日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

温泉入ってさくらんぼ

土曜日。ちょっと山形でお楽しみがあって、昼過ぎに村山駅で待ち合わせることになっているんだけれど、折角なのでもうちょっと山形を満喫しましょう。朝は4時半に起床し、6時12分、つばさの一番列車で東京駅をあとにする。

朝一の列車なのに、かなりの混雑、特に大宮から。モンテディオ山形と浦和レッズの試合を見に行く人も沢山乗っている。きっぷは勿論、土日きっぷで。秋田支社、盛岡支社以外のJR東日本の路線に土日乗り放題で、新幹線や『あけぼの』もOK、指定席も4回指定でき、大人18,000円のお得な切符です。山形往復で十分、元がとれる。
http://www.jreast.co.jp/tabidoki/service/donichi/index.html
福島で連結していたMaxやまびこと分かれて、板谷や峠の駅のシェルターを眺めながら米沢駅、ここからまるで各駅停車のように右顧左眄して、かみのやま温泉駅に到着する。かみのやま温泉は、かわいらしい天守閣の上山城(月岡城)

そのまわりにこぢんまりとまとまっている温泉街で、駅からだいたい歩いて廻れるのがよい感じ。古い建物や何軒もある和菓子屋などに、城下町の面影もあるのだった。その街中に、100円で入れる共同浴場が7つあって
http://www.city.kaminoyama.yamagata.jp/kanko/spa/50-map.html
かみのやま温泉-山形県上山市観光物産協会-
その中でも歴史のある『下大湯』へ。駅から、お城を左手に歩いて10分くらい。

自動販売機で100円にてきっぷを買って中へ。洗髪する場合はもう100円必要らしく、これを払うとまぬけなほど大きな洗髪札を拝領し、番台から見えるように掲げて髪を洗うらしい。こっちは風呂に入れればいいので100円のみ。いたって簡素な作りだけれど、無料で鍵がかかるロッカーもあるし、風呂は天井が高くて広くて気持ちが良い。お湯、けっこう熱く、44度以上はありそうなのだけれど、昔に比べて熱いお湯に入っても平気になったなあ、と感じる。やっぱり、じじいになるとは皮膚感覚が鈍感になるので、熱いお湯に入れるのでしょうかね…。
透明なお湯にざんぶと浸かり、起床して新幹線乗る間もうつらうつらしていたのがすっかり目も覚めて。しかしあまり長湯はしなかったのに、いつまでもダラダラと引かない汗を引き連れたまま駅へ。正味45分の滞在で先に進みましょう。
山形駅で普通列車から新幹線に乗り継いで、さくらんぼ東根駅。ちょっと恥ずかしい駅名ですけども、この東根市はさくらんぼ生産量が山形一で、山形一ということはつまり日本一で、そしてあの佐藤錦の発祥の地でもあるらしい。駅前には佐藤錦の産みの親、佐藤栄助翁の像が

駅の周辺にはさくらんぼ狩りが出来る果樹園が点在。駅で300円で自転車が借りられるとあれば、勿論レンタサイクル万歳の身としては自転車の人となって散策してみるわけです、れっつごー。
さくらんぼを人に贈るのに、きっと果樹園の直売所なら安く買えるだろうと期待したのだけれど…。貴君待て暫し。最初に立ち寄った果樹園が外れだっただけなのか、ちょっとさくらんぼは高いし、おやじも方言が極度にキツイ上にかなりギリギリな感じの人で、別のお客さんの相手をしているのだけれど要領を得ていない。こっちの存在が無視されているのを幸いに、ひとまず退散。もうちょっと進んだら、農協がやっている店が
http://jahigashine.or.jp/ivent/ivent.htm
『よってけポポラ』という大層広い店で、農家が自分で値段をつけて並べている店らしい。野菜も果物も盛り沢山、そしてもちろんさくらんぼも。贈答用の箱入り、お手軽なパック、ちょっと傷物や訳アリ品まで、多種多様なグレード品種のさくらんぼが、農家の値付けそのままに並んでいる。

ちょっと品揃えが寂しくなってもあとからあとから追加搬入されるし、ここで購入したさくらんぼは、全国どこでも5kg600円で発送してくれるので便利。さくらんぼは『佐藤錦』が有名だけれど、7月に入ると少し時期外れで、今は『紅秀峰』が最盛期らしい。それでも『佐藤錦』の名前は強し、『今の時期は佐藤錦はちょっとやわらかくなってしまって、紅秀峰のほうが美味しいですよ』とすすめられても『佐藤錦』を無理矢理選ぶじいちゃんとか散見されてました。

人に贈る分をここで買ってさっそく発送し、自分用に少し訳アリ品を安く購入し、ついでにトマトも買ってかぶりつく。んん、よく冷えていて美味い。再び自転車にまたがって、東根の旧市街?に近い集落へ。『日本一の大ケヤキ』というのを眺めて

さて、さくらんぼ東根駅に戻ります。自転車を返却して、乗るは12時11分新庄行き。いよいよ旅の本筋に合流しましょう。

じゅんさい沼でぬるぬると戯れる

村山の駅で新幹線を降りると、ホームにはどっからどう見てもid:kokoroshaさんな人とid:merecoさんな人ががが。うわあ、大変、はてな100傑と旅をするんだという覚悟がまだ出来ていません。そして新幹線からこの駅で降りたのは3人だけ。
今回誘っていただいたid:matsukazutoさんと駅前で待ち合わせます。コーディネートありがとうございます。今回は、以前からメレ子さんのプロフィールにある『夢はじゅんさい採り』を実現する旅に、ちょっと同道させて貰います。村山の駅から、車でじゅんさい沼へ。『じゅんさい沼』と聞いていたので、山奥にひっそりとある、オオサンショウウオでも住んでいそうな底なしの大沼なのかしら…と勝手に想像していたのですが。道沿いに広がる、のんびりした光景なのでした。
http://www.city.murayama.lg.jp/0180sangyoukeizai/kurashi/nousonseibi/junsai.htm

予約した時間まで少しあったので、じゅんさい沼併設のそばやで昼飯。甚だのんびりと出てきましたが、じゅんさい採りの予約時間に合わせてそばを出す配慮だったのでしょう、我々がじゅんさい採りをする人だと知らないはずなのに、なんというホスピタリティ! サンクチュアリ出版は、『最後のパレード』ではなく『じゅんさい沼の教え』という本を出すべきでした。そばは極太でそば粉の味がしっかりします。

さてじゅんさい採り。採る?どうやって?そもそもじゅんさいってどうやって生えてるんでしょうか。私はこの日まで知りませんでした。ジュンサイは多年生の浮葉植物で、沼の底から茎が伸びて、水面上に葉のみ顔を出しています。そして、茎の途中からまばらに芽が出てきて、放っておけばこれもまた水面に顔を出すのですが

これこのように、その若い芽を摘むわけですね。若い芽を摘む。大きくなってくるとちょっといがらっぽくなるので、とにかくなるべく若い芽のうちに摘んだほうが美味しい。若い芽のうちに摘んだほうが美味しい。葉だけ取らずに、茎から分かれている部分の根元から採ると美味しい。根元から採ると美味しい。繰り返しに特に意味はありませんが、とにかく、なかなか背徳的な食べ物です。出てきたばかりの若い芽は、勿論、寒天質の粘膜に厚く覆われているのですが、水面に顔を出した葉の裏や、茎も、すべてぬるぬるしています。
そして、水中にある若い芽を摘む、若い芽を摘む(しつこい)ことになるため、船の上から身を乗り出して作業することになるわけでして、万が一のためのライフジャケットを着込みます。この『万が一』というのも曲者で。本当に万に一つくらいしか起きない場合もあれば、10人に一人ぐらいは不幸な目に合うこともある、ということを人生の中で学んでいくわけで、『万が一』でくくらないで欲しいのですが、見分ける力も年の功。このじゅんさい沼の『万が一』は、10人に一人くらいの匂いがぷんぷんします…。ライフジャケットを着込むと、いよいよ船へ。舟と言っても

こういう小舟ですが…。なんか、水浸しになっている船もあって

『若干水漏れしている場合もありますので、適宜水を汲み出してください』って恐ろしいな!
沼は2つありまして、大きい沼のほうではプロの人(農家の人が副収入でやっているのかな?)がたくさん活躍していましたが

われわれは、お勧めされるままに、小さい沼のほうが沢山あるよ!って言われて小さい沼のほうへ。真偽のほどはいかに。でも、こっちの沼は私たち以外には誰もおらず独占。ちょっとくらいお痛しても何にも云われません。お痛って具体的に何なのか、よくわからないけど…

さて、さっそく船に乗り込みますよ!乗る時は結構怖いし、係りの人には『舫っているのを外すと岸から舟が離れます、それでそのまま落ちる人とかいて…』と聞いてさらに恐怖。けれど、いったん乗ってしまえばこんな感じ

…写真が誰だかについては特に触れませんが。とにかく、屈み込んで、水面から水中へと。じっとりとにらめっこしながら、ぬめぬめする茎を掻き分けて目的のブツを探すわけで、なかなかに地味な作業です…


でも、水の中に手を突っ込んで、そこらじゅうを這いずり回る源五郎の小さいの?みたいなのと戯れながら、じゅんさいを探す作業は妙に楽しい!よくわかんないけど楽しいです、これ。じゅんさいはとりあえず手を突っ込めばどこにでもある…というわけでもなく、宝探し感覚で楽しめます。おお、取れた!

夢中になって水面に屈み込み

ふと見上げると、夏の雲!

なんだかすっごく楽しい、これ。水中は大変生物が豊富な環境で、ちょっと飽きると、虫の写真を取り出したり、めだかを追いかけたり。じゅんさいは茎も葉の裏もぬるぬるしているので、触手マニアの方は、指に巻きつけたりしながら、あらぬ妄想にふけるのもお勧めです…。そうこうするうちに、結構採れたよ!

しかし、これだけ採るのでも大変なのに、普通に売っているじゅんさいとか、どれだけ熟練の技があればあんなにいっぱい採れるんでしょーか…。不思議。結局、1時間1000円のはずだったのに、楽しい時間が過ぎるのは夢のうち、30分近くオーバーしてしまいました。でも、すっごいアバウトなので(そもそも、時間になっても誰も呼びにきません…)、何も言われずに終了したのでした。
採ったじゅんさいは、そのままお持ち帰りができるようになっています。湯がいて山葵醤油で食べたり、鍋に入れたりすると良いみたい。じゅんさい採り、楽しいです。シーズンが本当に今だけですが、こっち方面にお出かけの際は、ぜひ、やっていただきたいと思います。この『大谷地沼』のじゅんさいは、沼の人が自画自賛するとおり、実際美味かった!

この後、コテージに泊まったりバーベキューしたりするのですが、それはまた改めて。
マツカヅトさんとメレ山さんの記事も上がっていたので、そちらもどぞー
2009-07-10 - ポンパドール・パラソル:野望編
夏雲湧く沼に船を浮かべてヌルヌルじゅんさいを堪能 - メレンゲが腐るほど恋したい

そしてコテージの夜

じゅんさい沼から移動して、鮎川村エコパークというところへ

ちょっと脱力する感じのwebページの施設だけれど、大変立派。今回宿泊するコテージは池のほとりに建ち、至れりつくせりの設備がそろった良いコテージだった。

部屋から水辺を見下ろすよい立地

晩飯は、熟練の腕前と周到な準備のmatsukazutoさんに頼りっぱなしで、池のほとりでバーベキューとじゅんさい鍋。牛肉豚肉鶏肉に、帆立に牡蠣まであるよ!すごい。写真がありませんが…。家のほとりで、明るいうちからやるバーベキューは最高です。じゅんさい鍋も大変おいしかった。そして暗くなり


月明かりの湖畔でよしなしごとを話しながら、夜は更けていくのでした…