弁護人が控訴趣意書出さず… 懲役11年の1審判決が確定 最高裁

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090619-00000637-san-soci

弁護人は3月24日、事務所の引っ越しなどを理由に、3回目の延長を申請すると、高裁は許可せず、弁護人は控訴趣意書を出さずに辞任。高裁は控訴棄却の決定を出した。弁護人はその後再び選任され、4月6日に異議を申し立てていた。

引っ越しなどの、「など」の中にどういった理由が入っていたのか、よくわかりませんが、既に2回、延長が許可されていた以上、何とか書けるところまで書き期限内には提出し、足りないところは後で補充する、ということが、やはり実務である以上は必要だったのではないかと思いますね。事務所の引っ越しが理由で、それも3回目の延長申請では、高裁も認めないでしょう。
弁護人として、信念を持って職務に臨むことは必要ですが、実務には、ここは落としてはならないというポイントのようなものがあって、そこをはずしてしまうと取り返しがつかないことになりかねず、注意が必要という印象を受ける事件です。

小日本主義―石橋湛山外交論集

小日本主義―石橋湛山外交論集

小日本主義―石橋湛山外交論集

石橋湛山は、早稲田大学出身の政治家で、戦前は、東洋経済新報で数々の論文を発表し、戦後は政界に転じ、短期間でしたが総理大臣も務めています。
一昨日、六本木ヒルズ森タワー内の青山ブックセンターに立ち寄ったところ、レジの横にこれが並べられていて、早速、買いました。読んでみると、最新刊ではなく、1984年に第1刷が出て、1990年(バブル期の真っ直中ですね)に第2刷が出ていて、こういった堅くて売れそうにない本を、限られた店内スペースの中で並べて売っている青山ブックセンターは、高く評価できると思いました。
石橋湛山は、有名な小日本主義を提唱し、戦前の日本において、無謀な膨張、植民地政策を鋭く批判する論陣を張り続けたものの、孤立無援状態のまま日本は壊滅的な打撃を受け終戦を迎え、石橋湛山の主張が生かされることはありませんでした。しかし、改めて読んでみると、例えば、有名なロンドン軍縮条約をめぐる統帥権干犯問題について、条約により財政上の多大なメリットがあることを指摘し統帥権干犯論に敢然と反論したり(今とは違い2・26事件が起きる直前という時代状況の中で)、日本の植民地政策に経済的なメリットが出ておらず小日本主義こそ日本が採るべき道であることを力説したりと、今読んでも、その主張には説得力があり、文章も力強く、読みやすく、非常に勉強になるものがあります。
石橋湛山というと、仏教、日蓮宗という印象が強烈にありましたが、この本の解説を読むと、幼少時にキリスト教の影響も強く受けていて、日蓮とキリストを足して2で割ったような人だったのかもしれないと思い、何となく納得するような気持ちになりました。
危機的な時代において、人としていかに生き、いかに自らの主張を貫いて行くかといったことを考える上でも、石橋湛山には学ぶところが多いという印象を改めて受けました。