋に着き、とりあえず伏見へ

まず、朝は名古屋市美術館

美術館の前には『これがそれである』横山裕一の作品が

他の会場は11時にオープンする中で、名古屋市美だけ、9時30分オープンなんですね。で、裏にある、藤森照信の『空飛ぶ泥舟』へ

20分ごとに6人ずつ、入れ替えで中に入れるようになっており、その初回分に。ハシゴがかけられて、なかなか急な梯子を上り

中は土に包まれるような落ち着いた空間になっていた

ひとりで、風にかすかに揺れる子宮のような空間を楽しんで、さて中へ。この名古屋市美は、美術館の動線を再構築する観念的な面白みがどうか…ってとこかなあ、と思いましたですね。


あとはやはり、アルフレッド・ジャーの生ましめんかな、が、黒板に浮かび上がる瞬間、心臓にギュッとくるものがあった。青木野枝の屋外作品などを見て


とりあえず朝の部はこれまで、お仕事。昼飯に海鮮丼。仕事は夕方までかかり、芸術文化センターにたどり着いたのは、なんとか18時15分というところ。

ここから急ぎ足で、まずは愛知県立美術館、10階の展示を見る

岡本信治郎らと、別の集団の、凄い曼荼羅みたいなに満たされた空間がグッときたのと


アーノウト・ミックのダンボールの壁、被災地の避難所を舞台にした映像作品、いろんな感情が複雑に絡み合った映像は、なんだか見ていて辛かった。石上純也のはすごいはすごいけど、まあ、すごいねー、で終わってまうのでなあ…。ヤノベケンジがえらい広く場所をとっており。とりあえず置いときゃ場が持つ的な、前回の草間彌生的なポジションで、正直どうなのかと…。お祭りに便利枠(とりあえず社会派)みたいになってませんかね、最近


その他

さて8階へ。こちらでは、なんといっても、最後にあったジャネット・カーディフ、40個のスピーカーが奏でる合唱が素晴らしい。あの空間はずっといたい。それまでの重苦しい雰囲気の会場を抜けてくると、あの空間で救われるような思いがする

最初にどーんとある宮本佳明の福島第一原発神社は…どうなんでしょ。今回(五十嵐太郎プロデュースなので)建築家が何人か起用されているけど、いまいち観念的で馴染んでいないように思うのだが…


建築というか、空間を意識させる作品が、やはりテーマにも沿っているし、多かったですね

渡辺豪、ミカ・タニーラ、ニナ・フィッシャー&マロアン・エル・サニなどの映像はすみません、時間が無くて流し見ですが…ミカ・タニーラの、北欧の街の、2015年に完成予定の原発建設現場の映像、淡々とし過ぎていてこわかったですね…ドクメンタの話題作だとか。そのほか、芸文では10階の米田知子、阪神大震災をテーマにした写真とか、8階ではミッチ・エプスタイン、アメリカのエネルギーの現場を追う写真とか、雰囲気を締めていたかと思います。
オカざえもんグッズはいろいろひどい…

で、またまた急ぎ足で納屋橋の倉庫へ。入ったのは閉まる35分前。しかしとにかく、国際展はオノ・ヨーコ呼ばなあかんルールでもあるんかいな…などともやもや思いながら納屋橋にやってくると、いきなりこれですよ。ガラガラ音立てながら引っ込んでいく。アホらしくて素敵なんだ


中で見ていても、これが

ここに

がらがらがらーと

大変ばかばかしいたのしい、リチャード・ウィルソンの作品。こっからはじまって、納屋橋は、どこか重苦しい、死の香りのする芸文からやってきて、何か救済のようなものがあったのです。ニラ・ペレグの『安息日 2008』だったかな、路上に車を侵入させないバリケードを置く人たちを淡々と撮っている映像、なんだか自由な、解放されるような気分になる。

片山真理が、会場内のモデルルームを住処に見たてたインスタレーション、とにかくエネルギーが横溢していて、アテられてしまう感じ。

この展示空間、フランス大使館の取り壊し前を思い出したなー…というか、全体、自由な空間の使い方が、あのフランス大使館を思い出すんですね


森美術館『医学と芸術』、そしてフランス大使館 - 日毎に敵と懶惰に戦う
青木野枝の作品もけっこうあちこちで見ているけれど、鉄に感じる浮遊感という意味では、今回のがいちばんかも。これ、前回は本が飛び出てきた場所ですね

しかしとにかく、理屈抜きで圧倒されるのが名和晃平のこれ。階段を上った3階の奥の広大な空間にある。あわわわわわ、すごい



名和さんは東京都現代美術館の個展もなかなか良かったけど
東京都現代美術館『名和晃平-シンセンス』『MOTコレクション、石田尚志』 - 日毎に敵と懶惰に戦う
ギャラリーなんかで、1作品どんと見せられるほうがインパクトあったりする。そしてはずれも結構ある。今回のは大当たりだった。…というあたりで、時間制限いっぱい。ここまで見たところでは、震災後の色が濃く重く、前回のような祝祭感や圧倒的ボリュームはありませんが、ハッとなる作品も数々あり、見応えはあるかと思いますのでした…。本来なら岡崎も行かなきゃね
名古屋駅に戻り、新幹線ホームできしめんをたべて

帰路についたのでありました
在華坊(@zaikabou)/2013年10月11日 - Twilog