日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

尾道を散策

6時ごろ起床。雨、しかもかなり強い雨。今日は自転車を借りて、今治までしまなみ海道を行こうと思ったのだが…。予定狂うなあ。しかしながら、昨日のおばちゃんが『午後には晴れる』と行っていたので、それに期待することにしよう。ということで、午前中は、尾道の坂の街を散策してみることにしよう。雨に濡れる坂道、なかなか風情があって良さそうではないですか。
さて、尾道といえばロリコンの変態、女優脱がせることが趣味、おっさんのしょーもない幻想を映画にし続けることで有名な…じゃないや、情感溢れる思春期の揺れる心を撮らせたらぴか一の大林宣彦監督の作品で有名でありますね。ありますわよ。で、そんな坂の街を徘徊したいと思うと、街で用意している『古寺めぐり』のコースにしたがって歩けば、情感溢れる狭い路地に紛れ込める、という寸法らしい。さっそく出かける。



駅からとても親切丁寧な案内看板にしたがって歩けば、海岸からすぐにせりあがる山肌に迷い込み、いきなりこんな路地あんな路地。これは楽しい。そして、坂の上から見える瀬戸内海の港町。

雨に濡れる路地は情感があって素敵である。しかし、住んでいる人は大変そうだけれど。いつもこんな坂道を歩いていたら、健康に良いことでしょう。
で、案内看板にしたがってばかりいても面白くないので、少しわき道に入ると…

それはそれで楽しいのだが、突き当たりになったりして…

いったい、ここはどこなのだろう、と本気で心細くなってくる。ろくに案内看板も無く、次から次へと、路地の分かれ道が現れるのだから…。とは言え、いざとなったらどんどん下っていけば良いので、あまり心配することも無い。路地めぐりを堪能し、商店街の和菓子屋で朝飯代わりにおこわを購入。ロープウェイで山に登ってみる。

展望台からは街が一望でき、美味しそうな工場も見えて、なかなか結構だった。


あ、そうそう、安藤忠雄先生の美術館もありました。

中腹にあるお寺に参ったりしながら、山を下る。

しまなみ海道を自転車で

本稿、写真が多くて重いので、回線の細い方には相すまぬことである。すみません…さて。
10時ごろには、天気もだいぶん回復。これなら自転車も大丈夫だろう。ということで、尾道駅近くで自転車をレンタル。
しなまみ海道とサイクリングについて、少し説明すると。しまなみ海道は、尾道から今治にかけての島々を7つの橋と島で結ぶ道になっている。基本的に高速道路全体としては自動車専用道路なのだが、各橋については自転車で渡ることも出来る。ということで、しまなみ海道を自転車で渡るのは、愛好家の間では結構ポピュラーなことらしい。
自分で自転車を持ち込まなくても、尾道と今治、それから途中の島にはレンタサイクルが多数用意されており、しかも、どこで借りてもどこでも乗り捨てが可能なシステムになっているのだ。レンタル料は乗り捨て代込みで1500円、元に帰るなら500円。詳しいサイクリングマップもくれる。というわけで、私も自転車を借りて、今治まで行ってみることにしよう。借りたのはこんな自転車。

いわゆる『軽快車』…なのかな。何ていうかよくわからないけれど。ママチャリよりは少しは走れそうなヤツ。荷物があるので篭付を選んだけれど、もっとキッチリ走れそうなのもあった。これでも3段変速つきなので、結構やれるだろう。で、さて、尾道から今治までキッチリ渡ると75kmあるのだが、時間はすでに10時半ごろだし、尾道の坂を2時間ほど上ったり下ったりした後だし、松山にはあまり遅くならずに到着したいし、端から端までは少々心もとない。
ということで、途中の因島まで船で渡ることにする。因島の港から今治までなら、おおよそ55〜60km程度。これならなんとかなるでしょう。小さな船に自転車を積んでもらい、因島に出発。運賃は850円、自転車別途100円。

ちなみに、上の写真に写っているカッコイイ自転車は、別の人の持ち物です…

40分ほどで船は港に到着。11時5分。さて、走り始めよう。フェリーが着いた土生港から3kmほど北上すると、さっそく最初の橋、生口橋。橋は自動車用の道路なので、まともに入ろうとしたらインターチェンジまで迂回しなければいけないが、自転車はインターチェンジを出入りできない。その代わりに、橋の前後に、歩行者と自転車と原付用の専用通路が整備されている。

大変わかりやすい案内看板が設置されているので迷わない。ほいでもって、この専用通路もとてもよく整備されており

変速無しの自転車でも降りて押さずに上れる程度の傾斜に整えられているので、安心して通ることが出来る。そして、橋に入る手前には、大抵、眺めの良い休憩場所が用意されているので

それはそれは、楽しいサイクリングができるのです。で、まずは生口橋を渡る。

橋の上も、自転車用の通路がきっちり整備されているし、原付とは橋の反対側を通行するようになっているところが多いので、安心して通れる。歩行者に注意して、スピードを出し過ぎずに渡る。というか、橋の上からの風景が楽しすぎて、早く渡るのは勿体無い!もちろん見え隠れする島の光景も美しいのだけれど、工場好きに堪らないのは、島々に有る中小規模の造船所をすぐ間近に拝めることなのですよ!

平日なら特に、まさに今作ってます、という船がいろいろと。もうね、全コース、こんな萌える光景が、次から次へと出現するわけです。たまんないのです。
さて、とりあえず一つ目の橋を渡り終えないと先に進まぬ…。橋のどちらかには料金所が。

そう、自転車も通行料がかかるのですね。と言っても、50円〜200円の間で、全部の橋を通っても500円+10円。係員はおらず、料金箱に料金を入れるだけ。自転車をレンタルするところで回数券を売っているので、買っておくと、いちいち小銭の心配をしなくて吉。
橋を渡り終えて、専用通路を快適に下ると、生口島の一般道路に出る。一般道路にも自転車用のレーンが用意されており、キロポストなどもきっちり整備されているので、概ね走りやすい。本腰入ってるなあ。で、こんな光景

も見られるわけであり。もう溜まらんなあ。ニヤニヤしっぱなし。12kmほど、海岸沿いの快適な道を走ると、次の多々羅大橋が見えてくる。

再び専用通路を登って…

非常に美しい橋だなあ。そして天気も随分良くなってきた。素晴らしい。橋を渡ると愛媛県に入り…

ああ、美しきかな瀬戸内の風景

そして、建築物マニアにはこんな嬉しい風景も…

この多々羅大橋は全長1480mの斜張橋で、実は世界一長い斜張橋なわけですよ。橋を渡り終えるとそこは大三島。結構大きい島ね。橋の袂に道の駅があり、尾道から今治まで自転車を乗りとおすとちょうど真ん中になるので、ここで休憩している人が多い。私も昼飯に海鮮丼。

おいしゅうございました。さすがに今日はビールは飲みませぬ、ふふふ。それにしても、この道の駅からの多々羅大橋は美しいなあ。

しばらく休憩し、水分を確保して出発(といっても、道々、至るところに自販機などはあるので、途中で水分補給に困るようなことはないのだが…)。愛媛県に入ると、広島県側以上に案内看板などが丁寧に整備されていて、何の心配もなく走れる。この大三島は大きな島なのだけれど、5kmほど走るともう次の橋、大三島橋

こじんまりしたアーチ橋で、出来たのはしまなみ海道の橋の中でもっとも古く、1979年。しまなみ海道は、既存の橋を専用道路で繋げたり、新しい橋をかけたりして結ばれているのですね。料金所もこぶりでかわいい。

天気はすっかり晴れて…こりゃあ、日焼けの心配をしてなきゃいかんかったなあ。半袖なので、ヒリヒリして酷いことになりそう。

橋を渡り、伯方島に入ると、またして萌える光景が…

もーね、このあたり、テンション上がりまくりでうふうふにやにや笑いっぱなしで、おかしくなりそうだったよ。こんな楽しいと思わなかった、しまなみ海道。伯方島は「伯方の塩」で有名なあの伯方なんだけれど、この島も道は短くて、2kmほど走るとすぐ次の橋、伯方・大島大橋



うふふふふ。ああ、幸せ…。この橋は、渡り終えてから振り返ると美しい

ここで最後の島、大島。それにしても海峡の潮の流れが随分速いようで、渦を巻いていたりする。

この島は、暫く走ると、海の見えない内陸の道路に入ってしまうのが少々残念。しかもちょっと坂道がある。しかし、最後のお楽しみ、来島海峡大橋への期待で胸を高鳴らせながら黙々と走るのも良いものですよ。なお、本来のコースを外れるし少し距離が長くなるのだけれど、海沿いの道を走るのがオススメ、という話もあるらしい。
そして、11kmほど走ると最後の海峡が…

世界初の三連吊橋、全長4105m、来島海峡大橋なのですよ!道の駅「よしうみいきいき館」でしばし興奮を抑えまして、さて、では出発。

うう、美しいフォルム…

ああ…


おお…

いや、もちろん、海の風景も美しいですが…


うーん、素晴らしい…と思ううちに、渡り始める。


3つのうち、2つを渡り終えると料金所。島があるので、エレベータを使って島に降りることもできる。下から眺める光景もまた美しい。

陶然としたまま渡り終えると

目の前には造船所が!


いい加減、人を萌え殺す気か!ふんとにもう…(泣)。渡り終えた後、糸崎公園の展望台に行くと、橋がとても綺麗に見える。

あとは、今治の駅まで6kmほど、平坦な道を。駅の駐輪場で乗り捨てができる。私は、今治城などにちょっと回り道をして、駅に自転車を返したのだった。
途中、随分な休憩時間をはさんだり、写真撮影のために度々立ち止まったりしたけれど、因島から今治まで6時間。ある程度の体力のある人であれば、一日で十分、尾道から今治でも乗りとおせると思う。なんなら途中で一泊するつもりで、のんびり、でも良い。本当にこのサイクリング、オススメです。楽しい。楽しすぎる。

松山の夜は更けて

今治から、17時34分の特急で松山へ。1時間ほどで到着。駅から路面電車に乗り、今日のお宿、松山全日空ホテルに到着…。いや、まあ、一泊ぐらい良い所に泊まっても。あんまり高くなかったし。
シャワーを浴びてさっぱりして、着替えて、さて、呑みに行きましょう。ガイドブックで見た店に行こうかとも思ったけれど、ホテルのすぐ近くが歓楽街らしい。歩いていればよいお店も見つかるだろう…と、最初に入ったのが『居酒屋上半』。ここでは隣に、良くしゃべる関西弁のあんちゃんが座っており、なんというのだろうか、四国は本当に大阪文化圏なんだなあ、的な思いを強くした次第。
で、この店は適当なところで切り上げて、次の店へと移動するのだが…。詳細についてはよっぱ研を見ていただきたい。
http://liquor.g.hatena.ne.jp/zaikabou/20070501
まさに狂態であった。一人で馬鹿じゃなかろうか、とも思うが。なんとか無事にホテルに帰りつき、そのままぐっすりと眠ったのだった。