Macでe-Taxをしないほがいい

 確定申告の季節ですね。今年は挑戦してみましたよ。e-Tax。

 なんでも以前は24時間対応していなかったとか。なんのための電子申請なんだろうな。でも今はメンテ時間を除き24時間利用可能になったようだ。おまけにMacにも対応している。これは利用しないとNE!

 というわけで、MacBookProで挑戦してみた。

住基カードと電子証明書の準備@役所×2回


 役所に行って住基カード(写真なし)と公的個人認証サービスのための電子証明書の発行を申請した。でも即日発行してもらえない。申請の数日後、発行したよという通知が自宅に届き、それを持って役所に出向いて住基カードを受け取った。こんな面倒なしくみをとっているのは、住所の確認のためだという。昔のパスポート申請のようだ。

 将来はこれで選挙の投票ができるようになるのだろうか。

ICカードリーダライタを準備@家電量販店

 住基カードは発行している自治体によって使えるICカードリーダライタが違う。うちの自治体ではICチップありの接触型のカードだ。ご利用できるICカードリーダライタ(住基カード) | 公的個人認証サービス ポータルサイトで使えるICカードリーダライタを確認。結局、SCR3310-NTTComを家電量販店で購入した。

ICカードリーダライタのドライバをインストール

  ICカードリーダライタ | NTTコミュニケーションズ 法人のお客さまからドライバをダウンロードして、Macにインストールした。

ソフトウェアのインストール・設定

 国税庁ホームページリニューアルのお知らせ|国税庁にしたがって、(1) 政府認証局の証明書と (2) 利用者クライアントソフトのインストールする。

 政府認証局の設定ではキーチェーンに情報を教え込む。結構めどくさい。しかも、微妙にマニュアルと違う。ちゃんとテストしてんの!?

 利用者クライアントソフトはVectorのフリーソフトのような感じだ。嫌な予感。しかもダウンロードのページが酷い。そこには、ダウンロードボタンの直下に次のような注意が書かれている:

(ご注意)

インストールを開始する前に、ダウンロードした「JPKI02-03.dmg」のファイルのSHA-1ダイジェストが下記の通りであることを確認してください。
「JPKI02-03.dmg」のSHA-1ダイジェスト = 42b6600e72e8f642442a59a9b800a16de2e3e4f1

 で、SHA-1ダイジェストの確認方法へのリンクがあるので行ってみると、

 うおおお、ターミナルでUNIXコマンド叩いてますよ!しかも、黒塗りが多くてワケわからん。ユーザ名とマシン名を隠しているためか、プロンプトも黒塗り。しかも半分くらい黒塗り。戦後の教科書ですか?これ。

 いずれにしても、UNIXを使えるMacユーザ以外には意味不明なインストールガイドになっている。だれのためにマニュアル書いてるんだよ?システムもドキュメントもすべて業者(NTTデータ)に丸投げした感がぬぐえない。

 一方、Windows ならクリック一発で全部やってくれる。

 NTTデータにはMacの技術者はいなのか?

さて、本番

 ここでハマる。指示に従って情報を入力していると、キーチェーンがパスワードを求めてくる:

 はて、何のパスワードだ?JPKI-card#2って誰だよ、お前。

 正解は住基カードの電子証明書に登録されているパスワードを入力する。
 しかし、これをできた人はほとんどいないのでは?

 このタイミングでOSのユーザ認証するのはおかしいが、キーチェーンが現れたので、あわててOSのパスワードを入力してしまう人も多いのでは。さらに、この前の操作で様々な暗証番号や識別コードが発行されたので、それらを入力してしまうのでは。なんとう社会工学的によく考えられたトラップなんだ。

 ボクもこのトラップにハマった。パスワードを5回間違えると住基カードのパスワードがロックされてしまうのだ。ロックを解除するために、また役所に行かなくてはならなかった(3回目!)。

 ググルとみんなこのトラップの餌食になっている。

ここで Windows を使うことにした

 このトラップはまだまだ序の口で、この先もっと凄いトラップがあるのではないか?このままMacで確定申告を続けるべきか?
 Macをあきらめて Windows に変更したら、いままで我慢してやってきた面倒な設定がすべて無駄になってしまうのでは?

 などと邪念が浮かぶが、ここはサクっと Windows に変更することにした。

 ここでMacを使い続ける選択は、株で負けを取り返すために、さらに負けこむという状況に似ている。賢い方法ではないと判断した。行動経済学でいうところの損失回避性に惑わされてはならない。

 経済学もたまには役に立つことがわかった。

 Windowsでe-Taxしたら、トラップはなく、スムーズ(?)に確定申告をすることができた。

まぁ、 解説動画を一時停止したりして、ステップバイステップでやっとできたんですが。

 まぁ、めでたしめでたし。

e-Taxを使ってみた感想

  • Macへの対応が酷い。面倒な上にトラップあり。マニュアルにも難有り。
  • 業者丸投げ感が強い。ドキュメントも業者が書いたものをノーチェックでは?
  • 国税庁の人がMacでテストしているようには思えない。
  • 利用者識別番号・暗証番号・納税用確認番号・電子証明書パスワードなど、コードが多すぎる。うまく名寄をするなどして、これらのコードが表にでないように設計するべきだ。ネットバンキングを見習うべきだ。
  • そもそも電子証明書にパスワードと暗証番号の2つが入ってるのが意味不明。両方不要だ。電子証明書そのものがが本人確認なわけだから。
  • 結局、納税用確認番号は一度も使わなかったぞ。
  • NTTデータのやる気が感じられない。素晴らしいシステムというものは、ユーザインタフェースからも設計者のやる気が感じられるものだ。随意契約をやめて競争入札にするべきだ。そのほうが国税庁も仕事が増えて嬉しいのでは?NTTデータが受注するにしても、やる気は出るだろう。
  • とにかくユーザインタフェースがダメダメ。というか、大枠の設計からダメダメ。自分がいまどのステージにいるのかわからず、迷子になる。
  • 利用率を上げるためには、「e-Taxかーんたん☆彡」みたいなCMに予算を割くより、システム全体の見直しが必要だろう。
  • 最初からWindowsを使うべきだった。