『輪廻のラグランジェ』第5話 上坪亮樹のメモ


 脚本/梅原英司・菅正太郎、コンテ・演出/上坪亮樹、作画監督/乘田拓茂・岡勇一・松村拓哉。


 第5話「鴨川に来た男」を視聴して色々と。



 Aパート冒頭。前の記事で書いた今やお約束になっている椅子を使った仮託。




 今回は、ランとまどかの椅子に挟まれるようにして中央にムギナミの椅子がある。ムギナミの椅子はひっくり返っており、上には鳥がとまっている。

 最初これを見たとき「これはどんな意味だろう」と思った。


 ひっくり返った椅子は、今回判明したムギナミの裏の顔を表しているのか。

 それとも、ラストのヴィラジュリオにやっつけられるムギナミを表しているのだろうか。ひっくり返った椅子=崩れ落ちたムギナミ、鳥=ヴィラジュリオ、ランとまどかの椅子=周りで見ていることしかできないランとまどか。

 うーん、どうなんだろう。




 印象的なレイアウトが結構あるなと思いながら視聴していた。途中の1ショットで「これは、上坪亮樹さんかな?」と思ったら、クレジットを見たらそうだった。XEBECだからあり得るなと思っていたけど、ロボットアニメを手掛けるのはちょっと意外。でも、今回ほとんどロボット出てきてないですが。




 その1ショットがこれ。校舎裏でのランとムギナミの会話シーン。「だから」という台詞の時のムギナミを捉えたショット。どっちかというと実写主義的であるラグランジにとっては、似つかわしくないショット。水玉模様と特徴的な色使い。シャフトっぽい感じ。これを見て、今回はいつもとは違うなと思った。


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 この仰角ショット+入射光も上坪さんっぽい。




 蛇口が画面いっぱいに出される印象的な構図のショット。




 これまた見ていてハッとするショット。これは、明るかった雰囲気からランとムギナミの真剣な話に変わるところの転換点になるショット。画面を占拠する影が、これから始まるムギナミとランの重たい会話を暗示する。




ランとムギナミの校舎裏での会話シーン。ここでも影を使って、ランとムギナミの重たい会話シーンを演出する。



 このシーンで急にカメラが微妙に揺れる。手持ちカメラ的な見せ方で、画面に臨場感を出す。これは、その後のヴィラジュリオとムギナミのシーンでも使われる。


 フェンスの金網を使用した印象的なショット。画面手前の金網の四角形が作る窮屈さ・狭小感が画面に緊張感を与える。その効果が対立するムギナミとランを盛り上げる。金網によって分断された二人は、敵同士で交わらない二人を表しているかのようだ。




 そして、金網を利用しての「おにいちゃん」のランのギャグ。こういう使い方もあるのかとちょっと驚く。




 ガラスに映し出す奇抜な構図。こうやって、三人の位置関係を表すのが面白い。




 Bパート。BWHでのヴィラジュリオとまどかたちの会話シーン。ここでの雲の流れを利用した画面効果。


 ヴィラジュリオの一言にショックを受けるムギナミを捉えたショット。雲の流れが加速して、ショックを受けたムギナミの心情を表す。




 ムギナミに対して想いをぶつけるまどか。雲は画面左から画面右に流れる、つまりまどかからムギナミへと流れる。雲の流れがムギナミに想いをぶつけるまどかという構図を映像的にも表してくれる。




 ヴィラジュリオがムギナミを責めたてるところでは、ヴィラジュリオからムギナミへと雲が流れる。



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 ラグランジェでどうやって上坪亮樹さんが自分のカラーを出すのかと思ったけど、作品の世界を壊さずうまい具合に出していてさすがでした。