きっと来るけど、止められない気がする今日このごろ。

地方都市出身者である私の同級生等々の動向を見ると、医師、歯科医師、弁護士を除くと地元に戻る人達の多くは県庁や中核都市の職員又は教員になっています。地方の進学校出身の人達のUターン就職先を考えると現在あるのは地方銀行を除けは役所(教職含む。)だけなんですよね。

 例えば、地方には東大や京大出身の教員が意外といます。ある程度以上の待遇を確保しておかないと、こういった比較的優秀な人達が公教育の現場に来なくなり、長期的に見て地方での人材育成に問題が生じることでしょう。そして、首都圏においても、現在以上に私立と公立の差が大きく開いていくことが予想されます。まぁ、公立学校の教員の待遇を下げ、社会的な評価も下げたアメリカの公教育の現状を見ると今、教員の待遇を叩いている層(煽っている人達のではなく)の子供たちが将来受ける教育の質がどんなものになるのか分かりそうなものです。

 「じゃあ、教員の待遇は維持して一般職の公務員の待遇を切り下げれば良いじゃないか!」という意見もありますが、公務員の行なっている業務のほとんどは利害調整機能なので、これを担う人の質を落とすと各種計画も立てられないし、立てたとしても実行できないということになると思うんですよね。私は現在、県庁等の地方公務員の現場を担っている地方国立大出身者やいわゆるMARCH出身者等々が地方公務員を志望しなくなったら、どうなるかと思うと「正直いって、かなり恐ろしい。」、彼(女)達がいなくなった時にどうやって地方行政が運営されていくのか・・・・

 彼(女)らが残っても良いな、戻りたいなと思った時の受け皿が無くなった時に地方はどうなるのだろう。今はまだ、不況なので地方に残っていてくれていますが、これが好況になって大都市に十二分に受け皿ができた時に、「公務員が叩かれる状況を目の前で見てきた世代」が続いているのだから。

 「公務員・教員の待遇が地方の中小企業より良いのは許されない」という意見が地方の蓄積の衰退を通じて地方の将来を食い潰しているとしか思えない。今は、意外なほどに優秀な人達が現場を支えていますよ。

 「ワークシェアをしてでも後輩を育てないと」も大事だけど、優秀な人達はこなくなるから長期的にはいずれにしても現場は崩壊するかなぁと、「研究者志望よりも待遇に敏感な人達」を相手にしていると思ってしまう。