日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

北へ

5時半起床。正月休みがまだ暫くあるので、今日からちょっと、東北方面に遊びに行こうと思う。なにしろこの時期、海産物は美味いし、温泉にも入りたい。とりあえず酒田と松島に宿だけ確保したので、さて、出かけよう。
東京駅に向かう電車のなかでもまだ思案した挙句、本日の工程がぼんやりと決まり、あつみ温泉に寄ってから酒田に行きましょうか、ということにする。東京駅で切符と朝飯を購入、7時48分の『Maxとき』で新潟へ。ここまでは出張気分が抜けぬ、ここからが旅となる。10時15分の『きらきらうえつ』に乗り換え。酒田まで行くジョイフルトレイン。
観光用の列車なので、売店には駅弁のほかに地酒も用意されていたり、沿線の割引チケットが用意されていたり、いろいろと親切。車掌さんは女性で、沿線の名物をいろいろと解説してくれるのだが、どうにも声が、その、耳障りが宜しくなくて、息も絶え絶えに震える声でおそるおそる、という風情であり、大変下品な言い方になって相済まぬことではあるけれど、例えるならばねえちゃん変なモノ突っ込まれてんのか、という、あいややや、失礼、下品であった。
それはひとまず置いておいて、特製の駅弁も美味そうだったので、昼飯はこれにしようと購入。ついでに日本酒、菊勇の純米熟成酒秘伝を。

沿線の名物を詰め込んだ幕の内はおかずの味付けも大変結構で、これを肴に日本酒をやると、大変幸せな気分になってくる。筋子も良いのが入ってるなあ。窓の外には日本海の、それは冬特有の荒れた顔ではなく穏やかではあるのだけれど、そんな日本海が広がり、至福至福。

飲むうちに、温泉に入る気持ちがなんだか失せてしまったので、あつみ温泉では降りずに、そのまま酒田へ向かうことにする。終点に近づくまで車掌さんの声を注意深く聞いた結果、どうやら変なモノ(ry ではなくて、かなりキツイ方言をむりくり標準語に修正しているせいではないか、と思うに至る。別に修正しなくていいのにネ。12時51分、酒田着。

土門拳記念館と酒田市美術館

駅からは100円のコミュニティバス『るんるんバス』に乗り、土門拳記念館へ。写真館の巨匠、土門拳は酒田に生まれた人で、この記念館は谷口吉生の設計によるもの。

水を前景にした美術館なので、豊田市美術館と似たような雰囲気…って、豊田の方は行った事がないのだけれど。




鳥海山を見通す高い青い空と相まって、とても静溢な空間が広がっていた。内部の展示は定期的に換わっていて、今回は古寺巡礼シリーズの仏像の写真や藤田嗣治のアトリエ風景など。仏像の写真は、彫りの痕まで見えるような写真を眺めていると、本当に仏像を見ている以上(というか、普通に仏像を眺めているだけでは得られないような)情報を与えてくれる。


それにしても、谷口吉生さんは空間の作り方が上手い、宗教建築なんかやるとビシッとはまるんじゃないかしらん。
さて、このあたり一帯は新しい文教地区として整備されていて、ほかに大学や美術館もある。少し歩いて坂道を登ると、酒田市美術館も。

こちらは池原義郎建築設計事務所で、BCS賞や公共建築賞を受賞。展示物は酒田出身の皆さんの作品でした。


建っている土地が高く、鳥海山の方面に開けているので、前の芝生からは鳥海山が一望できるのであった。

そらが高いなあ。暫し佇む。この前庭からの羨望を望むカフェもあった。再び、コミュニティバスに乗って市街へと。

酒田市をぶらぶら

実は7年前に酒田は一度訪れていて、市街の観光地は一通り巡っている。だのであまりガツガツせずに、まずは酒田のシンボル山居倉庫へ

売店で、『きらきらうえつ』の車内に置いてあったチケットで粗品(はえぬき300g)を頂く。もちろんおみやげも購入。そして、夕日を求めて

海岸線は遠いので、最上川の土手から眺める夕日もなかなかに結構。ここでも暫し佇む

市街地へ戻る途中、とても趣味の悪い建物をみつけ、

ははあ、これは創価学会か幸福の科学に違いない、と思ったのだが、近づいてみると市民ホールかなにかであった。あらぬ疑いをかけた皆様には伏してお詫びしたい。悔しいので隣にある市役所でトイレを借りておいた。
宿に荷物を預け、夕食を。

この『鈴政』というのはとても思い出深い店で、というのも、前回酒田を訪れたときに、初めてカウンターで鮨屋を鮨屋らしく堪能した店であるのだ。そして、ひじょーに美味しかった記憶だけが残っていたのだった。で、結果どうであったかというと、やはり思い出は美し過ぎて…ではあったのだけれど、それでもやはり何から何までソツがなくて美味しく、素材も仕事も良くて、酢の物なども鯖蛸海鼠蟹など山盛り、名物のどんがら汁も貰う。お会計も割合リーズナブルであったし、なにより活気があっていいお店であった。一人で鮨屋のカウンターってのも悪くないね。よい気分で今日の宿『最上屋旅館』に戻り

風呂に入って就寝。