ポモドーロの猿になるのだ
ポモドーロテクニック
ポモドーロテクニックが流行っている。知らない人のために説明すると、ポモドーロテクニックとは具体的には以下のようなものを指す。
- 25分ひとつのタスクに集中して実行する(この25分を1単位としてポモドーロと呼ぶ)
- タスクを開始して25分経ったらたとえタスクが途中であっても5分程度休憩する
- 休憩が終わったら次のポモドーロ開始
- たまに(4ポモドーロ消化したら)長めの休憩をとる(20分くらい)
とまあ極めて単純な方法である。このポモドーロテクニックの肝は、
- 1つのことに集中すること
- 強制的に脳を休ませること
- その繰り返しのリズムを確立すること
にあると考える。あれこれと余計なことは考えずに1つのことに集中する。余計なことを考えるのは休憩時間にやる。ポモドーロを回している間はひたすら機械的に繰り返す。機械的に、ひたすら、繰り返す。考えるな、繰り返せ。オーケー? わかった?
より詳細には http://stack3.com/old/pomodoro_technique.html などを参照してほしい。
ポモドーロテクニックが必要なだめな大人
例えば、だめな大人はその日の仕事のパフォーマンスが、気分とかノリとかいう不確定なものに左右されている。全くプロフェッショナルではない。いやー今日はぜんぜん集中できなかったなー、明日集中して取り戻すよ、なんて考えているようでは成長など望むべくもない。猿以下だ。
また、だめな大人はやりたくないことを先延ばしにする。どうせやらなきゃいけないのに。明日できるんなら明日やってもいいんだけど、だめな大人はどうせ明後日になってもやらない、締切りは今日なのに。やりたくないことを先延ばししないためには何らかの強制力が必要だけど、その強制力を外的要因に依存してしまってはダメだ。上司の叱責とか、成果報酬とかそういった不確定で不定期な外的要因ではなく、単純にタイマーに依存する。それがポモドーロテクニックだ。
大事なことだから何度でも書くけど、機械的にタイマーに従ってひたすら1つのタスクに集中する。それを繰り返す。タイマーがスタートしたら自動的にタスクに集中できるようになるまで成長したら、あなたは立派なポモドーロの猿だ。パブロフの犬なんて目じゃない。Youはポモドーロの猿だ。
ポモドーロの猿になるために
それでは具体的なポモドーロの猿になるための方法だが、これは至って単純で3ヶ月間ひたすらポモドーロを繰り返すだけだ。それでけで3ヶ月後には立派なポモドーロの猿になっていることだろう。えっ、3ヶ月も続けられない? それはしらねーよ。3ヶ月程度も続けられないなんてどう考えても猿以下だろう。
そうはいってもやはり続けられない人はいるから、その手助けとなるテクニックを紹介しよう。
これも単純でその日ポモドーロできたかを一日の最後に振り返ってみてカレンダーにチェックを入れる。チェックが積み重なるとそれ自体が継続のためのモチベーションになるので3ヶ月くらい楽勝でこなせるようになる。はず。最初の1週間は気合で乗り切って欲しい。
カレンダーは一覧性の高いものがいいだろう。間違っても日めくりカレンダーにチェックをつけてはいけない。過去の積み重ねが一覧できないから。iPhoneユーザーはStreaksというようなアプリを使うのが手っ取り早いだろう。ぼくは別の用途にだけどこれを使っている。有料だけど、悪くない。え、iOSが搭載されたデバイスがない? それはないわ。現代人としてそれはないわ。それだけはフォローできんわ。
……いやまあ、普通のカレンダーでも十分ですけど。文房具屋でシール買ってきて1日1個貼るようにしてもいいんですけど。小学生の頃とかよくシールを貼ってもらってきゃっきゃっ喜んでた頃を思い出してやるのも楽しいんですけど。
これでもできないならもうポモドーロの猿になることを諦めるしかない。あなたは猿になる資格がない。
偉大なるポモドーロの猿になるのだ
さてさて、見事にポモドーロの猿になれたあたなたは、ポモドーロの猿としてより上位の猿になるになるためのいくつかのポイントを押さえておこう。
すぐやめる
まず大切なことは25分経ったら(タイマーが鳴ったら)すぐ作業をやめること。続けたいと思ってもやめる。いい? やめるの、すぐに。わかった? あとちょっとだからとか、そんなん無視してやめるの。最初はどうも気に入らないかもしれないけれど、もうちょっと続けたいのに、という気持ちをうまく次のポモドーロに活かすように考え直してみよう。
たとえば、きっちり1つのタスクが終わった時点でポモドーロを終了させた場合、次のポモドーロを開始するモチベーションが薄れると思う。次なにやろっかなー、とか、さっき頑張ったしなーもうちょっと休むか、とか余計な思考が挟まる危険性がある。それに対してタスクが中途半端な状態だったら、次のポモドーロにおける作業の開始点が明確になり、すぐに集中状態に突入できる。ほらね? すぐにやめたほうがお得でしょう? というわけで、あとちょっとだからもうちょっと続けよう、などという旧世紀的な考え方は捨てて、タイマーが鳴ったらすぐに休憩に入るポモドーロの猿としての考えを習得しよう。
休憩大事
休憩に入ったら、とりあえず場所を変えよう。自分のデスクで作業していて休憩に入ってもそのままデスクに居続けるとやっぱり頭がタスクから離れられないことになる。だから、デスクから離れよう。適当にぶらぶらしたり、他の場所で休憩を取るようにしよう。これが重要。座りっぱなしで何か別のことをするよりもどこか別の場所に移るほうがいい。30分に1回うろうろするのはなんかやだ、と感じるなら2ポモドーロに1回でもいいけど。けど、できれば休憩は別の場所でとったほうがいい。
そして休憩が終わったら次のポモドーロを始める。あと3分休憩ーとかダサいことを考えてはならない。あなたの行動は全てポモドーロに支配されている。思い出して欲しい。あなたはポモドーロの猿なのだ。
けど、本当のことを言うと、次のポモドーロに集中できるようになるまでは次のポモドーロを開始してはならない。休憩で必要なのは、さっき終わったポモドーロの事を忘れて脳を休ませること、そして次のポモドーロで集中するための準備をすること。この2つができていない以上休憩できたとは言えない。そんな状態で次のポモドーロを開始しても効率はよくならない。
だから本来は次のポモドーロに集中できるようになるまで休憩すべきだ。そうは言ってもいつまでもだらだら休憩していては元も子もない。実際、25分の集中から解放されて再度集中できるようになるまでは5分あれば可能だ。最初はできないかもしれないけど、繰り返しているうちにできるようになる。あなたが立派なポモドーロの猿ならば当然できるはずだ。
割り込み
ポモドーロテクニックで困るのは割り込みの処理だろう。割り込みがない環境というのはなかなか得難いものだ。もし割り込みがあってそっちの対処をするとなったら、そこで現在のポモドーロは破棄することにななる。当然、完了したポモドーロの数には含めない。ポモドーロとは25分間きっちり集中して初めて達成できる貴重な存在なのだ。割り込みなどで汚されてしまったらもうそれはポモドーロではない。
割り込みがあった場合、まずは後回しにできるかどうかの判断が最初に来る。後回しできるなら後回しにして現在のポモドーロを続ける。だいたい、すぐに対応しないといけない緊急の割り込みがそれほど頻発するとは思えない。もしも頻発しているようならなにかが間違っている。実際、緊急だと言われていたけど、実は緊急じゃなかったとかそんなん多いでしょう? 別にみんながみんな炉心融溶に関わる仕事しているわけじゃないでしょう?
そうは言っても後回しできないものもあるだろう。後回しできないとなったら、現在のポモドーロは破棄する。悲しいけれど破棄する。涙を飲んで破棄する。そしてポモドーロを破棄した悲しみを胸に割り込みのタスクの処理をする。大人の対応。割り込みのタスクが終わったら、休憩をとって新しいポモドーロを開始する。
さて、人によっては割り込みが非常に多くてまともにポモドーロテクニックが適用できない、という人もいるだろう。そういう人は、まず普段から割り込みの発生を減らすための努力をしよう。難しいかもしれないけれど、それしかない。いっぱい割り込まれる人はそれだけまわりから頼りにされている人なのはわかるけど、なんとかしよう。自分の知識をきちんとドキュメントにしてその所在を明らかにしておくとか、自分のタスクを分散できるような同僚・後輩を育てるとかしないといけない。ごめんね、面倒くさくて。けど、これはもう仕方ない。
ポモドーロを磨く
ポモドーロの猿になることで仕事や勉強にリズムが生まれて効率よくこなすことができるようになる。ただ、ぼくらは人間であり猿ほどばかじゃない。だから、もっと積極的にポモドーロを利用しよう。そのためには、1つのポモドーロを改善していく必要がある。
たとえば、あるタスク完了までの時間を最初は2ポモドーロだと見積もってやったとして、実際には4ポモドーロかかったとする。このとき、なぜ4ポモドーロかかるタスクを2ポモドーロと見積もってしまったのか、その原因をはっきりさせておく。これを繰り返すことでタスクの見積もり精度を上げる。同じように、時間がかかり過ぎていると感じたならばなぜ時間がかかってしまったのかを考察しておく。1つのポモドーロの精度を上げることで1日に達成可能なタスクの総量をあげたり質をあげることにつながる。仕事にかかる時間を正確に見積もれるというのは本当に大事な能力で、自分の生活をちゃんとコントロールしようと思ったら必須の能力だということは覚えておこう。まともに見積もりもできないで、仕事を安請け合いしてしまって、あとで時間が足りなくなって泣くことのないようにタスクの処理にかかる時間を正確に見積もれるように訓練しておこう。
また、1日の最後にその日を振り返るポモドーロを設定しておくのもいいだろう。あるいは次の日のタスクを列挙しておくポモドーロもいいだろう。そういったものを含めて1日のタスクを設定しておけば、あなたのポモドーロは日々磨かれていき、きっと偉大なるポモドーロの猿になれるだろう。
まとめ
思えば、小学生の頃とかチャイムで時間を区切ってくれていたから1つ1つの授業に集中できていたと思う。それを大人になってもやるだけだ。大人になったら時間割を用意してくれる先生もいないし、チャイムも鳴ってくれない。だから自分でなんとかしよう。そのためにポモドーロテクニックがある。
- あなたはポモドーロの猿だ
- タイマーがあなたの行動を束縛する
- しかし猿より賢いあなたはポモドーロを改善し続ける
- そしてより偉大なポモドーロの猿になるのだ
裏まとめ
ポモドーロテクニックというものを知ってたまに実践するようにしたりしていたのになかなかうまくいく気配がないので、本を買って読んでみた。読んだ感想と自分なりの解釈を自戒を込めて書いたのがこの記事。